(サブタイは誤字じゃ)ないです。
そろそろ説明不足な(ほぼしていない)ところをしっかり書ける...ということで詳しく掘り下げていこうと思います。wktk(愉悦)
また、私の日常に変化が訪れていた。
いや、変化と言うよりは、元々外部からの力で屈折していた砂時計が元に戻っただけですね。
一度手を止めて会話に務めていた時間が無くなって、普段の業務をする時間に置き代わっただけ。
作業を止める者が居ないから、とてもよく捗ります。
ここに来る人は少ないですし、来たとしても、ここをカフェか何かと勘違いしているようですので、話しかられる心配も無くこの子達と向き合えます。
...少女の形をした空白が気にならないわけではありません。
『寂しい』だとか『心配』だとか、そんな薄い意味を持つ言葉では形容もできないような不自然な空白。
いつしかその空白に私の思考と体を操作されている。
足音がする度に、扉が開く古く重い音が軋むたびに、私の視線と意識をそちらに持っていくように操作されている。
こつ、こつ、こつ...
「!」
今だって...
「わっ、委員長?もしかしてお邪魔してしまいましたか?」
「シミコさん...いえ、なんでも、ありません...」
「委員長、最近少し上の空ですよ?何かありましたか。ずっと前から本が帰ってきてないとか?」
「い、いえ、そういうわけじゃ......!」
そうだった、貸出期限...あの子がそれを破ったことは一度もありませんでしたし、あの子が貸した子をそ雑に扱うとは到底思えません。
期限まであと数日はあるようですし...偶然忙しくて来れないだけなのでしょう。
「...委員長?」
「へあっ...な、何でも、ありません。シミコさんは、どうしましたか?」
「本の整理で分からないところがあって.........」
ネガティブな思考を打ち切ってシミコさんの相談に乗る。
それほどに難しい問題では無かったので、すぐに解決することが出来ました。
すっかり太陽もその半身を地平線の下に傾け始めた頃。
「今日はもう上がっても...大丈夫です。シミコさん。」
「そうですか?ではこれだけ.........よし、終わりました。では委員長、お先に失礼します。」
「はい...お疲れ様、でした...」
ちょうど夕日のような髪が扉から出ていったあと、私も切りの良いところまで終えている子の、翻訳作業を中断して荷物をまとめ始める。
ぎぎぎ...
そうしていると、再び扉の動く音がしたので、てっきりシミコさんが戻ってきたものだと決め付けました。
「シミコさん...?どうしま......!!」
シミコさんじゃありませんでした。
「ウイ...さん...」
タマヨちゃんでした。
わずかに湿った着物を身に付け、片目にガーゼの眼帯を付けた、タマヨちゃんでした。
「どう、どうしたの!?」
普段の敬語も忘れて駆け寄る。
「はは...色々、あってね...だから、気にしないで...」
「色々って...気にしないでって...そんなこと出来るわけないでしょう!?何があったんですか!」
「えへ、あは...」
掠れた笑い声と私でも違和感を抱くような目をきゅっと閉じた硬い笑み。
目の端にじわりと水滴が浮かび上がり、顔がぐしゃりと歪んだ。
「...っう、えぐっ......ぅああぁぁぁんん!!」
「!?」
大口を開けて泣き出すタマヨちゃん。
両目から大粒の涙をぽろぽろと零し、頬に、服に、床に、小さなシミを作る。
「え、えっと、えっと...!?」
泣く子をあやすという経験が、私にあるはずもなく...号泣するタマヨちゃんの前でうろうろ、右往左往と狼狽するしかありませんでした。
「うぅぅぅぅ...!」
今度は食いしばるように、歯を強く噛みしめて唸るように泣き出したのを見て手を掴んで引き寄せる。
視線が同じ高さになるように膝を曲げて、軽く抱擁した。
九割の心配と一割の恥ずかしさと涙への嫌悪感から軽く力を籠める私。
それとは反対に、わんわんと泣きながら、私に手をまわして力いっぱい強く抱きしめてくるタマヨちゃん。
こんなときにすら、「服が涙で...」などと考えている私に自己嫌悪しながら謝罪とばかりに頭をなでたり、背中をポンポンと優しく叩く。
赤ちゃんをあやすような行動、しかも拙い動きだったので不安でしたが...間違っていなかったらしい。
「ぅひゅー...ひゅう...っく、ひぐっ...」
泣き叫ぶような声は、次第にひゅー...ひゅーと風が通り、その後しゃっくりをするような啜り泣きに変わってくる。
耳元の掠れた声と、肩にじんわりと広がる冷たい感覚をしばらくの間感じ続けた。
「...ぅうー...ふぐぅぅ...!ふーっ...ふうー...!」
まだ少し息が荒いかもしれないが、最初の時よりは遥かに落ち着いてきた。
でも、まだまだ時間が必要かもしれないと待ち続けた。
そして会話ができるほどに落ち着いたときは、古書館を閉める時間を数時間とっくに過ぎ去っていた。
「落ち着き...ました...?」
「はぁ、はぁ、...うっ、うん...」
息も絶え絶えになりながら、恥ずかしそうに私から離れるタマヨちゃん。
泣きはらした頬をさらに赤く染めながら深呼吸していると...涙で水浸しになったガーゼがぽろりと...
「「あっ」」
私はタマヨちゃんを、タマヨちゃんは枯葉のように落ちるガーゼを。
「...なに...その目、どうしたんですか...!」
地面に落ちる前に急いでキャッチして再び目に当てるタマヨちゃんに、震える声で尋ねた。
穏やかな輝きを放つ黄金色、それが私のよく知る彼女の双眸。実際に抑えていない方はその色のままで綺麗だと思う。
でも、今見えた彼女の目は、血のような鮮やかで深い赤色に塗りつぶされていた。
「...私の、目。もしかしたら、見えなく、なるんだって。」
一節一節、息を整えて落ち着いて出したであろう声は、泣き声に負けず劣らず震えていた。
「え...な、なんで...」
今初めて、ウイさんの取り繕っていた表情が砕けたのを見た。
今までは一線を引かれていたのだという虚しさとそれだけ私のことを気にかけてくれていた喜び。
二つの正反対の感情と正体の分からない恐怖に挟まれて視界がじわりと滲み出す。
「目の、レンズ、が傷つい...ちゃって、み、見えっ、見えるようになっても、後遺症...残るんだって...」
軽い嗚咽と共に吐き出した言葉。
一度吐き出すと、もう歯止めが利かないとばかりに胸の奥から洪水のように溢れ出してくる。
「今日っ、今日ね、クラスの子に撃たれたのっ...痛い、やめて!って言っても、みんな笑ってっ、たす、助けてくれないのっ...!」
「...」
「に、逃げないとって、ひぅっ、め、目を開けたらっ、ひぐっ...」
結末を話そうとした瞬間、もう一度、今度は強く抱きしめられた。
「そうですか...大変、でしたね。」
低く気遣うような声と古書の匂い。後頭部を優しく触れる温かいもの。
「ひ、ひどいの!みんなっみんなっ...!ずっと私に、痛いことしてくるの!やめてって言っても聞いてくれないしっ、気にしないようにすると、も、もっとひどくなるのっ!」
ウイさんの胸に顔をうずめてひたすらに心の内を晒し出す。
黙って受け止めてくれることに甘えて、全て吐き出していく。
二年前のあの日から、今日にかけてまでの全てを。
挨拶しても無視されること。露骨に私を避けるようになったこと。通り際に悪口を言われたこと。
室内用のシューズに画鋲だとか得体のしれないゴミが入っていたこと。教科書をゴミ箱に捨てられていたこと。
身動きの取れない状態で射撃練習の的にされたこと。溝に突き落とされて中にあったガラス片で頬を切ったこと。銃を学校にある小さな池に投げ捨てられたこと。
こんな私の話をじっと聞いてくれることが申し訳なく感じて、また涙が込み上げてくる。
人の甘さにつけ込んで、自分の弱さを棚に上げて慰めてもらう。私が悪いのに。
きっと、私が悪いの。
「なんでっ...なんで私が、こんな苦しい思いしないと...いけないのっ......!」
「...」
「私が...私がタマヨだからっ...?」
声を絞り出す。
「私が、狐坂...狐坂タマヨだからっ...?やだ、もう、やだよぉ......」
この時初めて、私は自分の生まれを呪った。
あとがき
タマヨちゃんの苗字は狐坂でーす!どんどんぱふぱふ
キヴォトスでその苗字ということは...どういうことかな?読者サァン...(ねっとり)
お気に入りの子への愛情表現が、泣かせるってヤバすぎでは(冷静)
この作品に足りないものとは...
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このままでいいんじゃね知らんけど
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銃撃戦が少ねぇ!
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タマ虐
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ガチ百合回
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R-じゅうはt(銃声)