紫煙燻る黒狐   作:とろねぎ

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if:災禍

 

 

 

軽くifタマ

バイオレンスタマ

 

 

 

話は変わりますが私のセイア貯金を知りませんか?なんか140連分が消えて、生徒の欄にクロコが居るんですけど...

 

これも全てお前のせいだな!天雨アコ!

 

すり抜けてきやがってこのヨコチチハミデヤンがよ。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

逃げる。

 

「はあっはあっ...!」

 

夜闇に溶け込もうと、月光も届かない路地の奥へと逃げる。

 

「ば、化け物...!」

 

...獲物が逃げる。

 

「行き止まり...!?クソッ...!」

 

 

 

 

 

 

「逃げるな。夜はお前の味方じゃないぞ?」

 

煙を辿って行き止まりの路地に歩き入る。

 

「冷たい闇は私の世界を支配しているから、彼らは私の友人でもある。」

 

奥へ奥へと歩いて、止まる。

 

「だから...隠れているつもりか?」

 

積み上げられたゴミ袋の山に手を突っ込み、無造作に獲物の腕を引っ張りあげる。

 

「このっ...!離しや「黙ってろよ。」がっっ...!?」

 

腹に膝を叩き込めばすぐに大人しくなった。

 

「......あ。」

 

そうして物言わぬ肉塊に近付いたそれを引き摺って、来た道を戻っていた時、鉢合わせた。

 

「目標は?」

 

私と同じように狐の面を付けた人が、首を傾げて私に問い掛ける。

 

「...はい、お姉ちゃん。」

 

べしゃりと手に持っていたそれを、お姉ちゃんの足元に投げ捨てる。

 

「よくやったわ、良い子ね。」

 

「ふふん、楽勝だよ。だって私、一回も、何も逃がした事ないんだから。」

 

自慢げに尻尾をぱたぱた揺らして胸を張る。

 

嬉しそうな私に、お姉ちゃんもまた嬉しそうに少し尻尾を揺らすと

 

「さてそれでは...起きなさい。」

 

「おがっ!」

 

足元に転がっていた、それの腹に蹴りを入れた。

 

ひゅー、ひゅーと何とか呼吸をしているみたい。

 

「あなたのお仲間は全員、私の及ぶ範囲におります。それを重々承知いただくように、私の質問にお答えください。」

 

「お、脅し、か...?」

 

「うん。脅しだし、これからするのは生易しい質問なんかじゃないよ。」

 

「この、イカれ女共が...」

 

「右脚。」

 

「ん。」

 

お姉ちゃんの指示に素早く、獲物の右脚に、妲己のグリップをハンマーのようにして振り下ろした。

 

「ぎゃああぁぁっ!!!?」

 

鈍い音と悲鳴が路地に木霊する。

 

真っ赤に晴れた右脚、折れては無いみたい。折れないように調整したから...

 

...まあ、ヒビ程度に。

 

「静かに。今度は指を一本ずつ圧し折りますわよ。それも、二度と治らぬよう粉々に。今あなたに出来る事が何か...よくご理解いただけましたか?」

 

「...!...!!」

 

壊れたおもちゃみたいに首を振る獲物に、お姉ちゃんがペンと地図を差し出す。

 

「この地図に、この地区に点在するあなた方のお仲間の拠点...その場所をマークしなさい。」

 

「な、なんの話を「左脚を折りなさ」わ、わかった!わかったからやめてくれ!」

 

震える手で歪な丸印を付けていく獲物。

 

ペンを置いた直後、地図を拾い上げたお姉ちゃんは指を丸印一つ一つに指を置いて...動きが止まった。

 

そして、今にも這いずって逃げそうな獲物の左手を踏み付けた。

 

「な、なんでだよぉ!!??ちゃ、ちゃんと、やったじゃないか!!」

 

「場所を知らないからと言って、数を知らないとでも?ここに書いてあるのは四箇所。あと三箇所あるでしょう?」

 

「な、なんで、それが...」

 

「ふふっ、あの拠点の子達に()()したら、快く教えてくれたよ〜?でも詳しい場所はリーダーしか知らないって言ったから...ね?」

 

「...っは、は...ははっ、はははっ......」

 

しばらくして、銃声が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

お姉ちゃんのいくつ目かも分からない隠れ家に戻って来た。

 

「お姉ちゃーん?シャワー空いたよ?...って、ありゃ。」

 

シャワーを浴びて出てきた私が見たのは、机に広げた地図を苛立たしげに見つめるお姉ちゃんだった。

 

足を組んで、腕も組んで、二の腕を指で小刻みに叩いていた。

 

それでも端麗な素顔を晒してのその姿は、まあ、かなり絵になっていた。

 

「結局、最後の一つだけは教えてくれなかったねぇ。」

 

「きっと大本でしょう。まさか、他の組員にも隠していたとは...」

 

今私たちが追いかけている物は、ヘルメット団とはまた違った、最近大きくなってきた組織。

 

別に私たちに何かした訳じゃないんだけど、不幸にもお姉ちゃんに目をつけられちゃってね。

 

懸賞金もかけられてはいる訳だし、そこに私も加わってる感じ。

 

...こうして居ると、あの時を思い出す。

 

光の下から離れて、仄暗い修羅の道を選んだあの日を。

 

それまでの交友関係が変わったわけじゃないけど、間違いなく私の価値観は変わった、あの日。

 

「......マ...」

 

...今度久しぶりに、古書館、行こうかな。本も読みたいしウイさんにも会いたい。

 

「タマヨ?」

 

「ふおっ!?あ、な、なに?」

 

「話を聞いていなかったのね?もう...じゃあもう一度言うけど、本拠点を探す事は出来る?」

 

「......出来ない、かな。情報が少なすぎる...それに.........私要らないでしょ?だってそれ、その...ふふふっ、あまりにも分かりやすすぎるじゃん?」

 

「でも万が一ということもあるじゃない?いくら他の拠点が、ある一点を囲むように置かれていたとしても、ね?」

 

「これで違ったらお見事って感じだけど、ちょっと大きいだけのチンピラ集団だもん。どうせ他拠点への流通に何かと便利〜とかなんとかで真ん中に位置取ってるでしょ。」

 

「やっぱりそう思う?」

 

「うん。それで、もう最初から頭を潰す?それとも手足から?」

 

「一つずつ潰すのもいいんだけど...そうねぇ...」

 

「?」

 

何か思い悩んでいるお姉ちゃん。

 

シンプルに一つずつ潰した方が私は簡単だと思うんだけど。

 

「花火、好き?」

 

「...花火?」

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

「うぅ...た、高いぃぃ...!」

 

「高い所は苦手なの?じゃあ手を繋ごっ。」

 

バカにするような感じじゃなく、意外な面を見れてラッキー、みたいな微笑みを浮かべて私の手をタマヨちゃんが取りました。

 

トリニティ自地区でも一番か二番目に高い時計塔。

 

そこの上の方に、手すりの着いた如何にも景色を眺めてくださいと言わんばかりの場所。

 

そこに私とタマヨちゃんは、来ていました。

 

どうしてこうなったのかと言いますと、今日の夕方頃に突然タマヨちゃんに『ね!今日の夜空いてる!?』って聞かれたからですね。

 

あまりにも無邪気で、後ろに尻尾を振っている子犬が視えてしまったので承諾しましたが、まさかこんな所に連れてこられるなんててててて...

 

「とうちゃーく!街の灯りが綺麗だね!」

 

「...確かに...そう、ですね。夜の暗さを照らす、ネオンライト...で、ですが、これを見せたかったんですか?」

 

「ううん。」

 

あ、違うんですね。

 

てっきり、この景色を初めて知ったから、私にも教えてくれたのだとばかり...

 

「ねえウイさん?」

 

「え、あ、はい。」

 

「この前さ、『本を盗られた』って...言ってたよね?もうそれは、大きな声でわんわん泣いて...」

 

「あ、あーっ!?そ、その話はしないで下さい...!でも、盗まれた子は...タマヨちゃんが取り返してくれましたよね。」

 

「その時の犯人って、組織に属してる、言わばちょっと大きなチンピラだったの。」

 

「?」

 

話の意図が分かりません。

 

「私ね、どんな嫌がらせを受けても特に気にはしないんだけど、一つ...一つだけ許せないものがあるの。」

 

「は、はあ。」

 

相変わらず何を言いたいのかが理解出来なくて生返事になっていた時でした。

 

 

 

 

 

辺り一帯から爆発が起き、黒煙が立ち上っていたんです。

 

 

 

 

「......え?」

 

「それはね、大事な人を傷付けられる事なの。」

 

「た、タマヨちゃん!?今それどころじゃ...!」

 

「ううん、それどころだよ。ウイさん、この花火を見て?復讐の熱波と黒煙を見て。ねえ、ねえ!」

 

「な、何を、言っているんですか...!?」

 

「私の大切な人を傷付けたアイツらは組織ぐるみで贖罪させてやる。『連帯責任』ってやつだよ。ふふ、あっはは...!」

 

なんか、最近のタマヨちゃんちょっと怖いです...古書館に居る時は前と変わらず、ころころ笑う、どこにでも居そうな可愛い女の子なのに、時々物騒な事を言うんです。

 

「大丈夫だよ。私の友達を泣かせるようなグズは、綺麗に片付けるから。これからお姉ちゃんと大本を潰しに行くの。」

 

手すりの上に立って、まさか、と思う間も無くそのまま後ろに倒れていく。

 

「っ!?待っ...!!」

 

焦って伸ばした手も虚空を掴み、タマヨちゃんは落ちていく。

 

心臓をバクバクと鳴らして下を覗き込んだら、壁に僅かにある突起やら凹凸やらに、器用に手を引っ掛けて降りていく黒い影。

 

「...ほっ」

 

一先ず気が狂ってしまった訳では無いのだと胸を撫で下ろし

 

「......またあの道を...今度は降りるんですね...」

 

憂鬱なことから目を逸らして、いつもよりも少し明るい夜空を見上げました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして明日の朝、例の団体が壊滅したというニュースを見て、私の口から乾いた笑いが出ました。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

ブラックマーケットの、私たちの家。

 

「......あら?...うふふっ。」

 

「どうしたの?何か面白いものが流れて来た?」

 

スマホを眺めていたお姉ちゃんが楽しそうに肩を震わせていたから、私も今読んでいた本に栞を差し込んで声を掛ける。

 

「えぇ、とっても。」

 

「どんななの?教えて欲しいな〜。」

 

「あなた、世間から通り名を貰ってるわよ。」

 

「......通り名?」

 

「タマヨだと示す、けれど『タマヨ』とはまた別の固有名詞...と言えば伝わるかしら。」

 

「あ、いや、それは分かる。あれだよね?お姉ちゃんのアレと同じような。なんで?なんで私に??特に目立ったことしてないんだけど???」

 

「ずっと私の傍に居たから、嫌でも噂にはなるでしょう。『災禍の箱』って。」

 

突然聞きなれない言葉を放り投げられて思考が一瞬固まる。

 

「...『災禍の箱』って、もしかしなくても...私の...?」

 

「『災厄』を呼び寄せる『箱』いつなん時も絶えず『災厄』の傍に在り、『災禍』の中に在る者......まあ分かりやすく言うと...あなた、機嫌を損ねたら(災厄の狐)が飛んで来る爆弾だと思われてるわね。」

 

「えぇー?なにそれ...さすがにいつも一緒ってわけじゃないし、お姉ちゃんだって、すぐ報復に来るほど暇じゃないでしょ?」

 

「............そうね

 

あれ?なんか不安になる返事だぞ?

 

「まあそれだけじゃなくて、あなたのその執念の事も言われているかもね。『災厄』が降り掛かるよりも前に、飛び込んでしまった『災禍』の対処をする必要があるのだから。それも、何処までも追ってくる執念深さを兼ね備えたね。」

 

「まあ...確かに一人を追いかけ回したことはあるけどさ...でもそんなに?」

 

色々納得出来ないところはあるけど...

 

「...どうでもいいや。別に周りからどう見られたって私が変わるわけじゃないんだから。」

 

私が本当にどうでもいいと言った態度でも、お姉ちゃんは気にしていなかった。

 

たぶん、分かってたんじゃないかな。

 

だからってどうという事じゃないんだけど...

 

「......あ、悪い意味で有名人ってことはさ...古書館...もう下手に行けない...?」

 

それは困る。本当に困る。

 

なんなら、死活問題なんだけど...

 

「まあ変装でもして行ったら?」

 

他人事のような言い草だけど、お姉ちゃんはすごく楽しそうな顔をしていた。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

あとがき

 

先に言っておくと続き書くかは分かりません。

 

 

 

 

 

 

バイオレンスタマちゃんルートは、どっかのタイミング...まあワカモと初めての再会を果たした辺りで、「一緒に行く!」とゴリ押したらこうなるんじゃないすか知らね()

 

ワカモは無差別に破壊しまくるのに対して、タマちゃんは琴線に触れた相手一人を執拗に狙います。

 

ワカモより被害は少ないし頻度も少ないですが、目を付けられたら実質的に終わりです。お疲れ様でした^^

 

しかも相手が大物だったりしたら、『妹を助ける善意』8割、『独り占めは許しませんわ』92割のお姉ちゃんも付いてきます。

 

傍から見たらもふもふの尻尾と耳が着いた、自動追跡型核地雷みたいな感じ。

 

被害者はたまったものじゃないけど、タマちゃんから見たら悪人だからね仕方ないね。

 

 

 

 

 

 

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