紫煙燻る黒狐   作:とろねぎ

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身の上話って面白くないと思う

 

 

今の所タマヨちゃんが笑ってるよりも、咽び泣いている方が多い件について。これは一体どういうことなのでしょうか(白目)

 

それと誤字報告を頂いて気付いたのですが、クレジットってキヴォトスの貨幣じゃないみたいですね。

いや貨幣ですけど、正確には先生が使えるお金って感じで、キヴォトス人が使うものは円なんだとか...調べた内容が合ってればですけど。

 

私は、雰囲気だけでブルアカを書いている...(ガチ)

 

 


 

 

 

「...ぅあ...」

 

古いインクの匂いで目を覚ました。

 

「ここ...ここって...」

 

古書館の硬いソファで目を覚まして、くあっと伸びをする。

 

ふと目を触ると、昨日剥がれたガーゼとはまた違った、眼帯が付けられていた。

 

「...あれ、どうしてガーゼが剥がれたんだっけ...」

 

思い出される昨日の記憶。

 

今まで堪えていたものが決壊して、顔面ぐしゃぐしゃにしながらウイさんの胸を涙でびっしゃびしゃにした記憶。

 

「...アッ...あー!は、恥ずかしいーっ!」

 

完全に思い出した私は、ゆっくりと起こしたからだを再び倒し...モゾモゾと悶絶し始めた。

 

ぐにんぐにん

 

ぐにんぐにん

 

遠くから見たらハチャメチャに巨大な芋虫が回っているようにしか見えないだろう。

 

「う〜...うぅぅ〜〜...」

 

獣のように唸っていた巨大黒芋虫が、突然動きを止めた。サナギにでもなるのだろうか。

 

「あ...起きましたか...」

 

「んわぁーっ!!?いったぁっ!?」

 

残念、サナギになる前に木から落ちてしまった。

 

「そんなに驚きますか!?」

 

「...大変申し訳ございませんでした!」

 

「へあっ!?なんて綺麗な土下座!?...いや、やめてくださいよそんな...」

 

「そうですか!...私ごときの頭じゃ足りませんよね!!もういっその事この身も貴方様に捧げます!!よろしくお願いしますっっ!!!」

 

「いやいやいやいや!?何言ってるんですか!?」

 

「死を持って償えと申すのですね!?悦んで!」

 

懐からリボルバーを取り出して首に突きつける。

 

「ちょーーーー!!」

 

今まで見た事もない程の機敏な動きを見せたウイさんに没収されてしまった。

 

「一発で楽になるなんて許さないということですね!?ごべん゙な゙ざい゙ッッ!!もっと苦しみます!」

 

また懐から、今度はマシンピストルを取り出して首に突きつける。

 

「二つ目!?」

 

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!」

 

驚くウイさんを他所に、躊躇無く引き金を引く。

 

「わー!?」

 

「わぎゃあぁーっ!!?」

 

...ことは叶わなかった。

 

ばすっ、という軽い発砲音がして、マシンピストルが撃ち落とされる。

 

「何するんですかいきなりぃぃ!?」(パニック)

 

「じゃあどう償えばいいんですかぁぁぁ!?」(パニック)

 

二人してちょっとしたパニックに襲われて、片方の悲鳴にもう片方が悲鳴をあげて、さらにそれに対して悲鳴をあげて...とちょっとした無限ループに陥っている最中。

 

「償う必要ないですって!...落ち着かないともうあの子たちをお貸ししませんよ!?」

 

「エ...ソレハ...コマル...」

 

「じゃあ落ち着いて、話しましょうよ...!」

 

「ワカ、ワカリ...マシタ。」

 

あの本達が読めないとなると、本格的に死活問題に繋がるので荒ぶる私も落ち着きを取り戻した。

 

そして、二人向き合うようにソファへ腰掛けた。

 

「...」

 

「...」

 

「...銃...拾ってもいい?」

 

「ぇあ、あ、どうぞ......珍しい、ですね。二つ、それも種類の違う銃だなんて...」

 

「...うん。一つは...奥の手...?みたいな...?」

 

一体何を話すというのだろうか。ウイさんって、多分面倒事...それも、人と関わることはしない人だと思ってたんだけど...

 

気まずい空気の中、何も話さないよりかはいいかと思って私の銃には、話のネタになってもらうことにした。

 

「普段は、妲己...マシンピストルを持ってるの。殺生石...こっちのリボルバーは...いざと言う時に使う...みたいな...」

 

妲己を抱えて、背中に指を這わせながらウイさんを見る。

 

ウイさんは、深く呼吸して、平静を装いながら声を出した。

 

「やり返してやろう、とか思わないんですか。」

 

「...」

 

あまりにも直球で来た質問に目を見開く。

 

「いじめ、られてるんですよ、ね...?よく、よくその二つも手入れされているのだから...」

 

「...」

 

言いたいことは分かる。私たちみたいな子供にも銃の携帯を許されているのは、きっと護身用だから。

 

「何回も、何回も思ったよ。」

 

「じゃ、じゃあなんで...!」

 

「でも、やらない。痛いから。」

 

やられたからやり返すなんて、それではまるで理性の無い獣だと思う。それが例え、相手が獣だとしても...

 

「...っ...」

 

ウイさんの顔に雲がかかる。何か...間違えたことを言っちゃったのかな。

 

「...優しいんですね。」

 

「そうなの?...そうなのかな?」

 

「...あのぅ...あなたのこと、もっと...教えてくれませんか...?」

 

「...!?」

 

「な、なんですかぁその顔...」

 

「い、いや、びっくりしちゃった。そんなこと、ぐすっ、初めて言われっ...言われた、からっ...!」

 

「あー!泣かないで!泣かないでください!」

 

「ごめっ、ごめんねっ...こんな、に泣いて、気持ち悪いよねっ...!」

 

ボロボロと涙が手の甲に落ちて弾ける。

 

一度これよりも恥ずかしいことしたからか、ウイさんの前だと冗談みたいに涙脆くなっているのがわかる。

 

「あまり、泣かないでください...」

 

その言葉のあと、手がもう一つの暖かいものに包まれて目に布を当てられる感覚があった。

 

ウイさんの手が、私の手の代わりに涙を弾けさせていた。私の手を守るように、傘のように。

 

「泣き止んで、これで涙...拭いてください。眼帯、取れちゃいますので...」

 

当てられているハンカチを持って、ぐしぐしと涙をぬぐう。勝手に泣いて、ハンカチを汚れるのもいとわずに貸してくれる気遣いと自分への情けなさで余計に涙が出そうになる。

 

でも、それじゃダメなんだと思い出してなんとか涙をこらえる。

 

「ふー...ふー...はーぁ......ウイさん、ありがとう...明日洗って帰すね。」

 

「落ち着いたなら、良かったです。それで、その...」

 

「私のことだよね?わかった。」

 

ハンカチを畳んで膝の上に置く。そして

 

「私ね、お姉ちゃんがいるの。」

 

そう話を切り出した。

 

いつからだったかは覚えていない。ただ一つ確かなのは私とお姉ちゃんの二人で、あの賃貸の一室で暮らしていたことだけ。

 

私と同じ、桜の花のような形のヘイローと真っ黒な髪。それを腰元にまで伸ばしている後ろ姿を今でも明晰に思い出すことができる。

 

声も顔も、もう思い出すことができない。ただ、ひどく穏やかで一緒にいるとそれだけで眠たくなってくるような空気を纏っていた気がする。

 

思い出せないのか、心の奥深くで記憶を押さえつけているのかはわからない。

 

でも確か、事実なのは、私が10歳...四年生のころに突然失踪したことだけ。

 

最初は、たくさんの人が心配してくれていたお姉ちゃん。

 

だけど、いなくなって数日、数週間、もしかしたら数か月後だったかもしれない。その日、私のクラスに、学校に、このキヴォトス中にお姉ちゃんの名前が知れ渡ることになった。

 

七囚人、『災厄の狐』

 

狐坂ワカモ

 

それから私は、『狐坂タマヨ』から『凶悪犯罪者の妹』になった。

 

キヴォトスでの悪がお姉ちゃんだとすれば、学校という小さな不自由極まりない世界での私もまた、悪だった。

 

「そこからは、私が顔面びしょびしょにしながら叫んでいたことだよ。最初の頃こそ、お姉ちゃんの報復なんかを恐れて、極力関わらないようにしていたんだろうけど...」

 

話していると、自分の中でも整理されているのかどこか他人事のように感じてしまう。

 

「どこからか私とお姉ちゃんの間に連絡手段を持っていないという情報が流れてからは、それまでの鬱憤を晴らすように私への直接的な暴力が増えたの。...軽蔑した?」

 

「えぁっ、な、なんで、ですか...?」

 

「狐坂ワカモの妹だよ。私は。あまり世間に詳しくない人でも、お姉ちゃんがどんなことをして、どんな被害が出てるのかぐらい知ってるでしょ?」

 

「タマヨちゃんは...タマヨちゃんです。七囚人とは何の関係もない、ただの本好きな女の子です。」

 

「で、でも...」

 

「でももどうもありません!!」

 

「ピェッ」

 

卑屈でしつこい私に堪忍袋の緒が切れたのか、珍しくウイさんが大声を出した。

 

「あなたはあなた!ワカモはワカモ!何が同じなんですかこの野郎!全く違うじゃないですか!」

 

「え!?あの、ちょっ「あなたのクラスメイトもクラスメイトですよ!あなたのことをよく知ろうともせずに攻撃するとか脳みそ足りてなんじゃないですか!?」

 

「あの...」

 

「ワカモもどうしてこんなに良い子を捨ててどこかに行けるんですかね!!アイツも脳みそどっかに百鬼夜行してんじゃないですか!?」

 

「お、お姉ちゃんのこと、あんまり悪く言わないでっ!」

 

少し、ほんの少し耐えられなかった歪みを、そのまま吐き出した。

 

ウイさんはひどく動揺した顔で私を見つめていた。

 

「あ...ごめん。あのね、お姉ちゃん、私のことを捨てたわけじゃないと思うの。」

 

「それは...どうしてですか...?」

 

「お姉ちゃんがいなくなってから、私の口座...カードに毎月30万円くらい入金されているの。」

 

「それが、ワカ...あなたのお姉さんとはわからないのでは...」

 

「私のカード番号知ってるの、お姉ちゃんだけだよ...?」

 

「...」

 

このあと、お姉ちゃんにもなにかしらの事情があったのかもしれないと納得してくれた。

 

 

 

 

 

 

 

「...それにしても多くないですか?」

 

「まあ......うん...」

 

...

 

......納得してくれたよ?

 

 

 


 

 

 

 

あとがき

 

今回は...タマヨちゃんの銃について話しましょうか。

 

マシンピストルは王道を行く...9mm機関拳銃ですかね。一応日本製のものにしておきました。

マシンピストル好きなんですけど、いかんせんサブマシンガンとの区別が難しいのが...

薄紫色で所々赤い桜の模様があります。名前は『妲己』です。

...妲己?(二度見)...妲己!?(三度見)狐だから...ってコト!?

ノリと勢いだけで名前付けてるのバレるぅ^~

 

リボルバーはS&W500です。(殺意が)太すぎるッピ!

名前は『殺生石』です。(名前の殺意も)太すぎるッピ!

 

ちなみにまだ、というかタマヨちゃん人生の中で、物に撃った事はあるけど、人とか生きているものに向けて撃ったことは一度も無い模様。

 

ちなみに、タマヨちゃんはワカモに対してそう悪い感情は無いです。良い感情もあまりありませんが。

この作品に足りないものとは...

  • このままでいいんじゃね知らんけど
  • 銃撃戦が少ねぇ!
  • タマ虐
  • ガチ百合回
  • R-じゅうはt(銃声)
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