艦これSS パールハーバーの提督 外伝   作:九九艦爆

2 / 8
過去編 第二話 寄り道

 

提督「ふぅ…」

 

提督のため息の音が部屋に響く。

 

提督「今日は早く終わったな。」

 

少し微笑みながら椅子からすっと立ち上がり、目の前の書類をまとめ隣の机に移す。

 

そして元の机に座り、机の引き出しを開ける。

 

そこには彼の見慣れた青い袴の女性と、赤、黄、緑の袴を着た女性。そして彼が写った写真があった。

 

提督「…すまない」

 

コンコンコン

 

提督が急いで引き出しをしまい、返事をする。

 

提督「入っていいぞ。」

 

??「失礼します。」ガチャ

 

ドアを開け、写真に写っていた青い袴を着た女性が入ってきた。

 

提督「どうしたんだ?」

 

加賀「あの事の続きを聞きたくて…」

 

提督「あぁ、そういえばそうだったな。…続きを話そうか。」

ーーーーーーーーーーーーーーーー

これは提督の過去の話の続きある。中佐(現提督)は太平洋の制海権を安定させるため、真珠湾を奇襲、艦隊と司令部をたたく作戦を命じられた。彼は補佐の佐々木中尉と共に佐世保へ行き、艦隊の加賀たちと合流した。そして単冠湾に向かう道中横須賀に一時寄港していた。

 

~~横須賀湾内、加賀艦橋~~

 

中佐「中尉、すまんがついてきてくれるか?」

 

佐々木中尉「何処かいかれるんですか?補給だけだと思ってたんですけど…」

 

中佐「あぁ、やることがあるからな。加賀、補給の指揮を頼む。」

 

加賀「わかったわ。内火艇下ろせ!」

 

 

~~~横須賀鎮守府~~~

 

中佐「長官、あの手紙はなんだったのですか?」

 

連合艦隊司令長官(大将)「実は君に出撃の前にやってもらいたいことがあって呼んだんだ。」

 

中佐「…なんです?」

 

長官「軍隊に反対している奴らがいるのは知っているな?」

 

中佐「えぇ、先日もおそらくそいつらに狙われましたし。」

 

長官「実は海軍の諜報員が奴らのたまり場が割れたようだ。そこで君には作戦前にそのアジトへ潜入、殲滅をしてほしい。」

 

中佐「なぜ私が?ほかにいい人材がいると思うのですが…」

 

長官「君は海上護衛総司令部に所属する前何をしていたのかね?」

 

中佐「…そういうことですか。わかりました…作戦を教えてください。」

 

長官「よし。陸軍とそいつらがつながっているといううわさもある。下手にほかの奴に頼むよりも直属の君のほうが信用できる…それで作戦だが、明日そのたまり場で集まりがあるようだ。そこに潜入…いや、突入して殲滅してもらいたい。」

 

中佐「殲滅…ですか。証拠など足がつきそうですが…」

 

長官「そこはこちらに任せてくれ。」

 

中佐「いくつか質問をさせてください。まずは武器はどうするんです?」

 

長官「おっと、忘れるところだったな。」ガチャ…ゴト

 

長官が机の引き出しから取り出したのは中佐の持っている丸っこく青黒いM1910ブローニング拳銃とは違い、黒く持ち手に木が使われ、少し角ばった拳銃であった。それは【コルトガバメントM1911】と予備のマガジンであった。

 

長官「これと…そうだな。地下の武器保管庫で『ギャングのお気に入り』と言ってくれ。そうすればいいのをもらえるはずだ。」

 

中佐「わかりました…詳細は?」

 

長官「この任務に関する書類を渡す。この部屋で読み、そこの暖炉で燃やしてくれ。それと…もし君がこの任務で死んだ場合、運悪く交通事故で死亡したことになり、部下の佐々木中尉に君の任務を引き継がせる。」

 

中佐「了解です。書類を…」

 

~~数十分後、横須賀鎮守府地下~~

 

階段を駆け下りる音が響く。ここは一部の人間しか認知していない武器保管庫である。海軍特戦隊や海軍特殊諜報部隊(この部隊は海軍が独自に設立した部隊で陸軍や他国の部隊の情報を集めるため作られたものである。この存在は一部の”海軍の人間”しか認知されていない。)などが利用している。中佐はその保管庫の正面の机で書類を書いている男に声をかけた。

 

中佐「すまない、長官から銃の受け取り許可を得たんだが…」

 

陸戦隊隊員「…何か許可を得たことを証明できるものは?」

 

中佐「あぁ、『ギャングのお気に入り』だそうだが…」

 

陸戦隊隊員「しばらくお待ちください。」ガタ…ガチャガチャ

 

陸戦隊隊員「こちらです。」ゴト

 

中佐「これは…」

 

中佐の前に置かれたのはかなり大きな縦長の箱と弾薬箱のようなブリキの箱であった。そして彼は箱を開け、中身を確認した。

 

その中にあったのは長官の言っていたギャング御用達のサブマシンガン、【M1921トンプソン】であった。特徴的なドラムマガジン、銃身に持ち手がついたアメリカのサブマシンガンであった。

 

中佐「なんでこんなのあるんだよ…まあ、いただいていくよ。」

 

そういって中佐は箱を持ち、階段を上がっていった。

 

 

~~数時間後、加賀艦内~~

 

加賀「え?明日から出張?」

 

佐々木「出港は明日の朝一ですよ?どうするんです?」

 

中佐「仕事はおそらく明後日の早朝には終わるはずだ、何らかの形で合流するよ。それまで指揮を頼むぞ、佐々木。」

 

佐々木中尉「えぇ…」

 

加賀「まぁ、ほとんどは私が執ることになると思うわ、それでいいわね?」

 

中佐「あぁ、もちろんだ。」

 

~~翌日早朝~~

 

《パッパパッパパーパッパパッパパー パッパパッパパッパパーパッパパッパパっパー》

 

加賀「出港用ー意!」

 

加賀航海長妖精「左舷舫い放てー!」

 

~~岸壁~~

 

中佐「…」帽振り

 

中佐「さて、行こうか…」

 

中佐は艦隊の出港を見送った後、車に乗り情報にあった東京湾某所に向かった。

 

~~深夜、東京湾某所~~

 

中佐「まったく、長官も人使いが荒いんだよなぁ…」カチャカチャ

 

中佐「…よし、ガバメントはサイレンサーを付けたし、軍刀…よし。トンプソンは…肩にかけて…と。」

 

中佐は装備をととのえ、ある倉庫に多くの人間が入って行くのを確認していた。しかし、彼はあることに気づいたのである。

 

中佐「やっべ!服装!」

 

そういって彼は自分の体を眺めた。そこには紺色の海軍第一種軍装があった。

 

中佐「目立ちにくいのはいいが…しょうがない、このままいくか。」

 

中佐は人の出入りが落ち着いたタイミングで静かに建物に近づいて行った。

 

中佐(クッソ、外に警備がいるのと鍵がかかって入る場所が正面しかねぇ!しょうがない、正面突破だ!)

 

中佐は側面から正面入り口にかけていった。

 

中佐(警備は四人、中の奴らに逃げられても困る、ガバメントでやるか。)

 

中佐は持っていたナイフを地面に投げた。

 

軽い金属の音が響く。

 

その瞬間一人の兵士が角からすっと現れた。

 

兵士が銃を構えようとした瞬間、中佐の持っていたガバメントが火を噴く。

 

周辺にパンと軽い音がサイレンサーを通して響く。そして兵士が頭から血を出し倒れていく。

 

中佐は一人目の兵士が力なく倒れ始めたのと同時に走り出す。

 

一番近くにいた兵士が気づき銃を構える。その瞬間角からすっと黒い影が通りすぎ、三発の銃弾が彼の持っているガバメントから弾き出される。

 

残りの二人も銃を構え、発砲しようとしたときに片方の男が二発の弾丸を喰らい倒れる。もう一人は弾丸を何とかかわし、中佐に発砲した。

 

パァン!

 

音とほぼ同時に中佐は姿勢を低くして

 

中佐も走っていた方向とは逆に走り出し銃を構えようとするが弾が切れていること気づく。

 

そこで彼は最初に地面に刺したナイフを拾い、体を思いっきり半回転させ、遠心力で敵にナイフを投げた。

 

そのナイフは最後の兵士の鼻先に突き刺さり、後ろに倒れていった。

 

中佐「あっぶね、練度はそんなにっぽいな。一発撃ってたしな、逃げられる前に殲滅しよう。」ガバメントリロード

 

中佐は倉庫の端にあるドアノブに手をかけた。その瞬間、ドアノブがクルっと回った。

 

中佐は焦って逆にドアノブを回し、ドアをあかないようにした。

 

中佐(困ったな、どうしようか…そうだ!)ニヤニヤ

 

中佐は肩にかけていたトンプソンを手に取り、ドアに思いきり射撃をした。

 

そして彼は助走をつけ、ドアを蹴り飛ばし倉庫に入っていった。

 

入った瞬間中佐に向かって無数の弾丸が飛んできた。中佐は焦って目の前にあった遮蔽物に隠れた。

 

??「侵入者だ!殺せぇ!」

 

??「クソ!何者だ!」

 

中佐「貴様らに名乗る必要などないわぁ!」

 

中佐は遮蔽物からトンプソンのみを出し、全力でトリガーを引いた。いわゆるギャング撃ちである。ある程度の距離では威嚇程度にしかならないが今はかなりの近距離、そして密集している目標には効果は大きい。

 

マガジンを打ち切ったところで銃を下げ、リロードする。そして中佐は深呼吸をし、銃を構えながら立ち上がった。

 

目の前にはまだダメージを喰らっていない敵が四人、倒れている敵が六人いた。中佐は素早く銃を構えている二人の頭に銃弾を撃ち込む。そしてほかの八人にも一発ずつ頭に撃ち込む。

 

中佐(すまないな、仕事なんだ…)ダァンダァン

 

倉庫の中が突然静かになる。地面は血の海、死体の山ができていた。

 

中佐はそっと死体の顔を眺める。そこには全く知らない顔がほとんどであった。しかし、中佐でも知っている顔もあった。陸軍の参謀、開戦前の陸軍大臣までもがいたのである。

 

中佐「これは…びっくりだな。」

 

中佐は死体の確認をした後、端の机にあった書類を回収、そそくさと撤退していった。

 

車に戻り無線で暗号を打電、横須賀鎮守府に書類を届けようとしたとき、砲撃音のような音が響いた。

 

中佐が後ろを見た瞬間、倉庫が爆発した。

 

中佐「うおぉ!なんだぁ!?」

 

奥の海岸を見ると、一隻の軍艦らしき艦が見えたが、中佐は気にせず車を走らせて行った。

 

~~数十分後、横須賀鎮守府~~

 

長官「うむ…興味深い資料だな。」

 

中佐「あの…もしかして最後の爆発って…」

 

長官「証拠が残らないよう、水雷艇”千鳥”による艦砲射撃さ。どうだい?驚いただろう。」

 

中佐「もう少しで死ぬとこでしたよ…それで、艦隊と合流はどうするんです?」

 

長官「横須賀海軍航空基地に向かってくれ。夜明けとともに九七艦攻で合流してもらう。」

 

中佐「そういうことですか…やはり長官にはかないませんね。」

 

長官「さぁ、これでお別れだ。無事任務を終えたら、一杯飲みに行くとしよう。」

 

中佐「そうですね…行ってまいります。」ビシッ!

 

長官「…」ビシッ!

 

~~横須賀海軍航空基地~~

 

中佐「なんでお前さんがいるんだ?」

 

橋口 喬少佐(加賀艦攻隊隊長)「特別ある人を運べって言われてたが…まさか司令とはな…」

 

中佐「橋口少佐、君の腕なら問題ないと思うが…たのむぞ?」

 

橋口少佐「おまかせくださいや、司令。」

 

夜明けのオレンジの空に一機の九七艦攻が飛んでいく。これから悲劇が起きることも知らずに。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

加賀「提督…あなたそんなことしてたのね。」

 

提督「あぁ、機密情報だがな。」

 

加賀「というか何者なの?あなた。」

 

提督「いまはただの左遷された提督さ。」

 

加賀「…コーヒーでも淹れる?」

 

提督「あぁ、頼むよ。」

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。