「着いたよ。」
先生の引率で連れてこられたのは
「...え、すごい...」
小さな市街地だった。
外から見たら大きなアリーナだったのに、中には小さな街がいくつも...
他の学校の生徒も沢山いるし...こんな所、あったんだ。
もう既に察しが着いていそうな二人はともかく、私は置いてけぼり。
「じゃあ二人ともごゆっくり。」
え?先生どこ行くの?ウイさんもどこ行くの??
おもむろに少し離れたばかりのベンチに二人は腰掛けて、先生がこっちに手を振ってくる。
いや「がんばれー」じゃないんだけど?
「あら...うふふふ...♡」
お姉ちゃんは振り返さないで?
「......はあ...貴方様もお人が悪い...今していることが、どれだけ危険な博打か分かっていられるでしょうに...」
「危険な...博打?何をするつもり?いや、ここで何をするのかは分かってるから...どうして?」
「そんな事を考えてもどうもならないでしょう?ですが、それが先生の判断とあらば...構えなさい。」
こちらに突き出された銃剣が鈍い光を放ち、牙を剥き出しにする猛獣の姿を幻視する。
意味が分からない。勝てるわけが無い。
でも...
「...ふふっ。」
すごく、嬉しい。
「本気で来て。お願い。」
預かっていたらしい先生から返してもらったキセルと殺生石を引き抜いて、
「...私もお姉ちゃんを殺す気で行くから。」
構えて、即座に引き金を引いた。
重く響く火薬の音を皮切りに、姉妹喧嘩?が始まりました。
「う、うわぁ〜...一体、どうなっているんですか?あれ...」
それを少し離れたベンチから眺める私と先生。
「楽しそうだね。」
楽しそう...???
「あっははは!消え失せろ!」
...確かに楽しそうですけど、あんまり健全な笑顔には見えませんね?
タマヨちゃんが、あのワカモに善戦している光景もですが、いよいよ容赦無くあの銃を撃ってますし、マシンガンの方なんて振り回して鈍器に...
少し、見ていて恐ろしいと感じます。
「...先生としてすごく恥ずかしい事なんだけど...」
「は、はい?なんですか?」
「私、生徒のことを何にも知らないし分かってないんだよ。」
「それは...仕方が無いのでは...?私達が少しばかり特殊なのは、知っていますし...」
「それを言い訳にしたら大人として失格だよ。それなら一層、寄り添ってあげないと。」
「はあ...」
生返事で申し訳ないとは思うのですが、それよりも手
「ははっ、興味無かったかな。」
それより今私が聞きたいことに気付いたみたいです。
「ここに来た理由、だよね?」
「はい...一体どうして、二人を?」
「姉妹で交流してもらおうかなって。」
「交流...?」
ちらり、銃弾が飛び交う戦場に目を向けます。
「ドタマぶち抜いてやる!」
「何て活きのいい...ふふ、ふふふふふ...!」
「...先生には、あれが姉妹の仲睦まじいコミュニケーションに見えているんですか?私にはただの生存競争にしか見えませんよ?」
「普通は人それぞれだから...なんて冗談は置いといて、一つだけタマヨとワカモ...二人の衝動を抑える手段を思い付いたから。」
「その手段というのが、コレ...?」
「うん。ワカモってさ、私と居る時は大した問題を起こさないんだよ。それが偶然なのかもしれないけど、きっとそれって満たされているからなんだよ。」
「満たされて...?じゃあなんですか、タマヨちゃんの衝動は、ある種の欲求不満のようなもので、それは発散させられる、と?」
「同じ力同士がぶつかれば、威力は相殺されるものでしょ?事実、気兼ねなくぶつかり合える身近な相手としてはこれ以上無いくらいだと思うんだけど。」
どこまで本気で言っているんでしょうかねこの人。
近すぎず遠すぎず。
近ければ身体能力の差で一巻の終わりだし、遠ければお姉ちゃんの銃の距離。
少し顔を出しただけで眉間に弾丸をぶち込まれた時はさすがに冷や汗が止まらなかった。
遮蔽物が多くあるせいでお姉ちゃんの姿を常に捉える事は出来ないけど、煙が居場所を教えてくれる。
殺生石は弾の装填に時間が掛かるからしていないけど、妲己のリロードはまあ早く終わる。
終わるけど、その数秒の間でお姉ちゃんはポジションを変えている事がほとんど。
後はたまに...
「そんな気はした。」
回り込んでドスを私の首に突き立てようとしてくるぐらいかな。
私の首に切っ先がわずかに沈み、赤い液体が滲む。
全てが沈み込み、さらに赤を吹き出す前に、殺生石で追い払う。
えぇと、今のが四発目だから...残り二発か。
「良い反応ね。」
待って、何で避けれてるの?ほぼゼロ距離で撃ったんだけど?
そんな疑問を抱く前に、妲己で薄い弾幕を形成し再び距離を取る。
「...さて、終わりにしましょうか。」
なんか嫌な言葉が聞こえた気が...
そんなことを思っていると、お姉ちゃんが弾幕の間を縫ってこちらに接近してくる。
意味が分からないけど、少なくともまずい状況なのは確か。
せめて一矢報いてやろうと覚悟を決め、殺生石のグリップを固く握る。
出来る限り引き付けて、撃つ。
まあこれも避けられたけど、
「もう...一発!」
反動で痺れる腕を無理くり動かしてお姉ちゃんの顔に照準を合わせると、そのまま撃ち抜いた。
「っし!」
今度こそ命中し、面にヒビが入る。
「無駄な事を。」
「あぎっ!」
ただ突然訪れる、腹部への強い衝撃によって思わず膝から崩れ落ちる。
「良く出来ましたと褒めてあげましょう。ですが、しかと結果を受け止めるように。」
突き飛ばされ、押し倒され、目を回している私の顔...のすぐ横にドスが突き刺さる。
...そっか。やっぱり無理だったか。
結局最初から本気でやってくれていなかったけど、最後のあれは紛れも無く私を殺しに来ていた。
それが、力を認められたようで嬉しかった。
お姉ちゃんは...あぁ、先生の制止も振り切ってどこかに行っちゃったみたい。
でも不思議と、前のように必死に探そうとする気にはならない。
きっとまた、拍子抜けするぐらいすぐに会えると思うから。
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