お気に入り100件突破していたのが嬉しい作者です。
「おー、明るい!」
「あなただけ、ですよ。これを明るいと言うのは...」
「いやぁ、どういう訳か外に出たのがかなり遅い時間になっちゃってるけど...良かったね!」
「分かりました。ごめんなさい。」
「なんで謝るの...?」
ただ病院を目の前にしたわんちゃんみたいに、踏ん張って外出拒否していたのをからかっただけなのに...
「分かってるならやめてくださいよ...」
「あははっ。」
街灯がてらてらと光を放つ街道。
不自然な緑色の街路樹が、左右の店舗から光を当てられて瑞々しさを持っている。
まだまばらに点在する人を避けて、二人で歩く。私はウイさんの斜め後ろを着いて歩いてるだけだけど。
「...かしい...」
「どうしました?」
「なんか、この感じ...懐かしい。」
「...そうですか。もしかしたら、ワカ...お姉さんとこうして出かけたことがあるのかもしれませんね。」
「生憎と記憶がはっきりしてるのが九歳、十歳くらいからだから...覚えてないだけかもしれないけど。」
話が止まって、視線を前に向ける。
確か、今はここら辺でもそこそこ有名なカフェに向かってる...んだっけ?
「夜ご飯なのにカフェ〜?」って言っちゃったけど、どうもフードがかなりの量を誇ってるみたい。
なんでも、メニュー表の写真と実物のサイズを比べると、実物の方が遥かに大きい『逆写真詐欺』だとかなんだとか。
「...あ、見えてきましたよ。」
「お〜...なんか、雰囲気良さげだね。」
「はい。良いのは外装だけじゃありませんよ。...私ここに来たことありませんが。」
おそらく、ネットなんかの情報でドヤ顔をするウイさん。
「くすっ、もう〜なにそ...!?」
「ドリンクやフード以外にも、有名なデザートがありまして...ですが、それも例にたがわず巨大なんですよね。」
「...」
「でも、少し気になるんです。...良ければ、一つ頼んで半分にしませんか?」
「...」
「あなたは...何か気になるものありますか?というか、サイトを覗いて見ましたかね...?」
「...」
「...タマヨちゃん?」
なんの返事も帰ってこないのを、不審に思って振り返るウイさんだけど、返事は返ってこないよ。
「た、タマヨちゃん...!?」
そこには、私の妲己が不自然な形で落ちているだけで、私はいないから。
「んー!!んぅっ!!?」
見えない。喋れない。動けない。暗い。怖い。
お腹の方に回されているのは...手?
誰かが、私を脇に抱えて運んでいる...?
なんで?どうして?
「ん!んぐぅっ!!」
「おい!暴れんなっ!」
「んぎっ...」
おそらく私を抱えているであろう人物に、頭を殴られる。鉄の匂いを放つ、質量を持った物で。
頭の中でガンガンと音が響いて、体から力が抜ける。
気持ちの悪い揺れに身を任せるしか無くなった。
さっきまで...ウイさんと一緒にいたのに...
手を掴まれて、路地裏に引きずり込まれて...やだ。怖い。どうして私ばっかり...
突然、体が浮遊感に襲われる。
「がひゅっ」
べちゃりと、落ちたアイスクリームみたいに地面に倒れて肺の中にある空気が押し出される。
「これでいいんだよな?」
「ばっちり。んじゃ後は送金しとくから。」
「おつかれ〜」
頼んでいたドーナツが届いたのかという程度の、穏やかな声音で私を運んでいた人物に話しかけるのが...二人。
足早に去っていく音と、乱暴に髪を掴んで引き上げられる痛み。
ミチミチと肉がちぎられるような音が脳に響く。
「あは、軽っ。」
「もー、持ち方酷すぎ〜」
雑談で起こるような笑い声。それから間もなくして視界が開ける。
薄暗く、ジメジメとした路地裏。そこの行き止まりになっているところ。そんな中で私を持ち上げていたのは...
「また会ったね?マジメちゃん。」
日中、注意をした二人だった。
「あなた、たちが...やったの...?」
「そだよー♪」
「なん、で...」
「え〜?そんなもん...ねぇ〜?」
「そうそう〜」
「「ムカつくから。」」
悪びれもせずに、自信満々に言う二人。
「わけ...わかんない...そんなことして、良いはずが...」
「あ、そういうのいいから。」
ドスッ
「おげぁっ...!」
一瞬面倒くさそうな顔をして、私を掴んでいた一人の拳が私の薄い胸に突き刺さる。
「ひゅーっ、おひゅーっ...」
気道を押し潰されて、苦しくて、息が出来ない。
「ちょっとちょっと、過呼吸になってるじゃん。かわいそー」
「でもさー、ムカつくくね?」
痛い、苦しい、痛い、苦しい...
「こんな、そこら辺のヤンキーにさらわれて、ワタ全部抜かれたサンドバッグみたいなガキに、小うるさく説教されてたんだよ?」
「あ〜、そりゃ確かにムカつく...ねぇ!!」
めぎょ
傍で見ていただけのもう一人が私の頬を殴り抜いた。
ぶちぶちと頭髪から音が鳴って、地面に叩きつけられる。
「うっわ痛そ〜てか顔はやめなよ、隠せないじゃん。」
「このキモイ目の方が気になるから大丈夫っしょ。」
「確かに!」
何が確かになんだろう。
地面に突っ伏し、悶えていると腹に蹴りを入れられて、跳ねる。
回転する世界。
一回、二回...それくらいで、建物から剥き出しになっているパイプに頭を打ち付けることでようやく止まった。
顔が濡れてきた。
雨が降ってきたものだと思い、震える手で顔を拭う。
暖かい、赤いものがべっとりと私の手に張り付いた。
「うわ、血ぃ出てんじゃん。」
「痛そ〜...」
心配するような口調とは裏腹に、ボールを蹴るように私の体を蹴り続ける二人。
どこか、お腹を蹴られた時にぐぢゅん、みたいな胃が潰される音がした。
「うぐっ...おげぇっ...!」
「うわ!吐いた!」
「キッモ。」
喉が焼けて、すえた臭いを放つ黄色い液体が少し飛び出る。
体中に走る痛みは消えたが、代わりとして額に冷たいものを押し付けられる。
「...ひっ...!」
「ぷっ...あははは!『ひっ!』って言った!」
「何今の声...ふふふふっ...!」
銃口。
無機質で、真っ暗な銃口。
「...ふわー...なんか飽きた。」
「早。草生える。」
突然、そんな会話がして体から力が抜ける。
やっと終わる。そう思ったし、そう思っていた。
私に向き直った、二つの銃口を見るまで。
「じゃーね♪」
引き金が引かれるその瞬間。
「貴方達の苦痛をもって償ってもらいましょう。」
片方の上に何かが落ちてきた。
飛び散るコンクリートの破片、砂煙。二回の発砲音と、何かが壁に激突する音。
砂煙が晴れ、目の前には小さなクレーターとその中で白目を向いている一人。
向こう...行き止まりの方で音が聞こえる。
「かはっ...」
「貴方は...どうしましょう...磔?焼印?それとも内臓をいくつか壊させていただきましょうか?」
「なん、で、お前が...!」
「...でも、どれもあの子は望まないでしょうね。」
銃声にかき消されたが、その小さな呟きは確かに聞こえた。
襲撃者によって静かになった路地裏に、かつ...かつ...そんな音だけが響く。
一瞬だけ私の隣で立ち止まると、何か考えていたのかもしれないが結局そのまま歩き出してしまった。
「...ぁっ、て...」
頭から血が大量に流れているし、体中痛くて息もしにくい。でも
必死に、縋り付くように這い寄る。
「...」
少しだけ、体がこっちに向いた。
「まっ...て...」
外れかけの肩を無理やり動かして、足首に触れる。
それを見てから、再び動きを止める。
そしてどこかに連絡をしようとしていたらしいその人は、ケータイをしまってしゃがみ込んだ。
相手に威圧感を与えるためのようなデザインの狐面と目が合う。
「...」
「...」
互いに見つめあって、言いようもない緊張に襲われる。
瞬きも忘れていたみたいで、ヒリヒリとした目の痛みで思い出して瞬きする。
疲れか、安堵か。
いずれにしても、一瞬だけ瞬きしたつもりだった私は意識を手放した。
ウイ
「どこにいますか」
「タマヨちゃん」
ウイ
「返事をしてください」
ウイ
「イタズラですか?」
「面白くないですよ」
ウイ
「見ているんですよね?」
「なんとか言ってください」
「お願いですから」
ウイ
「...そこに、いるんですね?」
「わかりました」
あとがき
書いていて思ったんですけど、事ある毎に攻撃されるのってもはや体質的な問題に感じてきました。(他人事)
某よわよわ先生みたいな...
しっかり銃を携帯しているキヴォトス人ですけど、なよなよビクビクしてるから相手の加虐欲くすぐりまくってそう。(小並感)
よわよわ先生の場合は確実にそういう類のフェロモンか何かが出てるでしょうけど...
この作品に足りないものとは...
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このままでいいんじゃね知らんけど
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銃撃戦が少ねぇ!
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タマ虐
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ガチ百合回
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R-じゅうはt(銃声)