紫煙燻る黒狐   作:とろねぎ

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おまけ

 

 

短め

 

 


 

 

 

結局、あの後どうなったかって言うと...

 

「えっと...失礼、します...?」

 

「どーぞ!先座ってて〜」

 

おっかなびっくりしつつも興奮を隠しきれていないウイさんを家にお招きすることにしました。

 

コートを脱ぎつつ、古い方の服が入っている袋とか、お菓子が入っている袋の中身をとりあえず片付けてからリビングに...

 

...あれ?ソファに座ってるはずのウイさんが居ない...?

 

そう思って、背もたれの後ろから覗き込んだら...

 

「すんすん......いい匂い...」

 

私がお昼寝する時、枕代わりにしている百均クッションへ顔を突っ込んで、何か言ってた。

 

「...き...きゃあぁぁぁっ!?何してるの!?」

 

「ひぇあ...あぁぁぁ!?ご、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい...!!き、気になって、つい...!」

 

気になっても匂い嗅ぐのはどうかと思うんだけど。

 

あ、でも、私も気になることあるかな。

 

「その...臭くなかった...?」

 

「へ?」

 

「だ、だから、ヘンな匂いとかしなかった...?」

 

「い、いえ全く...!柔軟剤の匂いとか、あとほんのりと甘い匂いがしてとてもいい匂い...で......あ...」

 

「っ...!」

 

うん、鏡とか見なくてもわかる。今の私の顔、真っ赤だ。

 

「そんな感想は!求めて!無いからっ!」

 

ソファに飛び乗り、ウイさんの手を掴んで、ソファに押し倒す。

 

「お返しだこのっ!直嗅ぎしてやる!」

 

「あーっ!ちょ、やめっ、やめてください!一昨日あたりからお風呂入れてないんですから!!」

 

「やめろと言われてやめるもんか!むしろ気になるよそんな匂い!」

 

「どうしてそうなるんですか...!?...力強っ!?」

 

古書館ないで修復作業をしているウイさんと、日頃外を出回っている私との間じゃかなりの体力差があるみたいで、頭一つ分大きなウイさんも押さえつけることが出来た。

 

「ふっふっふ...さあ観念して嗅がせろ!」

 

「ダメです!」

 

「答えは聞いてない!」

 

「ダメです...ダメです...!」と駄々をこねるように首を忙しなく動かして抵抗するウイさん。

 

イラッとした私は、手を押さえたまま両肘で顔を挟み込んで固定する。

 

「ふふふ...さ、ウイさんはどんな匂いがするのかな〜?」

 

「ひ、ひえぇぇっ...」

 

おののくウイさんに一瞬だけ仄暗い感情が這い寄ったけど、なんとか振り切って、その明らかなボリュームのある頭髪へ顔を入れた。

 

「ふんふん...」

 

「ひいぃぃっ...」

 

「ふんふんふ......ふごっ!?」

 

「!?」

 

「......」

 

「た、タマヨちゃん?」

 

「...ふあー...」

 

「フレーメン反応!?」

 

あー...この匂い...ちょっと、マズイかも...

 

「や、やっぱり臭うんですね...だ、大丈夫です。自覚はあったので...」

 

「ふがふがふが......」

 

「......」

 

「くんくんくん...」

 

「!?え、な、なんで再開しているんですか!?」

 

「...んはっ!?む、夢中になっていた...!」

 

「様子がおかしかったのですが...いったい...?」

 

「...あのね、落ち着いて聞いて欲しいの。」

 

一呼吸おいて放った言葉は、まあ案の定疑問符で返された。

 

「ウイさんの匂いね...あの、クセになる...!」

 

「......はあぁぁあ?」

 

「あ、大丈夫。臭くは無いし、むしろ私は好きだよ。なんだろう...ずっとこの匂いに包まれていたいって言うか、そばに居てくれたら眠くなる匂いって言うか......あ。」

 

「...せ、説明しなくていいです!!」

 

怒られちゃった。

 

でも、私だけには定期的に嗅がせて欲しいな。

 

...めちゃくちゃ気持ち悪い事言ってるね私。

 

 

 

 

 

 

 

 

「...あ、忘れるところだった。」

 

「何がですか?」

 

「アイスだよ。結局あの後買ったじゃん。ちょっと待ってて。」

 

冷蔵庫を漁って二つのアイスと棚から二本スプーンを取り出して直ぐに戻る。

 

「はいどーぞ。」

 

「ありがとございます。」

 

何の変哲もない、至って普通のカップアイス。

 

味が違うだけで商品の種類としては同じもので、質より量といった感じ。

 

...別に、遠慮せずハーゲンなダッツとかでも良かったんだけどね...

 

「いやそこまで甘えられませんって。」

 

「あ...口に出てたか。...おわ、すごいコーヒーの匂いするねぇ。」

 

期間限定という名目で売られていた、コーヒー味のそれを頬張っていた。

 

私は、いつも大抵売っているであろうチョコ味。

 

二人並んで、私がちょくちょくウイさんに話し掛けつつアイスを口に運ぶ。

 

会話もそんなにないし本当にアイスみたいな冷たい空気感にも思うけど...うん、たまにはこんな日があってもいいよね。

 

のんべんだらりと、ただ隣に座って無益に時間を浪費する...

 

口の中に広がる甘味を楽しみつつ、たまに視線を感じて隣を見ると目をそらされたり、逆にぼーっと眺めていたら目が合いそうになって急いで逸らしたり。

 

......実は、そこまでアイスを食べるということには執着してなかった。

 

ただ口実が欲しかっただけなんだと思う。

 

初めて出来たお友達と休日にだらだらと過ごす時間が。

 

「......あ。」

 

気付けば、私の手の中からは鉄が紙を擦る音だけが聞こえた。

 

私の口実は消えちゃったか。

 

「タマヨちゃんも食べ終わっちゃいましたか。」

 

「まあ...ね。ウイさんこそ、もう食べ終わってたんだ。口大っきいね。」

 

「そこまで大きくないと思いますけどね...?」

 

「そう?まあでも、私よりは大きいか。」

 

中身の無い話を数分...数十分?続けていると、ふいに肩に体重がかかる。

 

「ウイさん?」

 

「ふあ......すい、ません...すこし、ねむ、く......」

 

途切れ途切れの報告のあとから、目を閉じて静かな寝息が聞こえる。

 

一昨日あたりからお風呂に入れてないって言ってたような...そんなに忙しかったのに、私を誘ってくれたんだ。

 

「...ふふっ...」

 

遊んで、食べて、寝る...

 

厳しい人が見たらすぐに正座させて説教するだろうな。

 

「...くあっ...」

 

でも、たまには...本当にたまにだったら...

 

「こんな自堕落も...いいよね...」

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

遠くの方で、カラスの鳴き声がする。

 

「...んな......」

 

もぞもぞ、緩慢な動きで、体にかけられたブランケットを脱ぐ。

 

「......寝てた...?もう...夕方...ん...?」

 

ふやけた声で目を擦りながら、すぐ側に置いてあった小さなメモ用紙。

 

『お先に失礼します。体調には気をつけて。』

 

「...」

 

寄りかかって寝てたはずなんだけど...離れたりブランケットかけられても私起きなかったの?嘘でしょ?

 

カップだったりスプーンだったりは既に無くて、片付けてくれたのかな?

 

それは申し訳ないことした。

 

浅く欠伸をすると、なんか...違和感が...

 

「...私、ウイさんのアイス食べたっけ...?」

 

食べることはおろか、一口交換とかした訳でもないはず。

 

じゃあ、なんで...

 

「...なんで、口元が苦いんだろう...?」

 

 

 


 

 

 

 

疲れたら発作的に百合回を書くことにします。

 

突然百合回が始まったらそういうことです()

この作品に足りないものとは...

  • このままでいいんじゃね知らんけど
  • 銃撃戦が少ねぇ!
  • タマ虐
  • ガチ百合回
  • R-じゅうはt(銃声)
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