紫煙燻る黒狐   作:とろねぎ

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ここでは初めてのプールで大はしゃぎする私について語られる

 

 

 

今更こんな話出して誰が待ってたんです?(素朴な疑問)

うるせぇ書きたかったんだよ黙って付き合え(豹変)

 

アイドルわっぴー☆が欲しかったのでセイア貯金を崩しました。

天井を叩いたのでもうありません。

 

途中でカホが出たので実質セイア引きました。

 

ありがとうございます

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

遠くでセミが鳴く、ゆだってしまいそうな青空の下。

 

「わ...わあ!すごい人!プール広っ!」

 

私は、この上ないぐらいにはしゃいで、浮かれてました。

 

数日前に約束した、D.U郊外に新設したウォーターパークに行くという約束を無事に果たしたわけだね。

 

前日に選んでもらった水着を着て、防水バッグに銃とかお財布を入れてプールサイドをぽてぽて。

 

あ、ちゃんとキセルも入ってるよ?仕事道具だけど、それ以上にお姉ちゃんからの大事なプレゼントだからね。

 

ま、まあ、濡れたらダメになっちゃうんだけど...

 

あぁそれで、約束だからもちろん、私一人じゃないんだよね。

 

「ねえねえウイさん!最初はどこに行こ.........」

 

「あ、づぅぅ...ひ、人多い...やっぱり、来るんじゃ...」

 

その約束した友達を振り返ったんだけど、日傘と仲良しするので忙しいみたいでちょっぴりジェラシー。

 

「えっあ、なにか...言いましたか...?」

 

私の話を聞いていなかったお返しに、私もちょっとしたいたずらをすることにした。

 

「...ウイさんって、楽しみは取っておく派?」

 

「い、いきなりどうしましたか?...えっと、どちらかという...すぐ派?ですかね?」

 

なんの質問かもわかってないのに、ちゃんと答えてくれるところ良いね。

 

「じゃあさ、じゃあさ!早速アレ...楽しんじゃう?」

 

「アレ...?......い、いやいやいや!さ、さすがにあれは...」

 

私の指さす先は、ここ名物の巨大ウォータースライダー。

 

それを理解した瞬間に、物凄い速さ...残像が見えるんじゃないかってぐらいに首を横に振るウイさんが面白くて、一通り見た後...

 

「よーいしょっ。」

日傘をさしてるウイさんを、持ち上げた。

 

「へぅえあっ!?や、やめてくださ...!」

 

「あのスライダー、名物なだけあって評判も中々のものなんだよ?なんでも、楽しすぎて昇天するとか!」

 

「い、嫌ですうぅ!!死にたくありませんんん!!」

 

「あははっ!こーら!暴れないでよ〜!」

 

ウイさんがやけに暴れるせいで、周りの人からすごい見られちゃってるじゃん。

 

「...おぉ、だいぶ並んでるね...」

 

ずらりと頂上へ続く階段に出来ている、長蛇の列。

 

「ぜぇ、ぜぇ...わ、分かりました、からぁ...」

 

口を開けて見上げていると、肩の上から降参の声。周りからの視線に耐え兼ねたみたい。

 

怪我をしないように下ろして、背伸びをしながら日傘を差し出す。

 

「あ、やっぱり私も入れて〜。ちょっと暑い。」

 

「ぎゃああぁぁぁあ!?!?」

 

「わあ、アレ見て。あのスライダーから出て来たよ。すごく速いね!」

 

「は、はい...う、うぅ...あんなもの、誰が作ったんでしょうかね...?お、恐ろし「打ちどころが悪かったら死にそうだね!」

 

「な・ん・で!そういうこと言うんですかねぇ〜...!!」

 

「い、いたたた!!ぐりぐりしないで!ぼーりょくはんたーい!!」

 

「...はあ...暑すぎて、怒鳴る元気もありません...」

 

「あー...うん。そうだねぇ。」

 

こんなに暑いなら飲み物でも買っておけばと後悔したけど、まあ...

 

「......」

 

「へあ...?ど、どうしましたか...?」

 

「...ううん、楽しみだね〜って、思ってただけ!」

 

我慢すればするほど、お楽しみは大きくなるもんね。

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして並ぶこと早一時間半とちょっと...

 

「次の方どうぞ!」

 

「やっと!やーっとだよ!!死ぬ準備は良い!?」

 

「冗談でもやめてください!」

 

「はい!ではまず身長を測りますね!」

 

「じーっとしててよ〜?」

 

係員?のお姉さんたちに身長を計ってもらっていると、二人の後ろの方で、何やら険しい顔をしている人が...ってあれ?

 

「ヴァルキューレのお姉さん?」

 

確か...尾刃さん、だっけ。

 

「局長?この子と知り合いなんですか?」

 

白い髪のお姉さんが尾刃さんに尋ねる。

 

言い方的に、この人もヴァルキューレの...じゃあこっちの、青い髪のお姉さんも?

 

あ、名札かかってる。

 

キリノさんと、フブキさんね。

 

「...みんなでアルバイト?」

 

「残念ながら...こうなんだよ〜...」

 

気だるそうにフブキさんの作った親指と人差し指の綺麗な輪っかを見て、お疲れ様です。と頭を下げておいた。

 

「まあそれはそれで、あなた達の分も楽しむね!」

 

「あ、ちょ、ちょっと!すいません!その事なのですが...」

 

キリノさんに引き止められる。

 

「...?」

 

「身長制限...達してない、ので...このスライダーは、利用出来ません...」

 

「.........はえ?...んっ!」

 

言葉の意味すぐ飲み込んで、今度は耳をぴんと立てる。

 

「よしこれでもう一回!」

 

「は、はい!」

 

...

 

「んー...?」

 

......

 

「これは...おや...?」

 

.........

 

「...2cm足りないです...」

 

ダメでした...

 

「...に、2cmぐらいなんとか...」

 

「規則ですので。」

 

「ひぃん...尾刃局長酷い...」

 

......ちら。

 

...うん、情に訴えかけても無理なものは無理みたい。

 

「じゃあ仕方ないか〜。これで無理して乗らせて、もし怪我したらあなた達の責任になっちゃうもんね。えーと、またね!...ということで、順番が一つ進むね?」

 

「えっ!?う、嘘ですよね!?」

 

何も言わずに、にっこり笑ったまま邪魔になる日傘なんかの荷物を預かって、尾刃さん達にパス。

 

明らかに身長は大丈夫だったからそのままスライダーの...なんて言うの?発射口?に立たせられた。

 

すごい震えてる。

 

「あっ!ああぁっ!あのっ!!わ、わたしししし、た、ただだだの、付き添い、ででででっ...!!」

 

「カウントしていきますねー!」

 

「話聞いてますかねぇ!!?」

 

あまりにも怖がってるから、後ろで待ってる人達の肩が震えてる。

 

「5!」

 

「あ、あばばばば...!!」

 

「4!」

 

「...そうだ!キリノさん!今何時!?」

 

「......1時ですね!」

 

「ありかとー!ところで、カウントしなくていいの?」

 

「あ、そうでしたね!」

 

さて...まさかとは思うけど...

 

「0!!」

 

「そんなベタなああああああ...!!!?」

 

「...あれ?」

 

「わあ、あんな声出せるんだ...見る見るうちに声が聞こえなくなっちゃったや。すごい速いんだね。」

 

「それじゃ私は、下でお迎えしに行かないと!」ってわざとらしく伝えて、降りた。

 

「キリノ!!」

 

「ひゃあっ!?わ、私、うっかり...!」

 

降りる途中、後ろからそんな叱責の声が聞こえてきたけど、それと同時に待ってた人たちの笑い声も聞こえてきた。

 

...ウイさん、怒ってるかな。

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

「し...死ぬかと、思いました...!し、死にました...!」

 

「生きてるよ〜?ふふふっ。」

 

流れの無い自由に動けるプールの中で、げっそりとした顔でプールサイドに座るウイさんを、浮き輪に体を預けて...なんならすっぽりはまって眺めていた。

 

「...無理に何かのアトラクションをやらなくても、こうしてるだけで楽しいね。ウイさんもこっち入ったら?足だけじゃ暑いでしょ。水中って楽だよ。」

 

「私は...あまり、泳ぐのが得意では無いので...」

 

「その身長なら余裕で足が着くし、むしろ私が転覆した時に備えてそばにいて欲しいんだけど。」

 

「え?泳げないんですか?」

 

「うん。なんでか私、泳いでると沈んでくんだよね。周りが前に進んでる中一人だけ下に進んでいた人の気持ちを考えたことある?」

 

「だから浮き輪...なんか、危険もありますしあそこ行きません?」

 

指の先を目で追って、何があるのかを確認。

 

「...キッズプールじゃん。私キッズじゃないんだけど。」

 

「タマヨちゃん何歳でしたっけ。」

 

「今年で12!」

 

「.........」

 

「その目やめよ?『十分キッズじゃないですか〜』とか言うつもりでしょ?こんなやさぐれたキッズが...」

 

『え〜ですから、波のプールを利用しているお客さんは避難を〜。』

 

「......何の音?」

 

「はい?」

 

「聞こえない?何か...放送してる...?」

 

『慌てなくていいから、転ばないようにね。』

 

「波のプール?っていう所で何かあったみたい。」

 

『なんでかって言われたら...うーん...ぶっちゃけ私もよくわかんないんだけどさ。ま、ちゃちゃっと避難しよ〜!』

 

理由が分からない...?

 

しかも今気付いたけど、この声フブキさんかな?

 

理由も分からないのにこんな放送をするのって、たぶん立場が上で厳しい尾刃さんが許すはずもないし...いや、尾刃さんがなにか見つけたのかな。

 

それで今は、説明よりもとにかく客の避難を優先した...そう考えたらまあ、辻褄が合う...のかな。

 

「なんなのか...分かりましたか...?」

 

「...設備の点検だってさ。気にする必要は無いと思うよ......あ、ところでさ、お腹空かない?何か屋台で食べようよ。」

 

「いきなりですね...?確かに、小腹がすいてきましたが...」

 

「じゃあ決まり!」

 

どうしてか、今はこの辺り...水場に居るのは、なんて言うか嫌な予感がした。

 

神経質になってるだけ、っていうのは、私でもわかってるつもり。

 

...だけど、何かあってからじゃ遅いから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

「ここら辺からいい匂いがする...お、あったあった。」

 

柔らかい字体で、自分がどう言った場所なのか主張する屋台の群れが視界に入ってくる。

 

「何か食べたいのある?」

 

「特には...あなたと一緒にします。」

 

「おー?センス問われちゃうね。」

 

だったら、変なもの選べないなぁ。いや、いっそのこととことんゲテモノっぽいのを選んでも...おっ?

 

...たこ焼き?

 

こんなに暑いのにたこ焼きで出店してる所があるの?どういう考え?

 

「ほ、本気ですか?こんなに暑くて、今にも熱中症で倒れてしまいそうじゃないですか...!その中にアツアツのたこ焼き!?そんなの、正気じゃないですよ...!」

 

「だから気に入った!たこ焼き二つくーださい!」

 

「えぇ〜!?も、物好きだね〜?」

 

ひょっこり顔を出したその人...その人たちを見て、

 

「「あっ。」」

 

声が重なった。

 

「フブキさん?だよね?...アルバイト?」

 

「ボランティア〜...」

 

「大変だね、警察学校も。それはそれとしてたこ焼きお願い。」

 

ぴったり二人分のお金を渡す。

 

「はいは〜い。ちょっと待っててね。」

 

「作るの私ですけどね!?」

 

キリノさんも居るみたい。

 

あれ?尾刃さんも居るし、その隣に居るのって...

 

「え、あ...う、ウイさん...こ、これ、私のカバン、持ってて...!」

 

「良いですけど...なんでですか?」

 

「撃っちゃうかも知れないから...!」

 

もうとりあえず押し付けて、両手をぎゅっと固く結んでおく。

 

するとその騒ぎに気が付いたみたいで、尾刃さんともう一人がこっちに出てきた。

 

「ウイにタマヨ、奇遇だね。」

 

「へあ、せ、先生......あ、だからですか。」

 

「うん、もし私が、そーっとそのカバンに手を出そうとしてもはたき落としてね。」

 

「まだ私は嫌な感じがする?」

 

「...殺したいほど...ってわけじゃ、無いかな。ふと道の片隅に猫の死骸を見つけた時みたいな不快感はするけど。」

 

「私は猫だったのか...」

 

先生。

 

私に振り回されて、また、私のために動いてくれた人。

 

あとお姉ちゃんの好きな人。この情報だけはやっぱり外せないね。

 

お義姉さんになるかもって考えたら、ちょっと面白い。

 

「タマヨちゃん?」

 

「わひゃっ!?な、なにっ?」

 

いけない、いけない。少しぼーっとしてたみたい。

 

ウイさんと先生が何かを話してたみたいだけど、それも聞き逃しちゃった。

 

「あの、まだ出来上がるまで時間もあるようですし、その...お、お手洗いに...」

 

「ん、トイレ?いいよ!行ってらっしゃい!あ、カバンはそのまま持ってて!」

 

「なんでそうもドストレートな言葉に直しちゃいますかね!?行ってきます!」

 

「...そういえば尾刃さん、さっき避難指示を出すようフブキさんに伝えた...んだよね?何があったの?」

 

「私だけ苗字...」

 

「もしかして、カンナさんって呼んだ方が良かった?」

 

「いや、大して差は無い。」

 

「名前で呼んであげてね。」

 

「せ、先生!...こほん、何があったと言われても、これは...信じられないと思うので...」

 

信じて貰えないような話だから、という以外に、私が警察でもない一般市民って言うのも渋る理由なのかな。

 

「まあまあ、話すだけ話してみたら?私たちと違って、彼女はある程度自由に動けるわけだし、事情を知ってる人は一人でも多い方がいいでしょ?」

 

「......先生が、そうおっしゃるのでしたら...」

 

そう観念したカンナさんは、はっきりとした声で、でも大きすぎない声で教えてくれた。

 

なんでも、あの流れるプールの中にワニらしきものが居たらしい。

 

「ワニ...そうだね、確かに信じられない。能天気...じゃない。脳内お花畑...でも無い。頭の硬い人とかだったらバカにされそうだね。『お前、下水道にワニが居るって都市伝説信じてるタチか!』って。」

 

「......」

 

「...もしかして、本当に言われた?」

 

なんにも言わない。

 

でも顔はすごく気まずそう。

 

つまりはそういう事だよね。

 

「ごめんね...?」

 

「いえ、むしろあなたの反応の方が不思議なぐらいですので。」

 

もしかして、この人って...かなりの、苦労人?薄らコーヒーの匂いがするし。

 

そんなことを考えていたら、目の前に湯気を出している沢山の球体が。

 

焦げ茶色のソースと黄色いマヨネーズが乗った、なんとも美味しそうなたこ焼き...!

 

「熱くなっておりますので、火傷しないようにお気を付けて!」

 

「わあありがと!じゃあ私、そろそろ行くね。ちょうど向こうから、戻って来たみたいだし。たこ焼きのボランティア頑張ってね〜!」

 

別れを告げて、遠くに見えていたウイさんに駆け寄る。

 

「出来たよ!食べよ食べよ〜!」

 

「そうですね。飲み物も買ってきたことですし。」

 

そうして、どこか適当な日陰になっているベンチを見つけて、軽食を摂った。

 

ありきたりな感想だけど、すごく美味しかった。

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

「...本当に、こんな所にいたのかな...?」

 

食べた後、例の流れるプールをふわふわと流されていた。

 

カンナさんの話を信じていなかったわけじゃない。

 

むしろ、信じていたからこそ今ここでこうして、アホみたいなふやけた顔をして流れてるの。

 

体も小さい、泳ぐ動作もぎこちない。そんな私は格好の餌でしょ?ワニが私に食いつくなら結構。

 

噛み付いてもらうのが歯型も残るし一番手っ取り早いと思う。

 

実害が出てしまえば、まあ経営してる方も本腰を入れて動くしかなくなる。

 

カンナさんから聞いた話によると、一度水を抜いた時にはもう姿が見えなくなってたらしい。

 

そうなると、そのワニは自由に色んなプールを行き来出来るかもしれない。

 

そうなると安全な場所は一気に絞られて、きっと、誰かが怪我しちゃう。

 

別に知らない人なら心は痛まないけど、知ってる人、それも大事な友達だったとしたら耐えられない。だからこその、人間ルアー。

 

「い、いたって何がですか...?」

 

まあ...大事な友達まで一緒に流されることになったのは、想定外だけど。

 

「ん?あーいや、なんでもないよ。それより、流されるの楽しいねぇ。」

 

「足がつかないのが恐ろしいとは思いますけど、落ち着くという意味でしたら、同感です。」

 

「冷たい水の中でふわふわ...ふわぁ...なんだか、眠たくなってきちゃった。」

 

「本当に寝たらダメですよ?」

 

「わかってる。わかってるよ〜...」

 

呑気に会話に夢中になるあまり、私、気付けなかった。

 

「...?」

 

「どうしましたか?」

 

「いや...なんか、足に変な感しょびゃっ!?

 

自分の身に迫る、危険に。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

あとがき

 

思ったより長くなりそうなので分割。

 

でも切るのが遅かったせいで次は短くなる気が...

 

 

 

 

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