艦これSS パールハーバーの提督 外伝   作:九九艦爆

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過去編 第三話 機動部隊、出撃!

 

提督「これ…なんだ?」

 

提督が不思議そうに隣を見ながら指を指す。

 

加賀「片付けが終わったハンガーにあった陸戦兵器よ。」

 

いつもどうり真顔で答える加賀。

 

提督「なんで執務室にガンラックが置かれてるかを知りたいんだが…」

 

提督の目の前にあったのは銃が十数丁入っているガラスの扉付きのガンラックであった。

 

提督「なぁ、これって内地の執務室にあったやつじゃ…?」

 

加賀「中にはM1918ばー、ぶれん軽機関銃、M1903すぷりんぐふぃーるど、m1917えんふぃーるど、うぃんちぇすたー散弾銃、とんぷそん短機関銃、M3短機関銃、M1カかーびん、M1がーらんどがあると思うわ。」

 

提督「すごい量だなぁ。横の箱には…拳銃と弾薬、後は…手りゅう弾!?おい!執務室を吹き飛ばすつもりか!それより…俺はまだ扱えるとして…あと誰が使うんだ?というかいつ使うんだ?俺ら海軍だぞ?」

 

加賀「艦娘はだいたい使えると思うわ。私は…このM1917りぼるばー?にしようかしら。」

 

提督「手りゅう弾のことはほっとくのね…」

 

加賀「そういえば今日は休みだったわよね?」

 

提督「あぁ、俺がこのままだと過労死するからな。」

 

加賀「それじゃあ、あの時の話の続きをしてもらえないかしら?」

 

提督「いきなりだな…まぁいいさ。」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

1942年11月22日、単冠湾に集結した日本海軍新編第一航空艦隊(一航戦、二航戦、三航戦、四航戦、五航戦)及び護衛艦隊群は同月26日に単冠湾を出港した。

 

本作戦の目標は深海棲艦の太平洋艦隊の基地である真珠湾の泊地機能を破壊、海上戦力を削ぐことである。そして同時にミッドウェー島に攻撃、飛行場の機能を奪うのも目標である。

 

空母機動部隊の攻撃をより効果的に行うため、潜水艦隊中心の前段作戦が遂行中であった。この作戦では潜水艦を真珠湾周辺に派遣、敵艦隊の主力である戦艦、空母の動向を監視、機動部隊に情報を伝えていた。一部の潜水艦には【特殊潜航艇 甲標的】が搭載され、奇襲と同時に攻撃させる予定であった。

 

本作戦ではいかに敵の戦力を削れるか、そしてどれだけ被害を”少なく済ませる”かである。どれだけなくせるかではない、少なく済ませる。これは仕方ないことであった。損害を被る想定ではあるが主力に被害が出ないよう潜水艦隊による陽動作戦を行う予定である。

 

陽動作戦は潜水艦隊と少数の駆逐艦によって行われる。空母機動部隊が真珠湾に空襲する24時間前、駆逐艦隊によるミッドウェー島夜間砲撃を行う。この砲撃はミッドウェー島を完全に破壊はせずある程度で切り上げ、駆逐艦隊は本土方面に離脱。潜水艦隊はマーシャル諸島方面、真珠湾南西に配置、偽造電文を発信、増援と合流し再突入するように見せかける。うまくいけば真珠湾以北にいる艦隊を南に誘致、主力機動部隊の突入を気付かれることなく接近できるであろう。もちろん誘致された敵艦隊には待ち伏せしている潜水艦隊による攻撃で殲滅…という算段である。

 

といったのが前段作戦として進行中である。さらに、主力機動部隊が真珠湾を攻撃したあとの後段作戦としてミッドウェー島攻撃が行われる。これは島にある燃料タンク、桟橋、滑走路の破壊を目的とし、機動部隊の護衛艦隊の戦艦を主力とした艦を使い砲撃する。再突入はせず、十分な損害が与えられなかった場合、撤退時に航空隊を使い破壊する。

 

これらの作戦全てが成功すれば敵の太平洋戦力を大幅に削ぎ、基地を潰すことで行動を制限することが出来る。しかし、大きなリスクを伴うため損害が少しでも出ることは仕方がない…ことなのかも知れない。

 

~~12月4日 太平洋上、赤城艦内~~

 

ここは周りは水平線しか見えない大海原の上。波の音と機関の音。そして一人の男のため息が響く。

 

中佐「はぁ…」

 

??「何か心配事ですか?」

 

中佐の目の前には赤い袴を着た女性が立っていた。

 

中佐「あぁ…赤城か。いや…作戦書を見ていてもな…この作戦は作戦なんかじゃない…完全に運任せの自殺行為だ…」

 

赤城「あなたは今まで同じようなことを何度も切り抜けてきたじゃないですか。今回もきっとうまくいきますよ。」

 

中佐「あのなぁ…俺は確かに無茶は言ってきたが無理は一度も言っていない。だからこそ切り抜けられてきたんだ…だが今回は…」

 

??「へぇ~?海軍兵学校上がりの新人に水雷戦隊指揮をとらせるのが無理ではないと?」

 

後ろからすっと中佐と同じ紺色の第一種軍装を着た中尉の階級章を付けた男が現れた。

 

赤城「中尉、私は加賀さんと一緒に敵巡洋艦隊と砲撃戦をさせられたんですよ?」

 

提督「二人とも落ち着け…あれはどちらも実力があると信じてさせたことで…成功だったろ?撃沈も大した被害も出てないし…てかそんなことより今回は別だ。たとえ本隊である俺らが被害を受けなくても敵艦隊を誘致しに行った潜水艦や駆逐艦はどうなる?無傷ではすまんだろ…」

 

佐々木「そんなに…なんですか?」

 

中佐「そんなに…だ。」

 

赤城「…」

 

中佐「…艦橋へ上がろう。」

 

~~赤城艦橋~~

 

赤城航海長妖精「…あ!お疲れ様です!」ビシッ!

 

中佐「お疲れを言うのは俺の方だけどな…それにしても、これ…なんだ?」

 

航海長妖精「さぁ…海軍の上の方…上層部からの荷物です。横須賀でドック入りしたときからあるんですが…とりあえず置いとけ…だそうです。」

 

中佐「そうか…まあいい。天気が悪いな…視程は?」

 

航海長妖精「五海里ほどです。視界が悪いのは見つかりにくくていいですが…潜水艦は怖いですね。」

 

中佐「ないとは思うが味方艦との距離に気を付けてくれ…」

 

~~12月5日 同所~~

 

中佐「風は落ち着いたが…視界はそのままか。」

 

赤城「この天候じゃ偵察機は飛ばせません。見つかることも見つけることもできないはずですよ。」

 

中佐「…慢心。」

 

赤城「そ…そうですね!慢心はダメ。全力で参りましょう!」

 

中佐「はぁ…大丈夫かよ…」

 

~~12月6日 赤城航空甲板~~

 

荒波の音。雨風の音。海水と雨が飛行甲板を洗う中、ある男が上裸で甲板に座っていた。

 

中佐「…」

 

中佐(この世に神がいるというのなら、この作戦は俺への罰なのか…それとも試練…それにしては無理難題すぎる。罰なら俺だけに与えればいい。赤城や加賀たちを巻き込む必要はないだろ…)

 

中佐「クソッタレェ!ふざけるなぁぁぁ!神なんているもんか!いるんだったら…ッツ!クソォォ!」

 

中佐の声は嵐の太平洋にむなしく消えていった。誰にも届くことなく、である。

 

~~同時刻 赤城艦橋~~

 

赤城航海長妖精「視程6.5海里。風速は北東に40マイル。暴風雨ですね。赤城。」

 

赤城「中佐…風邪ひきそうですね。」

 

赤城航海長妖精「昼ごはんには温かいスープでもつけてもらいますか?」

 

赤城「もうこんな時間ね!ご飯にしましょうか。」

 

彼の声は誰にも、見ている人達にも通じなかった。

 

~~12月7日 加賀艦橋~~

 

加賀「…」

 

加賀航海長妖精「浮かない顔ですね、加賀さん。」

 

加賀「…嫌な予感がするわ。何か…起きそうな予感が…」

 

加賀航海長妖精「私もします。こんな大規模な作戦は初めてですから。」

 

加賀「警戒を厳に。ここで沈むわけには…いかないわ。」

 

~~同時刻 赤城艦橋~~

 

通信妖精「通信です!潜水艦隊からです。」ダッダッ

 

中佐「来たか。何て来たんだ?」

 

通信妖精「『機雷敷設完了』だそうです。」

 

赤城「『我、これより帰投する』がないですね…空母は一隻ですか。」

 

中佐「『敷設準備』ではないから…戦艦は九隻か。問題はもう一隻の空母だな…そんなに遠くには行ってないと思うがな…」

 

赤城「それより駆逐艦隊の攻撃は成功したんでしょうか?同時刻に通信が入る予定ですが…」

 

通信妖精「調べてきますね…」タッタッ

 

中佐「しっかし天気がなかなか回復しねぇなぁ?」

 

赤城「この天候でも航空隊は飛ばせはしますが…二次攻撃隊の稼働率の低下、被弾機の帰還率やそもそもの接敵率もろともダダ下がりします。」

 

中佐「こりゃド近距離で砲撃かますしかないかもな…」

 

赤城砲術長妖精「対地砲撃ですか?腕が鳴りますな!」

 

中佐「うお!お前いたのか…冗談だよ。さすがにできねぇよ。」

 

赤城「…」

 

中佐「どうした?赤城?」

 

赤城「空母が一隻いないってことは駆逐艦隊に向かったって可能性はありませんか?」

 

中佐「可能性はある。だが…周辺にいる空母がもう一隻くらいいるかもしれん…」

 

赤城「可能性はなくはないですが…限りなく低いのでは?」

 

中佐「今はどうすることも…できないがな。」

 

~~12月8日、作戦決行日~~

 

今までの天候とは一変、視程が22マイルまで上がり、風向も向かい風から追い風になった。夜明けと同時に攻撃隊が発進、一時間程度でオワフ島上空に到達、攻撃に入る予定である。

 

艦隊の空母10隻の甲板には航空機が艦戦、艦爆、艦攻の順でびっしりと並んでいる。妖精たちはあわただしく甲板や艦内を走り回り、準備を行っていた。そんな中、航空機がいなくなりさみしくなった格納庫では航空隊の妖精たちが集められ、ブリーフィングが行われていた。

 

赤城「あと数十分で出撃です。皆さん、心してかかってください!」

 

航空隊妖精たち「うおぉぉぉぉぉぉぉ!」

 

~~数十分後、赤城艦橋~~

 

真っ暗で何も見えなかった視界が朝日に照らされ徐々に明るくなっていく。零戦の翼に反射した朝日が艦橋の中へ差し込んでくる。

 

中佐「さて、と…」

 

彼が目を細めながら甲板の航空機を見つめる。

 

赤城「中佐、第一次攻撃隊発艦準備完了、いつでも出せます。」

 

中佐「よし…航空隊、発艦!」

 

中佐の掛け声とともに発着艦指揮所から発艦を指示する青ランプが大きく弧を描いて振られた。

 

先頭に駐機していた制空隊隊長の坂谷少佐の零戦がエンジン音を轟々と鳴らしながら甲板を走っていく。そして甲板が途切れるよりも早く、フッと浮かび上がる。そのあとに続いて制空隊の他の機が上がっていった。続いて水平爆撃隊が発艦していく。今回の攻撃の総指揮である淵田中佐の機体には指揮官機を表す黄色と赤の識別マークが尾翼いっぱいに描かれていた。

 

他の空母からも続々と上がっていった。第一次攻撃隊は210機、それに続き少し遅れて179機の第二次攻撃隊が攻撃を行う予定であった。

 

搭載機が少ない鳳翔には艦載機をすべて艦戦にし、上空直掩を行っていた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

第一次攻撃隊 総数 210機

      

第一集団

 水平爆撃隊 九七艦攻 79機 赤城機×15 加賀×14 蒼龍機×10 飛龍機×10 龍驤機×12 祥鳳機×9 瑞鳳機×9

 

第一集団特別攻撃隊

 雷撃隊 九七艦攻 37機 赤城機×9 加賀機×12 蒼龍機×8 飛龍機×8

 

第二集団

 急降下爆撃隊 九九艦爆 51機 翔鶴機×27 瑞鶴機×24

 

第三集団

 制空隊 零式艦戦 43機 赤城機×9 加賀機×9 蒼龍機×8 飛龍機×6 翔鶴機×6 瑞鶴機×5

 

 

第二次攻撃隊 総数 179機

 

第一集団 

 水平爆撃隊 九七艦攻 66機 翔鶴機×27 瑞鶴機×27 龍驤機×12 

 

第二集団

 急降下爆撃隊 九九艦爆 78機 赤城機×18 加賀機×25 蒼龍機×18 飛龍機×18

 

第三集団

 制空隊 零式艦戦 36機 赤城機×9 加賀機×9 蒼龍機×9 飛龍機×9

 

 

艦隊上空直掩

 直掩隊 零式艦戦 鳳翔機×18

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

中佐「…よし、攻撃隊全機発艦次第反転、補給地点にて第三、第四攻撃に備えるぞ。」

 

赤城「了解です。」

 

戦局を打開する戦果する希望を抱きながら、妖精たちが帽子を振って笑顔で発艦していく航空隊を見送っていた。そんな中一人の男だけは曇った顔で眺めていた。

 

中佐(俺ができることはこんなもんしかないのかもな…あとは…奇跡を祈るしかないか…)

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

提督「また…前置きみたいなので終わってしまったな…」

 

加賀「もうこんな時間…時間が過ぎるのは早いわね。」

 

提督「それは俺といる時間が楽しいからってことかい?」

 

加賀「…帰るわ」ガタッ

 

提督「おい!悪かった!俺が悪かった!だから待って!お願いだからぁ!」

 

 

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