紫煙燻る黒狐   作:とろねぎ

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私にも嫉妬って感情はあるんだよ...?

 

 

 

 

これは夏エピで...いいのか?

 

本編時空なので普通の友人関係ですが、薄ら百合のかほりがしてしまいました。

 

だからタイトルがちょっと湿り気を帯びているんですね(n敗)

 

内なるスケベが顔を出している

 

 

 

 

 


 

 

 

 

「はあ、はあ...う、ぅぐうっ...!」

 

ふらふら、よたよた。

 

おぼつかない足取りでいつもの場所へ向かう。

 

ぐにゃぐにゃの視界のせいで、何度街灯にぶつかりそうになったことか。

 

でも、それを乗り越えていつもの場所に転がり込んだ。

 

「じ、じぬぅぅぅ...!」

 

「ぎゃーっ!?」

 

バリケードを破壊された、ゾンビ映画のワンシーンさながらの動きで入ったせいで、友達に悲鳴をあげさせることになった。

 

「あ...ウイさんおはよぉ、えへへへへぇ〜...」

 

「ど、どうしたんですか...!?もしかして、誰かに襲われたとか...」

 

「.........い...」

 

「はい?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「あつうぅぅいいぃい...」

 

「......あぁ...」

 

「もうね、最近ね。すぐに排水溝が抜け毛で詰まるわ、すぐにシャツがべちゃべちゃになるわ...もうサイアクぅ...」

 

「抜け毛問題は...タマヨちゃんみたいな尻尾を持つ生徒は...大変、そうですよね。水をどうぞ。」

 

倒れた状態から体を起こして、それでも座り込んだまま差し出されたコップを受け取った。

 

「ありがとう...!んく、んく...ぷはっ!生き返る〜!」

 

体の芯から冷たい水が全身を冷却している感じ。

 

その感覚を存分に味わいながら、もう一度しっかりお礼をする。

 

「いやぁ、最近は本当に暑くて、困っちゃうよね...」

 

「......」

 

何か言いたげなウイさん。

 

「...言わなくても分かるよ。そりゃこんな格好してたら暑いよね。道行く人みんなに二度見されるような服装なんだから。」

 

「もっと...涼しい服とか無いんですか?」

 

「......学校の体操服とか?」

 

「絶対やめてくださいよ?」

 

「ほらそうなる。それに、私だっておめかしして出掛けたいじゃん。着物可愛いじゃん。」

 

「それでもですよ?タマヨちゃんの家からここまで、10分も無いのにここまでボロボロになってるのおかしくないですか?」

 

「ふふ...夏には魔物が潜んでいるんだよ...」

 

「それは是非とも一生引っ込んでいて欲しい魔物ですね。」

 

「本当に、その通り。だからさ、今日はちょっとしたお誘いに来たの。」

 

「あ誘い、ですか?」

 

怪訝な顔の前に、一枚のチラシを突き出した。

 

郵便受けに偶然突っ込まれていたものをそのまま持ってきたせいで、少ししわになっているけどまあ、読むのに問題は無いと思う。

 

「なんかね、D.U.の方で...なんて言えばいいんだろ、新しいプールの施設がオープンするんだって。」

 

「は、はあ...」

 

「最近暑いし、ここいらで一緒に「行きませんよ?」

 

「.........」

 

「そっ、そんな顔してもダメです。」

 

「...私には何も言わず海に行ったくせに。」

 

「ぅ...」

 

「私にはなんにも言わず、事後報告でさ?」

 

「ぐっ...」

 

「シスターフッドの...ヒナタさん?ともまた仲良くなって、新しい友達も出来てさ?ううん、別にいいんだよ?別に、私がウイさんの交友関係に口を出す権利はないんだよ?でもさ、海行ってきますぐらい教えてくれても良かったんじゃないかなーって思うわけ。」

 

「はい...はい...」

 

「ウイさんの中で私がどういう立ち位置なのかは別に聞かないけどさ、でも少なくとも私は大事な友達だと思ってるんだよね。」

 

「ハイ...」

 

「まあつまり、何が言いたいかって話なんだけど。」

 

「ハイ...」

 

「...ちょっと、羨ましいなって。」

 

「ハ......はい?」

 

「てことで行こ!ちなみに拒否権はありません。」

 

「えっ。」

 

「まだオープンまで三日ぐらいあるから、その日に行こうね!」

 

「え、えぇ?」

 

「じゃあそういう事で...また新しい本、増えた?」

 

困惑の色が全く消えないウイさんに、この場にあった目的を話した。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

案の定と言うべきか、やっぱりまた新しいものが増えていて、それを読んでいる最中の事だった。

 

「タマヨちゃん?今、少しいいですか...?」

 

作業に戻っていたはずのウイさんが、横から顔を覗かせた。

 

「さっきの話なんですが......その...」

 

何か言いづらそうな様子で、何が言いたいのか察せてしまった。

 

「あ...やっぱり、嫌だった...?い、いいよ。ごめんね、嫌なら、いいの。」

 

「あ、えっ、そ、そうじゃないです。せっかくですし行きますよ。ですが、一つ気になったことがあるんです。」

 

「?」

 

「......タマヨちゃん、水着...あるんですか?」

 

「もー、さすがの私でも水着くらい持ってるよ!たぶんまだ入るとは思うけど...」

 

「...それも、学校のやつですか?」

 

「うん。」

 

「特に問題ないでしょ?」とでも言いたげな私を見て、ウイさんが目頭を抑える。

 

「...一応、聞きますが...それって、要するにスクール水着ですよね?普通の。」

 

「うん。」

 

一切の疑問も無く頷いたら、今度は頭を抱え込んでしまった

 

「......タマヨちゃん......今度...いえ、明日、水着を買いに行きましょう...」

 

「えっ!?...いいの?だって、ウイさんも用意はあるんでしょ?そりゃ私も、あれはあんまり可愛くないとは思ってたけど...」

 

「いいんです。私......お巡りさんのお世話になりたくありませんから...」

 

「???」

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

そして次の日...

 

私は、ウイさんと一緒にショッピングモールに来ました。

 

煮えちゃうような猛暑の中、ウイさんの日傘に匿ってもらいながら、なんとか屋内に入った。

 

「「あー涼しい〜...」」

 

しばらく冷気を堪能した後、気を取り直した。

 

「じゃあ...ちょっと付き合ってもらおうかな?」

 

服を売っている所へ歩いている途中、遠慮しがちにウイさんが主張した。

 

「あ、わ、私も買いたい物があるので、水着を買ったら...次は、私に付き合って貰ってもいいですか?」

 

「分かった。何買うの?」

 

「少し...洗剤を。」

 

「洗剤?」

 

「水と混ぜると、よく汚れを落とせる魔法の液体が出来るんですよ。」

 

「へえ〜。」

 

 

 

 

 

 

 

『いらっしゃいませ!ごゆっくりどうぞ!』

 

「えぇはい言わなくてもごゆっくりしますよ。だから着いて回るなんて鬱陶しいことだけは絶対にあたっ

 

ぺたんと落とされた手の平。

 

全く痛くはなかったけど、びっくりして軽く悲鳴が出た。

 

「そう威嚇しないでください...なんであの手の店員とかに当たりが強いんですか...?」

 

「あぁいう機械は嫌い。理解出来ないくせに理解しようとするフリは出来るんだから。」

 

「...そうなんですね...」

 

「なんでウイさんが落ち込んでるの?さ、お目当てのものはあるかな〜っと。」

 

どうしてか、少しだけ立ちこめるしんみりとした空気を入れ替えるよう、店内の水着コーナーを物色する。

 

「あ、そういえば、ウイさんのってどんなの?」

 

「ひぁ...き、気になるんですか?」

 

「参考にしたいし、正直ちょっとお揃いにしてみたい。双子コーデってやつ?あ、ちょっと違う?でも少しだけ憧れてたんだ。」

 

「...私とじゃなくて、お姉さんも誘ってやればいいじゃないですか。」

 

「.........ウイさんさ、お姉ちゃんの隣で水着着るのがどれだけ恥ずかしいか分からない?あの発育の暴力とこのちんちくりんが同じ格好してるの恥ずかしいんだよ?」

 

「...なんか、ごめんなさい。」

 

「あ、一つ誤解しないで欲しいのが、別にウイさんと同じ格好なら恥ずかしくないって訳じゃないからね?むしろ嬉しいからやろうとしてるんだし、少なくともちんちくりんって言ってる訳じゃないよ?本当だよ?」

 

「...ふふ、心配しなくても、ちゃんと分かってますよ。」

 

どこかで機嫌を直したらしく、教えてくれるというより持って来てくれるらしい。

 

更衣室で待っているように言われたから、どれに入っているかだけ伝えて待機する事にした。

 

「......まさか、あんなに乗り気になってくれるなんて。」

 

それにしても、ウイさんの水着って想像出来ない。

 

そんなに大胆じゃない...ワンピースみたいな感じかな。

 

それとも、肌が出るのを極端に嫌がって、もしかしたらウェットスーツでも持ってくるのかもしれない。

 

「タマヨちゃん、ですよね?」

 

布の仕切りの向こうから声が聞こえる。

 

「合ってるよー!」

 

「じゃ、じゃあ、これ...たぶん、私と同じものです...」

 

「わー...い!!?」

 

カーテンの隙間から差し出された物を受け取って、確認して、心臓が跳ね上がった。

 

び、ビキニ!?まさかのビキニ来てたの!?しかも何この布面積!?

 

「大丈夫ですか...?」

 

「あっ!?う、うん!?」

 

と、とりあえず着てみようかな!?

 

「ひ、ひえぇぇっ...」

 

「...その格好、日焼けが少し気になったので、私は上に一枚羽織っていましたね。」

 

そ、そっか、一枚羽織るだけでもだいぶ変わるんだ!

 

えぇい!いっそ今来てるシャツをそのまま上に着てしまえ!

 

こ、これで、いくらかマシに.........

 

「...ならないねぇ!」

 

「何がですか!?え、えっと、とりあえず無事に着れましたか?」

 

「...うん。」

 

まあ今は見せて、その後から羽織るものとか、隠すものを探してみようかな。

 

「おまたせ〜...」

 

「待ってませんよ。」カシャシャシャシャシャ

 

「え、ちょっ!写真撮らないで!?」

 

腕で体を隠しながら頼む。

 

ろくに隠せてなかったけど、拒否の姿勢が大事だからね。

 

「あ、すいません。つい......それで、着心地はどうですか?」

 

「めっっっちゃ恥ずかしい。だから上は薄いシャツ着ることにしたけど、問題は下が...」

 

「そう言うと思ったので、色々持ってきてみました。」

 

「え?な、なんか準備万端じゃん。いや、嬉しいけどさ。」

 

「気になるものがあったら、どうぞ。あ、もし選びきれないようだったら、私が選びましょうか?」

 

「うぅーん...」

 

色々あるね。

 

スカートみたいなのとか、ただの布みたいなのとか。

 

自分の感覚としては、やたらスースーするのが気になるんだよね。

 

なんなら、お揃いって事が分かるようにするため、あんまりスカートみたいなのは余計に抵抗がある。

 

そうなると...

 

「...これかな?この、薄紫の。」

 

これを、こーやって、腰の辺りに巻きつければ...

 

「じゃーん!」

 

「これ色だけじゃなく、生地もかなり薄いですよ?若干紫がかるだけで、全く隠せませんが...」

 

「隠しちゃったら揃えた意味ないから良いの。シャツはどうせ、濡れたら透けるわけだし...ん、こんな感じでいいかな。すごい適当だけど。」

 

「じゃあ買ってくるね」と、再びカーテンを閉めて元の服に着替えた私は、それらを抱えてカウンターに向かった。

 

そうして私の買い物が終わったあとは、ウイさんの買い物。

 

まあこっちは買うものが決まってたしすぐ終わって、もう帰宅の時間。

 

「......あつうぅぅい...」

 

「暑い、ですね...」

 

また日傘の中に匿ってもらいながら、控えめな暑さ対策として買った、二人でわけられるタイプのアイス菓子を咥えて歩いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

あとがき

 

スク水タマちゃんとか絶対美味し...可愛い。

旧スクで覚悟決めててくれると余計に美味しい。

 

誰がなんと言おうとタマちゃんは平たい胸族なんだ...普段は気にしてないフリしてるけど本当はエグいくらいコンプレックスに思ってて豊胸マッサージとかネットで漁った知識を試してるんだ...でもそれが希少価値で珍味で美味な事を知っているワカモにそれとなく宥められるんだけど「あなたにゃあわからないでしょうねぇ!!!」って泣いちゃうんだよ。

 

とりあえず何が言いたいかと言うと、アリ夏じゃなくてヴァル夏です。

 

 

 

 

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