「はい、リゾート鎮守府執務室…はい、いらっしゃいます、お待ち下さい」
大淀が電話をとると、僕に廻してきた、
「提督、軍警察捜査課よりお電話です」
僕は受話器をとると、
「はい提督の近松です」
「捜査課の谷脇です、お手数ですが矢矧と妹さんに捜査協力をお願いしたいのですが」
「わかりました」
「明日の朝一番で伺います」
僕は電話を切ると、矢矧を呼んだ、
「訓練中に済まない、明日の朝一番で捜査協力を妹さんとお願いしたい」
「わかりました」
矢矧はそう言うと妹にメールを送った、
「妹も構わないそうです」
僕は矢矧からの返事を捜査課の谷脇さんに折り返しの電話で伝えた。
そして翌日。
「今日はよろしくお願いします」
捜査課の谷脇さんと2名の女性捜査官がやって来た。
「私の部下で伊勢と日向です、2名とも艦娘ですから安心してください」
谷脇さんが2名の女性捜査官が自己紹介をしてくれた。
僕は応接室へと案内した
「この応接室で」
「ご協力ありがとうございます」
僕に一礼すると谷脇さんは必要な道具をテーブルに並べ始めた。
「プロジェクターとホワイトボードお借りします」
事前に聞いていたので必要な機材は応接室に運び込んであった。
「それでは…妹さんから…車に乗せられてから1時間位は走ったで間違いないですね」
「はい、時計の丁度の電子音を車に乗せられる直前と後の2回でしたので」
「成る程…御自宅の近辺から1時間圏内で人目につかない場所か…」
伊勢がホワイトボードに書き込みながら考え込んでいた。
「閉じ込められていた部屋の様子はどう?」
日向が聞いてきた。
「明かりが全然なかった…何か板か何かで塞がれてた」
妹さんの表現に谷脇さんも考え込んでいた、
「恐らくは空き家だろうか…近隣住民に気づかれずには…」
僕はある事に気がついた。
「確か玄関入る前に階段を四段か五段上がって右に曲がって直ぐにって言ったよね」
僕の質問に妹さんが答えた、
「うん、右に曲がって直にね、ギギっていう感じの金属みたいな音がして室内に入ったんだよ」
伊勢と日向はただ首を傾げていた、
「どういう事?」
僕は思いついたことを2人に話した。
「金属みたいな音がしては古い団地によくある金属製の扉、そして五段位の階段を上がったのは、多分一階の右側の部屋という事」
谷脇さんが、はっという顔をした。
「成る程、古い団地しかも全棟空き部屋…かなり絞られます」
とはいえ、団地で全棟空き部屋なんてそう簡単にある訳がなかった。
「あと…車で1時間位って言っていたけど、目隠しされていたから何処をどう走ったかなんて分からないよね、飽く迄も可能性なんだけどグルグル同じ所を廻って時間稼ぎをしてからっていう事も考えられますよね」
僕は何かで読んだ推理小説のネタを話した…。
「確かに、目隠ししているから道なんてわかりませんからね」
谷脇さんが同意した。
「谷脇課長、現在全棟空き部屋の団地はこの5箇所です」
日向がリストをスクリーンに投影させた。
「あっ、車から降ろされる少し前に坂を降りたような感じがしたよ…ほんの少しだけど」
妹さんが重要な事を思い出した。
「敷地内に入る前に坂か…となるとこの5箇所は該当しなくなるな…」
日向が何か別の項目を入力すると検索を始めた。
「ちょっと待てよ…あるじゃないか」
伊勢がとある物件をスクリーンに投影した。
「おいおい、これは軍の官舎だぞ」
谷脇さんがありえないという顔をしていた。
「課長、この官舎は全棟空き部屋で、此処を見てください」
日向がとある一箇所をポインターで指した。
「スロープだと!」
そうその官舎は道路よりも少し低い位置に建っていてスロープを降らないと車は入れないのだった。
「それとこれは最近の写真ですが、一階部分を見てください、このように窓は総て板で塞がれています」
そう総ての条件に一致するのだった。
「鍵は何処が管理している」
其処から谷脇さんの指示は速かった。
「この官舎を管理している部署並びに鍵の所在を」
「はい」
谷脇さんは僕達に向きを変えると、
「捜査協力ありがとうございました、これでまた進展しました、捜査に進展がありましたら改めて報告をさせていただきます、今日はこれで失礼いたします」
「これを皆さんで」
僕は間宮が用意した弁当を3人に渡した。
「お心遣い感謝いたします」
そう言うと谷脇さん達は引き上げで行った。