僕と陸奥は工廠に到着した。
「明石いる?」
陸奥が工廠事務室の扉を開いた。
「陸奥…何か?」
これまた生気のない眼をした明石と夕張が室内にいた。
「明石、新しい提督よ」
陸奥の紹介に明石達は、
「新しい提督様ですか…えっ翔君なの!!」
明石の反応に、
「知り合いなの?」
陸奥が驚いていた。
「姉貴の同級生…よく家に遊びに来ていたから」
僕が明石との間柄を話している最中に、
「あっ、間宮…あのね翔君が来てるの、これから連れて行くね」
一方的に明石が間宮に電話で話していた。
「間宮?」
「宮永 杏子よ宮永食堂の、覚えているでしょ」
僕は明石からの話で、姉貴の同級生で宮永食堂の杏子さんを思い出した。
「杏子さんもいるの!!」
僕は驚いた。
「ちょっと顔出していこうよ」
僕は本来の目的も忘れて、間宮の部屋へと向かった。
明石の先導で食堂と思しき建物の裏口にある間宮の部屋に到着した、
「間宮入るわよ」
間宮の返事を待たずに明石が扉を開けた。
「ちょっ………えっ本当に翔君なの?」
間宮が僕に抱きついた。
「間宮さん!」
同室のもう一人の艦娘が慌てていた。
「伊良湖、大丈夫よ…提督は私と間宮の知り合いだから」
「そう………なんですか」
伊良湖と言われた艦娘がオドオドしながら僕を見ていた。
「明石、最上の予備制服ある?」
僕は間宮との再開を喜び、一頻り話をすると、明石に本来の目的を告げた。
「あるけど…普通の人間には着れないわよ?」
明石が最もな事を口にした。
「それなんだけどね…今から見せるのは口外禁止で頼むね、一応は上は知っているけど」
僕はそう言うと、とある艤装を展開させた。
「えっ………これって軽巡の…それも最上用じゃないの!!」
明石が驚きの声を上げた。
「そういうことだから、多分大丈夫」
「なら問題ないわね」
僕は一旦工廠に戻ると、最上型の制服を着用した。
「………これって2人並ぶと見分けつかないわよ」
陸奥と明石が驚き呆れていた。
「それじゃ行こうか」
僕達は巡洋艦寮にある最上型の部屋に向かった。
「最上いる?」
陸奥が扉をノックした。
「ハイ………最上、陸奥さんが呼んでる」
対応した三隈が最上を呼んだ。
「僕に何か?」
最上がノロノロとやって来た、
「新しい提督よ、名前は………」
陸奥が僕を紹介する前に髪の色から恐らくは鈴谷と思われる艦娘が割って入ってきた。
「出ていっ…??提督何処?…えっ最上姉さんがもう一人??どういう事??」
鈴谷が僕を見て混乱した。
「えっ…まさか兄貴、兄貴だよね」
最上が僕に抱きついてきた、
「うん僕だよ、晶待たせちゃったね」
「ホントだよ…円にはもう会った?」
「さっき会ってきた」
「そっか…じゃあ後は姉貴だけなんだ…」
最上の表情が曇った。
「姉貴の事は、陸奥から話は聞いてる………」
「うん、だからこの格好のまま姉貴の部屋に行くよ、この格好なら余り警戒されないだろうからね…姉貴との事のあとで連絡するから間宮の処で話そう、円にも伝えておいて」
「うん、わかった」
僕は最後に残る戦艦寮の姉貴の部屋へと行くことにした。
「此処よ」
陸奥が部屋の前で扉を指差した。
「姉貴いる?」
僕は扉をノックすると開くのを待った。
「金剛お姉様の時間を邪魔するのは誰?」
えらい剣幕で怒鳴られながら扉が開かれた。
「最上が何のようなの」
比叡に睨みつけられた、
「入るよ」
僕は比叡を無視して室内に入った。
「ちょっと…何なんですか」
榛名と霧島が僕の前に立ちはだかった。
「姉貴!」
僕は金剛に抱きついた。
「………ウソデース…そんな翔なの!!此れは夢??」
姉貴が混乱していた。
「嘘でも夢でもないよ、正真正銘僕だよ」
金剛が僕を強く抱きしめると泣き出した。
そんな光景を見て、比叡達も混乱していた。
「金剛お姉様の弟さん…でも最上??」
僕は姉貴に抱きしめられたまま、簡単に話した。
「最上は双子の妹だからね、僕も軽巡『最上』の艤装なら使えるんだ何故かね」
「比叡、金剛を借りるね」
僕は姉貴を部屋から連れ出すと、
「晶と円を待たせているから、あと明石も」
僕と姉貴は間宮の部屋へと向かうことにした。