~~真珠湾上空~~
真珠湾の上空三千メートル。二機の零戦が飛んでいる。胴体に赤い一本線を付けた三二型、もう一機は赤の二本線の二二型であった。二機とも後ろに機体と同じ色の細長い布を引きながら飛んでいた。
赤城制空隊隊長”坂谷小佐”妖精「……」キョロキョロ
加賀制空隊隊長”志賀大尉”妖精「……」キョロキョロ
二人の妖精はそれぞれ周りを見渡しながら飛ぶ。
坂谷中佐『今日の演習相手って誰なんです?』
志賀大尉『さぁ?誰なんだか…加賀の姐さん曰く〚実戦より厳しい〛だそうで。』
坂谷中佐『えぇ?そんな腕の立つパイロットなんて…』
そう言いかけた瞬間、機関銃がかすめる音とともに、無線が入る。
加賀『こちら地上管制。坂谷中佐、撃墜判定よ。そのまま300メートルまで降下しなさい。』
坂谷少佐『へ?』
志賀大尉『クソ!太陽を背にしてやがったか!』
??『坂谷少佐、甘いぞ!慢心してるんじゃないかぁ?』
坂谷少佐『もしかして今回の敵って…』
提督withF4F-3『俺だよ!志賀大尉、勝負!』
志賀大尉『げぇ!提督!正気ですかい?!』
提督は二機の零戦の間をかすめ、下へ抜けていく。志賀機は横に散開、ロールしながら提督機の背後を狙う。提督もそれに合わせ二機は交差し、一旦距離が離れる。
志賀大尉『クソ!ローリングシザースか!ゼロは苦手なんだがな!』
志賀大尉は全力で操縦桿を横に切る。
提督『よし、もらったぁ!』
シザースは零戦よりもロール性能がいいF4Fに軍配が上がる。
交差するときに志賀大尉の布が12.7㎜により引き裂かれる。
加賀『地上管制より志賀大尉、撃墜判定。三人とも帰還して。提督、F4Fはいかがだったかしら?』
提督『悪くないんじゃないか?結構曲がるし何より降下性能がゼロにはないからなぁ…』
坂谷&志賀『なんもできませんでした!ハハッ!』
加賀『敵にこんな練度の機がいないことを願いましょう。』
坂谷少佐『絶対いないね、断言できます。』
志賀大尉「まったくでさぁ。いたらたまったもんじゃないよまったく…」
~~一時間後、執務室~~
提督「つかれたので今日は終業します。」
加賀「それじゃああの話をしてもらおうかしら?」
提督「前置き長くなったからって雑くない?」
加賀「メタいわね。」
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1942年、現地時間12月7日午前7時
~~オワフ島北方上空~~
攻撃部隊総隊長”淵田中佐”妖精「そろそろ見えるはずだが…」
朝方の空を攻撃機隊が進む。第一次攻撃隊総数210機がハワイに向かっていた。その後ろには第二次攻撃隊、179機が続いていく。彼らは四機一組できれいな編隊を組んでいる。
淵田中佐「…あれか。」
淵田機通信手「中佐!見えました!オワフ島です!」
淵田中佐「よし、予定どうりこのまま接近する。」
~~第一次攻撃隊外縁~~
第二制空隊(加賀隊)隊長”志賀大尉”妖精「…仕事だ。」フリフリ
志賀大尉がハンドサインで列機に合図を送る。彼が機体を傾け、編隊から離れていく。それに続いて加賀隊の三機も続いていく。
志賀大尉「さぁて、開戦の狼煙でも上げるとするかの!」
志賀大尉の編隊が降下していく。彼らの照準器の中にSBD-3ドーントレスが映る。
操縦桿を握る手に力が入る。照準器に映るドーントレスがどんどん大きくなり、狙いを定め、トリガーを引く。ガガガガという振動とともに視界が赤く光る。
志賀大尉「敵機撃墜、編隊に戻るか…」
加賀隊の四機は何事もなかったように編隊に戻っていった。
~~現地時間12月7日7時40分、オワフ島北端カフク岬上空~~
淵田中佐「よし!作戦開始、”展開”だ!」
淵田中佐が叫び風防を開け、照明弾を打ち上げる。照明弾が白い煙を引きながら、赤く輝く。
展開が下令される。水平爆撃隊と村田少佐率いる雷撃隊は直進、高橋少佐率いる急降下爆撃隊は南進、坂谷少佐率いる制空隊は奇襲じゃない場合に備え、各隊に続いていった。
各隊が分かれ、目標に向かい飛行していく。
~~現地時間7時19分、オワフ島西端カエナ岬上空~~
100機を超える九七艦攻が編隊を崩さず真珠湾へ向かう
淵田中佐「…通信手、突撃を下令!突撃準備隊形に移行!」
後席の通信手が電鍵を叩く。各機に「・・-・・」のト連送が通達される。
「トトトトトト…」《全軍突撃せよ》
艦攻隊の前衛にいる零戦がそっと横に開く。雷撃隊と爆撃隊は二手に分かれる。指揮官機が大きく左右にバンクを振り、先頭の機から攻撃態勢を整えだす。
ハワイ上空はえぐり取ったように雲が晴れている。オワフ島西岸は焦げて皺だらけの山肌である。火山の背なのだ。
上空から鏡のごとく光る湾内。フォード島とヒッカム飛行場との間に、戦艦らしいのが二列縦隊で見える。その前方には大小無数の艦艇、手近なホイラー飛行場には百機を超える飛行機が行儀よくならんでいた。
淵田中佐「突撃態勢が整ってきたな…よし、今か今かと待っている赤城や司令官に通信してやれ、『ワレ、奇襲ニ成功セリ』だ。」
「トラトラトラ」《ワレ奇襲ニ成功セリ》
本来は雷撃隊である村田少佐の隊が一番槍をもらう手筈であったが、トラトラトラが発信された直後に艦爆隊の高橋少佐がサッと翼を翻し、ヒッカム飛行場にダイブしていく。
高橋少佐『各機続け!各自定められた目標を攻撃しろぉ!』
戦闘開始!! 脳内BGM 〈敵艦隊、見ゆ!〉
対空砲火も何もない空を急降下爆撃隊が降下していく。一機、また一機と反転、降下していく。高度が下がるにつれて速度が乗る。
橋口少佐機後部銃手「高度1000…900...800...700...600...550、540、530、520、510、500!機長!」
橋口少佐「ようし!ここだぁぁぁ!投下ぁ!引き起こすぞ!」
白色の九九艦爆の機体の下からスイングアームを伝い、二十五番通常爆弾(250㎏)が降り落とされる。それと同時に機体がふわっと浮き上がる。
一番槍である彼の放った爆弾は、露天駐機している敵機のど真ん中に命中する。ドオオオオンという鈍い音とともに、滑走路から黒煙が上がる。続いていた僚機の爆弾も次々に爆発、敵の飛行場をスクラップの山へと変えていく。
村田少佐「クソ…五航戦の野郎おいしとこを持っていきやがったな。あの爆炎で肝心の敵艦を隠されたらたまったもんじゃない…俺らも行くか…」
村田隊も負けじと飛行場横を通過し、戦艦群に突撃していく。単縦陣で黒煙の中を抜けていく。
村田少佐『各機、高度に注意しろ。湾内は浅い。海面スレスレで投げろよ!』
完全で完璧な奇襲であった。最初に攻撃を行った機が離脱しようとするとき、ようやくチラホラと対空砲火が上がってくる。
村田少佐(ようやくか…練度は低いようだが脅威に変わりはない!今だ!)「投下!」
機体から切り離された魚雷は海面に水飛沫を上げ着水、白い航跡を真っすぐに描きながら敵艦へと向かっていく。
村田少佐「通信手、本機の魚雷は?当たったか?」
村田機通信手「…!!命中です!大きな水柱が!」
村田少佐は振り向かず、フッと表情を緩める。そしてすぐに表情を戻し、周辺を見渡す。
制空隊の零戦が飛行場や艦船を機銃掃射して回っている。爆撃を終えた艦爆隊は旋回、上昇して離脱していく。後続の雷撃隊も後部の機銃で地上を掃射している。
村田少佐はふと地上に目をやる。攻撃隊によるものか、それとも深海のせいかホノルル市街地や周辺の街はボロボロになり、人影が一切なかった。
村田少佐「逃げててくれよ…」
彼はボソッと呟き、集合地点へと向かっていった。
淵田中佐『よし、爆撃隊!各機目標に到達次第攻撃!空中衝突に注意しろ!』
薄い対空砲火が機体の周りを撃ってくる。時限信管の爆発で機体が揺さぶられる。
照準器を覗くと下に見える軍港の建物が流れていく。そして海が見え、攻撃目標である戦艦が映る。ペンシルベニア級のアメリカ戦艦。しかし今はアメリカのものではない。戦艦ル級おそらくflagshipであろう。
淵田中佐「ヨーソロー…ヨーソロー…てーっ!」
レバーを引き、八十番徹甲爆弾(800㎏)が放物線を描き敵艦に吸い込まれていく。
敵艦がグッと浮かび上がる。爆発と同時に艦首と後部が真っ二つに切り裂かれ、黒煙と炎を吐き出しながら沈んでいく。
他の敵艦も次々と爆発、火が付きマストや艦橋が崩れ落ちていく。
真珠湾より北、ホイラー飛行場から煙が上がっているのも確認できた。
淵田中佐(第一次は無事成功…か?主力は...無傷の艦艇はいないか。そういえば空母がいたはずだが…まさか!!)
空母がいないと思った淵田中佐は湾の出口の方向を見る。対空砲を打ち上げながら湾外へ逃げようとする敵の正規空母がいた。
淵田中佐『攻撃隊各機!爆弾、魚雷が残っている機はあるか?敵の空母が湾外へ逃げようとしている。逃すわけにはいかんぞ!』
村田少佐『こちら雷撃隊、全機攻撃終了。損害と被弾機が少し出ている。これ以上敵地上空にいるのは危険だ!撤退を進言する!』
高橋少佐『艦爆隊、こちらも攻撃が終わっている!被弾機が少数、撤退しましょう!』
淵田中佐『了解、各機、定められ地点にて集合、撤退する!』
淵田中佐(さて…司令官にどう説明するか…空母か。面倒だな…)
攻撃隊は数機ごと、小隊ごととだんだん集まっていく。いずれか元の100機以上の編隊に戻っていた。
~~数分後、ミットウェー北方上空~
淵田中佐『各隊、損害を報告せよ。水平爆撃隊は被弾機が数機だ。』
村田少佐『雷撃隊、三機被撃墜。ほかにも被弾機が多数。以上。』
橋本少佐『艦爆隊、一機被撃墜です。こちらも被弾機が…』
坂谷少佐『戦闘機隊、被撃墜なし!被弾機も少ない!』
淵田中佐『よし、第二次攻撃隊に任せる。撤退だ、被害がない機はもう一度出るぞ。』
~~同時刻、赤城艦上~~
通信妖精「第一次攻撃隊より通信、『攻撃終了、帰投する。』です。」
赤城「それだけ?」
通信妖精「そうです…」
中佐「なんかあったな。続報が来るかもしれん、聞き耳を立てとけ。」
通信妖精「ハッ!了解です!失礼します!」ダッダッダッ
中佐「赤城。」
赤城「なんでしょう?」
中佐「湾口には機雷が敷設済み?」
赤城「えぇ。もちろんです。万が一のために周辺に潜水艦が四隻待機しています。」
中佐「よし。少し思ったんだが…航空攻撃で完全に敵中枢泊地を破壊、無力化できると思うか?」
赤城「できます。やってます。今。」
中佐「航空隊を信用するとしよう...戦艦隊突入はやめておこう。」
砲術長妖精「砲戦ですか?腕がなりますなぁ!」
中佐「やらないから…本当だよ?」
~~約一時間後、オワフ島北東~~
第二次攻撃隊隊長”嶋崎少佐”妖精「よし、第二次攻撃隊!作戦開始ぃ!」
風防の中から照明弾が上がる。雷撃隊がいなくなった第二次攻撃隊は水平爆撃隊と急降下爆撃隊の2グループに分かれる。制空隊も追従して分かれていく。
分かれ終わりオワフ島の真上に差し掛かる地点で再び突撃の通信が発信される。
爆撃隊を一番先頭に胴体が真っ赤の九九艦爆が飛ぶ。”蒼龍の赤虎”こと江草少佐の機がいた。
第二次急降下爆撃隊隊長”江草少佐”妖精『母艦より第一次攻撃隊が逃した空母を発見したら急降下爆撃隊は優先して狙え!いなかったら予定どうり攻撃だ!』
蒼龍隊二番機『隊長、敵空母を湾口に発見!ですが様子が変です!』
江草少佐『ん…あれは?』
湾口の少し出たところには傾斜がひどく黒煙を上げながら止まっている空母がいた。
江草少佐『好都合だ、敵空母は沈みかけている!ほかの目標を狙え!』
第二次攻撃隊制空隊隊長”進藤大尉”妖精『制空隊、敵迎撃隊が上がってくるかもしれん。』
湾に近づいていくと地上や敵艦がパッパッと光る。五秒ほどたつと編隊の周りを赤い光と黒煙が包み込む。第一次攻撃とはくらべものにならない弾幕である。時限信管の爆発と赤、緑などのカラフルな機銃弾がヒュンヒュンと機体の周辺を抜けていく。
嶋崎少佐『想像より対空砲火が厚い!このままだと急降下爆撃隊に被害が出る。水平爆撃隊!全機予定より高度を上げろ!対空砲火を引き付ける!』
単縦陣の水平爆撃隊が機首を上に上げ、高度をだんだんと上げながら進む。
江草少佐『艦爆隊全機に告ぐ!突入待て!水平爆撃隊が対空砲火を引き付けてくれる!戦果を譲るのは癪だが安全策をとる!』
こうして激しい対空砲火の中、第二次攻撃が始まった。
~~同日、午後6時 オワフ島北方~~
第二次攻撃隊が終わった後、被弾が少なく疲労が少ない機で第三、第四攻撃を行った。一次、二次で対空砲はほとんど壊滅していた。残りの小型艦艇や湾口設備をかたっぱしから攻撃し、被害を確認。これ以上の攻撃は必要なしと判断された。
赤城「第四次攻撃隊は日没までには収容できます。」
中佐「よし…損害は?」
赤城「艦戦4機、艦爆7機、艦攻5機です。被害は少ないですが…」
第二次攻撃隊が突入したときが一番対空砲火が厚く、被害の半分は二次攻撃隊で起きていた。特に雷撃隊と艦爆隊は敵に極端に接近するために被弾機が多数、帰投はしたが使い物にならなくなった機も少なくはなかった。稼働率は7割程度にまで下がってしまった。
中佐「仕方ない…と言いたいが…」
赤城「作戦は成功です。彼らも無駄死になったわけではありません。」
中佐「よし…切り替えていこう。彼らのためにも。」
淵田中佐「失礼します。第四次攻撃隊の報告を聞いてきました。ホイラー、ハレイワ、エワ、カネオヘ、ベローズ、ハーバース、ヒッカム、フォード。すべての飛行場は復旧に早くても半年かかる被害を与えられました。戦艦八隻と空母一隻、その他艦船をほとんど撃沈、大破まで追い込みました。修理用乾ドック、司令部施設、燃料タンクすべて破壊。使用不可まで吹き飛ばしました。S勝利といったとこでしょう。この中枢泊地は壊滅。機能は完全に破壊、太平洋主力艦隊も壊滅させました。」
中佐「攻撃終了だ。後方の戦艦部隊に通信。『敵中枢泊地を完全に破壊。突入はなし。日没前に合流、ミッドウェー島に向かう。」
通信妖精「了解!打電します。」
中佐「戦闘終了。後段作戦始動!『MI作戦』開始だ。」
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戦闘結果 完全勝利 S
友軍戦力 HI/MI作戦攻略部隊 空母機動部隊
敵戦力 中枢棲姫 飛行場姫×8 その他水上艦多数
友軍被害 航空隊損害少数
敵被害 陸上基地壊滅 水上艦撃沈または大破多数
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~~現在、フォード島飛行場~~
坂谷少佐「怖いな…提督さんって…」
志賀大尉「ホントでさぁ…格闘戦している時も実戦よりも怖かったですよ…」
坂谷少佐「…なんか提督の機体は薄っすらオーラが出ていた気がするんだ…あと鳥の翼みたいなのも見えた。」
志賀大尉「わかります…なんか出てましたよ…」
坂谷&志賀「「怖い…」」ガクガク