シラトリ区の探偵   作:ガガミラノ

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エデン条約編
夏の始まりは楽園の始まり


「ふぅ、準備完了です」

 

次の日、私はとある事をする為の泊まりの準備をしていた。

そのとある事は……おっと、そろそろ時間だ。

 

「それでは、行ってきます」

 

休業中の看板を玄関に立てかけて私はトリニティを目指した。

 

 

……

 

 

「おはようございます、先生」

 

「おはよう、ユウキ」

 

トリニティ行きの駅で私は先生と合流した。

先生は前と違ってスーツを着ておりThe大人という感じ。

前みたいに説教する事は無さそうです。

 

「先生はトリニティ、初めてですか?」

 

「ううん、仕事や生徒達の為に何度か行ってるかな」

 

「私も仕事で何度か行った事があります、物価が高いですが治安も良いし景色も綺麗なので割と好きな場所ですね」

 

「確かにゲヘナやミレニアムに比べると治安も良いし景色もいいよね、物価は高いけど……」

 

「私のような貧乏人が住むには難しいですよね、お、電車来ましたよ」

 

トリニティ行きの電車が止まり、ドアが開く。

 

「さて、行きましょうか」

 

 

━━

 

揺れる電車の中、私は先生に詳しい話を聞いた。

 

 

「それで、トリニティのいざこざに私のような部外者を呼んで良かったんですか?」

 

「それなんだけど、ユウキをシャーレの一員って事にしてなんとかしたよ」

 

「なななななな何やってるんですか!?私はシャーレ所属の生徒では無いんですよ!?」

 

「ごめん!でもどうしてもユウキの力を貸してほしくて……」

 

「これがバレたらどうなるか……まったく、今回の件、報酬は弾んでもらいますからね」

 

なんだか先生が本当に大人か疑問に思えてきた。

ご飯は生徒にご馳走してもらったり生徒の足を舐たり……

 

「ありがとう!ユウキ!大好き!」

 

と、先生の声が電車に響く。

公共の場でなんて事を言うんだ!

周りに人がいなくて良かったもののいたらどんな事を思われるか!

 

「電車で大声を出さないでください!ぶっ飛ばしますよ!」

 

私の声もよく響いた。

前言撤回、やはり先生は先生だ。

 

……

 

 

「着きましたね、トリニティ」

 

「いやー、いつ見ても外国みたいだね、圧巻だ」

 

大きな時計台、レンガの街並み、そして高級感溢れるお嬢様達。

トリニティには何回か来るがやはりこの光景には慣れない。

ゴーン、ゴーンと時計が鳴る、現在の時刻十時半丁度。

 

「トリニティ総合学園はあちらですね、行きましょうか」

 

奥に見えるのは大きな校舎、トリニティ総合学園。

トリニティはキヴォトスでも数あるマンモス校の一つでゲヘナとよく対立している学校だ。

所謂お嬢様学校でかなりの財力があるらしい、私とは縁がない学校だ。

だが私は一年前、とある事件の捜査でトリニティに何度かやってきた事があるが……それもまた別のお話。

 

「そうだね、でもそんなに長居はしないかな」

 

「……?トリニティの補習授業部の子達に勉強を教えるんじゃないんですか?」

 

 

私は昨日、先生にトリニティの補習授業部の子達に勉強を教えるのを手伝って欲しいという依頼を受けた。

これは探偵の仕事かどうかは危ういが、まぁ先生の頼みなので引き受ける事にした。

そしてもう一つの依頼、それはトリニティの裏切り者を探すのを手伝って欲しいという依頼。

 

ゲヘナとトリニティによる平和条約、エデン条約。

ゲヘナ、トリニティ間の紛争を無くし、争いをやめようという条約。

しかし先生は数日前トリニティの生徒会、ティーパーティーからとある依頼を引き受けた。

それはエデン条約を邪魔しようとする裏切り者を探して欲しいという依頼。

そしてその裏切り者は補習授業部の中にいるという事。

補習授業部に所属している生徒は四人。

 

白洲アズサ

阿慈谷ヒフミ

下江コハル

浦和ハナコ

 

この四人の中に一人、裏切り者がいる。

キヴォトスの平穏を乱そうとする者が。

 

「うん、そうなんだけど別校舎で勉強を教えるんだ」

 

別校舎で勉強を教えるらしい。

 

「なるほど、だからお泊まりセットを……」

 

「真面目な声でお泊まりセットって言うの可愛いね」

 

「ぶっ飛ばしますよ」

 

 

━━

 

 

「それじゃあ私は少し用事があるから待ってて」

 

「分かりました」

 

そう言って先生は部屋の中へ入っていった。

 

「……おや」

 

電話がかかる、キリノさんからだ。

 

「もしもし、相澤です」

 

「あ!ユウキ先輩ですか!?」

 

「はい、どうしました?」

 

慌てた様子のキリノさん、一体どうしたのだろうか?

 

「ユウキ先輩、自分の銃ヴァルキューレに置いたままですよ!」

 

しまった、そうだ!

普段あまり自分の銃を使わないからヴァルキューレに保管していたのだがそれを置いたままにしてしまった!

 

「申し訳ありません、ですが今立て込んでおりまして……キリノさんが持っていてくれませんかね、また用事が終わったら回収に行きますので」

 

「え、えぇ?ユウキさんの銃は今……」

 

「ヴァルキューレから拝借している拳銃です、こちらの方をいつも使っていたので忘れておりました」

 

「あー、ユウキ先輩の銃を癖が強いですもんね……」

 

「ええ、ですが気に入ってはいるんですよ?その銃」

 

「シャーロックジャスティスって名前でしたっけ、カッコイイですね」

 

「ありがとうございます……おっと、ではそろそろ私はこれで」

 

先生が扉を開けて現れる、後ろには四人の生徒がいる。

 

「はい!それではこの銃、中務キリノが厳重に保管しております!」

 

「はは、頼もしいですね」

 

つー、つー。

 

「お待たせ!誰かと電話してたの?」

 

「はい、私の銃をヴァルキューレに忘れたままにしてしまっていてそれを……おや、初めまして」

 

「し、下江コハルです……」

 

「白洲アズサだ、よろしく」

 

「阿慈谷ヒフミです!よろしくお願いします!」

 

「浦和ハナコです、よろしくお願いします♡」

 

正義実現委員会の子。

ゴムの臭いがするな、ガスマスクをいつも着けていそうだ。

奇妙なカバンを背負っている、不気味だ。

所々セクシーな感覚がする、不気味だ。

 

「よろしくお願いします、私は相澤ユウキ、シラトリ区で探偵をやっております」

 

「た、探偵さんですか!?初めて見ました!」

 

「ふむ、探偵か、実在したのか」

 

「ふふ、それでは先生、合宿の場所に行きましょうか」

 

「よし、それじゃあ出発進行!」

 

 

 

 

……

 

 

「ふう、到着しましたね」

 

午後十二時、トリニティ総合学園の校舎からは遠かったが合宿の場所に辿り着いた。

 

「えっと、この部屋の向かい側にも部屋があるのですが先生は……」

 

と、ヒフミさんが言うとハナコさんが微笑む……すると。

 

「ダメっ!!!エッチなのはダメ!死刑!」

 

「……えっち?」

 

今のどこにえっちで不埒な要素があったのだろうか、私には分からない……

 

「何を言い出すのか大体分かるわよ!ダメったらダメなんだから!」

 

「……コハルさん?」

 

「コハルちゃんは厳しいですねぇ……」

 

なんというか、私だけ着いていけてない気がする。

 

「……あの、ユウキさん、その……ハナコさんは少しエッチといいますか、ちょっと……」

 

「あぁ、なるほど」

 

ハナコさんがえっちなことを言おうとするのをコハルさんが阻止……という感じだろうか。

 

「ベッドは余ってないし、先生は向こうの部屋で良いと思うが……」

 

「皆で交流を深めておいて、何かあったら呼んでね」

 

「では一旦そういう事で、それでは荷物を片付けてお勉強を……」

 

「あら、その前にやる事があるとは思いませんか?ヒフミちゃん」

 

と、ハナコさんが提案する。

ヒフミさんの言う通りこの人がえっちな人だったらろくでもない事だが……果たして。

 

「やる事、ですか?」

 

「なるほど、敵襲を想定してトラップの設置を?」

 

サラッととんでもない事を言うアズサさん、一体我々は何と戦うのか。

 

「いえ、そうではなくお掃除を……」

 

「なるほど、掃除ですか」

 

勉強と掃除は強い相互関係がある。

この小説を読んでいる皆様も試験勉強や受験勉強中に部屋の掃除をした事はないだろうか?

勉強などの集中することをやっている時に掃除をしたくなる現象があるらしい、因みに作者はない。

補習授業中に汚いから掃除をする……ということがないように先に掃除をしておくというのはありな話だ。

 

「はい、管理されていたとはいえ長い間使われていなかったようですしホコリも多いように見えませんか?」

 

確かに部屋の隅々にはホコリが積もっておりアレルギーなどの原因になりそうだ。

 

「このままここで過ごすというのも健康に悪そうですし今日はお掃除を始めて気持ちいい環境で勉強を始めるというのはいかがでしょうか?」

 

「確かにそうですね、まずは身の回りの整理整頓から始めるのは定石ですしね」

 

「うん、衛生面は大切だ、戦場でも士気に関わりやすい部分だ」

 

一体アズサさんは何と戦おうとしているのだろうか??

 

「……まぁ、普通の掃除なら……」

 

コハルさんが不服そうな顔をしながら承諾する、余程ハナコさんに悩まされたのだろうか。

 

「それでは、まずは大掃除を始めるとしましょう!」

 

 

こうして私の夏が始まった。




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