3月末日
「2等巡洋艦『矢矧』着任いたします」
「矢矧の着任を許可する」
執務室で着任のやり取りがされていた。
「近松提督…先日は大変申し訳ありませんでした」
着任の挨拶が終わると、矢矧は僕に謝罪してきた。
「矢矧、気にすることはないよ…妹さんを人質に取られての事だと聞いている…」
矢矧がそれでもと謝罪の言葉を続けた。
「提督、矢矧さんと妹さんのお部屋の用意ができました」
タイミングよく大淀が執務室に戻ってきた。
「それじゃ矢矧、部屋に案内するよ」
僕はそう言うと、矢矧を部屋に案内した、
「何…何なのこの豪華な部屋は…」
矢矧が眼を大きく見開いて唖然としていた。
「君と妹さんが生活する部屋だけど、何か問題があったかな?」
矢矧がフリーズしてしまった、
「提督、矢矧さんの妹さんをお連れしました」
矢矧の妹さんが警備兵によって案内されてきた。
「私達…こんな凄い部屋に住んでいいの?」
やっぱりな、矢矧の妹さんも同じ様に部屋を見てフリーズしていた。
「流石姉妹だね…おんなじ行動してるし」
「お~い矢矧、そろそろ帰ってきてくれないかな」
僕が声を掛けると、暫くして戻ってきた。
「ベットルームが2つもあるよ、お姉ちゃん」
妹さんが先に復活して室内を探索していた、
「提督さん…この部屋本当に私達姉妹で使っても宜しいのですか」
復活した矢矧が恐る恐る聞いてきた。
「大丈夫ですよ矢矧さん、だってこのリゾート鎮守府の部屋総てこんな感じですから」
大淀がフォローしてくれた。
「提督、この鎮守府名って本当にリゾート鎮守府なんですか?」
うんやっぱりツッコんできたね。
「前任がつけた名前のままだと、思い出したくない事を思い出しちゃうからね、それで改名したんだ…名前の由来は…この建物の高級リゾートホテルだったから、其処からリゾート鎮守府になったというわけ」
「安直な…」
真面目で委員長タイプの矢矧だけのことはあった、やっぱり呆れ返ってきた。
「この部屋で自炊もできるけど…最上階の展望食堂でも食べられるから…バーラウンジも有るしね」
僕は矢矧にホテル時代のパンフレットを手渡した。
「ホテル時代の案内を貰っても…」
矢矧が困惑していた。
「変わったのは部屋の名称だけだから、例えば最上階のスイートルームは執務室、僕の私室、応接室、フリールーム、パンフレットにあるスカイガーデンは展望間宮食堂って感じにね」
矢矧はパンフレットを妹さんに渡した、
「矢矧、もし車を持っているなら持ってきても構わないからね、ちゃんと駐車場も完備しているから」
矢矧がえっと言う顔をした。
「車は持ってますけど…宜しいのですか?」
「持ち込む前にこの電子書式に記入して提出してくださいね」
大淀がタブレット画面に電子書式を表示させた。
「案内は此処まで、矢矧は明日より5日間休暇とする、荷物の整理や妹さんの学校の手続きを済ませるように」
僕は矢矧に休みの件を伝えると、
「展望食堂に行こうか」
矢矧と妹さんを誘った。