この作品は私が思った最後の仕上げとなります。
ガンダムSEED FREEDOMに関する内容は極限まで伏せていますので、安心してご覧ください。
コズミック・イラ74年
第2次連合・プラント大戦はザフト最高指導者のデュランダル最高議長及び連合上層部の軒並み、双方多大な犠牲と引き換えに終結を迎えた。
それから世界はナチュラルとコーディネーターが互いに分かり合うことを目指し、時には対立しながらも一歩一歩確実に歩み寄ろうとしていた。
だが、かつてのコーディネーター至上主義者やナチュラルの反コーディネーター集団"ブルーコスモス"の残党達によるテロが相次ぎ、C.E75では一部の選民主義者達による陰謀で3回目の大戦になろうとしたが第1次、第2次と同じく戦争を良しとしないある人物達により阻止された。
"平和の歌姫"であるラクス・クラインと"歌姫の剣"であるキラ・ヤマト。
最初の大戦中に奇跡的な出会いを果たした2人は所属の違いで一旦は別れるが運命で再び出会い、周囲に支えられながら時に笑い、時に葛藤し、互いを支え合って惹かれ合った。
ゆっくりと時間を掛けて互いの気持ちを確かめ合い、遂に掛け替えのない存在となった2人の英雄。
まだ2人にはやらなければならないことがあった。
C.E76 アカツキ島 マルキオ導師の教会。
かつてのブレイク・ザ・ワールドで破壊された教会は今では復旧されてハウメアの銅像が光を浴びて輝いていた。
その足元には純白のフロックコートに身を包み、胸元にはスターチスの花を挿している緊張の表情をしたキラの姿があった。
教会の中には礼装を着たキラの親友であるアスラン・ザラや自身の部下でもあり、最高の友でもあるシン・アスカと彼女であるルナマリア・ホーク。
自分達にとって兄や姉のような存在であるマリュー・ラミアスやムウ・ラ・フラガ。
むろん彼らだけではない。
イザーク、ディアッカ、メイリン、ヒルダなどキラにとって本当に大事な仲間達がその場にいた。
キラも含めた全員が待つ中、鐘が鳴り始めて教会の扉が開いて一同の視線が向けられ、同時に息を呑んだ。
フォーマルドレスを身に付けたカガリ・ユラ・アスハにエスコートされ、一輪の白い薔薇が飾られた純白のベール、フリルが飾られた純白のエンパイアラインのドレスに身を包んだラクスがいたからだ。
6年の時間の末、キラとラクスは結婚する。
仲間達が拍手と花吹雪で門出を祝福し、カガリにエスコートされながらラクスは両手にブーケを持ちながらヴァージンロードをゆっくりと歩く。
言葉に出来ない美しさの姿のラクスにキラは緊張しながらも微笑み、美しさをより一層引き立たせる化粧をしたラクスも微笑み返す。
そしてキラの左側に立つと祭壇にいるマルキオ導師に向く。
「今日この日、この2人は結ばれます」
マルキオ導師の言葉に耳を傾けるキラとラクス。
「この記念すべき場に立てたことを感謝します。ここに生あることをハウメアに心より感謝し、2人の永遠の愛を共に祈りましょう」
聖書を片手に祝福の言葉を話すマルキオ導師。
「キラ・ヤマト。汝はこのラクス・クラインを妻とし、良き時も悪き時も、富める時も貧しき時も、病める時も健やかなる時も、共に歩み、他の者に依らず、死が二人を分かつまで、愛を誓い、妻を想い、妻のみに添うことを、神聖なる婚姻の契約のもとに誓いますか?」
「誓います」
「ラクス・クライン。汝はこのキラ・ヤマトを夫とし、良き時も悪き時も、富める時も貧しき時も、病める時も健やかなる時も、共に歩み、
他の者に依らず、死が二人を分かつまで、愛を誓い、夫を想い、夫のみに添うことを、神聖なる婚姻の契約のもとに誓いますか?」
「誓います」
キラとラクスの返答にマルキオ導師も微笑み、今度は参列者に話しかけた。
「皆様。2人の上にハウメアの祝福を願い、結婚の絆によって結ばれたこのお二人を神が慈しみ深く守り、助けてくださるよう祈りましょう。ハウメアよ、あなたはご自分にかたどって人を造り、夫婦の愛を祝福してくださいました。今日結婚の誓いをかわした二人の上に、満ちあふれる祝福を注いでください」
マルキオ導師の言葉に2人に光が差し込む。まるでオーブの守護神でもあるハウメアが2人を心から祝福しているかのように、2人の姿は輝いて見えた。
「二人が愛に生き、健全な家庭を造りますように。喜びにつけ悲しみにつけ信頼と感謝を忘れず、あなたに支えられて仕事に励み、困難にあっては慰めを見いだすことができますように。また多くの友に恵まれ、結婚がもたらす恵みによって成長し、実り豊かな生活を送ることができますように。その誓いとして、互いに指輪を交換しあい、誓いの口付けを交わしなさい」
マルキオ導師の言葉に2人は互いに向き合う。友人のミリアリア・ハウがハウメアの護り石が輝く結婚指輪を差し出し、まずはキラがラクスの左薬指に指輪をはめて、次にラクスがキラの左薬指に指輪をはめた。
互いに指輪を交換し、キラは彼女のベールをゆっくりと上げた。幸せに満ち溢れているラクスの瞳は嬉しさのあまり潤い、そんな彼女の美しさに心奪われたキラはそっと彼女の二の腕に手を添えてゆっくりと目を閉じながら引き寄せる。
ラクスもゆっくりとキラに目を閉じながらゆっくりと近づき、幸せ、誓い、全てを乗せながら唇を重ねた。
「ハウメアの祝福があらんことを」
その瞬間、キラとラクスを祝福するかのように鐘が鳴り、拍手が鳴り響き、天井からオオアマナの花びらがフラワーシャワーで礼拝堂を舞い、純白の鳩が飛び立った。
そして再び太陽の光が2人を優しく包み込み、まるでハウメアが本当に祝福しているかのようだ。
「……これからよろしくお願い致しますわ。キラ」
「うん……もう離さない………絶対に1人にはしないよ……愛してる……ラクス」
改めて互いに誓い合うと2人は再び唇を重ねた。
世界はまだ混乱している。
時には戦いを避けられないだろう。
2人にも試練が訪れるだろうが何も不安に感じることはない。
これまでに幾度もなく試練を乗り越えてきた2人ならどんな困難にも立ち向かえるだろう。
それを示すかのようにトリィとトリィブルーも飛び立ち、心から祝福するのであった……………。
以上、機動戦士ガンダムSEED FREEDOM 公開記念短編小説"歌姫と歌姫の剣"でした。
機動戦士ガンダムSEEDが放送されたのは今から22年前、実に20年以上も劇場版を待ち望んで遂に願いが叶いました。
私にとってキラとラクスは青春そのものです。
2人に出会えたことを福田己津央監督をはじめ全ての制作スタッフの皆様に感謝申し上げます。