生まれの呪い   作:バックステージ

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無下限呪術の使い手

五条要は無下限呪術の使い手である。この術式はあの最強、五条悟と同じもので私はその術式が判明して以来から、家の役に立てる喜びで胸を膨らませていた。そしていつの日かあの五条悟と共に戦う未来を決して疑わなかった。そして私にとって運命の日がやってくる。私が初めて術式を扱うお披露目会である。その日には五条家の人々が集まっていた。しかし、私にはただ一人しか見えていなかった。学生の身でありながら、既に特級術師である五条悟。その彼が自分のことを見にきてくれたのだ。彼と同じ術式を持つという幸福、そして自分の輝かしい未来を想像し私は術式を使用した。無下限呪術の基本でもある、無下限の展開。身体の周りに無限を作り出し、無敵の防御を手に入れる技である。初めに深呼吸、ずっとイメージしていた無下限の輪郭を身体に纏わせる。私は自分の術式を発動した瞬間、目の前が真っ暗になった。

 その時の様子は五条悟の六眼によって記録されている。五条要は無下限を三秒間展開したのち、術式の制御を失い気絶。無下限は暴走し、使用者の右足と右腕を捻じ曲げた。それを察した五条悟がいち早く介入し、ことなきを得たのであった。

 病院にて治療を受けていた私の元には多くの人が見舞いに来ていた。しかし、多くの人が口にした「五条家には五条悟がいるから大丈夫」という言葉が私を傷つけた。自分が生まれた家のために役立てると何も疑わなかった。五条悟と同じ術式を持ち、並んで戦える日がいつか来ると思っていた。だが、結局は自分の一人相撲だった。今思い返してみれば気づくポイントはいくらでもあった。幼い頃から私は術式の使用を禁じられていた。親からは、お披露目の時まで我慢するように言われていた。恐らくあれは五条悟と予定を合わせていたのではないかと今ならわかる。五条悟の前でなければ危うくて使えない。もしそうでないなら、五条悟が私なんかのお披露目会に顔を出す訳がないのだ。悔しくて、情けなくてたまらなかった。そのことを周りの人に話すと彼らは皆笑って言った。五条悟がいるから大丈夫、と。五条悟が存在するだけで、五条家は呪術会に対して貢献しているから、他の人が無理をする必要はないのだと。私はそんなの受け入れられない。私にも何か、どこかで、役立てる。そう信じて、努力を積み重ねる。そしていつか、五条悟を支える呪術師になる。それが私、五条要。

 

土煙の中、現れる彼女の姿が見える。オレのねじれ大砲をものともせずに堂々と。オレはその姿に目を奪われていた。

「祐介、あんたどういうつもりなの」

要は冷たく言い放った。自分が役立つことをするだけだと言った時と同じ、呪術師の言葉だった。オレはどう答えるか迷った結果、正直に打ち明けることにした。それがせめてもの、誠実さだった。

「君に怪我をさせて、嫌われようかと思ったんだ」

「はぁ?何それ」

「オレ達、神木家の都合に君を巻き込みたくなかった。でも君のためにやった訳じゃない。オレが自分のためにやった。」

要は怒りでも呆れでもない表情をすると、自分の身の上を話し始めた。自分の術式、五条悟のこと、そして五条要の夢のはなし。

「私は自分の意思でここにいる。誰かに強制されたりしている訳じゃない。あなたとのことも、私が五条家や呪術界にとってプラスにならないと思ったら私の方から終わりに出来る。だから、あまり私のことを舐めないで」

「ごめん、君のことを馬鹿にした。もう二度としないって誓うよ」

ホントにそうだ。自分勝手に決めて怪我をさせようとするなんて、我ながらアホすぎる。彼女は呪術師で、オレもそうなんだ。この世界で甘えて生きている奴なんて一人もいない。オレもそれに慣れないと。

「お話しは終わったかな」

明一さんは変わらず、柔らかな物腰でオレ達を見つめていた。

「本来であれば神木くんの軽率な行動に説教をするところだけど、急用が入った。任務だよ、二人とも。ちょうど動ける格好だし出かけるとしようか」

「任務?これからですか?」

要は少し戸惑いつつも、準備万端という様子だった。

「そうだよ。今からすぐ、島根の呪術師に休みはないよ〜」

「今からどこに行くんですか?」

オレの質問に明一さんは一息置いて答えてくれた。

「今から、近所にある古墳にいきます!」

「「古墳!?」」

初めてオレと要の息がピッタリあった瞬間だった。

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