魔女の微笑み   作:カトレアの花言葉

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なんとグリフィンドール寮に入ってしまったTS主人公


第6話 歓迎式典と学生生活の始まり

 どうしてこうなった…あの組み分け野郎、もしかしたら直前のハリー・ポッターに対する解釈を俺にも適用しやがったのか?ってかハーマイオニー・グレンジャーといい、ネビル・ロングボトムといい、ハリー・ポッターといい、なんなら本物のハットストール(組み分け困難者)であるミネルバ・マクゴナガルやピーター・ペティグリューといい、入れる寮に迷ったらとりあえずグリフィンドール寮に入れてない?「とりあえず生!」じゃねぇんだからよ!

 

 そりゃスリザリン寮じゃないのは嬉しいが、なんでお前よりにもよってグリフィンドール寮なんだよ。グリフィンドール系のコネとか一切ないぞ。せいぜい直接挨拶したハーマイオニー・グレンジャーとネビル・ロングボトムくらいしか知らねぇよ。そりゃお2人とも未来の魔法省魔法大臣閣下とホグワーツ魔法魔術学校薬草学教授閣下だからお近づきにはなりたいけどさ、あと数年はみんな割とお辛いのよ!ハーマイオニーなんか防衛の為に、辛いながらも自分の両親に忘却呪文をかけるし…。

 

 我がランドール家は両親を含めた4割はハッフルパフ寮、兄貴を含めた3割はレイブンクロー寮、そして2割はスリザリン寮出身者が占める家であって、グリフィンドール寮出身は本当に約1割くらいしかいない。そりゃ皆無じゃないが、どう見ても気風と違うもんな…。というか両親と兄貴が俺の組み分けを聞いたら仰天しそう。

 

 俺は茫然自失としながらも、組み分け帽子を椅子に置いた。そしてノロノロとグリフィンドールの席に向かった。チラリと他の寮の長テーブルを見ると、ハッフルパフ寮のテーブルはハッフルパフ閨閥を中心に非常に驚いており、スリザリン寮のテーブルは…かなりの数の生徒が衝撃を受けた顔をしていた。おそらく純血家系のコミュニティから俺の噂が流れていたのだろう。確かに俺の家系的にハッフルパフ寮か入学前交流会での対応からスリザリン寮だと思ってたら、まさかまさかの怨敵グリフィンドール寮だもんな…そりゃショックだわ。

 

 俺は慌ててハッフルパフとスリザリンのテーブルにそれぞれ「お辞儀」をした。あの入学前交流会で散々ヨイショや太鼓持ちをしたんだ。なるべく他の寮との繋ぎくらいは維持したい。グリフィンドールの裏切り者とは呼ばれないレベルでだけど。ちなみにレイブンクロー寮のテーブルは割と普通の反応だった。強いて言えば兄貴と知り合いの連中は凄く悔しそうにしていたが、良くも悪くも個人主義的な寮らしく、ハッフルパフ寮やスリザリン寮ほどではなかった。

 

 そしてグリフィンドールの長テーブルは大歓声の嵐だった。まぁ何人かは俺をボーバトン魔法アカデミーかイルヴァーモーニー魔法魔術学校からの転入生か、カステロブルーシューからの交換留学生か聞きたそうな顔はしていたが。「生き残った男の子」に続けて「正体不明な新入生」を獲得したからか、おそらくウィーズリーの双子と思われる赤毛の2人が踊り狂い、他の男子生徒を中心としたグリフィンドールの在校生達もやんややんやの歓喜の雄叫びを上げていた。

 

 …正直、若い10代のテンションについていけないというか、若干怖いんだが。中身はオッサンなので、戦々恐々としている。グリフィンドール寮、やっぱ他の3寮より陽キャ多くない?特に男子生徒が。ハリー・ポッターの親世代もそうだけど、こう熱気が凄まじい。元からの陽キャが集まるというよりも、朱に交われば赤くなるを体現した感じだ。

 

 さて、グリフィンドールのテーブルへ歩きながらも、なるべくハリー・ポッター達とは離れたところに自然に座ろうとしたが、どうも新入生への配慮からなのか、新入生専用のゾーンみたいなスペースしか空いてなかった。まぁ新入生歓迎式典前に在校生達は既に着席しているので、当たり前といえば当たり前か。

 

 なんとかハリー・ポッターとはほんの少しだけ離れた新入生用スペースに座った。隣はネビル・ロングボトムだった。良かった、まだ知り合いがいて。ちなみにその席に着くまでにおよそ20回くらいは上級生から歓迎の声をかけられた。そこまで嬉しいのか?

 

「お、おめでとう、ランドールさん。やっぱりグリフィンドール寮だと思ってたよ」

 

「あ、ありがとうございます、ロングボトム君。でも帽子は私をスリザリン寮か否かで迷っていたんですよ?ロングボトムさん以上に時間をかけていたので、ハットストール一歩手前でしたよ?」

 

 まだ組み分けの儀式が終わっていないからか、ヒソヒソ声でネビル・ロングボトムが挨拶してきたので、俺もそれに合わせてヒソヒソ声でネビルに返した。しかし、俺がグリフィンドール寮になると思ってたのか…。グリフィンドール寮要素なんて欠片もなさそうな気がするけど。

 

「えぇ!?スリザリン寮だって!?そんな風には見えないけどなぁ」

 

 おやまぁ、ネビルからすれば意外なのか?むしろ内面だと無茶苦茶スリザリン寮だと思うぞ。

 

「ランドールさん、その…見た目が凄く…華やかだし、活発そうだから…少なくともハッフルパフ寮ではないと思ってた。あとスリザリン寮もレイブンクロー寮も、どちらかというと物静かそうなイメージがあったから…」

 

 あー…まぁ確かに見た目だけなら派手目な方の綺麗さだもんな、俺の容姿。「清楚」とか「深窓の令嬢」とはかなり違う方の綺麗さで、どちらかというと「華麗」とか「妖艶」というか。こう、暖色系統の方の綺麗さであって、寒色系統の綺麗さではないわな。

 

 俺が内心少し納得(?)してると、ブレーズ・ザビニがスリザリン寮に決まり、組み分けの儀式は無事終わったようだ。ちなみに彼の直前に組み分けをしたロン・ウィーズリーはすぐさま「グリフィンドール!」と叫ばれた。でしょうね。

 

「うむうむ、おめでとう新入生の諸君!歓迎の儀を行う前にいくつか言わせていただきたい。そーれ、わっしょい、こらしょい、どっこらしょい!以上じゃ!」

 

 出た。「20世紀で最も偉大な魔法使い」にして国際魔法使い連盟議長も兼任するアルバス・ダンブルドア校長だ。とりあえず目を合わさず、影を潜めておこう。いきなり初手で閉心術を行使すると逆に怪しまれそうだし。

 

 そんなことよりも、まずは飯だ!原作でもホグワーツの料理は美味しそうだったが、いざ目の前にすると本当によだれが出そうになる。10代の育ち盛りな学生相手だからか、ローストビーフやローストチキン、ソーセージ、ステーキ、ラムチョップといった様々な肉料理やフレンチフライやグリルポテトといったポテト系統・揚げ物系統など温かそうな褐色系の料理が所狭しと並んでいる。もちろんサラダもたくさんある。

 

 …これさ、高齢者にはちょっとキツイじゃないの?マジで10代用の元気モリモリ印の料理じゃん。まぁ教職員用のテーブルはもうちょっと格式高そうな料理が並んでいるんだろうけど。マクゴナガル先生なんか精進料理一歩手前の小さなサラダしか食ってなくね?

 

 ちなみに、俺の身体はいくら食っても太らない。胸以外は。食った食い物が全て胸に行ってるんじゃないか?最近またでかくなって本当に邪魔なんだよな…。あと地味に太ももとケツも胸ほどじゃないが育ってきてるし…。

 

 そんなアホなことを考えながらローストビーフを食ってると、グリフィンドール寮の新入生同士であちこち自己紹介や話が花開いていた。うんうん、若い子が飯食って騒いでるだけで、俺みたいなオッサンは嬉しいよ。

 

「ランドールさん、ランドールさんって本当に僕達と同い年なんですか?」

 

 そんなオッサン特有の思考に没頭していたら、すんげぇ質問がぶっ飛んできたな。これ質問してきたのはシェーマス・フィネガンか。さっきまで向こう側で家族の話題で盛り上がっていた(シェーマスの母さんはアイルランド系の魔女で、お父さんはマグルらしい)のに、こちらに飛んでくるとは。

 

「はい、フィネガン君。こんな大きな身体ですけど、フィネガン君と同い年なんですよ?よろしくお願いいたしますね」

 

 よし、無難に返せたな…と思っていたら、その更に隣のロン・ウィーズリーが身を乗り出して質問してきやがった。くそ、絶対に関わらないわけにはいかんか…寮内の体面もあるし、何よりあと3年くらいはウィーズリー家のグリフィンドール寮内での天下が続くし。ここは穏便に…。

 

「ねぇ、ランドールさんってあのジェームズの妹なの?前にジェームズがウチに遊びに来て、チャーリーと話してたのが聞こえて、その時に『妹のオリヴィア』の話題が出たんだけど…?」

 

「えぇその通りですよ。ということはウィーズリー君はチャーリー兄様の弟さんなんですね!お兄様がウィーズリー家の皆様のことをいつもお褒めになられてました。チャーリー兄様もジェームズ兄様を訪ねてきた時に、私とも遊んでくれましたので、ロン君も仲良くしてくださいね?」

 

 よし、こちらも無難に話せたな!実際、兄貴がウチや「隠れ穴」でチャーリーとアホ騒ぎしてたのは事実だし。親父は優しく見守ってたけど、お袋はまるで息子が不良と交わったみたいなニュアンスで愚痴ってたな…。たぶんパーシー・ウィーズリーなら喜んでたと思うけど。

 

 つうか、ウィーズリー家の「隠れ穴」で俺の話題も出してたのかよ兄貴…。勘弁してくんねぇかな…。ちなみに、チャーリーやロンの親父さんであるアーサー・ウィーズリーやお袋さんであるモリー・ウィーズリーはジェームズの兄貴を結構気に入ってたみたい。パーシーとチャーリーを足して2で割ったような感じだからか?

 

 ちなみに、ハリー・ポッターはこちらをチラホラ見てきたが、ロン・ウィーズリー以上に距離が離れていたので話せなかった。

 

 新入生同士でのほほんとした(?)会話をずっとしていたら、上級生にも声をかけられだした。どうもグリフィンドール寮内にも純血家系の名門や門閥家族はいるみたいで、俺らの一学年上のコーマック・マクラーゲンなんかはあの入学前交流会に参加していたらしい。

 

 というか、なんかこいつも会話の距離感がハッフルパフ寮に入ったザカリアス・スミス並みに近いな…。まぁでもイケメンで体育会系の典型的なグリフィンドール生徒ではあるし、グリフィンドール寮の門閥家族ならこんな自信家でも仕方ない気はする。つうか原作だと確かハーマイオニー・グレンジャー狙いじゃなかったっけ?趣味は素晴らしいやん。死喰い人相手に勇猛果敢に飛び掛かったし、そこまで悪い奴でもなさそう。

 

 ところで、俺が会話するたびに男子の上級生達が顔を真っ赤にしたり、ボーッとするのはなんでだ?まぁ純血家系の門閥家族の坊ちゃん相手にヨイショするのに慣れていたからか、あるいは前世でオッサンだったから同じ男同士で会話や身体の距離感を近くしたからか?まぁそのうち慣れるやろ、ガハハ!

 

 大量の肉とポテトと野菜サラダを身体に詰め込み、更にシチューやナゲットと食べ終わったらデザートが出てきた。アップルパイや糖蜜パイ、エクレアにチョコドーナツなどなど実に様々なデザートが綺麗な盛り付けで所狭しと並んでいる。4寮全ての女子生徒が嬉しそうに歓声を上げてた。この辺は洋の東西やマグルの女子や魔女を問わず、万国共通だな。

 

 エクレアを食いながらチラリと教職員席を眺めていると…、お!後頭部に名前を呼んではいけない例のあの人を貼り付けているクィリナス・クィレル先生とスリザリン寮寮監にして魔法薬学教授のセブルス・スネイプ先生が会話をしている!ぜってぇ雰囲気悪そうじゃん、アレ。

 

 そしてデザートの時間も終わり、校長先生の話が始まった。まぁ内容は原作通り「禁じられた森」への接近禁止喚起と、管理人のフィルチからの伝達、寮対抗クィディッチのお話、そして「四階の右側の廊下」に関する注意喚起。ちなみに、「禁じられた森」への接近禁止喚起の際にウィーズリーの双子をガン見してたが、双子は双子で口笛吹いてた。グリフィンドールの寮監で副校長のマクゴナガル先生はそれを見て手を額にあて深い溜息をついていた。すげぇな、双子。マクゴナガルにあんな溜息をつかせるとは…。

 

 そして…うわでた、あの校歌じゃん。これ俺も歌わないとダメなの?すんげぇ奇異な歌詞なんだが…。いやまぁそこまで嫌いじゃないけどさ。

 

「素晴らしい!やはり音楽は偉大なる"魔法"じゃ!では諸君、就寝!駆け足!良き夜を!」

 

 そこは同感。やはり古今東西、音楽は偉大な『魔法』だよな。というか、ダンブルドアの良いところはこういう式典では無駄な話をせず、端的に言ってくれるとこだよな。「校長先生のお話は長い」という固定観念を打ち払ってくれる。

 

 さて、もう夜も深まり、飯もたらふく食ったのでみんな眠くなってるな。グリフィンドール塔に向かって新入生で固まって歩き出したが…そういえば原作で出てきた「ほとんど首無しニック」は来なかったな。6年連続で寮杯をスリザリン寮に取られているのを嘆いていたはずだが…なんでだろ?まぁええか。グリフィンドールの長机にはいたし、俺のいないところで新入生に説明したんやろ。

 

 そんなことより、この廊下でもちょいちょい上級生男子が話しかけてくるが、それに返事をする度に飛び上がったり、硬直するのは勘弁してほしい。純粋に通行の妨げになるからさぁ。あと明らかにグリフィンドールじゃない生徒もいないか、これ?まぁグリフィンドール生がそいつらを追い払ってくれるけど。ちなみに、俺は列の後ろの方で、遥か前方で監督生のパーシーがポルターガイストのピーブズを追い払う声だけ聞こえた。

 

 そして「太ったレディ」の肖像画(合言葉を覚えるだけとか楽すぎる)をくぐり抜けて、俺は遂にグリフィンドール寮の談話室に入った。今は夜だからガラス窓の向こうは真っ暗だが、部屋は魔法で明るい。また今はまだ9月1日なので暖炉に火はついていないが、10月中旬くらいから火はつくらしい。スコットランドの秋は寒いからなぁ。冬は言うまでもないけど。

 

 んで監督生達から談話室や男女別々のベッドルームについての説明を受けた。この談話室から更に上部にあり、その間にも大きな踊り場がある豪華な仕様だった。というか、グリフィンドール寮の談話室だから当たり前なんだけど、全体的に真紅と黄金の華麗で明るい色調だ。これ、確かに俺の見た目だけなら雰囲気が合うかもしないな…。

 

 そして俺の気になるルームメイトは…予想通りハーマイオニー・グレンジャーとパーバティ・パチル、ラベンダー・ブラウンだった。ってか俺も含めた4人でこの広い就寝ルーム使うの?1人一つずつ濃い赤色の天蓋付きベッドがあるんだが…すっげぇ空間的に贅沢な気がする。なんなら一つベッドが余っているし。

 

 お互い眠いながらも軽い挨拶をかわし、また明日ね、と就寝した。オッサン、遂に11歳の女の子3人と同じ部屋で眠ってしまう件。まぁそもそもお互いのベッドがそこそこ離れている上に、睡魔が凄まじいから何とも思わないけど。

 

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 ホグワーツの制服は黒色の普段用ローブ、更に防寒用の黒色マント(銀バッジ付き)がある。そして普段用や冬用と異なり、あまり使用されないが夏服もある。夏服といっても、マグルの学生が着る白いシャツにそれぞれの寮のネクタイ、更に男子なら黒いズボン、女子なら黒い膝までのスカートである。早い話、マグルの制服とあまり変わらない。せいぜいそれにローブを着込むのが違いだ。そのローブも暑い時は特に着用しなくてもいい。わざと気崩す洒落者もたくさんいる。それこそマグルの学生が腰に冬服やパーカーを巻き付けるように。

 

 2020年代の日本と違い、1990年代のスコットランドは基本的に涼しく、それは夏場も該当する。更にホグワーツは9月から翌年の6月末までが修学期間であり、7月と8月という夏場は夏休み期間である。なので、夏服の出番はだいたい6月と9月くらいで、せいぜい気の早い者が5月後半に着用しだすくらいだ。つまり、夏服の出番は本当に数少ないということだ。繰り返すが、スコットランドは涼しい風土故に。

 

 パーバティ・パチルは頭を痛めていた。それは自身のルームメイトが非常に目立つからだ。ホグズミード駅から既に無茶苦茶目立っていた「同級生」が、まさか同じ寮で同じルームメイトになるとは思いもしなかった。凄まじい美貌と、暴力的なまでの体躯から放つ「女」の魅力は、同性でもクラクラする威力で、正直会話をする前まではビビッていた。また、「ランドール」という名前から中堅純血家系の家系と分かり、その方面でも緊張した。しかし、いざ話をしてみるとそれは良い意味で予想を裏切られた。

 

 その「同級生」は基本的に物腰柔らかで、腰が低く、穏やかな喋り方をする。華麗で女王様チックな容姿とは正反対の性格で、そこは嬉しかった。また低いアルトボイスが安心感を抱かせ、話す雰囲気もまるで男友達と会話をしている気分になり、新鮮だった。そこまでは良かった。

 

 問題は9月初旬の残暑厳しい日に、夏服の出番が来た時だ。数少ない夏服の出番に学年や寮を問わず、ホグワーツ中の女子生徒が浮足立っていた。当然、私とラベンダーもだ。普段はカチコチの「ミス・勉強」であるハーマイオニー・グレンジャーもこころなしかウキウキしてそうな雰囲気を醸し出していた。

 

 そこで、ベッドの天蓋を閉めて簡易の着換えルームをそれぞれ作り、初めて夏服を着用した。私が天蓋を開けると、ラベンダーも同じタイミングで開け、見せ合いっこをした。少し遅れてハーマイオニー・グレンジャーも開けて出てきた。結構似合っていた。本人は少し澄まし顔だったが、高揚感は隠し通せていなかった。そして、我らが華麗な友人は…最後に出てきた。出てきてしまった。その凄まじい姿と共に。

 

 「似合う」か「似合わない」かで言えば、ある意味では間違いなく似合っていた。もっとも11歳の年齢相応な可憐さや美しさではなく、倒錯した妖艶な大人の美しさという意味でだ。あまりにも胸が大きすぎて前の一番上と二番目のボタンが止めきれないでおり、首元が大きく出ていた。ご両親から「魔除け」としてフクロウ便で送られたというネックレスが良くも悪くも光り輝いていた。無駄に様になっていた。ちなみにまだ成長途上だとか。いやそりゃまぁ11歳だから当たり前だが、ふざけるなよ。

 

 キャラメルブロンドのロングヘアが、白シャツに良く似合い、更にグリフィンドールの赤と黄金の紋章が良いポイントになっているのは認めよう。白く明るい健康的な肌が、活発そうな雰囲気をより強調していた。また華やかで妖艶な風貌と相まって、間違いなく魅力的ではある。妖しく危険なレベルで。

 

 友人のラベンダーはキャーキャーはしゃいでオリヴィアを褒めちぎっていたが、私とハーマイオニー・グレンジャーは思わず顔を見合わせて、お互い真っ赤な顔を横に振った。こんなもん、ホグワーツの男どもに見せられるかチクショー。しかもよく見ればスカートもお尻や太ももの関係からか、少し短くなっていたし。普段の魅力も暴力的なレベルだったが、これはもうそういう次元を超えた「暴」である。

 

 ハーマイオニー・グレンジャー曰く、「傾国」ならぬ「傾校」の美女らしいが、言い得て妙だと思った。性格は友人としても素晴らしいのに、こんな見た目じゃ上級生の女子生徒に目をつけられてしまう。グリフィンドール寮はまだ良いが、これが怨敵スリザリン寮の上級生に見られでもしたら…考えただけで寒気がする。まだ9月初旬なのに。

 

 結局、その日はなんとかオリヴィアを説得して普段用のローブを着させて穏便に済ませたが、これはそのうちホグワーツに嵐を呼び込むことになると、パーバティ・パチルは危惧した。そして、まぁその危惧は当たるのだが、それはまた違う話。




主人公、グリフィンドール寮に入ってしまった衝撃で今まで無意識のうちにセーブしていた自制心とかがちょっとだけ崩れてきたみたいですね。まだ間に合います。
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