とある姉弟妹が集まる鎮守府(改)   作:屋根裏散歩

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第24話 衝撃の事実①

「はい、リゾート鎮守府…はいーー!!しょ少々お待ち下さい」

 

大淀が掛かってきた外線電話を一旦保留にすると、慌てた様子で僕を見た。

 

「何処から?」

「それが…港湾棲姫からなんです」

 

大淀が声を引き攣らせながら答えた。

 

「なんだって!!」

 

勿論僕も驚いた。

 

「兎に角出てみよう」

 

僕は保留になっている電話に出ることにした、

 

「おまたせしました、提督の近松です」

 

僕が電話を出ると、

 

「いきなりの電話でごめんなさいね、一応確認なのですが、貴方のお母様は11年前に亡くなられた最上でお間違い無いですか?」

 

港湾棲姫からの問いかけに、

 

「はい、そうですが」

 

僕はそれだけを答えた、何故母の事を知っているか疑問ではあったが、

 

「貴方のご両親の死の真相をお伝えしたいので、そちらにお邪魔してもよろしいかしら、勿論非武装で伺います」

「僕の一存では決められませんので改めてご連絡を差し上げても宜しいですか」

「構いません、この番号に掛けていだければ私に繋がります」

 

港湾棲姫からそう言われると、僕は一旦電話を切った。

 

「11年前の真相って一体…」

 

僕は長官に電話をかけた。

 

「近松です…長官、先程港湾棲姫から11年前の真相を伝えたいので会談の場を設けてほしい旨の電話がありました…どうしたら宜しいでしょうか」

 

長官は少し間を置くと、

 

「その会談応じてみよう、君のご両親に関する事だ姉妹達にも同席を許可してもらうように、無論私も参加する、日程については君に一任する」

「了解しました」

 

長官との電話を切ると、僕はカレンダーを見た。

 

「明後日の金曜日か…」

 

姉妹達の勤務状況から金曜日が全員揃っている日だった。

 

「近松です、港湾棲姫さんですか」

 

僕は港湾棲姫に折り返しの電話を掛ける掛けた。

 

「はい、どうでしたか?」

「此方の条件は姉妹達と長官の同席で今週金曜の午前9時からと云う事だけです」

「それで構いません、当日は私1人で伺います」

 

こうして鎮守府に於いて深海棲艦である港湾棲姫との会談が成立した。

 

そして迎えた金曜日。

事前に所属艦娘には今日の会談について周知させてあったので混乱は無かった。

 

「お待ちしていました、此方へ」

 

大淀が出撃用スロープで港湾棲姫を出迎えた。

 

「あら、以前の木造鎮守府はないのですね」

 

港湾棲姫が以前の鎮守府であった建物を探していた。

 

「はい、近松提督に代わってから、奥のリゾートホテルを使用して、以前の建物は解体しました」

 

大淀が奥に建つホテルを指した。

 

「羨ましいですね」

 

港湾棲姫はそう言うと微笑んでいた。

 

「どうぞ」

 

大淀の案内で港湾棲姫は応接室に通された。

 

「今日はわざわざありがとうございます」

 

僕は姉妹である、金剛、最上、時雨それと長官の5人で港湾棲姫を出迎えた。

 

「どうぞお座りください」

 

僕は港湾棲姫にソファーに座るよう勧めた。

 

「失礼いたします」

 

港湾棲姫が座ると同時に、

 

「粗茶ですが」

 

大淀が間宮羊羹とお茶をテーブルに置いた。

 

「ありがとうございます」

 

港湾棲姫がお茶に手を出した。

 

「港湾棲姫さん、この大淀も記録を取るために同席させますが構いませんか?」

 

港湾棲姫は大淀に目をやると、

 

「構いませんよ」

 

直ぐに許可してくれた。

 

「それでは11年前の事をお話し致します」

 

そう言うと港湾棲姫は静かに語りだした。

 

「あれは11年前の9月でした、突然葛と名乗る男から通信がありました…内容は『鎮守府の全艦娘を出撃させる、防御が手薄になるから艤装保管庫と弾薬庫を襲撃しろ、無論其処に居る人間は確実に殺してくれ』という内容でした」

「なっなんだと!そんな事が…」

 

港湾棲姫の話に長官が驚いていた、

 

「話を続けますね、そしてその日…私達は指定されたルートを航行し鎮守府を襲撃しました…葛提督の指示通りの場所を、そして弾薬庫にいた1人の佐官が抵抗してきましたが…多勢に無勢でした…ただその時1人の艦娘が戻ってきたのです…そうあなた達の母親である最上が」

 

港湾棲姫は話を止めると、お茶を一口含んだ。

 

「問題はこの後からでした、葛提督が最上に対して命令違反を咎めていました。

その間私達はただその様子を見ているだけでした、そして葛提督が最上を射殺したのです、そして…その本当の理由を口にしました…『ガキ共も後から始末してやる…俺のものになっていれば死なずに済んだものを馬鹿な女だ』と…私はこの言葉に苛立ちを覚えました、なぜなら私も最上と同じ子を持つ母親だったから…これがその時の言動です」

 

そう言って港湾棲姫はボイスレコーダーを取り出すと、僕達の前で再生した。

 

「母さんと父さんは…」

 

僕は悔しかった、それは姉貴達も同じだった。

 

「葛をこの手でブチ殺したいデース!」

「本当…」

「葛が邪な欲望を母さんに向けなかったら…僕達は」

 

最上も時雨も怒りと悔しさで表情曇らせていた。

 

「私も子供が3人います…だからこそ最上の無念がよくわかります…私も敵味方関係なしに許せませんでした…子を持つ母親として、あの男はあの場で殺しておくべきでした」

 

僕達は港湾棲姫のこの言葉に救われた。

 

「あと、最上がその場で書いた手紙を託されました」

 

そう言って港湾棲姫は持っていた鞄から血が付着して変色した封筒を取り出すと僕に手渡してきた。

 

「ありがとうございます」

 

僕は受け取ると中の手紙を取り出した。

 

「早苗、翔、晶、円へ

こんな形でお母さんはあなた達とお別れをしなければなりません、ごめんなさい………早苗、翔と晶、円の事をお願いね、

翔、近松家長男として姉妹をお願いね、

晶、早苗と翔を助けて仲良くね、

円、お母さんの顔覚えていないでしょうけど…ごめんなさ…」

 

手紙は其処で終わっていた、おそらく書きかけて命尽きたのだろう。

 

「最上との約束が果たせてよかった」

 

そう言うと港湾棲姫は間宮羊羹を摘んでいた。

 

「港湾棲姫さん、今日はわざわざありがとうございます、最後に両親のお墓に参っていってくれませんか」

 

僕は港湾棲姫に頭を下げた…大淀は駄目だ、大泣きしている。

 

「いえこちらこそ約束が果たせて良かったです、お墓鎮守府内に有るのですね、宜しくお願いします」

 

僕は港湾棲姫を両親のお墓に案内した。

 

「そう此処に…」

 

港湾棲姫が墓前で静かに手を合わせた。

 

「最上、手紙やっと渡せたわよ」

 

港湾棲姫が小さな声で語りかけていた。

 

「今日は危険をおかし僕達の為に有り難うございました」

 

最後にもう一度港湾棲姫にお礼を言った。

 

「気にしないで、今は敵味方ですけど私達も人類と同じこの星に生を受けた生物です、きっと解り会える日が来ます」

 

とだけ言うと微笑みながら港湾棲姫は海へ帰っていった。

 

 

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