他のラブライブ小説と被らない形を模索した結果こうなった。
……被ってないよね?
自分は、ネコと呼ばれる存在である。
自分は、『オトノキザカガクイン』と呼ばれる場所を住処にしている。
自分は、『オトノキザカガクイン』のヒトたちから『オト』と呼ばれている。
それが一体何時からのことなのかは覚えていない。気が付いたら自分はここにいて、気が付いたら自分は『オト』と呼ばれていた。
この『オトノキザカガクイン』は大きなイエを中心として壁に囲まれた広い空間である。このイエを何匹ものヒトが住処にしており、夕方に出かけては朝に帰って来るという他のイエを住処にしているヒトとは少し違う変わった行動をしている。
自分は基本的にここのヒトから貰う食べ物を糧に生きている。たまに殆どのヒトが長い間出かけてしまい帰ってこないことがあるが、そういった場合でもたまにヒトが帰ってきて自分に食べ物をくれる。それ以外にも自分でトリやムシを捕って食べる時があるが、ごく稀である。
ここは壁の外と比べて『クルマ』と呼ばれる大きなモノが走っていないため、比較的安全に食べ物を得ることが出来る。アレは非常に危険だ。『ドウロ』と呼ばれる場所以外を走ることは少ないが、それでもアレに他のネコがやられたのを何回も見ている。だから自分はあまりこの『オトノキザカガクイン』から外に出ない。
ここは、大変暮らしやすい。
朝。自分はこの時間を『オトノキザカガクイン』の入り口付近で過ごし、同じ『オトノキザカガクイン』を住処としているものの
「あ、オトだ! おはよー!」
「おはよう、オト」
多くのヒトは自分に声をかけながら撫でていく。どうやら自分がこうして朝ここにいることが嬉しく、自分を撫でるのが楽しいらしいのだ。一体何が嬉しくて楽しいのか自分には一切分からないが、これぐらいで食べ物が貰えるのであれば安いものである。
たまに自分を怖がり避けようとするヒトもいるが、そういったヒトには自分も近づかない。恐る恐る自分を触ろうと手を伸ばしてくるヒトの場合は、その手が触れるまでじっとすることにしている。自分は気遣いが出来るのだ。
「うぅ、リンも触りたいにゃー……」
「リンちゃんは『ネコあれるぎー』なんだから仕方ないよ」
中には自分を触ろうとしつつも何故か近寄ってこようとしないヒトもいる。ヒトにも色々といるようだ。
ところで、ヒトにはいくつもの名前が存在する。何故そのようなややこしいことをしているのかは分からないが、ヒトによってそのヒトを呼ぶ名前が違うようなのだ。
「あら、おはよう、オト」
その中でも今自分を撫でているこの黄色の頭をしたヒトの名前が一番多い。『アヤセサン』『エリサン』『アヤセセンパイ』『エリセンパイ』『セイトカイチョー』『カイチョー』など。以前までは『アヤセサン』とよく呼ばれていたが、最近になって『カイチョー』とよく呼ばれている。ヒトは時間で呼称が変わるのだろうか? 分からないが、自分も他のヒトに倣って『カイチョー』と呼んでいる。
「ふふ、今日もいい毛並みね」
微笑みながらカイチョーは自分を撫でる。このカイチョーは積極的に自分を撫でにくるヒトの一匹である。そして撫でながら何やら自分に話しかけるのだが、残念ながら自分にはその内容のほとんどがよく分からない。しかし話し終えた後、非常にスッキリとした表情をしているので、何やら楽しいことなのだろう。
「エリチは朝からオトと触れ合えてゴキゲンやね」
喉を撫でられてゴロゴロと喉を鳴らしていると、カイチョーに話しかける藤色の頭をしたヒトがやってきた。
「おはよう、ノゾミ」
「おはよー、エリチ」
このヒトは唯一カイチョーのことを『エリチ』という名前で呼ぶ。『トウジョウサン』『ノゾミサン』『フクカイチョー』などと呼ばれているが、カイチョーは『ノゾミ』と呼んでいるので自分も『ノゾミ』と呼んでいる。
「オトもおはよう。今日もええ撫で心地やなぁ」
カイチョーの隣にしゃがみ込んだノゾミも、同じように自分を撫で始める。このノゾミは他のヒトとは違う変わった喋り方をする。先ほど自分を撫でようとして撫でることが出来なかったヒトもそうだが、ヒトによって喋り方が違うのも不思議である。
「オトは朝ゴハン食べたんかなー? ちょっと待っててなー」
そう言いながらノゾミは体に付いた袋から何かを取り出した。
「はい、今日はニボシや」
透明な袋から取り出した小魚をノゾミは手に乗せて自分に差し出してくる。ノゾミはこうしてよく自分に食べ物をくれるヒトの一匹である。しかしヒトの食べ物を勝手に食べて追いかけられたことがあるので、毎回少しだけ躊躇する。
チラリとノゾミの顔を見る。
「ふふ、食べてええよ。ホント、オトはネコなのに謙虚やなぁ」
食べていいらしい。ならば遠慮なくいただこう。
ノゾミの手の中に顔を突っ込み、小魚をいただく。うむ、美味い。
「ノゾミったら、わざわざ買ってきたの?」
「こうやってオトが食べてくれるのが可愛くて思わず、な?」
このようにヒトと接することで食べ物を得ることが出来るので、自分は出来るだけヒトと接するようにしている。これも食べ物を得るための手段である。
ご馳走様でした。
昼。自分は昼寝や散歩をして過ごす。散歩をする場合、基本的に『オトノキザカガクイン』の中を歩き回るが、たまに自分もイエの中にお邪魔することもある。
イエの中では帰ってきたヒトたちが過ごしている。大勢のヒトがヘヤという空間に集まり、一匹のヒトが話していることを静かに聞いている。一体何をしているのか分からないが、寝ているヒトもいるのであれがヒトの休息の仕方なのだろう。
ちなみに昔はイエの中に入るたびに何匹ものヒト(他のヒトよりも少し大きく、他のヒトから主に『センセイ』と呼ばれているヒト)に追い掛け回されていた。しかし今はそういうこともなくなり、センセイも「まぁ、オトは大人しいから大丈夫か……」と言いながら自分を撫でたり食べ物をくれたりするようになった。
しかし、こうしてヘヤに集まっている時にヒトは自分を撫でようとしないし自分に食べ物をくれないので、自分もヒトに近づかない。
昼寝をする場合は日の当たる暖かい場所を選ぶ。特にイエの上はとてもよく日が当たるのでよく昼寝に利用する。ちなみに雨が降る日はイエの中のヒトがあまり来ない場所を選ぶ。たまに昼寝中にヒトが来る場合もあるが、そういった時にヒトは自分に寄ってこない。そういう時、ヒトは何やらをパシャパシャと不思議な鳴き声を上げる。起きている時にもたまにその鳴き声を聞くが、一体あれは何なのだろうか。ヒトは不思議なことばかりである。
キーンコーンカーンコーンという音が辺りに響き渡る。この音が鳴る度にヒトはヘヤを出たり入ったりし、たまに長い時間外に出て食べ物を食べ始める。これが、ヒトが食べ物を食べる合図なのだろう。
この時ヒトに近づくと結構食べ物を貰うことが出来る。自分もお腹が空いたので、近くにいたヒトに食べ物を貰いに行くことにする。
「あ、オトがこっちに来たよ!」
「わぁ! オトチャン、おいでおいでー!」
大きな木の下に座って食べ物を食べていた三匹のヒトに近寄ると、橙色の頭のヒトと灰色の頭のヒトが手招きしてきた。
「私たちのオベントウ狙いですか。全く……」
そんなことを言いながら青色の頭のヒトは地面にそっと食べ物を置いてくれた。白色と桃色の半円の形をした食べ物で、地面に落ちたものをヒトは食べないのでこれは自分にくれるということでいいのだろう。
しかし念のため一度青色の頭のヒトの顔を見る。
「……そんなこちらを見なくても大丈夫ですよ。食べてください」
やはり食べていいらしいので頂く。なかなか弾力があり、何処となく魚の味がしたような気がした。
「オトチャーン、私もタマゴヤキあげるよー!」
「私もぱんあげるー!」
「あ、ホノカ! くりーむが付いた部分をあげてはいけませんよ!」
うまうま。
夕方。この時間になると『オトノキザカガクイン』のヒトたちはヘヤから出て様々な行動をする。ヘヤの中で話をするヒト、イエの外で走ったり球を追いかけたりするヒトなど様々。
色々なヒトがいるんだなぁと思いながら散歩をする。
すると、イエの中から何やら音が聞こえてくるのが聞こえ、それに合わせるようなヒトの声が聞こえてきた。気になったので、ぴょんと飛び上がり中に入ってみる。
イエの中には一匹の赤色の頭のヒトが黒い大きなものの前に座っていた。どうやらヒトの声はこの赤い頭のヒトのもので、音は黒い大きなものから出ているようだ。
「ん? ……ヴェエ!?」
その人は自分の存在に気付いたようで、振り返った途端に妙な声を出して驚いていた。
「って、なんだ猫か……」
しかし正体が自分だと気付いたようでホッとしていた。そしてソワソワと周りを確認し始めたかと思うと、その場にしゃがみ込んでこちらに向かって手を差し出してきた。
「……こ、こっちおいでー……」
? どうやら自分を呼んでいるらしい。この時間のヒトたちは食べ物をくれることがあるので、もしかしたら食べ物をくれるのかもしれない。素直に近寄ってみる。
「き、来た……!」
手が届く距離にまで近づくと、そのヒトは恐る恐る自分の頭を撫で始めた。どうやら自分を撫でたかったらしい。そのまま赤い頭のヒトはとても楽しそうに自分を撫で続けた。
しかし自分としては何か食べ物をくれるのではないかと思っていたので若干不服である。
「な、何よ? アナタにあげるものなんて無いわよ」
じっと顔を見ていると自分の考えていたことが分かったのか、赤色の頭のヒトは狼狽え始めた。
何もないようだ。残念である。
お腹が空いてしまったので、誰か別のヒトから食べ物をもらうことにしよう。ピシッとそのヒトの手を尻尾で叩いてから自分は入ってきた場所からイエを出た。
夕方もさらに日が落ちていくと『オトノキザカガクイン』のヒトたちは何処かへと出かけていく。
「じゃあねー、オトー!」
「また明日ねー!」
ヒトたちは自分に向かって手を振りながら『オトノキザカガクイン』から出かけていく。このようにして『オトノキザカガクイン』のヒトたちは全員出かけて行ってしまい、完全に日が暮れた頃には『オトノキザカガクイン』には自分一匹のみが残されることとなる。
この時イエの中には入ることが出来なくなるので、自分は『オトノキザカガクイン』の中の適当な場所を寝床にする。
今日も平穏無事な何事もない一日だった。
明日も、きっと何事もない一日でありますように。
・自分は、ネコと呼ばれる存在である。
「吾輩は猫である」と何度書こうと思ったことか……。
・『オト』
一応主人公。猫。その他プロフィールは本編で明かされるまで秘密。
イントネーションは『オ↑ト』。
・『クルマ』『ドウロ』
人工物的なものは基本的にカタカナ表記。すっげー書きづらい。
・リンちゃんは『ネコあれるぎー』
一応ウィキにも載ってる公式設定。ただ小説内の話で、アニメ及び漫画では不明。
にゃーにゃー言ってるくせに猫アレルギーで魚嫌いって……。
・「はい、今日はニボシや」
嘘つき眼鏡「どうしてポケットから煮干しが出てくるんだ?」
銀髪ピアニスト「そういう日もある」
・「オトはネコなのに謙虚やなぁ」
オト「(煮干しは)九本でいい」
・白色と桃色の半円の形をした食べ物
もしかしなくても:カマボコ
・「ヴェエ!?」
まきちゃんかわいいかきくけこ!
・今日も平穏無事な何事もない一日だった。
きょうはなんにもないすばらしい一日だった
・μ'sメンバー
直接名前を明記してない人もいますが、だいたい分かると思います。
プロローグですが、全員出演させることができましたね! ……あれ?
Q 何で猫がこんなこと知ってるの?
Q 猫がこんなこと考えているわけないじゃん?
Q 猫って赤色が識別できないはずですが?
A こまけぇこたぁいいんだよ!(AA略)
というわけで、ラブライブの二次創作にも手を出した朝霞リョウマです。書き始めた理由は前書きの通りですが、今までに書いたことない特殊な文体が書いてて自分でも楽しかったです。
ですが基本的にアイマスの方を定期更新するためにこちらはしばらく不定期ということにしておきます。両者定期更新が可能と判断した場合、定期更新を開始します。
(だからお気に入り登録していただけると嬉しいなぁ……ちらっちらっ)
なお作者はパクリに関して非常にトラウマになっております。流石に全く同じような小説がないとは考えておりませんが、少なくともラブライブの二次創作では存在しないと考えております(「ラブライブ 猫 ss」で検索済み)。もしそういった作品をご存知でしたらご一報いただきたいです。
それでは第一話の更新がいつになるのか不明ですが、この辺で。
※追記
さっそく一件ネタ被り疑惑報告がありました……しかも以前疑惑のあったサイト様の作品のようです。マジで泣きたい……。