「ふぅ、いい湯加減です」
流石トリニティ、別館のシャワーもちゃんとしている。
湯船に浸かり、
「……」
残る裏切り者の容疑者。
白洲アズサと浦和ハナコ。
阿慈谷ヒフミ、下江コハルも確実に裏切り者じゃないと言える訳では無いが可能性はかなり低いと考え除外しよう。
白洲アズサ
トリニティ総合学園の二年生。
最近トリニティに転校してきたようでトリニティの校風に慣れていないらしい。
その特徴はゲリラ戦のプロ、廊下や部屋などに張り巡らされたトラップを回避する事は困難だろう。
性格は真っ直ぐで純粋無垢、良い子と言える子だ、勉学の方の成績は良いとは言えないが本人の努力により解決されつつある。
浦和ハナコ
トリニティ総合学園の二年生。
一見清楚で真面目な子に見えるがその正体は不埒でえっちでふしだらな子。
一言目が挨拶だとすれば後はひたすらえっち、えっち、えっちな事、コハルさんといつも仲良くコントをしている。
隙あらば水着になろうとするし水着の理を説こうとする、プール掃除の時の目は野獣の眼光だった。
……性格は礼儀正しく優しい子、勉学の方もかなり良くたまに私が教えられる事もある、なぜ補習授業部にいるのだろうか。
「裏切り者は何者?」
トリニティが憎いのか、ゲヘナが憎いのか、それとも愉快犯?意味は無いのか?
「何故エデン条約を邪魔するのでしょうか」
家から持ってきたアヒルの玩具に聞く、当然返事は無い。
ふと窓を覗く。
地平線の彼方まで広がる青黒い空と白色に輝く星が広がる。
何処か虚しいと感じた、それに空を見ても答えは出ない。
「キヴォトスは果たしてどうなるのか」
破滅か、平和か。
アヒルの答えは出ない。
━━
「やぁ、ユウキ」
風呂上がり、先生と色々な話をする為に先生の部屋に上がり込んだ。
「私が考察した結果ですが、まず裏切り者は二人まで絞れました」
「その二人っていうのは……?」
「白洲アズサさんと浦和ハナコさんです」
「アズサとハナコ……」
うーんと唸る先生。
「先生は裏切り者については確かヒントを求めるだけ、と仰っていましたね」
「うん、あくまでヒントだけ、それで自分の考えを確かめて行動に移すよ」
先生は私に依頼した時、裏切り者を探し出すのではなくヒントを求めた。
それは何故かは分からなかったが、今分かるだろう。
「いつか分かる結論を何故私に求めたのですか?」
「ううん、結論をユウキに求めた訳じゃないんだ」
「実はね、裏切り者を探すのは二の次で本当はユウキが寂しそうだったから呼んだんだ」
「寂しそう?」
「うん、ラーメンを一緒に食べた時寂しそうな顔をしていたから」
「探偵の夢を追いかけるのも良いけどその過程も楽しんで欲しかったから、だから呼んだんだ」
「え、えぇ?」
なんというか、意外だ。
私が寂しそうだったからという理由でトリニティを巻き込んだのか?
「ごめんね、迷惑だったかな?」
「……いえ、心遣いありがとうございます」
この人は優しくて破天荒で、どこか変わっている人だ。
ガチャ
ドアを誰かが開く。
「ヒフミさん?」
「ユウキさん、先生、こんばんは」
開けたのはヒフミさんだった、恐らく先生に裏切り者の事で相談しに来たのだろう。
「どうしたの?」
「えっと、ハナコちゃんの事なのですが……」
━━
「一年生から三年生の全ての試験を回答したのがハナコさん……?」
「はい、それも三年生の秀才クラスでも難しいと言われる試験も含めて全て満点を出しています、完膚なきまでに秀才と言えるレベル」
ありえない。
そのような人物がいたとしたら既にティーパーティーやシスターフッドに入る程の……どういう事だ?
カンニング?違う、ハナコさんは確かに頭が良い。
事実私が教えている時にたまに逆に教えられる時がある。
では出される結論はただ一つ。
ハナコさんはわざと成績を下げている。
そんな事をして何になる?
裏切り者。
エデン条約。
意図した成績の低下。
トリニティでもトップクラスの頭脳。
もしもハナコさんが裏切り者だとしたら?
「……なるほど、分かりました」
「ユウキさん……?」
「ハナコさんは間違いなくトリニティ……いえ、キヴォトスでもトップクラスの秀才です」
「恐らく彼女に匹敵する頭脳を持つのはミレニアムのごく一部の生徒だけでしょう」
「キヴォトスでもトップクラスの頭脳」
「図られた成績の低下」
「そしてそこから叩き出される結論」
「それは……」
「……いえ、この先は敢えて語らない方が良いですね」
「先生はヒントだけを求めたのですから」
「うん、ありがとう、ユウキ」
「えっ、えぇ?」
「私は先生に裏切り者を探せとの依頼はされておりません、ヒントを求める依頼をされました」
「どうしてもヒフミさんが気になる……というのならまた後日にお話いたします、宜しいでしょうか?」
「わ、分かりました……」
「焦れったい事をしてしまい申し訳ありません、ですが依頼内容が依頼内容ですので」
「さて、そろそろ夜も遅いですし私は寝る支度をします、おやすみなさい」
扉を開けて会釈をする。
「おやすみ、ユウキ」
「お、おやすみなさい、ユウキさん」
一人は暖かくて何処か不安な目を、もう一人は困惑の目をしていた。
……
朝。
「おい、ユウキ、起きろ」
「フナムシついてますよ」
「ぎゃあああああああああああ!!!」
既視感。
━━
「おはようございます……」
「おはようございます、ユウキさん」
教室に入るといつものメンバーが団欒としていた。
「……あれ、先生は?」
「そういえば今朝から見ていませんね、一体何処に……」
どうやら先生はまだ来ていないらしい、どうかしたのだろうか?
何はともあれ、ヒフミさんにあの件を話せそうだ。
「……ヒフミさん、少しいいですか?」
「あっ、はい」
━━
「わ、水が入ってるー!」
「ここに水が入ってるのなんて久しぶり見たなー、もしかしてこれから泳ぐの?」
ミカに呼び出され、行った先はプール。
「要件を聞いてもいいかな?」
「あはは、先生が上手くいってるかなっていう思って見に来ただけかな」
「……」
━━
廊下。
皆に聞こえないように、ヒソヒソ声で話す。
「裏切り者が分かった?」
「これはまだ予想の域を超えない段階ですが……」
━━
「ところで合宿の方はどう?遠いのをいい事に水着でプールパーティーとかしてない?」
「……」
「……そこまで警戒されちゃうのは心外だなー、私こう見えても繊細なんだよ?」
ただミカの顔を見る。
「ふふっ、ごめんね、先生も長い前置きは好みじゃないかな?」
「それじゃ、本題に入ろうか?」
「あ、因みに私がここにいるのはナギちゃんは知らないよ?見ての通り付き添いの行動もなしの単独行動!」
「それで、改めて本題だけど」
「先生、ナギちゃんから依頼されなかった?」
「裏切り者を探して欲しいって」
「……まぁ、されたかな」
「詳しい情報とかは?何も無いの?」
ナギサが私にくれた情報は補習授業部に裏切り者がいるという情報だけ。
「無いよ、裏切り者を探してっていう事だけ」
「はぁ……何も教えずに先生にこんな重荷を背負わせるなんて……」
違う。
私はその提案を拒否した。
「ううん、私は私でやる事にしたから」
「だからその提案を断ったよ」
「その結果があの相澤ユウキ?」
「ユウキは……まぁただのお手伝いかな」
「へー、でも相澤ユウキを呼ぶなんて先生も目が良いんじゃないの?」
「ユウキは一体何者なの?」
「うーん、相澤ユウキはね、一言で言えばヴァルキューレの鬼とか彗星とかって言われてるかな」
「凄まじい洞察力と戦闘能力であらゆる悪の組織を壊滅してるんだよね」
「カイザーコーポレーションの下っ端組織、有名な不良グループ、その他もろもろ……」
「一年生にして天才的な能力で悪の組織を次々と壊滅させていった」
「それもほぼ一人で」
「だから色んな学校が警戒してたんだよ?一年前まではね」
「だけど一年前相澤ユウキは二年生に、前線から外されて刑事課の指示を回す側に回った」
「そこからはあんまり相澤ユウキの噂は聞かないかな、私もヴァルキューレに関する事はあんまり詳しくないから知らないけど」
「でも相澤ユウキの洞察力は健在みたいだね、おっそろしいなぁ」
「……どういう事?」
「うーーん、多分そのうちわかる日が来るんじゃないかな?」
「そのユウキくんの洞察力をあえて受け入れると……まぁ補習授業の裏切り者を教えてあげようかな、と」
ちょっと誤字が多いかも
後日直します
誤字だけに!なんつって!
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