紫煙燻る黒狐   作:とろねぎ

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番外編まとめ
...バレちゃった


 

 

 

久しぶりの百合回だヨ!(百合好き)全員集合!

 

 

 


 

 

 

 

初めは些細なことだった。

 

本当に、他の人に言ったら『え?それだけ?』なんて反応をされるだろうし、きっと本人に打ち明けたとしても覚えてないと思う。

 

いやまあ、うん。元々、密かにだけど好意は寄せてた。

 

だって仕方ないじゃん。身内以外で、初めて私の事を煙たがらずに、快く...かは分からないけど受け入れてくれた人なんだから。

 

古書館に引き篭っては作業ばかりしている人なんだけど、私も私で、仕事が特に無い時は、傍でその作業...本の修繕を見つめてばかりだったの。

 

普段は人の視線には人一倍敏感なのに、私が見つめていても意にも介さず本に向き合ってるその横顔が好きだった。

 

でも、ある日思ったの。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんか、修繕する本(その子)ばかりがウイさんの視線を独り占めして、ずるいなって。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

「...んー......んんー.........んんーっ!

 

「タマヨ?玄関の鍵開いてい...何やってるの?」

 

ソファに寝転がって、クッションに顔を埋めて泳ぐみたいに脚をばたつかせていたらお姉ちゃんが入ってきた。

 

「...んー!なんでもないー!」

 

くぐもった声で叫ぶ私の隣にお姉ちゃんは何も言わず座ってくれる。

 

あの日から、定期的に私と一緒に居てくれるようになって、凄く嬉しいんだけど今は一人で居たい。

 

それぐらい、追い詰められていた。

 

「......っ...〜っ...!」

 

落ち着いたのもつかの間、また...今度は尻尾も一緒に身悶えしている私が、ついぞ気になったのか、お姉ちゃんに起こされた。

 

「どうしたの?どこか悪いとか?」

 

「...なっ、なんでも、ないよっ。お、お姉ちゃんには関係ないじゃんっ。」

 

ツーンと突っぱねてみるんだけど、私の顔をマジマジと見つめると、「あらあらあらあら...!」とどうしてか嬉しそうな声を出しながら口元を覆った。

 

「な、なに...?」

 

「あなたももう、そんな年頃なのね...えぇ、えぇ。みなまで言わなくても分かるわ。」

 

「なにが?」

 

「あなた...相手が誰だか知らないけど...恋、してるのね?」

 

「......んえっ!?な、なんでっ!?」

 

「そのなんで、は、『どうして分かったのか』と聞いていることで良い?簡単よ、だって今のタマヨ、乙女の顔をしているもの。それも、熱烈な恋に燃える乙女の顔...」

 

「...お、乙女って...」

 

「あなたが嫌でなければ、是非ともお相手の名前を教えて欲しいわ。それとも、名前も分からない?もしかして、一目惚れ?あぁ!あなた()なのね!」

 

あなた『も』という言い方に引っ掛かりを覚えたけど、すぐに「あぁ先生のことか」と納得した。

 

いやそれよりも、あ、相手の、名前、かぁ...

 

「そんなの聞いて、どうするの?」

 

「...少しお話するだけだからそう怖がらないで。

もし悪い虫でしたら、命の保証は出来ませんが...

 

お姉ちゃん?聞こえてる聞こえてる。

 

「だからほら、お姉ちゃんに教えて?ね?ね??」

 

...圧が強い。

 

私のために相手が気になるという思いに、野次馬的な興味が混ざってるのバレてるからね?

 

こうなってしまった以上、隠す方が逆効果だと言うことを知っているから、大人しく答えてしまおう。

 

「......ぅ...」

 

「う?」

 

ウイさん...ですっ...!」

 

「あらあら、肝心の名前がさっぱり聞こえなかったわ〜。」

 

わざとでしょぉ!!

 

「うっ、ウイさん!ウイさんが好きなの!!これでいい!?」

 

「あら〜♡」

 

「ぜえ、ぜぇ...っ...!」

 

顔が熱いぃ...顔から火が出ちゃうぅ...

 

「ふふ、顔が茹で蛸みたいに真っ赤ね。それにしても...そう、あの陰気な...」

 

「お姉ちゃんでもそれ以上は許さないよ。」

 

「...ごめんなさい。少し短慮だったわ。」

 

「気を付けてよ、全く...お姉ちゃんだって先生バカにされたら許せないくせに。なんならすぐ武力行使でしょ?」

 

「当たり前でしょう。」

 

「さすがお姉ちゃん。その行動力と愛、素直に尊敬です。」

 

「冗談は程々に、つまりは思いを打ち明けることで悩んでいるのね?」

 

軽口を叩いても、まあ、誤魔化せられないよね。

 

「...ううん、好きって言わなくても良いかなって思ってるんだけど...その、何かプレゼント...したいなって。」

 

「......ぷれぜんと」

 

「うん、プレゼント。」

 

「.........そう...」

 

「ガッカリしてる?」

 

「いいえ。」

 

「尻尾下がってるよ。」

 

「元からよ。」

 

「...助けてくれないの?その、プレゼント選びとか...」

 

「私が助けたら、それは私が選んだプレゼントでなくて?私は別に、あの方へ特別な感情を抱いている訳ではありませんし、タマヨ自身が選ぶのが一番よ。」

 

「......そうかな。」

 

「...はあー...安心なさい、想いを寄せる方からの贈り物を煩わしく思う女がどこにいるのですか。」

 

「どんな思いを込めるかが大事...って?それとも、密かに両思いだとでも言いたいの?」

 

「............これは重症ね。

 

「え?」

 

「なんでもない。じゃあじゃあ、また後で話を聞かせてね、私はしばらく出かけるから。」

 

来たばかりだと言うのに、もう行っちゃうの?

 

「あぁそうだ。タマヨ〜?私、今日一日は帰って来ないから。いい事?()()()帰って来ないし、次来るのはきっと、明明後日の昼過ぎよ。13時頃ね!あと、明日から快晴で良い洗濯日和だと思うから!また来る日を楽しみにしてるわね、うふふふふ♡」

 

「え?な、なに?洗濯??どういうこと???」

 

言うだけ言って背中を見せるお姉ちゃんを引き留めようとするけど時すでに遅し。

 

「...えぇー...?」

 

あれだけ望んだ静寂が、やけに居心地が悪かった。

 

 

 

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