シラトリ区の探偵   作:ガガミラノ

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押収品は厳重に

「そこは……はい、その公式を使って……」

 

「ユウキ、ここはどうすればいい?」

 

「そこはちょっと難しいですね、先にこっちを……」

 

キーンコーンカーンコーン

 

チャイムが鳴り響く、空を見ると夕焼けが煌めいており月が現れ始めていた。

 

「おや、そろそろ時間のようです」

 

時計は既に五時を指しており勉強が終わる時間が来ていた。

 

「教科書しまわなきゃ……あっ」

 

コハルさんが教科書をしまおうとしたその時、バッグを机から落としてしまい中身が散乱してしまう。

 

「大丈夫ですか?」

 

「うん、大丈夫」

 

ハナコさんが心配している、えっちだが優しい子だ。

 

……ん?

 

「あっ」

 

「あら♡」

 

「あー……」

 

床には教科書、ノート、参考書……そしてえっちな本が散乱していた。

ヒフミさんは察した顔を、ハナコさんはあらあらと言っており、私は何とも言えない感情になっていた。

 

「エッチな本ですね……」

 

「うわあああああっ!?なんでぇ!?」

 

コハルさんの目が猫みたいな目になる、うーーむ……

 

「コハルちゃんそれエッチな本ですよね?紛うことなきエッチな本ですよな?ねぇ?」

 

ハナコさんが畳み掛ける、ハナコという火にエッチな本という油を注いでしまった。

 

「ち、違うの!違うから!」

 

コハルさんは段々と涙目になり

 

「こ、これは……違うんだってばあああああああああ!」

 

と、叫ぶ。

 

 

━━

 

「なるほど、押収品ですか」

 

「うん、私押収品の管理とかしてたから……これは本当にその時のやつで……」

 

正義実現委員会の仕事に押収があるからその時の押収品がこのえっちな本……という事だろう。

 

「うーん、であれば押収品は出来るだけ早く返してしまった方が良い気がするのですが……」

 

「確かに……ずっと忘れてたけど」

 

いくらえっちな本でも人の物、返さねければならない時はあるでしょう。

それにその本を持っていると先程みたいに誤解される事もあるでしょうし……

 

「騒ぎになる前に返しに行った方が良いかもしれませんね」

 

「今のうちにこっそり行って正義実現委員会に戻してくれば大丈夫じゃないですか?」

 

「え?今?」

 

「それならコハル、一緒に行く?」

 

と、先生が提案をする。

確かに先生と一緒なら勘違いもされないだろうし……

 

「そうですね、先生が一緒ならハスミさん達にバレたとしてもそこまで怒られないでしょうし……」

 

「よし、それじゃあ早速行こうか……あ、ユウキも一緒に来てくれるかな?」

 

「私もですか?良いですけど……」

 

私も行くことになった、何故だろうか?

 

━━

 

段々と暗くなり始め夕陽が沈んでいる頃、私と先生、そしてコハルさんはトリニティの正義実現委員会の部室を目指していた。

 

「……ユウキって本当に探偵やってるの?」

 

「はい、シラトリ区の古いビルで探偵事務所を営んでいます、ビルは空調はよく効きますが防音設備は整っているとはいえないですね」

 

「じゃ、じゃあ私の正体とか分かるの?」

 

「えぇ、分かりますよ」

 

「じゃあ私の正体って何?」

 

「そうですね……補習授業部が上手くいっているかを監視する為の正義実現委員会のスパイですかね?」

 

「え!?」

 

と、驚く顔をするコハルさん。

 

「となるとコハルさんを送り込んだのはハスミさんの指示でしょうか……」

 

「え、えっと……そうよ!ハスミ先輩はトリニティの中でも凄く強くて風紀委員の副委員長なのよ!」

 

「あ、あとツルギ委員長だっているんだから!」

 

ふふん、と息を鳴らすコハルさん。

ではさらに畳み掛けてみましょうか。

 

「えぇ、お二人にはお世話になりました」

 

「……え?ユウキってハスミ先輩とツルギ委員長と会ったことあるの?」

 

「はい、ヴァルキューレにいた頃何度か共闘させて頂きました、お二人とも強かったですね」

 

「ユウキってヴァルキューレにいたの?」

 

「はい、訳あって現在は退学していますが昔はヴァルキューレで活躍する敏腕刑事だったんですよ?」

 

「凄い……じゃ、じゃあゲヘナの怖い風紀委員長とも!?」

 

「怖いかどうかは置いておいて……まぁ何度かありますよ、ゲヘナの風紀委員長やツルギさん達が覚えているかは別ですが」

 

「……あ、だ、だからそういう事!本当に勉強出来なくて補習授業部に入った訳じゃないって事を覚えといて!」

 

「はい、覚えておきます」

 

見栄を張る少女に対しにこりと微笑む。

 

「ユウキって結構偉い人だったんだ……」

 

先生が感嘆の声を漏らす。

 

「ふふふ、驚きましたか?フナムシにビックリしたり寝起きが悪いだけの人じゃないんですよ?」

 

 

━━

 

正義実現委員会の部室。

 

「ふぅ、これでいい……のよね?」

 

「お疲れ様です」

 

コハルさんは押収品を元の場所に戻し一息つく、

 

「これで一安心━━━」

 

ガチャ、と誰かが入る音がする。

 

「……コハル?」

 

開けた人物は正義実現委員会副委員長のハスミさん、コハルさんの先輩だ。

 

「それに先生と……ユウキさん?」

 

「コハルと先生は合宿で別館にいると聞きましたが……なぜユウキさんがここに?」

 

「少し先生から補習授業の勉強の件で手伝って欲しいと言われまして一緒に合宿に行く事になりましてね」

 

「そうですか……それでどうして三人方はここに?」

 

「成績が良くなるまでここへは出入り禁止になっているはずですが……」

 

「そ、その……違うんです、えっと……」

 

「授業で使う書籍や書類を借りに来ただけかな、お目当ての物は見つからなかったけど……」

 

と、先生が困っているコハルさんに助け舟を出す、優しい人だ。

 

「なるほど、そういう事なら仕方ないですね」

 

「……そういえばユウキさんはヴァルキューレの方ではありませんでした?お仕事などは……」

 

「いえ、訳あってヴァルキューレから退学しておりまして現在はシャーレで働かせてもらっております」

 

確か私はシャーレ所属の生徒という事にしていたんだった、忘れていた。

 

「そうですか……退学なされたんですね、転校される際は是非トリニティにいらして下さい、正義実現委員会全員で歓迎します」

 

「ははは、機会があれば……」

 

トリニティは学費が高いから行く事はきっと無いだろう……うん。

 

「学費の方も推薦で免除されると思いますので」

 

「何度か戦っただけの私をよく覚えていますね」

 

「えぇ、あなたの活躍はよく聞きますので」

 

「それはどうも」

 

「……あぁ、それにコハルに丁度伝えたい事がありましたし」

 

コハルさんに伝えたい事?

 

「え?私ですか?」

 

「先生、ユウキさん、申し訳無いのですが少し席を外してもらっても宜しいでしょうか?」

 

「分かりました」

 

「うん、分かった」

 

「すいません、ありがとうございます」

 

 

私達は部屋から退出し、コハルさんの帰りを待った。

 

 

━━

 

「それにしてもユウキは本当に凄いね、ハスミからもスカウトされてたし」

 

「名だけはありますからね」

 

「不良生徒を一人で全滅させたりする辺り名だけじゃないと思うんだけど……それにヒナとも一緒に戦った事があるらしいね」

 

「はい、ゲヘナの風紀委員長である空崎ヒナさんと一緒に戦った事もありますよ、彼女は……最強を具現化したような方でしたね」

 

「確かにヒナは強い……あっ」

 

「トリニティでゲヘナの話をするのはご法度でしたね」

 

周りの目が冷たい……流石に世間知らず過ぎただろうか。

 

「……さて、それでは私の探偵の部分を発揮しましょうか」

 

席を立ち、壁に近づく。

 

「何をするの?」

 

「盗み聞きです」

 

「え?」

 

隣の部屋にいるハスミさんとコハルさんの会話を聞き取る為に壁に耳をくっつける。

 

「あの」

 

「静かに」

 

何か会話が聞こえる、何だ?

 

「本来……の……ないて……」

 

よく聞こえない、この防音性能を私のビルに分けて欲しいものだ。

 

「……先生……」

 

先生?なぜ先生を?

 

「ユウキ、盗み聞きはあまり良くないと思うな」

 

と、先生が肩をとんとんと叩き止める。

 

「裏切り者を探す依頼をされたので裏切り者である可能性があるコハルさんを調べていたのですが……まぁ先生が言うのなら」

 

「まぁプライバシーとかもあるし……程々にね?」

 

と、先生が心配の声を漏らす。

 

「戒めにしておきます」

 

だがプライバシーなどを気にしていたら探偵は務まらない、口だけにしておこう。

 

ガチャ

 

「おや、話は終わりましたか?」

 

隣の部屋からコハルさんとハスミさんが出てくる。

 

「はい、時間がかかってしまい申し訳ありません」

 

「いえいえ、そういえばハスミさん、一つ気になる事があるのですが……」

 

ペンとメモを取り出し、筆を描く準備をする。

 

「はい、どうかしましたか?」

 

「貴女はゲヘナに対して強い反感を持っていましたがエデン条約の締結に反対しないのですね、何故ですか?」

 

「エデン条約が締結される事によって仕事が減り負担が少なくなるのは良い事なので……それに政治の事はティーパーティーに任せてありますし」

 

「なるほど、貴重なご意見ありがとうございます」

 

すらすらと要点をまとめペンとメモを懐にしまう。

 

「話は終わりですか?」

 

「はい、ご協力ありがとうございました」

 

「それでは帰りましょうか、先生」

 

「うん、帰ろうか」

 

「……コハルさんも、帰りますよ」

 

「えっ、あっ、うん!」

 

 

 

━━

 

 

美味しい情報を手に入れられた、裏切り者は二人まで絞る事が出来た。

まず阿慈谷ヒフミ、この子はそもそも裏切り者として見られておらず……桐藤ナギサから裏切り者を見つけろと頼まれた生徒の一人だ、その為除外。

次に下江コハル、この子は恐らくゲヘナと確執のある正義実現委員会への人質の意味合いを込めての補習授業部入りだが……ハスミさんの言っている事に嘘はついていなさそうだったので除外。

しかしコハルさんとハスミさんの会話が気になる、今度ゆっくり考察するとしよう。

 

残るは白洲アズサと浦和ハナコ。

どちらも無所属の生徒……おっと、もうそろそろ別館に着くし考察は後にしよう。

 

 







先生→ユウキ
頼り甲斐があるし良い子なんだけど少し真面目過ぎるというか……もう少し気楽になって欲しい。
コハルと仲良くなって欲しかったから一緒に来てもらったけど呼んで良かったよ。

ユウキ→先生
ラーメン奢ってくれた良い人。
でも捜査の邪魔をしないで欲しい。

ヒフミ→ユウキ
探偵をやってる人、勉強も教えてくれるのが上手いし良い人なんだけどフナムシの事が強烈過ぎてフナムシ恐怖症になりつつある。
ペロロ様について理解を得られなくて残念。

ユウキ→ヒフミ
ワンチャン大穴でこの人が裏切り者の説がないかと考えたがペロロ様の勢いを見て考えない事にした。

コハル→ユウキ
思ってたより凄い人だった、なんか優しい。
でも何で私が考えてた嘘を知ってるの?

ユウキ→コハル
可愛い少女、こんな子が裏切り者な訳が無いよね。

アズサ→ユウキ
フナムシが嫌いで寝相が物凄く悪い探偵。
トラップをなんとか避けようとするけど最終的に当たってしまっているのが申し訳なく感じている。

ユウキ→アズサ
向上心は高いし勉強もちゃんとやってくれる良い子、それはそれとして廊下にトラップ仕掛けるのやめて欲しい。

ハナコ→ユウキ
可愛い人♡

ユウキ→ハナコ
勉強教えてる時にペースに乗られそうになる、怖いしおっかない人、でも優しい。

ハスミ→ユウキ
戦闘能力、事務能力、洞察力などが物凄い高いのでなんとしてでも正義実現委員会に入れて戦力にしたい

ユウキ→ハスミ
ダイエット成功したかな、多分してないだろうなあ
トリニティの入学かぁ、考えておこうかな



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