種子の護り人   作:わたーめ

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災禍の始まりは遠くから小さく、確かに聞こえて来る

C.E.70年、中立国オーブのコロニー・ヘリオポリスへ移住してから二年経ち、このまま何も起きず、平穏な毎日を過ごす事が出来ればと最近思う。

キラは工学を専攻し、カトウゼミには友人が幾人か出来たと嬉しそうに家族での食事の時に話しており、俺含め全員ほっこりした気持ちになった。

 

そうは言っても備えは必要だと、元オーブお抱えモルゲンレーテで働いていた技術者と契約・・・雇用?に1人だけだが成功し、俺の要望通りに機体を少しづつ組み上げてくれている。

多少やりすぎた感も否めないが、自身が大切にする者達だけでも守れるようにと、CEには恐らく登場しなかったエネルギー発生装置に、フレーム。

OSに関してはキラに手伝って貰ったりしたため、若干怪しまれてしまったが、家族を守る為と真剣にお願いしたら信じられないスピードで組み上げてくれた。

あまりの出来に雇用している技術者は悲鳴をあげていたけど・・・

それと並行して、もしも敵味方問わず拿捕あるいは機体の情報が取られる危険性がある場合の自爆機構も取り付けた。

設計的に不可思議な部分がある事にキラは気がついていたが、まさか俺が乗るとも思わず言及はされていない。

 

すまぬ、お兄ちゃん自爆もロマンだって信じてるんだ・・・

アホな事を考えつつ家族で食事していると、臨時のニュースがモニターに映し出された。

 

プラントと「地球連合」において発生した戦争が発端となり、ついには農業用プラント・ユニウスセブンに核ミサイルが撃ち込また事を告げる。

 

転生しても【核兵器】に対しては元日本人として、多大な悪感情を抱いてしまう。あれは憎しみと怨嗟の焔だ。人類の叡智だなんだと言いつつ、自身も滅ぼす可能性を秘めた人間の愚の骨頂。あんな物があるから人間は・・・

 

「兄さん?」

 

キラに呼ばれ、自分が奥歯を噛み締めモニターを睨んでいた事を自覚すると、家族全員が心配した顔で此方を見つめており、大丈夫と告げ、少し気分が優れないと自室へ向かう。

 

思っていたよりも早い。後一年から二年程で事は起きる。

一時多目に稼いだ金はヤマト夫妻へ拒否をされながらいくらか現実的金額を渡し、モビルスーツ作成の為の素材、ある程度の補給品、そして大気圏内へも対応出来る小型艇の開発並びに資材。技術者への給料と知識流出を防ぐ為の賄賂と言う名のボーナスに小国の国家予算に匹敵していた口座には学生が一ヶ月暮らせれば良いくらいしか残っていない。

 

取り急ぎモビルスーツの完成を早める為、作業用ドローンを増大しなくてはならない。兎にも角にも資金が必要である。

最近は戦争の影響か暮らしが豊かになる様な技術は売れず、明らかに兵器に転用出来そうな物しか交渉のテーブルにつく事が出来ない。

背に腹は抱えられない。家族の命を天秤にかける訳にもいかず、なるべく火力や殺傷力の低そうな【技術書】を幾つか作成する。

 

フェイズシフトや艦隊の装甲は貫けぬ、馬鹿な小国向けのレールガン。

ドダイを参考にした、高速移動に繋がるMFSを根幹とした無人航空機。

敢えて完成しない様にされているゼロシステムを参考にした量子計算CPの概要。

 

全て対抗手段を用意しつつ、傭兵や、大国の傀儡とされている国々や軍需企業へ軽く情報を流し、法外な値段で売りつける。

中間に傭兵やジャンク屋、ブローカー等を挟む関係上目減りするが、並行して資材を買い付けて手数料を幾らか軽減する。

 

もっと頭が良ければ上手く出来るのだろうけど、現状信頼出来、頼れる仲間は居らず。機を見てキラには相談するつもりだが今は平穏な学生生活してて欲しい。

俺はたまに街に出かけるニートみたいな生活だが、ヤマト夫妻は優しく全て許してくれている。どうにかオーブにサイクロプスやレクイエムでも耐えられるシェルター付き一軒家(豪邸)を建設中なので!許してほしい!

土地や建設にあたって、メールや電話ではあるがオーブの貴族とちょっと諍いはあったものの、実力(膨大なお金)でなんとかした。

その折、エリカ・シモンズと知り合えたのは僥倖であったが。

 

きっと建設者達はいつもと違う素材に困惑している事だろう。

だってそのシェルターに使ってる素材、ナノマシン入ってるからね、人類の文明ぶっ壊せる奴の。

全てを無に帰すことの出来るナノマシン群はビームやら電磁場による重力兵器も通さないってすごいね。【技術書】が出来上がった時、自分で作ったものの5度見くらいした。いかなる物体(原子も)破壊出来るってしゅごい・・・

 

 

まだ時間はあると自分に言い聞かせ、最近目減りしている睡眠時間のせいか感じる眠気を耐えながら家を出る。

とりあえず我が小さなラボを覗きに行こう。

 

胸のサイコフレームは淡く翠に輝きを放っていたが、トガメは気が付かず、高性能ロードバイクで駆け出すのだった。

 

 

「炉の調子はどう?ちゃんと見えない様にホログラムは出てる?」

 

何重もあるロックとパスワード、生体認証を通り倉庫群の中にひっそりと建つ我がラボにて、トガメはカチャカチャとPCに没頭している者に声をかける。

 

「でえじょうぶ〜てかそもそも屋内だから【粒子】は出ないし。

というか!トガちゃん遅い!もう一週間も来てなかったじゃない!」

 

ぷりぷり怒っている我がラボのメカニック兼ドクター兼社員の女の子は、自身が掛けているメガネがずり落ちるのを気にせずトガメへと詰め寄った。

 

「ごめん、ごめん、資金調達にちょーっとね?」

 

「むー・・・お金は大事だけど・・・トガちゃんに何かあったらオワなんですけど?」

 

「それは、そうかもね?今日は【採血】するから、勘弁して?」

 

「マジ?なら全然おっけー!へへっ!これでまた一歩私とトガメの融合が進むぜぇ」

 

「女の子の発言としてはかなり危ない事を自覚しなよ?【ライラ・ラ・フラガ】?」

 

「その名前で呼ばないで!!私は唯のライラ!それ以外でもなんでもないわ!!」

 

強く否定し、不快を態度で表す目の前の女性。

きめ細かくサラサラの金髪に起伏がしっかりとした身体。

整った顔には強い意志を宿す青い瞳で俺を睨んでいた。

 

「それはそれとして、骨格はもう出来上がってる?【フレーム】の素材と炉の同調率は問題無さそう?」

 

「さらっと流した!ぐぎぎ・・・骨格はもう組み上がってます!後は肉付けとオプション。【あの常識外れの武装】らは現在鋭意作成中です。一ミリでもミスったらこのコロニーが吹き飛びかねないなんて、トガちゃん本当にむちゃくちゃだよぅ。」

 

「ドローンにやらせてるんだから基本大丈夫でしょ?【あれら】のOS書いたのは僕の弟なんだから。ミスなんて起こり得ないけどね。」

 

「いつものブラコンきたぁ〜・・・でも、それがイイ!!」

 

涎を垂らして危ない妄想を開始するライラ。

彼女はとある理由から身体に欠陥を抱えており、【ある遺伝子情報】を売る際に裏ルートから形振り構わず、俺に直接接触して来た。

最初は信用出来なかったが、彼女の欠陥と俺の身体の事情から裏切る可能性は皆無であり、出会った当初は焦燥と諦めが強い彼女であったがいつしか俺のやっかいオタクと言うか、ただの腐女子と言うかなんというか・・・

 

だが、彼女は有用な人材である。

機械工学と医療に精通し、年も近い。現状我がラボ・・・もとい我ら【シルフィード】の中核を成す人物である。今は2人だけだが、キラやアスラン、ラクスやシン達も捕獲・・・もとい勧誘予定だ。特にラクスは絶対に仲間に引き入れなくてはないない。今後の【夢】の為にも、俺が【守りたい】者達の為にも。

 

【シルフィード】は現状独自開発をする小さな軍需ラボである。

規模は小さいがモビルスーツ3機分の格納庫と10人程収容出来る居住スペース、並の兵器では傷つかない装甲ともしもの【バリア】を備えた小型宇宙船が一隻と現在開発中の我がモビルスーツ。キラに託す予定の【あれら】。

その他色々と行っているが割愛。今はこんな所が限界である。

 

【シルフィード】の名前の意味は、俺がキラ達SEEDの子達を守り笑顔にしたいから。種子と言えば世界樹。世界樹の護り人と言えばエルフ。エルフと言えば精霊魔法。エルフの精霊なら土や木のノームやドリアード、風のシルフかで悩み、種子を飛ばすならシルフだし、それをちょっと厨二心を入れてシルフィードとした。

名前決めと設立時にライラに揶揄われ、会社を立ち上げた事しかしらないキラは苦笑いしていたが・・・そんなに悪い名前じゃないよね!?ねえ!!

 

兎にも角にもザフト達がこのコロニーにG兵器を奪いに来るのは時間の問題だ。ヤマト夫妻のオーブへの脱出手段やその他の【準備】の為にも時間がいくらあっても足りない。

 

「ライラ、ドローンを増やすよ、後二年も無い。」

 

「また増やすの!?一機でも見つかったら大変なのに!?」

 

「仕方ない、時間が無いし。あ、ちゃん睡眠時間は確保しなよ?」

 

「毎日2.3時間しか寝れてない人に言われたくありませーん」

 

「む・・・さて!【炉】の調子はどーかなっと」

 

「あ!トガメー!誤魔化すにゃー!!」

 

 

1日も早く、【組み上げて】おかなくては。

 

 

 

 

「はぁ、兄さんは最近どうしたんだろ・・・」

 

声変わりを迎え、さらに美青年として磨きがかかった茶髪の少年は溜息を吐いて、兄に頼まれた【大型機械の基礎OS】をゼミにある休憩室で組み上げていた。

なんともピーキー過ぎる性能に、何故それが罷り通り【動く】のか不思議でならない【これ】は一体なんなのか・・・

それに半ば無理やり入社?バイト?させられた兄の会社はなんの会社なのだろうか・・・なんかベルトコンベアのウイーンて動くやつ作る会社だよーと言っていたが、長い経験から嘘だとキラは見抜いている。

ただ、何故かわからないが、兄は自身の為に動いていると感じる。

誕生日プレゼントに貰ったアクセサリーを優しく握り、あの【どうみても姉にしか見えない】と友人に言われている兄を想い、指をキーボードへ走らせた。

 

「おーい!キラ!ひとりか?みんなでメシくわないかー?」

 

集中していると、ゼミの仲間のトールが声をかけてきた。

 

「ありがとう、ひと段落したら行くから、先に行っててくれる?」

 

「おっけー!」

 

気軽に話しかけてくれた友人にキラ若干、心に影がかかるのを感じた。

自身がコーディネイターである事をいつかは告げねばならない。

今は戦争中と言う事もあって伝える事は出来ていないが、いつか平和になった時は・・・

 

OSの組み上げにひと段落つき、兄の会社へデータ送信しながら、友の待つテラスへとキラは歩き始めるのだった。

 




いっぱい調べたけど、良いキャラ居なかったのでメカニックはオリジナルとさせて頂きました。居てもおかしくはないかな?って感じでよろしくお願いします。

誤字脱字報告ありがとうございます!
多分C.Eの年代等間違えたり、素材名サイコ・フレームとかで間違えたたりするかも知れないので、お暇な方がいましたら気まぐれに・・・
いえ、なるべく違和感なく書けるように頑張ります!

少しでも読んで頂ける方に楽しめるよーに、自分が好きなよーに、かきまぁす!

1日、1〜2話が多分限界なので、夜に覗くくらいが、ちょうどよいかもです!
時間は不定期かつ、お休みの日もあると思っておいて頂けるとよいかもです!
あんまり気張ると長続きしないと思うので、、、

映画編やヒロイン登場まで長いと思いますが、お付き合い頂けると嬉しいですー
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