数の子って言うな!   作:うた野

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第19回

 新暦0067年

 

 

「121、122、123、124、125、126……やはり何度数えても1機足りない。ふむ……?」

 

 

 とりあえず娘たちに訊いてみるとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 聞き込み調査一人目 No.9 ノーヴェ。

 

 

「知らない。チンク姉からドクターの研究物には触るなって言われてるし、興味もないから」

 

「そ、そうかい? ちょっとぐらい気になったりは──」

 

「しない」

 

 

 だそうだ。

 

 

 

 

 聞き込み調査二人目 No.6 セイン。

 

 

「知らないよ。ドクター、もしかしてあたしを疑ってたり?」

 

「いやいや、たまたまセインを見かけたから訊いただけだよ。セインだけじゃない、ナンバーズの誰も疑ってなんかないさ」

 

「ならいいけど──こういう時はウー姉に訊くのが一番じゃない?」

 

「それもそうだね……ああ、そうするよ。ありがとう、セイン」

 

 

 

 

 聞き込み調査三人目 No.1ウーノ。

 

 

「ああ、それでしたら一機、クアットロに預けてデータの収集させました──結果として破壊されてしまいましたが、貴重なデータが取れたかと……申し訳ありません、ドクターに伝えるべきだったのでしょうが、お休み中だった為、私の判断で指示しました」

 

「ああいや、構わないよ。ウーノの判断なら間違いはない」

 

 

 ……さらば名もなきゆりかごのロボットよ、君の犠牲は無駄にはしない。

 まだ思い入れの少ないものだったからよしとしよう。これが娘たちだったら……と考えるとぞっとする。

 

 

「それで、何のデータだい?」

 

 

 家事技能のデータかな? 

 それとも耐水性? ああ、セインなんかはよく椅子代わりにして座ってるから耐久性のデータかもしれない。だとしたら実にありがたい。

 

 

「もちろん戦闘データですが……? AMFについても良質なデータが大量に取れたかと」

 

「……うん?」

 

 

 戦闘データ? アレの? 

 

 

「やはり対象が彼女──高町なのはだったというのも大きいです。クアットロはあまり評価していないようですが、もしも彼女が現場に復帰することがあれば、我々の障害になることは間違いないかと」

 

 

 ……高町なのは? あの時の少女? 

 

 

「……」

 

「やはり劇的にドクターの勝利を演出するには、彼女やフェイト・テスタロッサの存在が不可欠。これで種は蒔けました。後は花開くのを待つばかりです」

 

「……ああ、うん。そうかい」

 

 

 そう、これはウーノとクアットロなりの親孝行なんだ。

 他人様に迷惑をかけたことはいただけないが、これは娘たちの愛情なんだ……とりあえず彼女の治療費としてお金を送ろう。

 そして話す機会があれば親として私が謝ろう。勿論、ウーノとクアットロにも謝らせる。

 

 

 

 

 

 ◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 ミッドチルダにある病院の一室。

 ベッドに横たわる少女と、それを見つめる金色の少女。

 

 

「なのは……」

 

 

 高町なのは。

 若きエース──否、若すぎるエースは翼をもがれ、地に墜ちた。

 

 

「なのは……早く起きなきゃ、みんな待ってるんだよ?」

 

「……」

 

 

 高町なのはは目覚めない。

 薬が効いているだけ、ではない。

 もしかしたらもう二度と目覚めないかもしれない、そんな不安さえ抱いてしまう彼女の寝顔。

 

 

「ほら、みんな心配してお見舞いに来てくれたんだよ……? 他にも色んな人がお見舞いに、って色んな物を送ってくれたんだよ?」

 

「……」

 

 

 金色の少女は部屋の隅に積み重ねられた見舞い品の山に目をやる。

 花や果物、ケーキなど、多種多様な見舞い品が大量に、だがそのどれもが手をつけられることなく放置されていた。

 

 

「だから早く、起きてね……?」

 

 

 金色の少女が高町なのはの手を握り、涙を流す。

 

 

 ……誰にも手をつけられることなく放置された見舞い品の山の一番下に分厚い封筒が眠っている。

 

 中身は治療費どころか老後も安心な額のお金と、手紙が一通。

 内容はただ一文、申し訳ないとだけ。

 

 差出人は当然────ジェイル・スカリエッティ。

 

 高町なのはが快復してから少し後、この手紙に気づいた少女たちの勘違いが深まるのはお約束だろう。

 

 

「なのは……っ」

 

 

 

 

 

 ◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 ラボのとある一室。

 椅子も机も何もないその部屋には人影が二つ。

 

 

 一人はNo.2 ドゥーエ。

 

 

「ドゥーエ姉様、なんで私がこんな目に……?」

 

 

 もう一人は腹黒のNo.4 クアットロ。

 

 

「ふふふ、いいからとりあえず今日は1日正座してなさい?」

 

「は、はぁ……」

 

 

 乗馬用の物に似た鞭を持った笑顔のドゥーエの物言わぬ迫力に圧され、クアットロは曖昧に頷く。

 

 

(ドゥーエ姉様、やっぱり高町なのはを生かしたことを怒ってらっしゃるのかしら……?)

 

(いつか気づいてくれればいいわ。でも、お仕置きはしないとね)

 

 

 姉の想いはまだ届かず、クアットロはどこか納得のいかない表情で正座を続けた。

 

 

「──ドゥーエは居る、か、い……?」

 

 

 と、そこにタイミング悪く入って来たのは諸悪の根源とも言えるジェイル・スカリエッティ。

 

 

 状況解説。

 正座するクアットロ&それを見下ろすドゥーエ、鞭装備=爛れた姉妹の関係(?)

 

 

「……あー、あー、あー、そうだ、チンクに用があったんだった。はっはっは、最近は物忘れが激しくて困る。これでは今日起きたことも忘れてしまいそうだ」

 

 

 遠い目をしてそんなことをスカリエッティは呟き、華麗に回れ右をして去って行った。

 

 

「……」←クアットロ

 

「……」←ドゥーエ

 

「…………」←クアットロ

 

「…………うぅっ、ドクターに見られたっ」←ドゥーエ

 

「!?」←クアットロ

 

 

 

 

 そんな、とある日の情景。

 

 

 

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