紫煙燻る黒狐   作:とろねぎ

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最近難産です

 

ブルアカアニメ、スポンサーがYostarオンリーだから広告全部ブルアカなの凄いな...

 

 

 


 

 

 

 

 

古ぼけた、頼りない明かりが吊り下がった部屋...いや、取調室。

 

「申し訳ございませんが、銃を見せていただいても?」

 

厳格な雰囲気を露骨に醸し出して、私を真っ直ぐ見つめるカンナさん。

 

「銃を...?あっ、うん...じゃなくて、はい。どうぞ。」

 

ヴァルキューレの人ということもあるし、一応言葉遣いは気を付けないと...

 

そう思いながら、真っ白な小さな机の上に妲己を置いて、カンナさんの方へ寄せた。

 

「ありがとうございます。......ハズレか...

 

「?」

 

なにか呟いたような気がして、首を傾げるとそのまま妲己を返してくれた。

 

「なんでもありません。こちらはお返しします。」

 

「あ、うん。えっと、どうして私を連れてきたのか、話を聞いても...いいかな?」

 

「...そうですね。秘密という訳でもありませんし、お詫びも兼ねてお教えします。」

 

そうして、今ひっそりと話題になっているらしい、通り魔事件について教えてもらった。

 

「......ということですので、なにか情報を得た際、良ければ提供していただければ。」

 

「...うん。わかった。」

 

「どうも争いの場を仲裁する、とでも言いたげな犯行ですので、あなたも是非お気を付けて。」

 

「......仲裁?なら悪いことじゃないんじゃ...」

 

「一日二日、病院のお世話になる。もしくは記憶が抜け落ちるような仲裁が素晴らしいことだと思うなら。」

 

「あー...それはちょっと、擁護できないかも...」

 

「...ふっ」

 

「ですよね。」という軽い肯定の言葉が、いやに耳に残った。

 

それから数十分、あるいは一時間ちょっとの軽い問答を繰り返して解放された。

 

どうやら私に疑いの目が少し向けられてたみたいだけど、犯行の証拠も無ければ、ただ私が「寝ていた」なんて言ってもアリバイにはならない。

 

そういうことで、とりあえず関係無いということで決まったみたい。

 

まあ...私も身に覚えは無いし。

 

なにより、大怪我に繋がるような戦闘はしてないから。

 

酷いやつも居るものだ、と他人事として考えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

「着きましたよ。」

 

「あ、はい。ありがとうございます...?」

 

「いえ、こちらこそ貴重なお時間を頂きありがとうございます。」

 

わざわざ家まで送り届けてくれたカンナさんにお礼を言って車を降りる。

 

お礼がシャトルランする雰囲気を感じとったのか、カンナさんは素早く話と車窓を上げてアクセルを踏んだ。

 

「あ、行っちゃった。」

 

...横顔、凛々しかったなぁ...

 

......ま、まあ、なにはともあれ無事に戻ってこれたし、ウイさんところに行こうかな。

 

思ったより早く終わったとはいえ、先生が伝えてくれたならきっと心配させちゃってるだろうし。

 

そう思いながら、古書館の扉に手をかけ、開く。

 

「...ですから、生徒のことを信頼するのが先生というものであって......!くどくど、くどくどくど...」

 

「ハイ...ハイ...ソノトオリデスハイ...メッソウモゴザイマセン...」

 

作業もせずに先生に説教するウイさんと、正座して項垂れている先生。

 

「そういうことを、ゆめゆめお忘れすることなく......ってあ!タマヨちゃん、帰ってきたんですね!ふへへ...」

 

「......あ〜...うん...」

 

「どうしたんですか?ま、まさか...!なにか酷いことをされたんですか!?」

 

「どちらかと言うと、現在進行形で酷いことされてるのは先生じゃないかな...?」

 

「...あぁ、そうでしたね。...先生?」

 

「ヒッ」

 

「タマヨちゃんが帰ってきましたよ?なにか伝えたいことがあるんでしたよね?」

 

「エッ、アッ、ソノ...ゴメ、ナサイ...」

 

「なんですか?ボソボソ言っても伝わりませんよ?」

 

「ご、ごめんなさい!!」

 

「!?」

 

「何が、『ごめんなさい』でしたっけ?」

 

「事件の犯人だと疑って、申し訳ございませんでした!」

 

「えっ」

 

大の大人による五体投地。それも若干うわずった鼻声の。

 

「それだけ、ですかぁ...?」

 

「ピエッ...せ、先生なのにずびっ!生徒のこずびっ!とを信じなくずびびっ!てごべん゙な゙ざい゙っ!!」

 

「え、あ...えぇっ?」

 

「はい、よく出来ました...先生...」

 

「アッ、ワ、ワアッ...!」

 

その先生の頭を優しく撫でるウイさん。

 

...なに?DVの現場見せられてる?

 

「ふう...ということですので、先生のこと、怒らないであげてください...」

 

「元々怒ってないんだけど...」

 

「「え?」」

 

「え?」

 

キョトンとした顔で声を漏らす二人と同じことをそっくりそのまま漏らした。

 

「い、いやいや、だから怒ってないし怒る理由がないって言うか...」

 

「...え、っと...そうだったん、ですね...?」

 

「...はあ、とりあえす先生は立って。さっきから五体投地した大の大人が視界にチラチラ映って気になるし。」

 

「あ......うん。」

 

 

 

 

古書館のだけど、椅子にみんな腰かけてゆっくり話せる状態になった。

 

 

 

 

「ふう......にしても、通り魔事件なんて怖いねぇ。」

 

「そうだね。最近みんなからよく話を聞くから、私も気になってたんだよ。」

 

「でも、なんか行き過ぎた仲裁みたいな感じらしいね。銃を確認されたんだけど、何を使ってたかはもう分かってるんだ?」

 

「......私が聞いたものは、大口径の拳銃だそうです。」

 

「ふぅん。大口径の拳銃...大口径の拳銃?」

 

...いやいや、違うよね。

 

だって私、人にこの子を向けたことは無いはず...たぶん...きっと...めいびー

 

でもこれをあの時出していたら、きっとマークされていたはず...

 

懐にある、ゴツゴツとした確かな感触をひっそりと撫でる。

 

...良かった。盗まれた訳でもない。

 

「どうしたの?」

 

「んえっ!?あ、なんでもない!ただ、私も気になるなーってだけだから!」

 

「...あ、タマヨちゃんなら...探せるんじゃないですか?」

 

おずおずと意見するウイさんに、軽く首を横に振って謝る。

 

「ごめん、無理かな。情報が少なすぎる。それに、私が見つけられるならもうヴァルキューレだとか正義実現委員会、あと自警団なんかが捕まえてるでしょ。」

 

「そうですか...」と落ち込んだ様子を見せるウイさん。

 

...私の力はそこまで万能じゃないよ?私自身よく分かってないし。

 

「なんであんウイさんがそんなに落ち込んでるの?...まあ、ちょっと試しみるぐらいなら。」

 

すっかり仕事の相棒となったそれを取り出して、咥え「なにしてるの!?」

 

...ようとしたら、さっきまで微笑ましそうに私たちの会話を見守っていた先生が、豹変したように声を粗げて私の口に挟んだものを取り上げた。

 

「先生?なにするの?」

 

「なんでそっちが不満気なの!?というかよくもまあ堂々と私の前で喫煙しようとしたよね!?」

 

喫煙?

 

......あぁそういうこと。

 

「先生、それ、ハーブ。煙草じゃないよ。」

 

「ハーブ...?それ、合法のやつだよね?」

 

「合法どころかそこらで売ってるやつだよ。信じられないなら吸ってもらってもいいし。」

 

「...じゃあ。」

 

そう一言断って吸い口を自分の口に当てる先生。

 

...あれ、これってもしかして間接き...

 

「あ、本当に大丈夫なやつだね。むしろさっぱりする。」

 

「...まあいっか。ん、なら分かったでしょ。私の仕事道具だから返して?」

 

仕事道具という言葉に疑問符をうかべられながらも、しっかりと受け取って即座に咥える。

 

「ん...先生。他に特徴は無い?」

 

「確か...動物の耳がある。とかなんとか。」

 

動物の......じゃあゲヘナの人では無いのかな。

 

それがわかった所で、集合の中から少数派の集合を取り除いただけ。

 

そこまで絞り込めはしなかったけど...やってみようか。

 

 

 

 

 

 

 

 

結果だけ伝えると、吐き出した煙はまあ案の定古書館の天井に当たって、霧散した。

 

「...えっと、今のは...?」

 

「ダメか...」

 

「ダメ、でしたね...」

 

「分かってないの私だけ!?」

 

事情のわかっていない先生を置いてきぼりにして落ち込む私たち。

 

「......でも、分からなくてもいいんじゃないですか?依頼された訳でも無いのに...」

 

「あぁうん...確かにそうなんだけど...」

 

「だけど?」

 

煮え切らない返事に先生も興味をひかれたみたいで小さく首を傾げた。

 

「うぅん...なんて言えば......なんとなく、本当になんとなくだけど...会える気がするんだ。」

 

「...もしかして、お姉さんに?」

 

「あ、覚えてたんだ。ちょっとびっくり。でもまあ...そうだね、お姉ちゃんに会える気がするの。先生がシャーレに来たあの日を最後に会えなくなった、お姉ちゃんに。」

 

「まるで私が元凶みたいな言い方だね。」

 

「......ふあっ!そ、そういうわけじゃ...!」

 

「からかってる...だけですよ...」

 

「......あ...そ、そうなんだ。」

 

本気で怒ってるわけじゃないんだ。なら一安心。

 

乱された私の心と、言いたいことを整理し終わってから、「先生」と前置きから始めた。

 

ただとっても簡単な、お仕事の話を。

 

「私も、その事件について調査してみようか?先生も解決して欲しいと思ってるんでしょ?」

 

「そうだけど...いいの?」

 

「あ、でもちゃんと()()は貰うからね!?」

 

「うん、わかった。」

 

「勘違いしないで欲しいんだけど、決して私ががめついからとかじゃ......え?今、二つ返事で了承した?」

 

「したね。じゃあその()()の話をしよっか。」

 

...この人に話の主導権握られるの、少しまずそうだから捲し立てて話したのに、まさか返事だけで崩されるとは。

 

何考えてるか分からないあたり、あのどこぞの温泉好きなゲヘナ生徒を思い出すんだよね...

 

自分の肝の小ささを呪いつつ、うさんくさ......穏やかに笑う先生の顔をじっと見つめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなに見ないでよ......大した話をする訳じゃないんだから...!

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

あとがき

 

次回でちょっと、タマちゃんのお店『黒狐』の値段設定を細かく掘り下げ...たいです(鋼の意思)

 

でも少なくとも法外だとか、そんなことはありませんので。

タマちゃん善性の塊ゾ?少しばかり敵への情けが無いだけで。

 

 

タマちゃんの紹介、やるなら

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