==あらすじ==
真珠湾攻撃、ミッドウェー島無力化、敵空母二隻撃破し順調に進んでいた作戦だったが、空母棲姫の奇襲により赤城は急降下爆撃を喰らい大破、戦闘不能になり総員退艦となる。二隻の空母と戦闘した第一次攻撃隊は多少の被害を受けながらも帰還した。赤城が被弾する前、情報伝達が遅れ先手を取られる前に村田少佐率いる第二次攻撃隊は空母棲姫に向かった。接敵に苦労しらがらも何とか接敵、しかし接敵度同時に敵直掩機に先手を取られ被害を受けてしまう。
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1942年、現地時間12月9日午前11時
~~艦隊より南西約300km~~
ドォン! ドォン!
ダダダダダダ…
真っ赤な太陽、赤黒く光った空に銃声と爆発音が響く。
第二次攻撃隊総指揮官”村田重治”少佐妖精「クソ!戦闘機隊は何してる!」
村田機通信手「右後方!敵機!来ます!」
村田機偵察手「九時方向!下から来ます!」
村田少佐「撃ち返せ!このまま降下するぞ!」
操縦桿を倒し、機体にマイナスGがかかる。
村田機通信手「うおぉぉぉ…まずい!敵機射撃位置!」
ダダダダダダダという音とともにヒュンヒュンと弾の通過する音が聞こえてくる。
村田少佐「何してる!撃ち返せ!」
村田機通信手「は…はい!喰らえ!」ガガガガガ
九二式旋回機銃が敵機に向け火を噴き、曳光弾が敵機に向け飛んでいく。
敵機が真っ赤に光り、黒煙に包まれる。
村田機通信手「やった!やりました!」
村田少佐「馬鹿言ってんじゃねぇ!まだケツについてるぞ!」
村田機通信手「え?」
村田機の周囲を曳光弾が包み込む。
村田少佐の背中に温かい何かがかかる。
村田少佐「まさか...」
スッと後ろを振り返る。機体中央の風防が真っ赤に染まり、座席にはぐったりと俯いた偵察手がいた。
村田少佐「クソ!偵察手がやられた!通信手!確認しろ!」
村田機通信手「…うっ…駄目です!腕が吹き飛んでる!」
村田少佐「クソ!…敵機は!」
村田機通信手「距離が開きました!」
村田少佐『雷撃隊各機!高度を下げろ!このまま敵空母に突撃する!』
村田少佐『編隊を密にしろ!なんとしてでも持ちこたえろ!』
雷撃隊各機『『『応!!!』』』
バラバラに回避行動をしていた雷撃隊が少しずつ赤い一本線が描かれた村田少佐の機の周りに集まる。
翼と翼が当たりそうなぐらい編隊を密にし、対空砲の曳光弾が伸びる敵艦へと突っ込んでいく。
・・・・・・・
・・・・・
・・・
・・
・
痛み、苦しみ、悲しみ。
妬み、後悔、恐怖、怒り。
これらの”負”の感情はいくつもかなることにより時に「殺意」に変わることがある。
そして「殺意」によって”動かされている”者はその感情が沸いたものに対し攻撃を行うことがある。
殺意を抑えることはできる。
しかし負の感情の量が一定量を超えると殺意を抱いた者は冷静さを失い、”殺意によって動かされる”。
冷静さを失った「殺意」を持ったものは繊細なことにも負の感情を抱き、また「殺意」を他の対象に向ける。
その連鎖が続き、やがて無数に殺意が重なると見境なく周りのものすべてに殺意を向けるようになる。
殺意を持ったものは殺意を持った対象に攻撃をする。
この殺意を持った者が人間だったら?
人間はよほどのことがない限り対象を殺すことはない。彼らは法を破り、自分に返ってくることを恐れる。
せいぜい殴る、蹴る。その程度だ。
では蟻などが人間に殺意を持ったとしたら?
彼らには法やルールなんて存在しない。人間に噛みつく。彼らなりの全力で攻撃してくる。
しかし彼らは人間に対して非力である。彼らは力の差を考えずにただ本能のままに攻撃するだけだ。
では、法に縛られずに人間をいとも簡単に吹き飛ばせる強大な力を持った者。さらに彼らは本能だけではなく、理性を持っている。
彼らは全力で人間を殺しに来る。殺意が収まるまで。
または相手が”死亡”するまで。
そんな相手がもしも人間にできたらどうするだろうか?
逃げるか?
彼らはやがて人間の支配地を占領し力を伸ばしていく。
諦めて死を選ぶか?
そんなことを自ら進んでやる人間はそういない。
降伏するか?
相手は殺しに来ている。降伏したところで殺されるのが目に見えている。
ではどうするか?
”戦う”
それが人間が選んだ答えだった。
強大な力を前に命を懸けて抗い、戦う。
その戦う人間たちもまた殺意を抱き、戦う。
殺意と殺意がぶつかりあう。
彼らの殺意が消えるまで。
・
・・
・・・・
・・・・・・
・・・・・・・・
??(体が痛い。)
??(確か脱出しようとして…爆発があって…)
??(意識が飛んでたのか…)
??(さっきも似たようなことになってた気がするが…)
??(出血は…してなさそうだな…)
??(動けるか…?いや…痛すぎる…)
???「……?」
??(なんだ?誰かの声か?)
???「オキロ。」
??「なん…だよ。こっちが…怪我…してるってのに…」
渋々目を開く。
目の前は赤くぼやけた何もない空間。
??「またお前か…空母棲姫。」
空母棲姫「フフフ…相変ワラズダナ…中佐。」
中佐「テメェ…よくもまたのこのこと俺の前に出てきやがったな…」
空母棲姫「貴様ハシブトイ様ダナ…赤城ハ…時期ニ沈ムダロウ。」
中佐「…」
空母棲姫「ドウシタ?」
中佐「ハッ…笑わせてくれる…」
空母棲姫「何ヲ言ッテイル?何ガ可笑シイ?気デモ狂ッタカ!」
中佐「お前は自分が勝っているように喋っているが…自分の状況が分かってないようだな?」
空母棲姫「…」
中佐「確かにテメェは赤城を沈めてくれた…だがこっちは真珠湾を叩いてミッドウェー島も潰し、そっちのお仲間の空母を沈めた...それでも貴様は自分が勝っているかのように話してる…お前の方が狂ってるんじゃないのか?」
空母棲姫「マダワカッテイナイヨウダナ…仕方ガナイトイエバソウダガ…」
中佐「…」
空母棲姫「キサマラ艦娘ヤ妖精、ニンゲンハ一度死ンダラ終ワリダ…ダガ私タチハチガウ…ナンドデモナンドデモ貴様ラノ前ニアラワレル...」
中佐「…」
空母棲姫「マァイイ…今ココデ言イ争ッテモ無意味ダ...コレデモミロ...」
空母棲姫が手をすっと前に出すと、薄く赤く染まった空に無数の黒い点が映っている映像が手のひらから出た炎に映る。
中佐「なんだこりゃ…?おいこれ…」
空母棲姫「ソウダ…キサマノ航空隊ダ…先手ハ取ラセテモラッタ…」
映像には戦闘機に次々と落とされていく艦攻隊が映っていた。
中佐「…」
空母棲姫「貴様ハ赤城ヲ失イ、優秀ナ搭乗員マデ失ウ事ニナル…モチロンマダ残ッテイル艦隊モスベテ海ニカエシテヤル。」
中佐「…」
空母棲姫「ソコデダ…キサマト取引ヲシテヤロウ。」
中佐「...そんなのに俺が乗るとでも?」
空母棲姫「トニカク聞ケ…私タチニハ必要ナモノガアル。貴様ハソレヲ私タチニ渡スダケデイイ…」
中佐「…」
空母棲姫「ソレハ母港…ソシテキサマダ、中佐。」
中佐「なに...?俺?」
空母棲姫「ソウダ...貴様ダ。」
中佐「…人質にでもする気か?」
深海棲艦「ヤハリマダ分ッテイナイヨウダナ。貴様ハ他ノ人間トハ違ウ。覚エテイナイダロウガ…貴様ハソッチニイルベキ者デハナイ。貴様ハコッチ側ノ存在ナノダ、中佐。」
中佐「何を...言ってんだ…お前?俺が深海側だってのか?」
空母棲姫「貴様ハ…深海ノ力ヲ持ッテイル。コッチ側ノ深海提督ノホウガ似合ウンジャナイノカ?」
にやりと不気味な笑顔を提督に見せる。
中佐「よくわからん事並べやがって...俺を深海の奴らと一緒にするんじゃねぇ!」スッ
腰のホルスターから青黒く輝くM1911が引き抜かれ、銃口が空母棲姫に向けられる。
中佐「こんなふざけた奴に赤城が沈められたってのは…許せねぇ...ここでくたばってもらおうか…」
中佐の目がサイトを通して空母棲姫の頭を狙う。
空母棲姫「…ソレダソレダ、ソノ殺意ノコモッタ目ダ…イイダロウ!カカッテ来イ!」
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ドォン!ドォン!
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見張員「敵雷撃機!方位270!距離2500!」
ドォン!ドォン!
加賀「第二波か…救助中の駆逐艦は救助を続行!その他の艦艇は対空戦闘に集中して!」
砲術長妖精「赤城がやられたんだ!これ以上被害はだせねぇ!撃ちまくれ!」
航海長妖精「加賀...続く戦闘で弾薬も燃料も限界です。航空隊が帰投次第離脱しなければ...」
加賀「…わかってるわ。とにかく今は対空戦闘!」
ドォン!ドォン! ガガガガガガ!
高角砲と対空機銃が火を噴く。
砲術長妖精『高角砲!もっと下げろ!高すぎる!』
高角砲妖精『了解!修正!下げ1!信管設定!次弾装填急げ!』
機銃妖精『発射ペダルはベタ踏みだ!いつも言ってるだろ!空薬莢もってけ!弾倉足りない?弾込め急げ!反対舷からもってこい!走れ!』
伝声管から伝わる緊迫感と硝煙の匂いが艦橋を包む。
見張員妖精「敵機2機撃墜!残り6機!目標は…おそらく本艦!」
加賀「艦隊規模と速度的に進路を変えるわけにはいかない!なんとしてでも墜として!」
航海長妖精「救助している艦に行かなかったのはいいが…修理班を準備させろ!いつでも動けるようにさせておけ!」
高角砲妖精『揚弾筒から弾が上がってきてない!何してる!』
弾薬庫妖精『時限信管がもうほとんどない!反対舷から持ってきてる!少し待ってくれ!』
高角砲妖精『待ってられるか!敵機はすぐそこだぞ!』
親友の赤城が沈められ、指揮官の行方も分からない、弾薬不足、損害拡大の可能性などが加賀を焦らせる。
通信妖精「僚艦より通信、対空砲弾薬が残り僅かとのことです。」
加賀「…とにかくある弾薬は撃ち切ってでも敵機を退けて!被害を受けるくらいだったら弾切れした方がいい!」
加賀(中佐の読み通りにこれ以上敵空母がいなければいいが…)
~~加賀飛行甲板~~
航空機整備妖精「いいぞ!そのまま回せ!」
飛行甲板の上で整備妖精たちが白い翼の九九艦爆を旋回させていた。
航空機整備長妖精「よし!そのまま固定しろ!はっは!こいつを一度ぶっ放してみたかったんだぜ!」
後部の風防が開かれ、九二式機銃が構えられる。
航空機整備長妖精「装填よし!てぇ!」
ガガガガガガ!
7.7mmの緑色の曳光弾が敵機に向け弾幕を張る。
機銃妖精「うお!なんだ!あいつら正気か!?」
機銃分隊長妖精「おい!気にしてる場合か!向こうも必死でやってんだ!こっちも負けるわけにはいかねぇ!撃ち続けろ!」
敵編隊と機銃弾幕の中心が重なる。
先頭の敵機がチカチカと光り、黒煙を吐く。
操縦を失い、フラフラと高度を落としていく途中後方から来た敵機に翼が当たり、バランスを崩す二機のTBD。
落ちていく二機の黒煙の中から残りの四機がフッと現れる。
~~加賀艦橋~~
見張員妖精「まずい!敵機四機!さらに接近!」
砲術長妖精『高角砲!射撃やめ!距離が近すぎる!あとは機銃に任せろ!』
高角砲の爆炎と爆音がなくなり、機銃の曳光弾がはっきりと見える。
他の艦からの対空砲も四機のTBDに集まる。
突然弾幕に包まれた先頭の一機が爆発、粉々になる。
残り三機。
敵編隊は最終進路を取り、さらに高度を落とす。
機銃が海面に着弾し、無数の水柱を作る。その中を主翼が海面を掠めるように接近する。
他艦からの射撃が先頭の機の目の前に水柱を作り、それに直撃した敵機はプロペラが折れ、水飛沫を上げて海面に突っ込む。
残り二機。
見張員妖精『駄目だ!近すぎる!』
敵機の胴体下部から魚雷が切り離される。
フッと二機のTBDが高度を上げ始め、海面に落とされた魚雷は白い航跡を残しながら加賀に向かっていく。
見張員妖精『敵機魚雷投下!!方位...265!至近!到達まで40...いや30秒!艦尾に向かう!』
加賀「機関増速!取り舵一杯!」
操舵手妖精「取り舵一杯!」ガラガラガラ
大きな舵輪を妖精がガラガラと回す。
舵輪が回り切ったと同時に艦がゆっくりと左舷側に向く。
左舷側に傾いたかと思うとすぐに右舷側に傾きだし、艦がガタガタと音を立てながら急速に左回頭が始まる。
加賀「見張員妖精!どうか?」
見張員妖精「一発は…逸れます!もう一発は艦尾に向かう!」
航海長妖精「クソ!応急修理班準備!」
加賀「艦尾各科員退避!総員!衝撃に備え!」
見張員妖精「駄目です!一発当たります!着弾まで5、4、3…」
艦橋内が静かになり、機関と波の轟音だけが聞こえてくる。
見張員妖精「1!ちゃ...着弾!」
皆が目をつぶり、グッと足に力を入れる。
『『ゴン!』』
船体に鈍い金属の衝突音が響く。
しかし、皆が想像していた音はならなかった。
加賀「…?被害は!命中したの?」
見張員妖精「艦尾に命中しました...が不発!不発です!」
航海長妖精「一応被害確認だ!応急修理班を命中部に向かわせろ!」
魚雷は艦尾に命中したが衝突した後海中に沈んでいった。
命中した魚雷は不発、もう一本は艦尾を掠めて逸れていった。
加賀「被害確認急げ!敵機は!どうなったの?」
見張員妖精「敵機、他艦により撃墜。周辺...対空、海上ともに以上ありません。」
加賀「機関第一戦速。対空警戒そのまま。陣形の所定の位置に戻るよう進路を取って。」
航海長妖精「了解、機関第一船速。対空警戒まま。進路、陣形に復帰します。」
通信妖精「全艦被弾、異常なし。どの艦も弾薬が厳しいようです。時限信管がなくなり始めています。」
航海長妖精「機関室より報告、命中部特に異常なし。機関に無理を言わせたので最大船速はキツいようです。」
加賀(…これ以上の戦闘は被害を受ける可能性が高い...救助をほどほどに切り上げるべきか…だが中佐が見つかったという報告はまだ上がってこない…あの人がいれば正しい判断をしてくれる。今はあの人がいないと…だがまだ見つかっていない以上私が何とかしないと…赤城さんも…悔やんで被害を増やすのは二人とも望んでいることではない。でも今は…)
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ドォン!ドォン!
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村田少佐「…ッツ!」
機体を右に逸らす。
ビュン!
砲弾が機体を掠める。
ドォン!ドォン!
機体の後方で対空砲弾が炸裂する。
村田少佐『高度を下げれるだけ下げろ!このまま低空を這って突撃する!』
海面スレスレを無数の九七艦攻が飛んでいく。
敵の空母はまだ遠く、小さく見えるが各所がチカチカと光り、曳光弾が編隊を包み込む。
海面には落ちた砲弾が作る水柱がいきなり現れ機体を海面へと引きずり込もうと、曳光弾と高角砲の爆風は機体を掠り翼をもぎ取ろうと無数に飛んでくる。さらに黒煙で視界を奪われる。
まさに地獄だった。
前を見れば弾幕、後ろを見れば炎と黒煙に包まれ海面に落ちていく味方機。
一瞬でも気を抜けば自分も海の藻屑となる。
操縦桿を握る手に力が入り、小さく震えている。
村田少佐(想像よりも対空砲がきついな…持ちこたえられるか…!)
村田機通信手「少佐!て…敵機!敵機です!」
村田少佐「何!敵機?!向こうの対空砲火の中だぞ!」
村田機通信手「突っ込んできます!7時の方向!4F!」
村田少佐『各機!敵機接近!銃座で応戦しろ!』
各機の銃座が射撃を開始する。
村田機通信手「いかれてる!同士討ちになるぞ!」
村田少佐「なんなんだあいつら...」
村田機通信手「敵機さらに接近!照準が…!クソ!」ガガガガガガ
??『雷撃隊、対空砲火を中止されたし。護衛機突入する。』
上空から雷撃隊の周りを飛んでいた敵機に向け弾幕が降る。
村田少佐『雷撃隊、銃座射撃中止!中止!』
村田機の少し上を白い物体がスッと通り抜ける。
銃撃音とともに後方の敵機が黒煙を吐き、海面に突っ込む。
村田少佐『遅かったな坂谷!何してた!』
第二次攻撃隊制空隊隊長”坂谷茂”少佐妖精『すまない!艦爆隊の援護をしていた。向こうはそろそろ突っ込むころだぞ!敵は任せろ!雷撃に集中してくれ!』
村田少佐『当たり前だ!こっちもこのまま突っ込む!一機も落とされるなよ!』
坂谷少佐『誰に言ってやがる!落とさせはしない!』
坂谷少佐は操縦桿を思いっきり引き、真上にいる敵機に照準を合わせ、銃撃を浴びせる。
機銃弾は敵機に吸い込まれ、主翼をもぎ取る。
周囲を確認し下方に敵機を視認、ラダーを踏み込み、フラップを降ろし、機首を一気に下へ向ける。
高度を速度に変え、敵機にぐんぐんと追いついていく。
坂谷少佐「まずは7ミリ...」
スイッチを切り替え、照準器に少し小さく映る敵機に7ミリで偏差を見る。
坂谷少佐(もう少し...もう少し...今!)
スイッチを素早く切り替え20ミリを敵機に放つ。
敵機が胴体から火を噴いたと思うと、燃料に引火しエンジンから真っ赤な炎に包まれて海に帰っていく。
坂谷少佐(敵機もまだまだいるな…対空砲も…艦攻隊...頼むぞ!)
村田少佐「機体の損傷は!大丈夫か!」
村田機通信手「エンジンは大丈夫…けど穴だらけです!燃料漏れも…いつ引火するか…」
村田少佐(敵機は坂谷がやってくれているが…このままじゃ全滅だ…立て直す時間もない。どうにか隙の一つでも見つけられれば...!)
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ドォン!ドォン!
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??「クッソ!どうすれば...」
銃からマガジンを抜き、残弾を確認する。
提督(残り三発...予備マガジンは二つ。奴が航空隊と戦っている空母棲姫なら…航空隊が空母を倒せば奴は消えるはず。こっちで少しでもダメージを与えられれば...やるしかねぇか!)
空母棲姫「ナンダ...ドウシタ中佐。モウ終ワリカ。」
提督「まったく意味わかんないよな…吹っ飛ばされたと思ったら空母棲姫を名乗る奴が出てきて、意味わかんないこと抜かしやがって...」
空母棲姫「…ナニガイイタイ?」
提督「カッとなってて頭が回ってなかったようだがなぜかとスッキリしてきた...こんなことはあり得ないってな。」
提督(ありえない。こんな現実離れしたこと...普通に考えてありえない。今まで真面目に考えていたのが阿保らしいぜ...まったく。)
提督「これは夢だよな?俺はさっき赤城で死んだ。これは死後の悪夢ってことにさせてもらうぜ空母棲姫さんよ...」
空母棲姫「ツイニ壊レタヨウダナ...イイダロウ。ソノママ”コッチ側”ニナッテモラウ。」
提督「…それはないね。」
バァン!バァン!
素早く二発発砲し、空母棲姫に向かって走り出す。
空母棲姫「ナンドヤッテモ変ワラナイ...マダワカラナイノカ中佐!」
マガジンキャッチボタンを押し込み、空のマガジンを手首を捻って振り払う。
同時に左手で腰につけていたマガジンを抜き、そのまま銃に差し込む。
銃を両手で握り、照準を合わせトリガーを引く。
バァン!
45ACPの強烈なリコイルが中佐の両手に伝わる。
中佐(相変わらず弾は防がれる...このまま弾切れになっても…よくわからんあのゴツイ腕にぶん殴られて死ぬだけだ。)
空母棲姫「無駄ダトナンド言エバ解ル!」
バァン!バァン!
発砲しながら距離を詰める。
バァン!バァン!
顔面に向かって二発放つ。
空母棲姫の目の前で弾は急に止まり、ポロポロと床に落ちる。
空母棲姫「貴様ノ銃ハ7発シカハイラナイ。ソンナニ無駄撃チシテイイノカ?」
中佐(…ッ!!)
バァン!バァン!
素早く狙いを切り替え、顔面から座っている台座に向かって発砲し、腕を前に出し体当たりを仕掛ける。
空母棲姫「ナンドデモ…クリカエス……カワラナイ…カギリ…!」
黒くゴツい腕と鋭い爪が姿勢が崩れた中佐をひっかく。
中佐「…がぁ!!」
中佐はそのまま投げ飛ばされ、爪が制服を切り裂き、露出した肌からは血がにじみ出てくる。
空母棲姫「7発...撃ッタヨウダナ...コレハ...落トシ物カ?」
床に落ちたマガジンを拾い上げる。
中佐「ク......ソ...」
空母棲姫が横たわる中佐に近づく。
カツ...カツ...
中佐「...」
カツ...カツ...
空母棲姫が目の前に立つ。
空母棲姫「少シ残念ダ...ソノ怒リ...ソノ殺気...」
中佐「...」
空母棲姫「ナゼソンナニモ人間ノ味方ヲスル?貴様ニハ守ル理由ナド...」
バァン!
一発の銃声が響く。
空母棲姫「.........ナ......ニ…?」
空母棲姫の胸に風穴があけられた。あ
中佐「……まったく...話が長ぇんだよ…」
ゆっくりと中佐が立ち上がる。
中佐「痛ってぇ...ぁあ...制服がボロボロじゃねぇか…」
空母棲姫「ァ......ナゼ...」
空母棲姫はゆっくりと座り込む。
中佐「弾倉はたしかに七発だ…お前は最後の弾倉分しか数えてなかったようだな…銃には薬室にもう一発入るってことを覚えておくことだな...」
ゆっくりと空母棲姫の手からマガジンを抜き取る。
右手でマガジンを振り落とす。
カーン...
乾いた音が響き、マガジンを銃に差す。
スライドストップを下げ、空母棲姫に向ける。
チャッ...
スライドが前に戻り、銃口が空母棲姫の頭に向けられる。
中佐「最後に聞かせてくれないか?」
空母棲姫「カッタト……オモッテイル......ノカ?」
バァン!
空母棲姫「......!!ッッァァア!!」
空母棲姫の腿に一発銃弾が突き抜ける。
中佐「何故そんなにも俺にこだわる?」
空母棲姫「......貴様ニハ”ココ”ニ来タ理由ガアル。ダガ...貴様ニダケコダワッテイルワケデハ...ナイ。」
中佐「......俺だけじゃない?」
空母棲姫「......ソウダ。”コッチ”側ニ付イタ奴モ......」
中佐「…なんとなく読めてきた気がするよ...」
中佐「…そうか。それだけ聞ければ十分だ。」
バァン!
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村田少佐(…?)
村田少佐(…空母の対空砲が止まった?)
目標からの対空砲が止まり、左右の随伴艦からの対空砲も若干薄くなる。
村田少佐『各機、何故かはわからんが対空砲が弱まった!このまま突っ込む!』
雷撃隊が一列になり、村田機の後ろに並ぶ。
村田少佐(この隙を逃すわけにはいかない...)
操縦桿を握る手が細かく震える。
村田少佐(外すわけにはいかない...!!)
照準器を睨み、偏差を取る。
村田機通信手「少佐!上!」
村田少佐「…!」
敵機かと上を見る。
村田機通信手「艦爆隊!艦爆隊です!」
敵空母の上に急降下する白い翼が目に入る。
村田少佐「理想的な雷爆同時攻撃...悪くない!」
爆撃隊から小さな黒い粒が落とされ、空母に降り注ぐ。
目の前が一瞬白く光り、敵艦が黒煙に包まれる。
村田少佐(まだだ...)
村田機通信手「距離残り1500!」
黒煙が敵艦を隠すように覆う。
村田少佐(ここが堪えどころ...!)
村田機通信手「残り1000!」
黒煙の中からスッと艦首が現れる。
照準器で偏差を再確認し、両手でしっかりと操縦桿を握り、震えを止める。
村田機通信手「900…800…700!少佐!」
村田少佐「投下ッ!!」
レバーを引き下げ、魚雷を機体から切り離す。
魚雷が海面に落下していき、水飛沫を上げる。
数秒して魚雷が白い航跡を残して敵艦に向かっていく。
村田機通信手「投下成功!各機も続いてます!」
村田少佐「よし...」
村田機は敵空母の前方をそのまま通り過ぎ、随伴艦の砲火を浴びながら離脱していく。
村田少佐(投下は完璧...頼むぞ...)
操縦桿を握る手にまたしても力が入る。
離れていく敵艦をチラチラと見ながらも周囲を確認する。
艦爆隊が周囲の敵艦に急降下を仕掛け、敵艦は黒煙や炎に包まれていく。
ふとまた敵空母を見ると、いきなりグワッっと巨大な水柱が上がる。
次の瞬間『ドォォォン!!』という轟音とともに敵艦が大きく傾く。
村田機通信手「…やった!命中です!敵艦行き足止まります!」
村田少佐「…よし!」
その後も後続の魚雷が敵艦に命中し、何本も水柱が上がる。
やがてさらに大きな水柱が上がり、艦首と艦尾が持ち上がり、船体が真っ二つになる。
大きくそびえたった二つの鉄の塊はゆっくりと海に飲み込まれて沈んでいく。
村田機通信手「敵艦船体中央が折れました!撃沈です!」
艦爆隊と同時に攻撃されあっけなく海に沈んいく空母棲姫。
周りにいた護衛艦も何隻か同じように海に沈んでいく。
炎と煙に包まれた深海棲艦隊はゆっくりと海へと還っていく。
その上を真っ赤な日の丸を掲げた無数の航空機が通り過ぎていく。
村田少佐『攻撃隊各機に告ぐ、敵空母撃沈、これより艦隊へ帰投する。』
赤みがかった空と海が一気に晴れ、青空に変わる。
村田少佐「終わったようだな...」
村田機通信手「敵艦の対空砲火もほとんど上がってきません...艦爆隊が仕留めたようですね。」
村田少佐「味方もだいぶ落とされたようだな...」
村田少佐(なぜ途中で空母棲姫の対空砲火が止まった...?艦爆隊に向かっていたようにも見えなかった...不思議なこともあるものだ…)
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??「……」
??「…あなたはまだこんなところで死んでは駄目です…」
??「…私はもう...でもあなたにはまだやることがたくさんあるはずです…」
??「…私のためにも...あの人のためにも...」
??「さあ、あの人が待ってます。早くいかないと心配しますよ?」
??「…またいつか会える時を楽しみにしています...中佐…」
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救助艇妖精「班長!そろそろ戻らないと!」
救助艇長妖精「まだだ...まだいるかもしれない!隅までよく探せ!」
救助艇妖精「は、班長!あ、あれ!士官服です!」
救助艇長妖精「あれ...指令だ!急げ!引き上げるぞ!」
~~加賀艦橋~~
通信手妖精「救助中の駆逐艦から入電、中佐を救助。命に別状はないとの事です。」
加賀「…了解。これより戦闘海域を離脱する。救助中の駆逐艦を呼び戻して。」
航海長妖精「…ふぅ。無事だったか...これより航空隊の収容地点に向かいます。赤城の座標を打電しました。潜水艦に最後は確認してもらいます。」
加賀「…了解。」
空と海がいつもの明るさを取り戻し、静かになる。
硝煙の匂いと煙がうっすらと漂い、その中を艦隊が航跡を残して航行していく。
加賀からはもう赤城は見えなくなっていた。黒い煙が上がっているのは見えるが、船体は水平線に隠れていた。
加賀(...)
加賀は艦橋のウィングで赤城から出る煙を眺めていた。
すると突然カッと一瞬強く光ったかと思うと煙も途中で途切れる。
加賀(...)
彼女の目から一粒の涙がこぼれ海へと落ちていった。
~~~~~~~~~~~~~~~~戦果説明~~~~~~~~~~~~~~~~~~
戦果 真珠湾及び敵太平洋艦隊 撃破
ミッドウェー島飛行場 撃破
空母棲姫 撃沈
その他空母機動部隊 撃沈・撃破多数
判定 A 完全勝利
損害 空母赤城 轟沈
被弾・小破 多数
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