種子の護り人   作:わたーめ

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翠の光

 

「本当に・・・大満足だった・・・」

劇場でガンダムSEEDの映画を観終わり、懐かしさと、登場キャラ達のカッコ良さにテレビで見ていた当時の自分なんかも思い出してちょっと涙目になりながらの帰り道。

正直間が空いてうろ覚えの所は多々あったけども、キラ達の活躍は本当に嬉しかった。

 

映画館近くの大衆向けの喫茶店で柄にもなくホットコーヒーを飲みながら電子タバコを蒸し、ひとごころついてから帰路につく。

久しぶりにカフェインを多く摂取したためかなんか動悸がするけど、寝たら治るだろう。ガハハ。

 

一人暮らしの自宅にたどり着き、ベッドへ体を投げ出す。

スマホでSNSを立ち上げると、公開から日にちが余りたっていないからか、映画関連のワードが散見でき、かつネタバレにも配慮がされていて、本当に皆んなが待っていたんだと思うと、自分の仲間が出来たようでとても嬉しい。

この幸せな気持ちも、あと数時間が経てば仕事へ向かう電車で俺の心はダークダガーLよりも黒く染まってしまうんだろうけども。

 

 

ため息を吐きながら目を閉じる。

しっかり、あの物語は終わった。だが、我儘を言うなれば、俺はミーアが好きだったので、回想的なのでも良いから見たかった、、、

それを言ったらステラとかシンの妹とかもか?

でも、満足だなぁ、、、ん?腹痛いなぁー

でも程よい疲れの中、意識は闇の中へ溶け込んで行くのだった。

 

 

 

 

 

 

瞼を閉じて居るのに、外の明るさを感じ、カーテンを閉め忘れて寝たか?と微睡みつつ目を開ける。

「・・・っ!」

強い照明に眼球が痛みを感じ、目を細めながら周囲を観察する。

「どこ?ここ?」

純白の部屋 出口一つ 自身が横たわって居るベット 他には何も無い部屋

早まる心臓の鼓動に脳内が急速に活性化する

「なん、、、拉致?え?なに?」

吐き気すら覚えながら必死現状を把握しようと立ち上がると、視界に違和感を感じとる。いつもの高さではない。そして、

「声が・・・」

自身が発した声がまるで子供声だった。

おそるおそる自身の身体と手を見ると、可愛いおててだなと現実逃避したくなるくらい小さく感じ取った。

 

 

目眩を感じながら思考する。

ありえないが、おそらく最近なにかと見る転生的なものと推察。だって身体ちっさくなってるし。

そして現状は余りよくなさそう。恐らく監禁されており、良くて保護。悪くて実験対象的なあれ。

不安を感じつつたった一つの出口へ向かうもドアノブが無い。押しても左右にスライドさせようにも動かない。顔を見上げるとカードキーで何かする様な機材は見えるが、手は届かない。

 

何か使えるものがないかと周囲と自身の身体を調べる。

着ているものは白い入院患者が着る様な衣服。首にぶら下がるT字型の鉄っぽいなにか。唯一あるベットには枕は愚かブランケットの一つもない。

 

「詰んでるぅ〜」

 

せめて明るく振る舞おうとするも自身の声が震えててさらに悲しくなってしまった。

兎にも角にも情報が欲しい。ここはどこで、いやどんな世界なのか。

自分が生きていた現代の別人なのか夢なのか。

無意識に、胸のアクセサリーを握りしめる。どこがで見た覚えがあるのだが、思い出せないこの謎のT字型アクセ。

31才になって思い出すのが少し難しくなって来てるなと悲観するが、あ、俺今若返ってるわと自分にツッコミを入れる。

 

「つ、、!」

 

夢の可能性に賭けて強く握り締めるも、鈍い痛みが手に広がるだけだった。

眼を閉じて深くため息を吐く。

 

【ーーーーーーーーーーーーーーー】

 

頭に雑音の様なノイズが走る

 

【青ーーーーー清ーなーーーーー】

 

【なぜーーーーここはプラーーーー】

 

酷い増悪の感情、驚愕と恐怖、痛み、死への、、、

 

「なっなんなんだよ!」

 

眼を開け周囲を見るも変化は、、、胸のアクセサリーが淡く翠色に発光している。暖かくも何処か危うさを感じるこの光は、、、

 

「!?」

 

外から怒号と悲鳴、大きな破砕音と、創作物でしか聞いたことの無い、銃撃音が鳴り響き、目の前のドアに何がぶつかった後、隙間から赤くドロっとした液体が部屋に流れ込む。

 

「うっ!」

 

強い鉄の匂いに吐き気を感じながら、何処か夢心地にあぁ人の血かと脳が理解する。強いストレスによるPTSTの兆候とも取れるそれを感じていると、部屋の脇、ベットの側に【行かなくては】と感じ素早く向かうと同時、ドアの反対側の壁が吹き飛ぶ。

 

目の前に粉塵が舞い、口元を押さえながら床に伏せ、視界が良くなるまで待つ。心臓が痛いくらいに猛り、今すぐに走り出したいが、【今は違う】と心が叫んでいる。

 

粉塵が落ち着き、吹き飛んだ壁のそばへ行くと外の世界が見えた。

 

「ーーーーーーこれは」

 

何処か見たことのある様なビルやとても整備されていると分かる自然、そして空には・・・

 

「ころ、、、にー??」

 

今まで生きて来て見た事の無い、近い、本当に手を伸ばせば届きそうな【宇宙】が昼の空を映し出して居るタイルの横にまるで観賞用と言わんばかりに外を映す大きな窓があった。

一瞬惚けるものの、近くで銃撃音や悲鳴を聞きとり、外へと駆け出した。

 

「はっはっはっ」

 

どんな状況かもわからない

ただ、ただ、生きるために、死にたくなくて必死に足を動かす。

後ろから聞こえる音や悲鳴に恐怖し眼からこぼれ落ちる涙。

裸足で必死に、遠くに見える【街あるいは都市へ】負けて走る。

ただ、今は生きる為に。

 

 

 

 

 

「どうした?キラ?」

 

桜が散る公園にて、友人がある一方を見つめていた事を不思議に思い、語りかける。

 

「いや、アスラン、なんで・・・も?」

 

キラと呼ばれた少年の肩から機械で作られた鳥が飛び立ち、少し大きめの桜の木の下へ向かう。目で追いかけると・・・

 

「アスラン!大変!人が!」

 

駆け出した茶髪の少年を追いかけ、深い藍色の髪の少年も後を追う。

 

「どうした?キラ!・・・あれは!?」

 

二人が辿り着いた場所では、手足を土で汚し、沢山泣いたであろう腫れて閉じられた目。長い白髪の少女が倒れ伏して居た。

 

 

うつ伏せに倒れる彼女の胸元が、淡く暖かな光って居ると気が付かずに。

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