魔女の微笑み 作:カトレアの花言葉
「終点、ホグズミード駅に到着いたしました。出口は右手になります」
ホグワーツ特急がホグズミード駅に停車すると、乗客であるホグワーツ在校生や新入生が一斉に降車した。数人の大人も降りており、おそらくホグズミード村に用事がある人だろう。原作でも新任の教師が乗車してたし、子ども以外にも9月1日にホグワーツ特急を利用する人はいるんだな。
「イッチ年生!イッチ年生はこっちだ!お、ハリーじゃないか!元気だったか?」
ホグズミード駅に降りると、男の大声が駅構内に響いていた。これ、音声拡大呪文(「ソノーラス、響け」だったか?)ではなくて地声だな。すんごい大声だ。そして発言主はあの大男か。3メートル以上はあるであろう大男で、豊かな黒い髪の毛と髭が印象的だ。間違いない。ホグワーツの森番であるルビウス・ハグリッドだ。
後に魔法生物飼育学教授も務める男で、あのアルバス・ダンブルドア校長からも厚く信頼されている。第一次魔法戦争ではダンブルドアの私設武装組織である「不死鳥の騎士団」にも参加し、死喰い人相手に勇猛果敢に戦った。間違いなく勇敢で善良な男ではある…あるのだが…流石に禁じられた森にアクロマンチュラを放し、さらにその「つがい」をわざわざ持ち込み繫殖に成功させ、巨大コロニーが出来てしまったのは色々とマズイと思う。
ぶっちゃけ外来種持ち込みだけならまだしも、人語を喋り人肉を好む4メートル以上の「魔法省分類:危険度XXXXX」(魔法使い殺しとして知られる。訓練することも、飼いならすことも不可能)の生物の巨大コロニーが、学生の学び場のすぐ側にできちゃったんだから…。しかもホグワーツの戦いでは死喰い人側で参加し、ホグワーツ生を襲撃してたし。まぁでも生物に詳しく、繫殖管理というかブリーダーとしては完璧な技術力を持っている証拠でもあるが…。
そして大声で名前を暴露されたのが…お、いたいた。あの眼鏡をかけた小柄な少年がこの『ハリー・ポッター』シリーズの主人公であるハリー・ポッターその人だ。無茶苦茶注目されている。黒髪で緑色の瞳をしており、これまでも、そしてこれからも波瀾万丈な人生を送る偉大な主人公。本当に大変だとは思うけれど、必ずや幸せになるので、頑張ってほしい。切実に。
そんなことを考えながら、俺も他の新入生達と共にハグリッドの下に向かっていたら、周囲から凄まじい視線を感じた。いやまぁ確かに俺の見た目はどう見ても「イッチ年生」ではないよな。正直、ハリー・ポッターより目立っている。まぁ先ほど会ったハーマイオニー・グレンジャーとネビル・ロングボトムや、先の入学前交流会で会ったスリザリン閨閥やハッフルパフ閨閥の皆様はお互い会釈したり片手をあげたりして挨拶をくれるので、そこまで針の筵ではないが…。
「おや?おまえさん、どうしたんだ?在校生はあちらのセストラルの馬車だぞ?こちらは湖を渡るイッチ年生だけが集まるんじゃ」
「申し訳ございません。私も新入生なのです。もちろん11歳です」
また既視感のあるやり取りをしたところ、我らが森番殿は「おっと、こいつはすまなんだ!ガハハ!」と笑って誤魔化した。まぁこれは仕方ないというか、俺が同じ立場でも似たような反応をすると思う。強いて言えば、入学前のホグワーツの制服なので、寮の色付きのネクタイを俺も含めた全員がしていないので、そこで分かるかもしれない。まぁ俺でもわざわざそんなとこまで見ないけど。
俺も愛想笑いしながら流したが、そこかしこでヒソヒソと噂された。「ウソだろ、在校生の方かと思った」「マジで同い年なんか」「先の入学前交流会でお見かけした時より…その色々と大きくなってる…///」「何よ、あの女」などなど。というか、「おったまげー」って言った奴、絶対ロン・ウィーズリーだろ。
新入生が全員揃ったところで、湖までハグリッドが全員を先導してくれた。だいぶ周囲も暗くなっており、時々動物の鳴き声が聞こえてきて俺みたいな中身オッサンでも少々怖い。ただ、どうも周囲の新入生たちは不安と期待が入り混じった顔をしており、ちょっとした冒険感を感じているようだった。若い感性が眩しい。
そうして歩いていると、ハグリッドが「おまえさん達、もうすぐホグワーツが見えるぞ!」と呼びかけてきた。この道を曲がると…おー無茶苦茶大きな湖と対岸に広大な城が見える!あれがホグワーツ魔法魔術学校かぁ…。広大な山の上に大きな城館がそびえたっており、大小様々な尖塔や館部分には灯りがついているのが湖の対岸からも分かる。幻想的で美しい光景だ。これには周囲の同期達も興奮しており、高揚しているのが分かる。確かにこれはワクワクするよな。
湖の岸辺には約40艇ほどの小型のボートがあり、それぞれに大きな棒状のランプがついていた。ちなみにオールはなかった。おそらく魔法で動くのだろう。だいたい4人~5人乗りのようだが…。
「よし、イッチ年生のみんな!ボートに4人ないし5人ずつ乗船してくれ!」
さて、誰と乘ろうか。ぶっちゃけ誰でもいいけど、組み分け前ならハリー・ポッター達やスリザリン閨閥とはちょっと遠慮したいな…。まだ色が着く前に旗幟は明らかにしない方が良いし、なんなら組み分け後ですら八方美人でありたい。保身の為にも。
そう思案していると、1人の金髪のひょろっとした男子が声をかけてきた。
「やぁ、ミス・ランドール。良かったら俺たちと一緒に乗らないか?」
この男子は…あぁ先のホグワーツ入学前交流会に参加していたハッフルパフ閨閥で、門閥家族の中心人物だったザカリアス・スミスか。周囲の男子も交流会で挨拶した覚えがあるな。ちょっと目つきが変だが…ここは有難く誘いにのるか。ハッフルパフ閨閥だし、問題ないやろ。
そう思っていた時期(つい数分前)が俺にもあった。コイツら…というか主にザカリアス・スミスだが、なんというか絡みがねちっこい。ちょっと距離も近いし。たぶん善意なんだろうけど、スミス家が聖28一族に勝るとも劣らない名門ぶりなことや、自分自身の優秀さと、ハッフルパフに入寮することの「意義」をしつこく説いて来た。
そりゃ俺の両親はハッフルパフ寮出身だし、ランドール家自体もハッフルパフ寮が4割を占めるハッフルパフ閨閥もどきだが、ここまで絡まれると、なんというか、微妙な気分になるな…。この数分でハッフルパフ寮にはハンナ・アボット嬢やセドリック・ディゴリーみたいな素晴らしい人物だけではないのがよく分かったわ。というか、ザカリアス・スミスはハッフルパフ閨閥の門閥家族だし、ハッフルパフ寮の同期ではコイツ達が中心メンバーになるのか…?うわぁ…。
愛想笑いでずっと誤魔化していると、暗いトンネルを抜けてホグワーツ城の地下にある船着き場まで来た。やれやれ、やっとこの絡みから解放されるのか。
ルビウス・ハグリッドがネビル・ロングボトムに彼が見失っていたペットのカエルを渡し(よく見つけられたな)、ここから石と岩の階段を上がると、ホグワーツ城の樫の木の扉が見えた。ハグリッドがその扉を大きく3回ノックしていた。ちなみにその間にもザカリアス・スミスやその周囲の連中が語りかけてきたからたまらない。おいおい…。あのスリザリン閨閥の連中ですらちょっと引いてるぞ。あと純血家系やマグル出身を問わず、女子からの視線がゼロ度以下になってることに気が付いた方がいいぞ。
俺の愛想笑いが苦笑いに変化していると、樫の木の扉が開き、中から厳格を絵に描いたような背の高い高齢の魔女が出てきた。おそらくミネルバ・マクゴナガル副校長だろう。変身術教授でグリフィンドール寮の寮監でもある。厳格だが非常に公正であり、教育者の鑑のような魔女だ。前世でもああいう教師はいたなぁ。ちなみに英国魔法省のOGらしい。
「マクゴナガル先生、イッチ年生達を連れて来ました」
「よろしい。ご苦労様です、ハグリッド。ここからは私が預かりましょう」
マクゴナガル先生が扉を開けて俺たちを玄関ホールに入れ、そのまま組み分け儀式をやるであろう大広間には入らず、ホールの脇にある小さな部屋に俺たちを案内した。ちなみに、玄関ホールに新入生を入れる時に俺を見て一瞬停止し、俺のホグワーツの制服に寮のカラーが付いていないのを確認すると、また案内を再開していた。表情は全く変えていなかったのは凄いな…。
そしてマクゴナガル先生がこの学校の4つの寮の説明と組み分け、学年末の寮杯や、学生生活の心構えを俺達新入生に訓示していた。まぁ世界中のどこの学校や会社でもある、新入りへの一種の様式美みたいなもんだよな。ある意味懐かしさすら感じる。ちなみに、身なりの整えの注意をした後にネビル・ロングボトムやロン・ウィーズリーをチラ見していた。聖28一族の威厳はもうボロボロ。
そして組み分け儀式の準備のためにマクゴナガル先生が大広間にいったん入室し、残された俺たちは不安のまま待っていた。ハーマイオニー・グレンジャーは呪文の予習をブツブツしているが、純血家系の新入生はチラホラ落ち着いているようだった。まぁウィーズリー家みたいに兄弟が「冗談」を弟に教え込む例もチラホラあるようだが。
しかし、本当にどうなるんだろうか、俺の組み分けは。個人的にあの堅苦しいヒエラルキー社会のスリザリン寮は論外にしても、ハッフルパフ寮も先ほどのザカリアス・スミスみたいな同期がいるようだし、分からなくなってきた。レイブンクロー寮は是非とも入寮したいが、たぶん俺には資格がないんだよな。
俺が組み分けについて悩んでいると、急に周囲がざわめき出した。何事かと顔を上げると、20人くらいのゴーストがお互いに喋りながらこの部屋に入ってきたのだ。あぁ、ハッフルパフ寮の寮付きゴーストである「太った修道士」達か。
何やら新入生に話しかけたあと、俺を見るとギョッとした様子を見せていた。あれか、あまりにも周囲から浮いている姿だからか?まぁ仕方ないけど、そこまで飛び上がらなくても…。まるで得体の知れない化け物に会ったような反応は泣いちゃう。オッサンは繊細なのだ。
マクゴナガル先生が大広間から戻ってくると、ゴースト達はそそくさと小部屋から出ていった。そしてマクゴナガル先生の案内のもと、俺たち新入生は玄関ホールに戻り、やっと大広間に入った。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
ハリー・ポッターは非常に緊張していた。自分が魔法使いというのが未だに信じられず、自分に自信が持てなかったからだ。ハグリッドには両親のことや自分のことを聞かされたが、それでも未だに実感がなかった。自分は本当に周囲の子達と同じ魔法使いなのだろうか、という疑問を未だに解消出来なかった。
何より、自分がここまで様々な人から注目されているのも奇妙な感覚だった。これまでのダーズリー家での辛い生活では体験出来なかった感覚だ。「漏れ鍋」やダイアゴン横丁、そして先ほどのホグズミード駅でも「ハリー・ポッター」の名前にみんな反応を示していた。自分は自分をあんまり知らないのに、周囲は自分を知っているなんて…。
もっとも周囲からの注目度に関しては、このホグワーツ入学過程ではどうも自分は二番手みたいだ。ホグズミード駅からこの大広間前まで、自分のおそらく同級生(?)であろうと思われる女性が注目の的だった。
腰まで届くキャラメルブロンドのロングヘアが白く健康的な肌に非常に合い、瞳の色は自分と似て非なるエメラルドグリーンだ。そして何より、とても同世代とは思えない身長と体型が暴力的なまでの魅力を周囲に放っていた。自分達が着用しているホグワーツの制服は黒色のローブで、基本的にマントのように体を覆っているので、ほとんど身体は見えない。それなのに、その同級生(?)の女性の体型がよく分かってしまうのだ。ちょっと視線に困ってしまう。
ただ、どうも何人かの同級生の子達とは知り合いらしく、無言でお互いに礼儀正しく会釈したり、手を振ったりして挨拶していたので、たぶん魔法使いの家の出身なのだろう。でもマグル出身らしいハーマイオニー・グレンジャーともお互いに目礼していたし、いったいどういう人物なのだろうか?
そうハリーが謎の新入生女子に思いをはせていると、大広間のドアが開いて、黄土色の髪の男子生徒の後をついて入場した。自分の後ろにはロン・ウィーズリーがついていた。
大広間は不思議で幻想的な光景だった。あらゆる空間に無数の蠟燭が浮いており、大広間にある4つの巨大な横テーブルを照らしていた。各テーブルには既に在校生達が着席しており、こちらを興味深く眺めていた。テーブルには黄金に輝く食器群が並んでおり、風情が出ていた。上座に該当する所には教師用の格式のありそうなテーブルがあり、教職員達も大広間に入室してきた新入生を見守っている。
マクゴナガル先生が新入生を教師用テーブルの前まで引率していると、各テーブルがざわついていた。無理もない。自分も含めて小さな新入生の中に、1人際立って目立つ容姿の女子生徒がいるのだから。
「え、他校からの転入生か?」
「あーあり得るな…あの容姿からしてボーバトン魔法アカデミーかイルヴァーモーニー魔法魔術学校からの転入生かもな」
「でもここ数十年そんな例はなかっただろ?」
「あれだろ、カステロブルーシューからの交換留学生じゃないか?毎年恒例の」
「でも交換留学生なら組み分け帽子の儀式はやらないんじゃ…?」
そこかしこで在校生達による謎の同級生(?)に対する噂が流れているのが聞こえてくるが、どうやら魔法使いの学校というのはホグワーツだけではないらしい。言われてみれば周囲の人はみんな英語を喋っているし、なんならハグリッドが「世界一の魔法使いと魔女の名門校」と言っていたが、「世界一」ということは、外国にも魔法使いの学校はあるということにもなるじゃないか。
そうこうしているうちに、教師用テーブルの前に集められると、マクゴナガル先生が丸椅子を置いた。そこには奇妙な帽子が置いてあった。そして突然帽子が歌い出した。
…なるほど、どうもこの帽子を被ることが「組み分け」の儀式らしい。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
やっと組み分けか。名字のアルファベット順だから、トップバッターはハンナ・アボット嬢だ。聖28一族のハッフルパフ閨閥のお嬢様が先陣とは景気が良い(?)な。
組み分け帽子から即座に「ハッフルパフ!」と叫ばれたハンナ・アボットの次は、スーザン・ボーンズだ。ハッフルパフ閨閥というわけではないが、純血門閥家族の中でも名門中の名門だ。叔母が後の魔法省魔法法執行部部長を務めるアメリア・ボーンズだし、叔父のエドガー・ボーンズは「不死鳥の騎士団」に所属し、家族もろとも死喰い人相手に戦死した。先の交流会でも挨拶したし、何気に手紙のやり取りも多い。お、どうやら「ハッフルパフ」のようだ。
次のテリー・ブロートは米国系名門家系の一人で、なんとイルヴァーモーニー魔法魔術学校の創設者の子孫だ。そちらの学校に入学する方が相応しいのでは…?あ、レイブンクロー寮に入った。テリーの次に組み分け帽子を被ったマンディ・ブロックルハーストもレイブンクロー寮か。
おお、次はネームドキャラで、ロン・ウィーズリーと色々とあるであろうラベンダー・ブラウン嬢だ。もちろんグリフィンドール寮に決まった。占い学を重視する流行系女子で、髪飾りが特徴的だ。ハリー・ポッターが作り上げた「ダンブルドア軍団」に参加し、ホグワーツの戦いでは…。うん、本当にこの物語は時に厳しい。
さてさて、俺の名前はランドール(Olivia Randall)だから呼ばれるのは割と後ろの方だ。…あれ?これハリー・ポッター(Harry Potter)の次じゃねぇか!誰かQから始まる名字の奴はいねぇのかよ!クィリナス・クィレル(Quirinus Quirrell)?教職員兼死喰い人じゃねぇか。なんというか、新入生で目立っている奴が連続で組み分け帽子を被るのかよ。うへぇ。
今のところ一応はハッフルパフ寮希望だが、あのハッフルパフ閨閥の門閥家族の同期達を見るに、結構遠慮したい。かといってスリザリン寮で学生生活は無理である。うーむ、困った。まぁこればっかりは本当に帽子を被ってみないと分からないよな。ハーマイオニー・グレンジャーやネビル・ロングボトムみたいにハットストール(組み分け困難者)一歩手前の人もいるみたいだし、本当に出たとこ勝負だよな。
そんなことを思っているうちに、どんどん組み分けは進んでいき、遂に我らがハリー・ポッターの番になった。大広間中が注目しているな。無理もない。あの「生き残った男の子」の組み分けなのだから。純血家系のお歴々も固唾をのんで見守っている。ポッター家自体は門閥家族よりも高名な家だし、本当に様々な可能性があるもんな。
帽子は彼をスリザリン寮へ誘おうとしているみたいだが…「グリフィンドール!」うん、ちゃんとグリフィンドール寮に決まったみたいだ。良かった良かった。グリフィンドール寮のテーブルからは割れんばかりの拍手と大歓声が聞こえる。おい、誰だよ指笛なんかした奴。器用で羨ましいぞ。
「ランドール・オリヴィア!」
お。遂に俺の出番か。主人公様の後なんで微妙にやりづらいが…ってか大広間がまたざわめきだした。「名前を聞くに、カステロブルーシューからの交換留学生じゃなくて本当に新入生なのか!?」とか「いや待て、まだ転入生という可能性もあるぞ。過去に事例は割とあるし」と聞こえてくるが、まぁ普通はそう思うよな。俺だってそう思う。
…「すんげぇ美人だ…付き合いたい…」とか「夏服が楽しみだ」は聞かなかったことにしよう。日本のマグル界で言えば小学校高学年から高校までの年齢層だし、思春期真っ盛りだもんな。オッサンだから気持ちは無茶苦茶分かる。まさかこの身に降りかかるとは思いもしなかったが。とりあえず、親父と兄貴と叔父さんにフクロウ便を出そう。
俺がアホなことを考えながらも、椅子に座り組み分け帽子を被ると、頭の中に声が聞こえてきた。これ周囲には聞かれていないのはありがたいが、傍から見ると結構奇妙な光景だよな。
『なんと!これまたとんでもない新入生がやってきたもんだ。資格は間違いなくあるが、これはこれは…』
なんかすんませんね…。実際、前世の年齢+この世界の年齢なので、今更学校生活と言われても無茶苦茶違和感あるのは事実なんだよな。
『まぁよい、私は組み分け帽子。粛々と組み分けを実行するのみ。そして君は…うむ、手段を選ばず目的に邁進する狡猾さ、苦労を苦労と思わない忍耐力、そして未来を見据えて様々な選択肢を模索する探求心、更にそれらを実行する大胆さ。どの寮にやったものか…』
とりあえずスリザリン寮は無理っすね。あの団結主義や仲間思いなのは好ましいし、平常時なら純血家系の力で就職活動や社会でのコネ作りにも最適なんだけど、第二次魔法戦争後は絶対に出身寮ってだけで多数派のマグル出身者から睨まれそうだし、何より闇の帝王閣下とも純血繋がりで有形無形の圧力が来そうなんだよな。
もちろんその前にカステロブルーシューに交換留学に行くか、日本のマホウトコロが実施すると言われている非アジア圏からの留学制度を利用して英国魔法界の影響圏外に絶対に高飛びしてやる。名前を呼んではいけない例のあの人ってゲラード・グリンデルバルドと違い、良くも悪くも英国魔法界にのみ注力しているから国外退避が安牌なんだよな。1995年までには時間もあるし。
『ほう、スリザリンは嫌なのかね?先ほどの眼鏡の少年もそうだが、スリザリンでは君は間違いなく強大な力を魔法界にて発揮し、偉大な魔女になれるが…それでも嫌かね?」
ハリー・ポッター少年もそうだけど、本人に適性があってもその課程で嫌なのが目に見えているのは少年少女には酷だと思うんだ…。まぁ俺はオッサンだけど。あとスリザリンはあのガチガチなヒエラルキー社会が7年も続くんだろ?そりゃ聖28一族や門閥家族みたいな名家には良い環境だし、まぁポッター家さんもそこは該当しそうだけど、こちとら中堅純血家系だぞ。そりゃ純血だけど、ぜってぇ使い走りAじゃん。取り巻きAクラスやその周囲を更に囲む取り巻きBクラスにすらなれないって。
『ふむ…ではスリザリンではなく、その忍耐力や探求心…更に言えば、それらを不敵に実行する胆力』
ん?
『無謀ともいえる果敢さと、それらによって引き起こされた様々な影響にも動じない不動の精神』
おい、なんか雲行きが怪しいぞ。おい。
『向こう見ずと言われても、物事にチャレンジする敢闘力』
待て待て待て、俺は石橋をバズーカでぶち壊してその上をジェット機で渡る慎重居士タイプだぞ!そりゃマグルの国際金融市場や証券に手を出すのは慎重とは言えないかもしれないが…
『ならば、君には"他とは違う"この道こそ相応しいだろう』
「おい、ちょっと…」
「グリフィンドール!」
はああああぁ!?噓だろ、おい!?なんでグリフィンドール!?勇猛果敢さや騎士道精神なんて欠片も持ち合わせていないし、なんなら陽キャタイプでもないのに!?
あぁ…終わった…俺の人生、本当に終わってしまった…。親父、お袋、兄貴、本当にごめんなさい。
この話は非常に難産でした。一応4寮それぞれのプロットは作っていたのですが、結局この寮になりました。いつか他の寮ルートも書いてみたいですね。
そして遂に、我らがハリー・ポッターの登場です。やっと原作の主人公を登場させることができ、ホッとしました。