ゼンドリック漂流記   作:逃げ男

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1-8.村の外へ

地下遺跡のメンテナンスを終えて宿に帰った後の事。

 

寝る前にいつも確認しているステータスウインドウを開くと、どうやらレベルアップ分の経験点が貯まっているようだ。

 

どうやら先送りにしていた問題をそろそろ片付けておかないといけないらしい。その問題とはとりあえず以下の二つである。

 

1.育成のやり直しは可能なのか?出来るとしたらどの程度まで可能なのか?

 

2.上級クラスへの成長は可能なのか?

 

まず1についてはサプリの中には『再訓練』というオプションルールがあるし、特技の取り直しについては『サイオニック』のパワーで行うことも出来るはず。

 

おそらくゲームで出てきた特技取り直しを行ってくれるNPCはサイオニックの使い手なんだろうと今なら推測できる。

 

そういった手段を使うことも出来るかもしれないが、この問題については案外あっさりと解決した。

 

レベルアップの際にキャラクターの技能と特技は取り直しができるようなのである。

 

ひょっとしたらこれが『再訓練』の代わりなのかもしれないが、ゲームではあれだけ要望がありながらも実装されなかったオプションがここで実現しているとは・・・

 

なんだか少し複雑な気分である。

 

運営も技能の数が増えたら実装するぜ、みたいなことは言っていたような気がする。本国のフォーラムにはあんまり目を通していなかったので伝聞だが。

 

その結果がこのキャラクターの再構築なのかもしれない。

 

そういう意味ではこの再構築は今この瞬間しか実行できないかもしれない可能性はある。

 

とはいえ今の段階では確認しようがないので、2Lvから3Lvに上がる際に再構築できないかもしれない場合を考慮してキャラを育成しなければならない。

 

そして、キャラ育成の方向を考える上で、必ず考えなければならないのが2で述べた上級クラスである。

 

D&Dはサプリメントが出るたびに、基本的に強力なクラスが掲載されていた。

 

(サプリを)買えば買うほど強くなる!というのはカードゲームでブレイクしたあの会社のお得意の手法なのだろう。

 

確かに買えば弱くなってしまうようなサプリは誰も買ってくれないだろうし、商売的には当然といえば当然なんだろうが・・・

 

そのためか、上級クラスはもの凄い種類があるのだ。

 

一部の自分がTRPGでプレイしたことのある上級クラスは記憶にあるが、それ以外の上級クラスについてはあまり細かい内容を覚えていない。

 

上級クラス独自の能力には相当無茶なものもあるため、強さを求めるのであれば押えておきたいところではあるのだが、

 

いかんせん2Lv目から成れるような上級クラスなんてものは存在していない。早くても6Lvあたりからになるだろうか?

 

レベルアップ時に上昇させるクラス選択にDDOに実装されていなかった基本クラス群が選択肢になかったことから、上級クラスについては望み薄かもしれない。

 

だが、選択可能な技能や特技にDDO非実装のものがあることは確かなので、なんらかの条件があるのかもしれない。

 

再訓練が可能であれば上級クラスの前提条件を取り直すことは簡単なので、とりあえずは現時点での最善を目指し成長を考えるとするかな・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゼンドリック漂流記

 

1-8.村の外へ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

育成の方向を悩んでいたら一睡もしないうちに朝になっていた。

 

結局今回の成長は今のクラスの特徴を活かしつつ、技能や特技の重複を避けるように再配分することを主体に行った。

 

最後まで悩んだのはマルチクラスにしてクレリックを入れるかどうかだったんだが、今回は結論として見送ることとなった。

 

はっきりいって信仰呪文は秘術呪文に対して強力で便利な力が多い。それでも今回そちら方面に成長させなかったのには訳がある。

 

まず第一に、俺はエベロンの神格などに対して信仰心をこれっぽっちも持っていない。

 

これで果たして信仰呪文を使用できるだろうか?

 

如何に信仰に対する束縛が緩いエベロン世界とはいえ、流石にそれで呪文が使用できるかが疑問だったのだ。

 

エベロンでは神格によらない、いわば野良のクレリックも存在することは事実である。

 

だが彼らにしても、神格ではない他の何かに対する信仰心からの発露として呪文を発動させているのである。

 

正直、日本人には馴染みの薄いこの信仰心というものが、強力な信仰系クラスを成長させなかった理由である。

 

付喪神とかであればわからなくもないが、思想的に理解できるということであって熱狂的情熱があるわけではないし。

 

後は、前に育てていたこのキャラクター達が皆ピュアクラスだったというのも大きな一因だ。

 

そのせいか、マルチクラスにしてしまうとそのキャラクターでは無くなってしまう気がしたのだ。

 

他のMMOから比べれば期間は短いのだろうが、俺としては愛着あるキャラクター達である。

 

再構築やクラス的に相応しい上級クラスについては構わないが、流石にまったく関係のないマルチクラスをさせるのは忍びない。

 

そんなわけで今回の成長方針となったのであった。

 

 

「よし、決定。技能の漏れもないし、主要な特技の取り直しも出来ているな・・・ではレベルアップだ!」

 

 

意識している7人のキャラクターのステータス画面で次々と『確定』ボタンを押していくと、一週間前と同じ白いレベルアップエフェクトが身を包む。

 

 

「あー、なんか眠気も吹っ飛んでいくなぁ・・・レベルアップに伴うステータス全快の副次効果かな?」

 

 

キャラメイクに集中していたためかあまり眠気は感じていなかったが、体の芯にあった疲労などが一斉に取り除かれたのを感じる。

 

元々がキャラメイクを楽しむゲームだったためか、ついつい時間を忘れて熱中してしまったがこれならこのまま今日の活動ができそうである。

 

キャラビルドと平行して考えていた装備の組み合わせを試したりしていると、昨晩と比べて変化している点に気づいた。

 

 

「・・・減ってるな」

 

 

そう、ブレスレットの中に入っている「シベイ・ドラゴンシャード」というアイテムがいくつか失われているようだ。その数はきっちり7つ。

 

 

「レベルアップの際に消費されるのか?だとすると不味いぞ・・・」

 

 

元々がNPCに特技の取り直しを依頼する際にコストとして支払うアイテムである。

 

新しいMOD導入に備えてある程度の数は確保してあったが、他の消耗品系アイテムのように何百個と持っているわけではない。

 

急ぎ全キャラクターのアイテムを確認し、残り総数をチェックしたところ残数は20個であった。

 

 

「毎回7つのシャードを消費するとして5Lvにギリギリ足りない数だな。5Lvに上がる前にシャードを集めないといけないか」

 

 

このドラゴンシャードというアイテムは強力な魔法のアイテムの作成の際に素材として活用されることが多く、一般の店には出回ることがない。

 

ゲーム中ではランダムドロップ品として獲得するか、プレイヤー間でのオークションでの入手が主な手段であったが・・・

 

この世界でもオークションで出品されているのだろうか?

 

 

「こりゃ早いことこの村を出て大都市にいかないとな」

 

 

冒険の舞台であるストームリーチからは世界でも有数の規模である大都市「シャーン」への直通テレポートサービスが存在する。

 

シベイ・ドラゴンシャードの多くは赤道付近・・・つまりゼンドリックに多く落下しているため、原産地であるストームリーチや大都市シャーンであれば入手の確率は他より高いはず。

 

 

「そのためにも今日も一日頑張るとしますか。まずは顔を洗って飯にしよう」

 

 

すっかりトレードマークになりつつあるジャージへと服を着替え、1Fの酒場へ向かうこととした。

 

そういえばこのブレスレットは便利なことに、対象となったアイテムだけを取り込む機能がある。

 

つまり、服についているヨゴレなどは収納の際にその場に落ちることとなり、再度呼び出せば新品同様の状態に戻っているのだ!

 

これは昨晩水場にいったことで服が濡れてしまった際に重宝した。体についた水分はどうにもならないが、服がサッパリ乾いているだけで快適度は段違いである。

 

将来食うのに困るようなことがあればコレを利用したクリーニングサービスでも開業できるな、などと考えたりもしつつ、食事を終えたらまずは雑貨屋でタオル代わりになるものを探すことにしようと決めた。

 

 

 

「おにーさん、今日のあさごはんはこれです」

 

 

今朝もカウンターにシグモンドの姿はなかった。何やら地下遺跡の防備のローテーションを決めるとかで打ち合わせをしているらしい。

 

代わりに奥方のイングリッド夫人とカヤが厨房で調理を行い、アイーダちゃんが配膳するという分担になっているようだ。

 

パンとサラダ、後は水代わりに出されるエールを飲んで腹に収めると早速買出しに出かけることにした。

 

村の雑貨屋はまだ気まずいだろうし、また船に寄って積荷から商品を売ってもらうとするかな。

 

 

 

 

 

「トーリ。昨晩はご活躍だったそうじゃないか。噂は聞いているよ」

 

 

船着場に到着すると、船長のリナールが出迎えてくれた。歓迎してくれているようではあるが、その表情はどこか暗いところがある。

 

この船からも物資が調達できなくなるとちょっと困ったことになるし、この村が解放された後にストームリーチまで快適な船旅を楽しむためには船長の機嫌を取っておかなければならない。

 

話を聞いてみよう。

 

 

「どうしたんだキャプテン。何か悩み事でも?」

 

 

「そうだな・・・今日君がここに来たこともコル・コランの導きかもしれない。船での用が終わったら戻ってきて話を聞いてくれないだろうか」

 

 

声を掛けると船長は首から提げた聖印・・・おそらく今出たコル・コランのものであろう、に触れながら力なく呟いた。

 

コル・コランとはエベロンで広く信仰されている善の神の一柱で、交易と富を司るとされている。

 

ちなみに魚人どもが崇拝しているディヴァウラーとは悪神の一柱で、深海の支配者、渦巻と暗礁の神であり自然の破壊的な力の象徴とされている。

 

この二柱の相性が悪いことは言うまでもないだろう。

 

そんな大した買い物をするわけでもないので、船で一番肌触りと吸水性のいい布を何枚か売ってくれと船員に話をしてすぐに船着場へ取って返す。

 

するとそこにはリナール以外にもう一人、見慣れないハーフリングの姿があった。

 

 

「早いな、もう戻ってきたのか。では早速ですまないが依頼を一つお願いしたい」

 

 

ついてきてくれ、というリナールの後を追って船員が借りている村の住居の中へと案内された。

 

案内された部屋に着くと、すぐに女性の船員がお茶を運んできてくれた。

 

前も思ったが、この船の乗員は皆質が高い。細かいところまで行き届いているというか、不自由や不便を感じさせない。

 

利用したことはないけれど、元の世界の一流ホテルとかはこんな感じなのだろうか・・・。

 

リナールはお茶を運んでくれた船員に、しばらく誰も近づけさせないようにと指示してから話を始めた。

 

 

「実は昨晩、バリケードの防備が薄くなった瞬間を狙ってか我らのスポンサーであるドールセン・ド・ジョラスコが誘拐されたのだ」

 

 

おそらく村に潜入していた工作員の残りが、村を脱出する際の駄賃として彼女を連れて行ったんだろうとはリナールの弁である。

 

 

「その際、異変に気づいたこちらのウィルム・・・我々の船員の一人が彼女の後を追った」

 

 

そういってリナールはついてきていたハーフリングを紹介し、話を続けた。

 

 

「連中は卑劣にも眠っているレディの寝室に忍び込み、その身柄を連れ去ろうとしたんだろう。

 

 おそらく狂ったカルティストどもの仕業に違いない。 

 

 彼女には確かに敵が多いが、この村まで彼女を追ってきている連中がいるとも思えない」

 

 

ふむ・・・今の状況であれば凶行をカルティストの仕業に見せかけられるとは言え、このドラゴンによって封鎖された島に第三戦力が介入してくるとは考え難い。

 

 

「まぁ敵が何であれ、やる事は一つだな。俺にあんた方の主を助けて来いって言うんだな?」

 

 

うん、わかりやすいクエストだ。今のところ展開にゲームとの差異も無い。

 

 

「ああ、その通りだ。事はレディの名誉にも関わっている。報酬については期待してもらって構わない」

 

 

重々しく首肯しながら報酬についてもリナールは言及してくれた。

 

でも正直このレベルで貰って嬉しいアイテムなんてもう無いんだよな・・・あ、いい事を思いついた。

 

 

「そうだな、報酬についてはこちらから提案がある。

 

 少し先の話になるかもしれないが、この船がストームリーチに向けて出向する際には俺を乗せて行って欲しい」

 

 

いま現在港に停泊しているまともな船はリナールのものだけだ。この機会を逃すと、次に船が来るまで待つことになってしまう。

 

ドラゴンシャードの件もあるし、出来るだけ早くゲーム本編の開始地点であるストームリーチには到着しておきたい。

 

幸いリナールの船、ソウジャーン号はエレメンタル・ガレオン船といって、水の精霊が捕縛されており海上を相当なスピードで航行する一級品だ。

 

報酬としてもまぁ妥当なところではないだろうか、と思ってリナールの顔を見たが、彼は鳩が豆鉄砲を食らったような表情をしていた。

 

 

「・・・・ストームリーチに向かう、か。

 

 そういえばいつの間にかこの村での今後の事ばかり考えて、村を出るという考えを失ってしまっていたようだな。

 

 いいだろう。その際には最高の航海を約束しようじゃないか。五つ国に賭けて!」

 

 

ふむ、どうやら予想以上に好意的に受け取ってもらえたらしい。

 

しかしこの言い様だと、大口を叩きすぎたように取られかねないかな?まぁ今更ではあるが・・・吐いた唾は飲めないんだ、とりあえずこの依頼はキッチリこなさないとな。

 

 

「では、目的地まではこのウィルムが案内してくれる。よろしく頼んだぞ」

 

 

上機嫌のリナールは隣で暇を持て余していたハーフリングを改めて紹介し、自己紹介を命じた。

 

 

「ようやくオイラの出番だな。話が長くてくたびれちまったよ!

 

 はじめまして大きなお友達。ご紹介に与ったウィルムさ。それじゃとっとと目的地に向かうとしようか!

 

 うちの女主人は何よりも待たされるのが大嫌いでね。

 

 あんまり待たせすぎることになると、後が怖くて助けに行きたくなくなっちまうってもんだ!」

 

 

余程鬱憤がたまっていたのか、ウィルムは猛烈な勢いで話し始めた。

 

ハーフリングは陽気で人懐っこいというイメージがあったが、少なくとも彼については間違っていないようだ。

 

 

「そのあたりにしておけよ、ウィルム。我らの女主人の耳は長くはないが、不思議とよく聞こえるそうだからな。

 

 それでは私はこれで失礼する。何か必要なものがあれば誰でもいい、船員に申し付けてくれて構わない」

 

 

リナールが席を立ち、ウィルムと部屋に残されることになった。とりあえず、もう少し詳しい話を聞くとしよう。

 

 

「彼女が連れて行かれたというのはどのあたりなんだ?何か詳しいことはわかっているのか?」

 

 

話を振ると、ウィルムは何か恐ろしいものを思い出したかのように身震いした後でこちらの問いに答えた。

 

 

「ああ、思い出すのも忌々しい、アンデッドどもめ!

 

 オイラは誘拐犯の後を追って島のはずれにある老朽化した墓地まで追いかけたんだ。

 

 ところが、辿り着いたその墓地はカルティストの連中の手で冒涜されちまってたんだ!

 

 オイラは影に紛れて忍び入ってレディを連れ出そうとしたんだけど、中ではアンデッドを呼び出す怖ろしい儀式を行ってやがった。

 

 すまないがオイラはもうあの中に足を踏み入れてアンタの役に立つような働きは出来そうもない。

 

 入り口までは案内できるが、中のことはアンタに任せることになるよ」

 

 

ふむ、アンデッドの創造か・・・。

 

ヘイトンの墓所での企みが潰えたことで、別の墓所の遺体を利用しようという計画なのかもしれないな。

 

 

「そういう事なら急がないといけないな。すぐに出るとしよう」

 

 

そう大きな島ではない。今から行けば昼には戻ってこれるだろう。

 

建物を出て、ウィルムと話しながらバリケードに向かうとそこにはシグモンドらの姿があった。

 

 

「よお、トーリ。昨日はよくやってくれた。

 

 ・・・そっちのはソウジャーン号のセイラーか?珍しい組み合わせだな」

 

 

丁度良かった。バリケードの外へ出る許可を取っておかないといけないんだった。

 

簡単にシグモンドに話をし、バリケードの外に出る許可をお願いした。

 

 

「昨晩でトーリの実力が十分であることはわかったさ。外に出ることには問題ないし、アスケルにも伝えておこう。

 

 だが、ついでにもう一つ気に掛けておいてほしいことがある。

 

 昨晩から村長の娘のアリッサの姿が見当たらない。

 

 そちらの件と同じくカルティストに連れ去られた公算が高いんだ。

 

 ひょっとしたら同じところに囚われているかもしれない。そのときは彼女のことも頼む」

 

 

メイヤーさんって小太りのおっさんがくれるもう一方の救出クエストか。流石に今からその依頼も拾っていくのは無理があるな。

 

・・・ゲーム中でメイヤーってのが名前のことかと思ったけど、よく考えればMayor=村長か!

 

道理で他に比べても良質な報酬をくれるわけだ。

 

今まで勘違いしていた自分が恥ずかしい・・・でも和訳したチームにも問題があるよ、と言いたい!

 

 

「ああ、気をつけておくよ。それじゃあ俺は早速行くから!」

 

 

なんとなく気恥ずかしい気分になって、会話もそこそこに打ち切ってその場を足早に立ち去ってしまった。

 

そのままバリケードを越えて崖と谷に挟まれた細い道を進んでいくと、後ろからウィルムが小走りに追いかけてきた。

 

 

「おーい、アンタ待ってくれよ!案内役をおいていっちゃ道がわかんないだろ?」

 

 

あー、ゲーム中では何度も行ったことがあるものだからつい慣れた道を進むつもりで先行してしまったな。

 

 

「悪い悪い、ようやく村から外へ出られると思うと、外のことが気になってな。それじゃ先導任せるよ」

 

 

「任せておきなよ。勝手に進まれたらカルティストの連中に見つかっちゃうからね。

 

 安全なルートで墓地まで向かうよ」

 

 

村の外では所々に2,3人で隊を組んだカルティストが見張りを行ってはいたものの、ウィルムの指示に従って物陰を進むことでやり過ごすことは容易だった。

 

サフアグンと遭遇すれば連中の鋭敏な嗅覚を誤魔化せるか不安ではあったが、日中に行軍していることが幸いして魚人とは遭遇せず進むことが出来た。

 

まだ巨人族の魔法装置の影響が残っているのか、所々が氷結している水路を越えて進んだところにある墓所を目の前にして、ウィルムは足を止めた。

 

 

「すまないがオイラが案内できるのはここまでだ。ここでアンタがレディを連れてくるのを待っているよ」

 

 

余程中で見た光景がショックだったのか。まぁこちらとしては他に誰もいないほうがやりやすいので、正直この申し出は有難い。

 

 

「ああ、すぐ戻る。それまではこのあたりで身を隠しておいてくれ」

 

 

そういって俺はカルティストによって冒涜された古の墓所に足を踏み入れた。

 

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