~~~~~あらすじ~~~~~~~
真珠湾の奇襲が成功した中佐率いる艦隊は、道中空襲を受けながらも無傷でミッドウェー島に接近。夜間に分離した戦艦部隊によるミッドウェー島砲撃を慣行した。
中佐は夜間になると同時に睡眠をとるため自室で床に就いた。
彼は目をつぶったが、謎の明かりと声に目を覚ますと、考えられない光景が広がっていた。
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中佐「お前は…誰だ?」
振り向いた先にぼんやりと人影が見える。
黒いサメの口のようなものの横に無数の砲が着いたようなもの。その上に黒いセーラー服を着た真っ白の女性が見える。
??「キサマラガワタシヲ…”空母棲姫”トヨンデイルモノ…トデモイッテオコウカ…」
中佐「空母…棲姫?」
中佐は眉間にしわを寄せる。
中佐(空母棲姫…深海の奴らの空母の事のはずだ…なぜ…?)
中佐「お前は…深海棲艦なのか?」
空母棲姫「ソウダ…」
中佐「…」
空母棲姫「ワタシハ…艦娘ヤ人間ガ嫌イダ。帰ル場所ガアッテ、迎エテクレル者ガイテ…」
中佐「…」
空母棲姫「ワタシタチノ居場所ハ…暗クテ、寒クテ、ナニモナイ…海ノ底。ワタシタチハ…居場所ガ欲シイ。」
中佐「…近くにいるのか?」
空母棲姫「…サァ?ドウダロウナ?」
中佐「あくまでも答えないつもりか?」
空母棲姫「フフ…ヤハリキサマハ違ウヨウダナ。」
中佐「…なに?」
空母棲姫「ワカッテイルクセニ…マァ…イイ。」
中佐「…」
空母棲姫「ワタシガキタリユウヲイッテイナカッタナ…単刀直入ニイオウワタシタチノ提督ニナラナイカ?」
中佐「…は?」
突然のことに中佐は動揺する。
空母棲姫「貴様ハ才能ガアル。他ノ人間ニハナイモノモ、モッテイル。ワタシタチトトモニ人間ヲ海カラ追イ出シ…ワタシタチノ海ヲ…居場所ヲ!キサマモ人間ニ不満ガアルハズダ。ワタシタチトトモニ理想ノ世界ヲ作ロウジャナイカ!」
遮るように中佐が口を開く。
中佐「はっ!」
空母棲姫「…?ナニガオカシイ?」
中佐「理想論ばかり述べやがって。確かに不満の一つや二つぐらいあるさ。いやになるときもある。だが仲間を裏切ってまでお前らにつく理由にはならん。何より貴様らと違って破壊しか脳がないわけじゃねぇ。」
空母棲姫「…キサマ…」
中佐「それよりもなぁ!お前えらが一番の悩みの種だ!不満があるからって、罪もない奴らも殺しやがって!」
そういって中佐は腰につけてある銃を取り出し、空母棲姫の眉間に向かって撃つ。
バァン!
中佐「!!」
中佐の前には、空母棲姫の眉間の少し前で空中で止まった弾丸が視界に映る。
薬莢の音がキーンと響く。
空母棲姫「”変ワル”気ハナイヨウダナ。モウイイ…キサマニモ深海ノツラサヲオモイシラセテヤル!!」
視界が一気に暗くなる。
??「…!…さ!…きて…さい!中…起き…中佐!起きてください!」
ぼんやりとした声がだんだんとはっきりしていく
中佐「赤…城?」
赤城「大変です!起きてください!」
中佐はベットから体を起こし、周りを見る。
いつもどうりの司令官私室。
ベットから降りるとき、キーンと音がする。
床を見ると、空の薬きょうが落ちる。
中佐「まさか…」
銃のマガジンを抜き、弾数を見る。
中佐「一発減ってる…」
赤城「なに寝ぼけてるんですか!とにかくきてください!」
~~午前5時 赤城艦橋~~
艦内をあるいていと慌てた妖精たちが走りまわっていたが…艦橋はびっくりするぐらいシーンとしていた。
中佐「これは…」
夜明けの空。いつもはオレンジ色の太陽の光が見えるが、この日は違った。
中佐「赤い空…」
太陽が真っ赤に輝き、異様なほど空全体が真っ赤に染まっている。
薄っすらと赤黒い海面に浮かぶ艦隊は、ぼんやりと赤く照らされていた。
中佐「こんなことで敵は待ってはくれないからな…索敵機発艦、艦攻隊は温存。水上機を全部出すぞ。」
赤城「了解です、各艦に発光信号…」
~~数分後、随伴艦”利根”艦上~~
轟音を響かせ、カタパルトの上で翼を広げる機体があった。
”零式三座水上偵察機”日本海軍では比較的新しく、単葉の偵察機であった。
利根一番機操縦手妖精「発艦するぞ!」
利根甲板員妖精「索敵機一番機、発艦準備!」
カタパルトが海の方向へ回転する。
利根甲板員妖精「射出!」
号令とともに火薬が爆発し、急激に加速した偵察機はレールから外れた瞬間ふわっと浮き上がる。
機体を支えていた台座が、バシャーンと波しぶきを上げ沈んでいく。
他の艦からも偵察機が続々と上がっていく。
~~赤城艦橋~~
提督「この天気...慣れないな。」
赤城「この色じゃ索敵に影響しそうですね…」
??「敵空母がいる可能性があるらしいですね?」
カンカンカンと艦橋に上がってくる足音とともに聞き覚えのある声が聞こえる。
赤城「来ましたか…加賀さん。」
中佐「何故加賀がいるんだ?」
??「赤城さんに呼ばれたんですよ、先…中佐。」
中佐「佐々木か…お前も加賀に乗せてたのか…忘れてたよ。」
空母加賀から艦載機で来た二人が赤城に乗艦した。艦隊の主要メンバーが赤城に集まり、作戦会議が始まった。
中佐「ミッドウェー島への夜間砲撃は成功したようだ…これからは俺たちの番だ。」
赤城「現在、艦隊はミッドウェー島より南西に300km地点に位置しています。このまま西北西、進路290°に向け航行中です。戦艦部隊は予定通りだと本艦隊より北に400km地点に位置していることになるはずです。合流は航行していく進路上2000km先になります。」
佐々木中尉「合流は明日になりますね…今日一日が勝負所ですね。」
加賀「敵艦隊の位置がわからない現状、ただ索敵をするだけでは先手を取られて被害が出るわ。何か手を打たないと。」
中佐「よし、賭けにはなるが…索敵網を思いっきり絞る。艦隊より東は戦艦部隊に任せてる。あとは艦隊の南方、西方、東方だ。」
赤城「それで…賭けというのは?」
中佐「艦隊の進路方向は索敵を捨てる。西方から西南西まで捨てる。これで少しはほかの方向に充てられるはずだ。」
佐々木「それかなり危険じゃあ…?」
中佐「俺だって何も考えてないわけじゃない。作戦開始の前に長官に頼んでおいたことがある。それがうまくいってれば今言った海域はマーシャル諸島、キスカ島から事前に準備した基地航空隊の偵察機が飛んでいるはずだ。本土から引っ張り出して今回の作戦のためだけに用意させてもらってる。」
赤城「それなら…艦隊から南方から東方にかけての海域のみ索敵すればよくなります。」
加賀「そうすれば索敵網を二倍…いえ、三倍には厚くできます。」
佐々木「三倍…かなり正確な索敵ができそうですけど…大丈夫なんですかね?」
赤城「必ず敵の機動部隊は出てくるはず。 加賀さんと私の一航戦の誇り、お見せします!」
~~同時刻、横須賀鎮守府~~
??「さて…そろそろか。」
暗い部屋を一本の光が照らす。その下で大きく、高級そうな机に座っている男が壁掛けの時計を見る。針は1時を指していた。
連合艦隊司令長官「時差は約20時間…向こうは朝の5時くらいか。」
ついこの間までは艦艇が多数停泊していた横須賀も、今ではほとんど出払っており、とても静かであった。
長官(あいつに指揮官を任せたとき、まさかあんなことを言われるとは思っていなかったが…今となっては…だな。)
彼は手元の作戦資料を見つめる。ぼんやりとオレンジ色に照らされた資料には、手配されていた二式大艇の増産、集中配備、補給体制について書かれていた。
本土にある機体、南方にある機体をすべてマリアナ諸島、キスカ島に配置、ミッドウェー島砲撃予定日から最大航続距離の2500km地点まで索敵網を配備、基地から1000km地点に水上機母艦による整備、補給地点を設ける。特に敵機動部隊がいる恐れがあるマリアナ諸島方面には水上機母艦”秋津洲”を配備し索敵網をできるだけ厚くすること。
長官(あいつも生意気に育った…どれだけこの作戦で儂に無茶を言わせる気かわかったもんじゃない。)
長官は少しにやけながら席を立つ。
長官「さぁ…儂が育てた君はどんな活躍を見せてくれるんだ?”池田”中佐…」
~~午前8時 ミッドウェー島南西 赤城艦上~~
艦内の無線が突然流れ出す。トントンとマイクを叩く音の後に、聞き覚えのある声が流れる。
??『…諸君、少しの間でよいので手を止めて聞いてほしい。艦隊司令だ。これから我々は敵空母艦隊と戦闘になる可能性が大いにある。恐れることはない。諸君が日々どれだけ訓練を積み、どれだけの技術を持っているか私は知っている。もちろん、戦死する者が出るかもしれない。しかし、自ら死に向かって行動することだけはどうかやめてほしい。我々は敵空母を沈めに今ここにいるわけではない。無事帰投するのが現在の任務だ。あまり長話をすると支障が出るな…総員、君たちの活躍を期待している。母港に帰って笑えるよう…総員、対空戦闘配置につけ!』
《パパパパパッパッパーパパパパパッパッパー》
ラッパがなり、妖精たちがドタバタと配置につき始める。
~~赤城艦橋~~
赤城「機関第三戦速、進路まま、対空見張り厳となせ。」
航海長妖精「機関第三戦速、進路まま。」
見張り員妖精「上空、海上ともに以上ナーシ。」
中佐「よし、通信手、何か聞き取れたか?」
通信手妖精「友軍からの通信はありません、ですが何か聞きなれない通信が頻繁に流れてるんです…」
中佐「どれ、聞かせてくれ。」
中佐が妖精からヘッドフォンを受け取り、頭につける。
通信妖精「赤城、中佐って無線あつかえるんですか?」
赤城「中佐は基本的に何でもできるわよ。多分…」
通信妖精「多分…?」
中佐「…これは深海の奴らだな。特徴的な符号が聞こえる。」
通信妖精「位置を割り出すのは…無理そうですね。」
ヘッドフォンを妖精に返して少し考え込む中佐。
中佐「よし、何か傍受したらすぐ報告してくれ。」
通信妖精がヘッドフォンを受け取る。
提督と赤城が無線に背を向けた瞬間、はっきりとした二つの種類の電子音が流れる。
《・-・-- -・-・・ ・・・ --・-・ -・-・・ -・・-・ ・・-- ・・-・- -・・--》
通信妖精「利根四号機より通信!…『敵艦隊らしきもの10隻見ゆ。艦隊より南東に約200海里(約350km)。』とのことです!」
赤城「中佐!」
中佐「先手を取る、第一次攻撃隊発艦!敵艦隊に見つかるまでは無線封鎖のままだ!通信妖精、追加情報受信次第報告せよ。」
赤城「了解!第一次攻撃隊、発艦してください!」
中佐「二航戦の二人に積んでる二式艦偵を接触に向かわせろ、近くまで接近して艦種を確認させる。」
ーーーーーーーーーーーーーーー戦況解説ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
↑Noth
←戦艦部隊(詳細不明)
↑
推測距離400km(日本本土に向け撤退中) ◎ミッドウェー島(撃破)
↓
←機動部隊(敵艦隊に向け攻撃隊発艦)
↖
機動部隊との距離約350km
↘
←敵艦隊?(利根4号機より、詳細不明)
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~~赤城飛行甲板~~
艦爆隊指揮官”千早大尉”妖精「艦爆隊一番機、発艦準備よし!」
千早大尉が視線を計器から艦橋へと向ける。
甲板員妖精「発艦準備よし、発艦はじめぇ!」
九九艦爆の光一型エンジンが唸りながら2トン以上ある機体を引っ張る。飛行甲板を滑走していき艦首が切れる数メートル前でふわっと尾輪が浮かび上がる。そのまま滑走路が途切れ、機体の高度がすっと下がる。はらはらと見つめる周辺の妖精をよそに、再び高度を上げ、何事もなかったように上昇していく。
いつもは青い空だがこの日は太陽が昇っても空は真っ赤に染まっていた。その赤い光を受け、白色の翼が輝く。
他の空母からも続々と攻撃隊が上がり、編隊を組んで敵艦隊にむかっていった。
ーー第一次攻撃部隊編成ーー
雷撃隊(九七艦攻)計62機
蒼龍機18機 飛龍機18機(攻撃隊総指揮官友永丈一大尉) 瑞鶴機13機 翔鶴機13機
急降下爆撃隊(九九艦爆)計62機
赤城隊18機(爆撃隊指揮官千早猛彦大尉) 加賀機26機 瑞鶴機9機 翔鶴機9機
制空隊(零戦)計24機
瑞鶴機12機(制空隊指揮官佐藤正夫大尉) 翔鶴機12機
総計148機
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
第一次攻撃隊はほかの敵艦隊に備え、二航戦の友永大尉率いる艦攻隊が主力となった。真珠湾攻撃と同様、各艦から少しずつ上げることにより素早い発艦、補給が行える体制がとられていた。利根4号機からの誘導電波を頼りに、先行の二式艦偵の誘導と合わせて攻撃隊を導く。今回は艦隊の位置がばれておらず、奇襲になると考えられていたため、制空隊は最低限の機のみつけられ、ほか機は艦隊防空に当たっていた。特に軽空母部隊の艦載機は万が一のため基地航空隊の偵察地域に被る海域の索敵を浅くではあるが行っていた。
~~8時30分 艦隊より南東に300km上空~~
148機の攻撃隊がきれいな編隊を組んで敵艦隊を探して前進する。
第一次攻撃隊指揮官”友永大尉”妖精(今のところ順調か…そろそろ敵艦隊が見えてくるころだが…ん?)
編隊の先頭の友永機から前方にうっすらと黒い点がいくつか映る。
友永大尉『クソッ、敵機だ!無線封鎖解除!戦闘機隊、任せたぞ!』
友永大尉が無線で叫ぶと同時に、編隊の間を零戦が勢いよくすり抜けていく。
制空隊指揮官”佐藤大尉”妖精『制空隊各機!なるべく多く敵機を引き付けろ!攻撃隊には手を出させるな!』
瑞鶴隊2番機『先陣を切ります!突撃ィ!』
佐藤大尉の横から二番機が前に出る。
敵の先頭にいる機に狙いを定め、射撃をする。敵が射撃する前に機体を横によける。
射撃中の敵機に2番機の機銃弾が炸裂し、エンジンが出火、火だるまになり落下していく。
佐藤大尉『全機、敵機はおそらくF4Fだ!性能は優っているが油断するな!』
制空隊は次々と敵の迎撃隊隊を落していたが少なからず被害が出ていた。
翔鶴隊7番機『よし、射撃位置についた…あとは…!』
翔鶴隊8番機『7番機!後ろだ!つかれてる!』
翔鶴隊7番機『なッ!クソッ!こいつは囮か!』
F4Fが上から襲い掛かり、12.7㎜の曳光弾が零戦の主翼を貫く!
ガガガッツ!
鈍い音とともに右翼がもがれ、機体が回転し、落ちていく。
翔鶴隊8番機『敵はかなりの腕利きだ!油断するな!』
制空隊の奮戦を横に雷撃隊、爆撃隊が敵艦隊に向かう。
友永大尉(何とか抑えてくれているな…)
友永大尉は目線を空戦から海面に移す。すると雲の切れ目から細長い点が白い航跡を引いているのが目に入る。
友永大尉『敵艦隊発見!雷撃隊、降下するぞ!艦爆隊、任せたぞ!』
雷撃隊が高度を下げ、敵艦隊に向かう。だんだんと近くなる艦隊ははっきりと姿が見えるようになった。
友永大尉『敵空母は二隻、予定どうり半数は真横、半数は斜め前方より攻撃を行う!全機、突撃!』
二つの編隊に分かれた雷撃隊が対空砲火を受けながら魚雷を突き立てようと突撃していった。
~~同時刻、赤城艦上~~
通信妖精「報告します。攻撃隊より通信、『敵空母二隻と接敵。攻撃を行う。』」
中佐「迎撃隊を何とか退けたようだな。通信妖精、続報があり次第すぐ報告せよ。」
赤城「二隻いたんですか…真珠湾の一隻を含め三隻…この攻撃が成功すれば太平洋の制空権はかなり有利になるはずです!」
佐々木「まだ終わってませんが…勝利の道が見え始めましたね!」
中佐「…」
赤城「どうかしましたか?中佐。」
中佐「まだいる…もう一隻いるはずだ。」
佐々木「さすがにないですよ、戦闘前の情報でも空母は三隻のはずです。」
中佐「おかしい、そんなあっさりと見つかりあっさりと攻撃を許すはずがない…この二隻おそらくヲ級だろう…」
赤城「ヲ級以外にいるんですか?」
中佐「空母棲姫…あいつが近くにいる。」
赤城「空母棲姫…ですか?あれはかなり前に沈めたはずじゃ…」
佐々木「覚えてますよ、俺らが海上護衛総司令部にいた時です。確かフィリピン撤退時でしたよね、夜戦で仕留めて…撃沈は潜水艦が確認したはずです。」
中佐「あの時も空は赤かった。」
赤城「…慢心しないようにしましょう。」
見張員妖精『上空に航空機!南西です!』
伝声管に防空見張り所からの報告が響く。
中佐『敵機か?機数は?報告せよ!』
見張員妖精『機数は一機、おそらく二式艦偵です。』
赤城「二式艦偵?帰投予定はまだのはず…嫌な予感がします。本艦におろしましょう。」
発光信号で赤城に着艦誘導をし、二式艦偵が着艦する。
キュツっというタイヤの音とともに、ブレーキのスキール音が鳴り響く。
甲板員妖精「どうした!被弾でもしたか!」
蒼龍偵察隊2番機妖精「無線機が壊れてたんだ!これを司令に!敵艦隊、空母部隊だ!」
==戦闘BGM:運命の五分間==
~~数分後~
中佐「やはりか、もう一隻いるよな…すぐに攻撃準備だ。」
赤城「接敵機として蒼龍機に補給を、そのあと攻撃隊を上げる!急げ!」
甲板が忙しくなる。数分で蒼龍機が発艦し、エレベーターでドンドン甲板に攻撃隊が上がっていく。
甲板員妖精「暖機運転できたか?弾薬は?爆装、雷装ともに良いな?よぉし、発艦準備よし!」
赤城「第二次攻撃隊、発艦!」
艦橋横で要請が発艦の旗を振る。残っていた戦闘機隊、雷撃隊が赤城から発艦していく。
第一次攻撃隊に充てられてえいなかった機が続々と発艦がっていく。今回の主力は一航戦の雷撃隊、二航戦の艦爆隊であった。残りは五航戦の残機を含めた部隊であった。軽空母の艦載機はあくまでも艦隊防衛ため、温存、索敵に充てていた。
中佐「よし…あとは信じて待つだけだな…」
中佐は編隊になって敵艦隊に向かっていく航空隊を眺めながら何か不安な感情になる。
中佐(先に発見できた…のか?だが敵はあの姫級だ。姫級は様々な形で我々日本軍を苦しめてくれた。そんな姫級がたやすく攻撃を許すわけがない…!)
中佐が必死に考えていると、艦橋横の見張員妖精が空に向かって指を指す。
見張員妖精「ん…あれ…!!敵機!敵機だ!」
見張員妖精が叫ぶ。甲板で作業している妖精もその声を聞き、空を見上げる。
中佐「何ぃ!クッソ、偵察機がつけられていたか…対空戦闘!直掩機は間に合わないか!」
赤城「近すぎます!もうすぐ対空砲の射程圏内!」
中佐「艦隊増速、最大戦速!無線封鎖解除!何かしら支援が来るかもしれん、状況、位置ともに打電だ!」
佐々木「それ危険じゃ…」
中佐「攻撃隊が来てんだ!もう隠す必要はない!それより増援を期待する方がマシだ!」
見張員妖精『敵機降下、おそらく雷撃機!TBFです!』
中佐「雷撃隊だけ?爆撃隊は?」
見張員妖精『敵編隊、二層に分かれました!』
佐々木中尉が双眼鏡を持ち、敵編隊を見る。
佐々木「敵機SBDです!水平爆撃する気か?」
中佐「おそらく囮だ!雷撃隊を狙え!射撃開始!叩き落せ!」
艦隊の高角砲が射撃を開始する。敵編隊の周辺で時限信管で爆発、黒煙が広がる。
赤城砲術妖精「信管遅いぞ!計算しなおせ!装填まだか!…撃てぇ!」
ドォン!ドォン!と射撃の音が艦内に響く。振動が艦橋の窓を震わせ、ガタガタと音がなる。
見張員妖精「敵機、突っ込んでくるぞ!対空砲何してる!」
高射砲妖精「射撃指揮装置!射撃諸元が来てない!こっちは目測で狙うことしかできないんだ!早くしてくれ!」
射撃指揮妖精「クッソ!急な敵機来襲で計算が追い付いていない!少し待ってくれ!」
対空機銃妖精「射程に入った!射撃開始!射撃ペダルはべた踏みだ!弾倉交換急げ!」
甲板員妖精「手空き妖精は高角砲、機銃群を手伝え!それ以外は第一次攻撃隊の帰投に備えろ!」
航空機整備妖精「弾薬をしまえ!誘爆を予防しろ!」
応急修理妖精「被弾したらすぐ動くぞ!準備しておけ!防護マスクもだ!」
艦内が非常にあわただしくなる。色々なところから怒号が飛び交う。
対空砲火に敵機が一機、二機と落とされていく。
見張員妖精『敵機最終雷撃進路!目標は…おそらく本艦!』
高角砲妖精『俯角が足りん!俺らは上の爆撃隊を狙え!』
対空機銃妖精『給弾いそげぇぇぇ!弾幕だ!叩き墜とせぇ!』
敵雷撃隊に機銃が集中する。曳光弾が敵機を包み込み、敵から黒煙や炎が上がる。
しかし、数機が残り弾幕を抜けて魚雷を投下する。
見張員妖精『敵機魚雷投下!左舷800メートル!』
中佐「このままじゃ当たるぞ!面舵一杯!」
操舵手妖精「面舵いっぱーい!」
ガラガラと舵が回る。
中佐(頼む…当たらんでくれよ…)
艦がだんだんと回り出す。
旋回が速くなっていき、遠心力がかかる。
中佐「見張員!どうだ!」
見張員妖精『一、二本目は外れます!三本目!艦尾に近づく!』
赤城「総員、衝撃に備え!」
一瞬の静けさが艦内を包む。
中佐(ん?外れた…)
ドォォォォォン!
爆発音とともに強い衝撃が走る。
佐々木「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
赤城「きゃぁぁぁぁぁ!」
衝撃で中佐は艦橋の窓に叩きつけられる。
中佐「ガハァ!」
中佐の視界がゆがむ。
中佐「ク…ソ…が…」
赤城「中佐!…佐!…大…夫…です…か!…」
佐々木「中…佐!…きて…さい!」
二人の声がとぎれとぎれに聞こえる。
中佐(…こんなところでのんびり寝てる訳にはいかねぇ…動いてくれ…俺の体!)
中佐が目を見開き、立ち上がる。
中佐「大丈夫…だ。それより被害状況は?」
航海長妖精「まだ報告はありません、ですが艦尾に一発喰らったようです!」
操舵手妖精「舵が!舵が効きません!」
中佐「まさか!」
突如伝声管から声が響く。
機関長妖精『こちら機関室!魚雷により操舵不能!機関室も浸水してますが軽微、復旧まで10...いや15分!』
中佐「後続の機は?本艦以外の被弾は?」
見張員妖精「周辺に機影なし…静かになったな…」
敵機がいなくなり、周辺は静かになる。
中佐「復旧急いでくれ…はぁ…」
赤城「なんとか切り抜けたようですね…」
佐々木「あとは航空隊の戦果をいのるだけですね。」
中佐「…」
ゆっくりと回り続ける艦。艦のエンジン音が艦内に響く。
中佐「…?」
艦のエンジン音…とは違ったエンジンの音がだんだんと大きくなって聞こえてくる。
中佐「なんだ…?この音は?」
中佐がくちを開くとの同時に伝声管から爆音が響く。
見張員妖精『敵機!直上!急降下!』
赤城「なっ!」
対空機銃妖精「なにぃ!上だ!回せ!」
砲術妖精「クソ!近すぎる!間に合わん!」
敵の急降下爆撃機の編隊が赤城に襲い掛かる。
だんだんと敵編隊が近づく。
見張員妖精『敵機抜けます!駄目だ!当たる!』
敵機が爆弾を投下し、機首を上げる。
見張員妖精『まずい!艦橋にあたるぞ!』
ゴン!と鈍い音が響く。
中佐の目の前を床に穴をあけながら1000lb爆弾が貫通していく。
中佐「伏せろぉぉぉ!!!」
==続く==