生まれの呪い   作:バックステージ

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擦り合わせ

黒色の車に押し込められた4人。運転席にレン先生、助手席に明一さん、後ろにはオレと要。古墳目指してドライブ中。オレは要と仲直りしたばかりでなんだか気まずい空気が流れる。そんな空気を読んでくれたのか、明一さんが話をふってきてくれた。

「今思えば、私の自己紹介はあっさり済ませ過ぎましたね。二人とも何か質問はありますか?」

要が手を挙げる

「明一さんは何級の呪術師ですか?」

「私は一級です。はい次」

「お坊さんが呪術師って珍しいんですか?」

オレの質問に少し考えるような仕草をした後

「そうですね。私は別に寺社仏閣の人物を代表しているわけではないので、変なことは言えません。ですが、全体としてなんとなく呪い、呪霊に対する認識の違いを感じます」

「というと、どのような感じでしょうか?」

「呪霊は人から生まれます。今はまだ、我々はこの事実を覆すことができません。つまり、いくら呪霊を祓おうともなんの解決にもならない訳です。結局はまた、人から呪霊が生まれてしまうのですから。」

「でも、そんなの!」

納得できない

「神木くんの言いたいことも分かります。ですが、こちら側の考えとしては大体そのようなものです。呪霊を祓っても根本的な解決法にはならない。であればどうするか。呪霊に対しての解決案。それは共生です。人と呪霊は表と裏。決して切り離せないのであれば、共に生きる道を探すしかありません」

それに要が口を開く。年相応の明るさではなく、呪術師としての冷たさで。

「明一さんも同意見ですか?」

瞬間、車内に緊張が走るが明一さんは気分を害する様子もなく答えてくれた。

「私は彼らに言わせてみれば、異端ですね。私のようなものは、目の前の人に手を差し伸べずにはいられない。自分本位の欲望のために呪術を使う、とんだ俗物です」

また、気まずい沈黙が車内に帰ってきた。確か、お坊さんの目的は欲望を捨て去り、悟りを開くことだったはず。人を助けるために、呪術を使うことを明一さんは躊躇っているのだろうか。

「オレは仏教なんて全然詳しくない。それどころか呪術師にもなりきれてない。まだ心の中が半分一般人の半端者です。でも、オレは明一さんが俗物だなんて全然思いません。」

「神木くん…。なんだか気を使わせてしまいましたね。それじゃあ、次の質問何かありますか?」

「はい!はい!しつもーん!」

声の主は運転手のレン先生だった。

「いや、貴方は初対面でもないでしょう」

「え〜、こういう時じゃないと聞けないことってあるじゃないですか?!」

「わかりましたよ、何ですか?」

明一さんは呆れながらも楽しそうにしている。

「丁度授業やったし、いいタイミングだから聞きますけど、明一さんって呪力は一体どこから来ると思ってます?」

「貴方の好きな神話説の話ですか」 

「いいじゃないですかー!実際の所、どう思ってるんですか?」

「私たちは常に呪力の使い方について考えており、なぜ存在するのかについては悩みません」

隣の要は激しく頷いている。

「レン先生は呪力は何かから与えられたものだと考えていますよね。上層部はそんなものは存在しないと断言、呪術師連中からは興味がないと切り捨てられ、私は…そうですね。少し飛躍しすぎだと感じますね。お話しとしては面白いですが、いかんせん証拠が足りなすぎます。」

想像よりもずっと真面目な答えにレン先生のアフロも萎んでいた。

「き、貴重な意見、ありがとございまーす」

 

そんな会話をしていると、カーナビが目的地周辺であることを告げた。

「まもなく到着です。二人とも気を引き締めるように。今回の任務は、古墳の定期観察です。古墳は墓場という性質上、呪霊を引き寄せます。今回はその調査、難しい任務ではありません。ですが、気を抜かないようにお願いします。」

明一さんの言葉に気合いが入る。オレ達、いやオレに対して緊張し過ぎないように声をかけてくれているんだ。その期待に応える、応えてみせる。準備をしていると、横から脇腹をつつかれる。

「ビビりすぎだぞー」

要も彼女なりにオレのことを気遣ってくれている。そうだ。冷静になって、リラックスしなくては。車が現地に着くとひとりでに扉が開かれた。オレはそこから一歩踏み出す。呪術師、神木祐介としての第一歩だ。

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