「お姉ちゃん。余ったやつタッパーに詰め終わったよ。」
「お疲れ様。ご友人に渡すのでしたよね?」
「うん。渡してくるね。」
食事も終わり、後片付けをしている最中。
余った料理を保存容器に入れたタマヨは、それを持ってそのまま挙動不審に部屋を見回している友人のところに行った。
「はいっこれどうぞ!」
「ひぇぇあありがとうございます...」
向こうの方で盛り上がっている二人を横目に流し場に目を落とす。
洗剤の着いた皿を手に取って水で流していく。
その最中に反対側で特徴的なくせ毛とヘイローが見える。
「...なんの用でしょうか。」
声をかけると、ビクリと跳ね、そっと顔が出てきた。
「い、いやぁ?君も案外家庭的なところがあるんだな〜...とね?」
「私の機嫌を取ったところで、何も起こらないのはご存知でしょう?」
「君相手に『何も起こらない』ならそれだけで十分だと思うがね...えぇと、ところでなんだが...」
「何度も言いますが、あの子に手を出すな。...少なくとも今は」
「ん?まるで今後のどこかであるならば良い、とでも言うような感じではないか。」
猛獣を恐る恐る世話する新任飼育員のような顔から一転。途端にズカズカと踏み入ってきた。
「おかしいなぁ...君はやや過保g、いいや心配性の節があったと思っていたのだが...一体どう言った風の吹き回しかな?」
「...良いでしょう。教えて差し上げます。」
「ほう!是非ご教授願うよっ。」
にんまりとして横から回ってくるカスミ。
「あなたの人を騙すような物言いが嫌いなだけです。」
「...」
「さて、皿も乾きましたね、もう少し水気をとって...」
「...え?終わりかい?」
「えぇ。あの子が自分で、本当のことを知って選んだのなら兎や角言うつもりはございません。」
「おや...まるで私が偽りしか語っていないような言い草ではないkヒィッ!?」
「そういう所。」
カスミの脚に、薄く、赤い線を残してから床に突き刺さったドスを引き抜く。
...私と一緒にいるよりも、カスミと一緒にいた方が幾分かマシなのかもしれない。
あの子が笑顔を向ける度に、「お姉ちゃん」と私を呼ぶ度に背筋を得体の知れないモノが伝う。
嗚呼、そうですのね。
これは...
......
.........
............いいえ、駄目。このような事は絶対に。
「......カスミ。」
「なんだい?」
「契約はお好きかしら。」
私にとって最悪の事態を避けるために。
「...?...あぁもちろんだとも。しかし意外だ...いやいや!嫌という訳じゃないさ!ただ契約というものは互いの立場が同じでないと成り立たないからな。君からそんな言葉が出たのに少し驚いただけさ。」
「相変わらずよく回る舌ですこと。そうですね、簡単に契約内容を言って差し上げましょう。もしあなたが───」
そのためなら、悪魔と契約したとて甘んじて受け入れましょう。
「...なんだか、生きた心地がしませんでした...」
俯いているウイさんの顔を覗き込むと、どうしてかゲッソリしていた。
ウイさんにだけ、巨大な爆弾でも見えてるみたいな。
「ど、どうして?二人とも良い人だよ?」
「片方は真実を知らないだけ。片方は実の姉。あなたからすれば、それこそ怖くはないんでしょうけど......あ、そういえば...」
何かを思い出したらしく、顔を上げて私の顔を指さした。
「目...良くなりましたか?」
「あー、あぁ〜...ぼちぼち...?」
すっかり馴染んでいた面を取り外してゆっくりと目を開く。
蛇のように変形した切れ長の瞳孔を見せつけるように。
「眩しくは、無いんですか...?」
「眩しくは無いけどお面付けてないとなんにも見えない!真っ白!...でも、夜だと明かりいらずで便利だよ。電気代節約できる。」
「その感想はおかしくないですか?」
「...そう?」
「そうですよ......ふへへっ、変わりないようで安s「おい!?なにをする!?話がちがいたたたた!!」
沈黙に耐え兼ねての笑いが台所の方からの絶叫にかき消された。
急いで見に行ってみると...
「これで、よし...と。」
「酷くないか!?私が一体何をしたと...!?」
俵巻きにされて手足をガムテープで縛られたカスミさんと、それを見て満足気に頷くお姉ちゃん。
そして、機会を伺っていたようなタイミングで鳴り響くインターホンの甲高い音。
「あら、タマヨ、お願いいたします。」
「...っあ、うん。......ヒェッ」
カメラをよく確認もせずに扉を開いたせいで、腰を抜かしかけた。
誠実そうな青い制服、肩まで流したクリーム色の髪と威圧感のある眼。
「ヴァルキューレの者です。」
警察手帳に書かれたのは『公安局局長 尾刃カンナ』という名前とこの人の写真。
...ちょっと顔引き攣ってる。
「......」
「あの?」
「んふあっ!?ヴァルキューレ!?警察!?しかも局長さん!?」
「そこまで驚かなくても...通報を受けて来ただけでなのですが...」
一目見ただけで植え付けられた、恐ろしい印象とは少しズレた顔で私を見つめる。
...通報?
「恐ろしい顔をしているからではありませんか。」
「んむーぅ!!」
素顔のまま、ついぞ口までガムテープで塞がれてしまったカスミさんを引き摺ってお姉ちゃんがやって来る。
追われてる身なのに堂々とヴァルキューレ、それも局長さんの目の前に出てきて大丈夫なのかな。
お面じゃなくて素顔だからバレないかな...みたいな考えしてる?
「そちらは妹さんですか?」
「えぇ、私の可愛い妹です。」
きゅ、急に言われるとちょっと恥ずかしい。
嬉しい、けど...へ、変な顔してないかな...?
気付いたらすぐそこに、お姉ちゃんの顔があって、耳を貸すように要求された。
「少しこの方とお話がありますの。良い子だから、部屋の中で待っていて下さる?」
「そうなの?わかった。」
素直に受け入れてから、ソワソワと落ち着きのないウイさんのところに駆けて行った。
「ふう...さて、あなたお一人でしょうか?」
タマヨをなんとか追い払ってから本題を切り出す。
「いえ、下で待機していただいてます。」
肯定されたことでひとまずの安堵。
そうでなくては、わざわざヴァルキューレに連絡を取り、局長を来させた意味が無いというもの。
「なら良かった。ではこれを。固く縛ってあるので、持ち運びも楽なはず。」
「んむぁ!?」
やかましい。
「そうですか。...連れて行け!」
強い口調で命令を出せば、側に控えていたであろうヴァルキューレの生徒二人が俵巻きのカスミを掴む。
「ん!?んんぅ!!」
「大人しくしてくださるかしら。下には、あなたの大好きな、ヒナ委員長が待っているのだから。」
「ヒッ」
「「大人しくしろ!」」
運ばれていくカスミ。
憎悪を燃やしていた眼は、いつの間にか何も映さない暗い色に堕ちていた。
「うふふ...」
心が強く満たされる、心地よい感触。
「......今日この場に限り、私はただの尾刃カンナとしてあなたには目を瞑りましょう。」
「あら、お仕事はしなくてもよろしいのですか?」
「私一人で確保できるなら苦労してませんよ。」
「ご英断、感謝いたします。それにわざわざ動かなくても結構。後日、改めてそちらの方に向かいますので。」
「それはどういう...「おねーちゃーん!ウイさんそろそろ帰るってー!」
中々に良いタイミングでのタマヨの声。
「お客人が帰宅なさります。あなたもお帰りくださるかしら。」
一方的に心にも無い言葉をぶつけて、玄関先から外に無理やり追い出す。
そして閉める直前に
「あの子は何も知らない。巻き込まないようにお願いいたします。」
あまりにも白々しい嘘と本心からの願望を吐いた。
あとがき
「原作理解」2割
「その場のノリ」1割
「性癖」300%
の割合で当作品を提供しています。
何言ってんだ馬鹿なのか?
あとアンケートは可能な限り参考にさせてもらおうと思っております。
可能な限り(ココ重要)
この作品に足りないものとは...
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このままでいいんじゃね知らんけど
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銃撃戦が少ねぇ!
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タマ虐
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ガチ百合回
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R-じゅうはt(銃声)