「提督、少しいいか」
長門が執務室に来るなり口を開いた。
「これから何か急な来客らしくて、その後なら構わないけど」
「ああ、わかった」
長門が終わったら声をかけてくれと執務室を出ようとした。
「長門君も同席してくれ、どうやら招かれざる客のようだ」
僕は廊下から聞こえてくる声に反応した。
「わかった」
長門が僕の横に立った。
「提督、失礼します」
受付担当の警備兵が男性3名の来客を連れて執務室へとやって来た。
そして僕は警備兵に目で合図を送った。
「私達はこういう者です」
3人が名刺を取り出すと机の上に置いた。
「ああ、町にある全国チェーンの、でアポもなし会社名を偽ってまでやって来た要件は?」
僕もそれ相応の対応で迎えた。
「単刀直入に言います、何故我々を出入り業者として外すのか!」
3人のうちの1人が声を荒げた。
「地元の個人店を優先したまでです、貴方がたは他鎮守府で相当数が契約されています、逆に地元商店を排除させようとあの手この手を使ってと聞いていますが?」
実際にこの全国チェーンのスーパーは賄賂や妨害行為で地元商店を契約から半ば強引に締め出させていたと聞いていた。
「鎮守府は入札制で納品業者を決めると…それこそ賄賂を!」
1人がそんな事を口にした。
「基本的には私の裁量で決める事ができる、だから私の鎮守府は地元商店総てからの納入を決めています、勿論個人経営のスーパーも含まれています…此れの何処に賄賂が必要なのかご説明もらえますか?」
3人は口をつぐんだ。
「残念ながら、貴方方の処各鎮守府でも苦情が挙がっていてね、納入を断る様に通達が出ていましてね、それに会社名を偽ってましたよね、既に憲兵は呼ばせてもらってます」
「憲兵だ!」
憲兵隊が執務室へと入ってきた、それをみた3人の顔色がみるみる青くなっていった。
3人が会社名を名乗った瞬間、警備兵が僕の合図で憲兵に通報し廊下で待機してもらっていた。
「提督、こいつ等ですか」
「そうだ、此れが証拠の音声データだ」
僕は彼等との会話総てを録音していた。
「よし、連行しろ」
憲兵隊長が音声データを確認すると、部下に連行を指示した。
「本当に懲りない奴らです」
憲兵隊長が呆れながら連行していった。
「さてと、長門の話を聞こうか」
僕は長門と向かい合う形でソファーに座った。
「実はな、駆逐艦達からもう少しお菓子やジュースの量を増やしてほしいと要望があってだな…」
長門が言いたいことはよくわかっていた、
「その事なんだけどね、実は1階の受付カウンター前にあるスペースにコンビニか地元スーパーの支店を計画していてね、今詳細を煮詰めている最中なんだ」
「そうだったのか」
長門が僕が同じ事を考えていた事を理解すると、頷いていた。
「今の処、缶又はペットボトル飲料、お菓子系、レトルト食品、冷凍食品、注文調理のホットスナック、インスタントラーメン、衛生用品…簡単に言うと町のコンビニから生鮮食品やスイーツ系、紙パック飲料等の賞味期限の短い物を除いた感じかな」
「だが………駆逐艦達から要望はスイーツ系なのだが、何とかならないか」
長門それは君もだろと思ったが、
「まぁ案としての段階だから、冷凍食品でもケーキやクレープはあるからね…コンビニスイーツ限定なら最初は数量を少なめで様子を見ながら増やすという事も考えてはいるから」
「そうか…それにこのコンビニの話は呑兵衛達からも挙がっていてね、この話は駆逐艦達に限らずといった処だよ、それに既に町の個人経営のスーパーに話をしていてね、実際に契約の手前まで話は進んでいる」
「そうか…だから彼奴等血相変えて乗り込んできたのか」
「そういう事」
長門がお腹を抱えて笑った。
それから数日後、1階ロビーに町のスーパーが出店してくれた、それはスーパーと云うより小さなコンビニとでもいえるお店だった。
「提督ありがとございます、現金決済にして頂いて…この所売上が思わしくなかったので」
スーパーの店主が僕と初日の店舗客入りを見ながら頭を下げた。
「いえいえ、こちらとしても助かります、なにせ呑兵衛が多くて…」
見ていると、隼鷹と千歳がビールを買い込んでいた、無論ツマミも………。
「しかし、あの全国チェーンのスーパーがあそこまで汚いやり方をして来るとは…」
僕は先日やって来た全国チェーンスーパーの営業を思い出していた。