どこまで行っても砂。
砂、砂、たまに埋まった建物。
「あ゙〜...あ゙づぅ゙ぃぃ〜...」
「ハッハッハ!随分とくたびれているでは無いか!まだ歩き始めて数時間しか経ってないぞ〜?」
照り付ける日差しを恨みがましく見つめる私と、有り余った元気を発散させているカスミさん。
「元気...だね...」
「暑いのは慣れているからな♪」
いやそれでもわざわざ隣でそんなにはしゃがなくても良くない?はしゃぎすぎてむしろこの暑さは、あなたのせいかとすら思うんだけど??
「私はちがぁぁう...アッ!」
どさっ
砂に足を取られて顔面から落ちてしまった。痛いよりも恥ずかしいの方が強い。
口に砂が入ったみたいで、なんかジャリジャリするぅ...
「...おや?大丈夫かね?...おーい、返事したまえよ〜」
「おあー...み、みず、とってくだしゃい...ペットボトルあるはずだから...」
「......」
「え?何その間。」
「ふうん?水なんかよりも、もっといい物があるぞ!」
「なにそれ?」
「まずは起きたまえよっ!」
「えー?...はあ、よーいしょ。それで?一体何を...?」
顔を上げると、目に映るのはなんか緑色の...えっと、なに?なにこれ?
「おや...お気に召さなかったかな?じゃあこっちはどうかな。」
渋い顔をして困惑している私に気が付いたのか、別のものを取り出した。
こっちは如何にも清涼飲料水といった感じのドリンク。
というかスポーツドリンクでは...?
「おっ、こっちの方が良さそうだ。はいイッキ!イッキ!」
どうして砂漠のど真ん中でこんな飲み会みたいなことをされているのだろう...?
まあいいやぐびー
「...」
「どうかな?」
「......!?おえぇっ」
見た目の爽やかさからは微塵も想像出来ないほどの粘っこい苦味。
広大なアビドス砂漠に還しても未だに残る気持ち悪さ。正直喉仏の辺りまで酸っぱいものが込み上げてきている。
「あ〜勿体ない。」
「いやっ...なにこれ...!?」
「特製ドリンクだよ。疲労回復・体力増強・精力回復・老化防止・学力向上に効果がある。」
「うーわ、うさんくさ...」
「ちなみに部員たちからは問い合わせが止まらなかったよ!」
「そりゃそうでしょ。こんな劇物勧めるとか...」
「『おかわりはあるのか』なんてね!ハッハッハ!」
「頭おかしいの?はあ、もういいよ...」
一応、効果だけは本物っぽくて、少し飲んだだけでかなり気分が楽になった。ただの、火事場の馬鹿力かもしれないけど。
変わらず片手をバイザー代わりにしながら歩く。
あとは適度に水分補給をして、カスミさんが着いてきているのかも確認しつつ煙を辿るだけ。
しばらく会話もせずに前だけを向いていたのに、肩を掴んで引き止められた。
「ところで...今どこに向かっているんだい?」
「知らないよ〜...煙追っかけてるだけなんだから...」
「...煙?......見えないのだが?」
「...?」
「???」
「......ん?いやいや、だってここにあるじゃん。一本の線みたいに。」
「もうだいぶ前から見えなくなったのだが?それに、このまま行くと確か...」
鉄条網が私たちを阻むように現れた。
それも、錆び付いていて一回蹴れば壊せそうなやつ。
網の向こうは...いくつも立てられた大きめの...なにあれ、テント?とか、壊れた車両やら戦車やらが放置されている。
「...なにここ。」
「廃棄された基地だねぇ。」
「まさかここ通ったの?」
「ハッハッハ!」
「なんでこんなところ通ったのさ...まあいいや、入ろっか。」
「言っておくが、さすがの私も廃棄基地の鍵は持っていn「よいしょー」
がしゃんっ!
「...ふえ?」
「なにその顔。ほらぼーっとしてないで行くよー?」
網としての機能を失った、かつて網だったものに手を掛け潜りながら、間の抜けた声を出しているカスミさんに話し掛ける。
「角気を付けて。手ぇ貸そっか?」
「あ、あぁ...助かる。」
エスコートするみたいにカスミさんをくぐらせたあと、煙の行き先を確かめていると、カスミさんが凄いしわっとした顔をしているのに気付いた。
「どうしたの?」
「......姉妹だな!クソッ!!」
「はい!?」
「何でもかんでも力で解決して!そういうところ姉君とそっっっっっっ......くりだッ!!」
「えぇ?そんなに溜めなくても...」
「私が策を講じる度に毎回毎回正面からぶち壊してさあ!!ゴリラなのか!?君の姉君ゴリラだったりするか!?その狐耳は飾りか!カチューシャか!?」
「あばばばそそそんなのしらないいい」
トラウマがほじくり返されたみたいに私を掴んで前後にゆする依頼主サマ。
いよいよ我慢出来なくなった私は、手を振りほどくとケータイを取り出して電源を点ける。
「いい加減にしないと風紀委員に電話するよ!?」
「んなっ...!?い、いや待て。奴らも多忙なハズ、ましてやあそこのトップはもはや社畜と言っても過言でないほどの...つ、つまりだ!呼んだとしてももうここには...」
「...あ、た、助けてください!鬼怒川カスミに襲われてm「ちょまー!!」
「きゃあっ!」
白衣を投げ捨ててまで私のケータイをひったくる。
...さっきまでの、遠回しに無駄だと言っていた説得は何だったのだろうか。
「本っ当に容赦が無いなぁ君は!?私が一体何をしたと言う......おやぁ...?君、これ...」
「いてて...冗談だってば、もお...」
「...」
「はあ、探そうかな......カスミさん?」
「これは...わ゙ら゙え゙な゙い゙ぞッ...!!」
「...なんか、ごめん。」
『侵入者!侵入者!』
「うん。ここが廃棄基地だとしても私たちは侵入者な訳だから、早いところ...」
『排除シマス』
「避けろ!」
二人だけのはずなのに、やたらと無機質な声に何の疑問も持たずに賛同した瞬間、カスミさんに手を引かれて引き倒される。
文句でも言ってやろうと体を起こす。
それと同時にけたたましい火薬が弾ける音、そして私が立っていた地面に、小さな穴が多数空いた。
「...わあ。」
目線を上げると、そこには黒い円盤がふよふよ漂ってやる気満々に黒光りする銃口をこっちに向けていた。
『増援ヲ要請!増援ヲ要セっ!!?』
「うるさいなぁ。」
騒ぎ立てながら仲間を呼ぼうとしたから近付いて妲己の持ち手でぶん殴って叩き落とす。
「ぶっ潰れろ。」
あとは足を大きくあげてそのまま振り下ろせば、ねじやらなんやらの部品を撒き散らして壊れた。
「...ふう〜ビックリしたぁ。これ壊して大丈夫だよね?カスミさん。...カスミさん?」
部品をこぼれ落とすガラクタドローンを持ち上げて、手遅れな確認を取ろうとするんだけど、どうも返事が無い...
訝しげに見守っていたけど、すぐに動き出した。
「......はっ!な、なんでもない。あぁ大丈夫さ。助かったね、感謝しよう!」
「えへへ、さっき助けて貰ったからね。当たり前だよぉ〜」
素直に感謝されてちょっとだけ表情筋が緩んだけど、すぐに気を取り直して向き直る。
「さて...こっちにあるのか。そろそろ見つかると嬉しいんだけど......あっ。」
「どうしたんだい?」
「...あった。たぶん、あそこ。」
「どこだね?」
「ほら、あれ。あのちょっと砂が盛り上がってるところ。」
「ふぅん、どれどれ...?」
胸元から双眼鏡を取りだs...いやどっから取り出してんの!?
「...あまり分からないね...確かに歯車なんだろうけど、なにせ大部分が埋まっているものだからね?」
「じゃあ取りに行ってくるね。」
「えっ私は!?」
「ここで待っててー!」
近所の自販機でジュースでも買って来るみたいな、気楽な物言いで向かう。
辺り一帯には微動だにしないロボットがいっぱい居て少しだけ怖いけど、まあ...それだけ。
大きな盾を持ったロボットの横を通り、壊れたドローンを踏み砕いて砂場に到着する。
「うわー、おてて砂まるけになっちゃう...えっさ、ほいさ、えっさ...」
軽く不満を垂れ流したまま発掘作業を開始。そして...
「...でぇたぁ!」
意外とあっさり掘り出せた。一見普通の歯車にしか見えないんだけどなぁ...?
『侵...ニュ...者...侵入、者...』
いざ戻ろうとすると大量のスクラップだと思ってたものからいくつかロボットが立ち上がり、武器を構えた。
ランチャーを持ったロボットが三、盾を持ったのが一、ドローンが三。
まるで機会を伺ってたみたいなタイミングの良さ。
『侵入者...』
隣で項垂れていたロボットもピクリと動き出してランチャーロボットは四体に...
「やかましい。」
ばごん!
...あー、たった今三体に戻ったね。
なんとも綺麗な横足刀蹴り。ちょうどいい位置に頭部があったのが仕方ない。ウン
『排除、排除シマス』
一斉に発射されるミサイルを撃ち落として、ロボットにも銃弾を撃ち込む。
すかさず盾ロボットが庇いに入ったが一体破壊できた。
目の前で盾を構えて様子を伺う盾ロボットの頭を飛び越えて、後ろにいるランチャーロボットを、飛び越えた勢いのまま手始めに一体踏み砕いて残った方に妲己を連射する。
どさりと倒れるロボットと、カチカチと間抜けな音を出す妲己。
「...もう一つ使っちゃった。はあ」
動かなくなったロボットには見向きもせず、空になったマガジンをドローンに投げ付けて走りながらリロード。
「弾だってお金掛かるんだからね!?」
そして1m弱のところまで潜り込んでから、子供らしからぬ愚痴を吐き出して三体のドローンを蜂の巣にした。
後はあの盾持ちだけだと思い、振り返る。
偶然、銃口と目が合っちゃったから一先ず横に避けてから、壊れたランチャーロボットを盾にして進む。
あまりにも近付きすぎて、その恐らくご自慢の盾に潰されかけたけどちゃんと避けて、頭部に殺生石を密着させて...
「消えろ!」
そのまま放った。
反動に耐え切れず私自身も少し吹き飛んだが、舞う砂煙の中、ゆっくりと動く巨大な影を見てからは早かった。
「...わ、耐えるの?えーじゃあ...これ借りるね!」
ご丁寧に残しておいてくれたランチャー。
それを担いで装填されてある分を全て発射した。
爆風とともに砂煙が晴れ、本物のスクラップになったのを確認してカスミさんのところに戻る。
「ただいま!」
「ヒェッ」
「ん?今何か言った?」
「なんでも、な、ないぞぉ〜!?」
「...そう?じゃあこれ、お探しのもの?」
歯車を差し出すと、おずおずとそれを受け取り手で弄ぶように全体を眺める。
そして一度頷くと満足そうに笑った。
「あぁこれだ!素晴らしいでは無いか!」
「ホント?じゃ、じゃあ依頼...」
「あぁ!達成さ!ではでは、後は君の事務所に戻って報酬やらの話を進めようでは無いか〜!」
ぐいぐいと私の手を引っ張るカスミさんの手の平は、なんかしっとりしてた。
ワカモ
「カスミ?
一体どうして私の連絡先を...」
「それと姉君と呼ぶな。
虫唾が走る。」
ワカモ
「...あの子に何をした。」
「答えろ。」
ワカモ
「は?
私への当て付けか?」
ワカモ
「...はあ、あの子は優しすぎるだけですの。
人や生き物に対しては、特に。」
「ですが相手が無機物となれば、情けを捨て去り
対象を破壊する、その一点を目指すのです。」
ワカモ
「英断ですこと。
そこは評価して差し上げます。」
あとがき
タマちゃん、実はゴリゴリの武闘派だった...ってコト!?
タマちゃんの語呂いいな。今度からそう呼ぼうかな...
今回で初めてまともに銃を使ったってマ?
大半殴る蹴るの暴行で破壊してましたけど。
どこかでタマちゃんの原作風性能作りたいなぁ...とりあえず攻撃タイプは貫通じゃないです。
でもまずは先生をどうするかが先だなぁ...男にするか、女にするか、人外にするか...
そしてコメディチックになっても気持ち悪くならない感じの...
......ゲマトリア先生...?
この作品に足りないものとは...
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このままでいいんじゃね知らんけど
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銃撃戦が少ねぇ!
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タマ虐
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ガチ百合回
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R-じゅうはt(銃声)