シラトリ区の探偵   作:ガガミラノ

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水着の再来

「さて、洗濯を始めましょうか」

 

「皆さん下着や靴下などの洗う物は全てこのカゴの中に入れてくださいね」

 

ハナコさんが床にカゴを置く。

 

「下着もですか?」

 

「なんで!?下着はいいでしょ!?」

 

「洗濯はまとめてやった方が水と洗剤の節約になる、ハナコの言ってる事に間違いは無い」

 

確かにごもっともなのだが如何せんハナコさんが言うと卑猥に聞こえてしまう。

 

「あぅ……ではお願いします……」

 

「わ、私がおかしいの……?」

 

と、困惑しつつヒフミさんもコハルさんもカゴに洗濯物を入れていく。

 

「あら、先生とユウキさんは入れないんですか?」

 

「私は遠慮しておくね」

 

「私も自分の好きな洗剤じゃないと気分が悪くなるタイプなので」

 

「あら、そうですか?では洗濯回してきますね」

 

そう言い、ハナコさんはカゴを持って行った。

 

「ふぅ、それではそろそろ就寝するとしますかね」

 

ぐっと伸びをして息を吐く。

 

……ん?

 

「……生、ちょっと……」

 

どうやらヒフミさんが先生に何か囁いてるようだ、少し聞き耳を━━━━おっと、もうそういう事はしないんだった。

 

「それではおやすみなさい」

 

「あ、おやすみなさい」

 

「おやすみ」

 

私は静かに自分の部屋に戻った。

 

 

━━

 

自室。

 

 

「……まぁ、盗聴のおかげで色々な情報を入手出来ましたね」

 

埃が積もった机の埃を払い、ノートを広げ、ペンを握る。

 

まず第一収穫は裏切り者の確定。

白洲アズサが裏切り者と確定……したが。

 

「訳あり……と」

 

どうやらアリウスというトリニティにより滅ぼされた学園が関わっているようだ。

アリウス……聞いた事がない学園だ、やはり聖園ミカが言っていた通り歴史の表舞台から消えつつある学園なのだろう。

何より、情報が少ない。

 

「明日は授業を先生に任せてトリニティの図書館に行きましょうか」

 

アリウスについての情報とトリニティの歴史について。

トリニティには古書館があるらしいし、一度行ってみるとしよう。

歴史を学ぶのも嫌いでは無い。

 

 

第二収穫は聖園ミカが何かをしようとしている事。

 

裏切り者の白洲アズサを入学させたのは聖園ミカ。

つまり間接的にエデン条約を邪魔しようとしているのも聖園ミカ。

 

 

……待てよ?

確か聖園ミカはかなりのゲヘナ嫌いだったはず。

 

そして盗聴器から聞こえたエデン条約は第一公会議の再現という話。

 

「なるほど」

 

そしてアリウスはゲヘナを憎んでいる……

 

ゲヘナが嫌いな聖園ミカとゲヘナが嫌いなアリウス。

 

点と点が繋がった。

 

だから協力をしたのか。

 

だがアリウスはトリニティも憎んでいるのではないのか?

何故憎んでいるトリニティ出身の聖園ミカと協力する?

 

敵の敵は味方理論か?

違う、聖園ミカの話によるとアリウスは第三者である連邦生徒会からの救助もトリニティからの救助も跳ね除けた。

 

時間による憎悪の風化?

違う、トリニティを憎み始める前からゲヘナが嫌いなアリウスはまだゲヘナを憎んでいる。

 

「……アリウスは……」

 

分からない、アリウスが何を目的としているか。

 

いや、とりあえず考え事はやめて早く寝てしまおう……

 

━━

 

 

「……はぁ」

 

「凄い雨ですね」

 

 

次の日の朝、起きたらかなりの豪雨が降っていた。

雷もゴロゴロと鳴り、絶対に図書館に行かせないぞという心意気を感じる。

 

「本当にため息しか出ませんね」

 

「ユウキさん雨嫌いなんですか?」

 

「いえ、ですが今日に限っては嫌いです」

 

もどかしい、もどかしくて仕方ない!

 

「そういえば確か洗濯物が外に……!」

 

「おや」

 

豪雨と雷、恐らく外に干してある洗濯物はもう……

 

「私取りに行ってきます!」

 

ハナコさんはそう気づくと急ぎ足でどこかに行ってしまった。

 

「あ、私達も!」

 

ヒフミさんやコハルさんも洗濯物を取りに走って行った。

 

 

 

━━

 

 

「うぅ、体操着がぐちゃぐちゃ……」

 

「これは見事に全滅ですね……泥も跳ねちゃってますし洗い直しが必要です」

 

豪雨の中走って洗濯物を取りに行った四人はびしょ濡れで戻ってきた。

 

「ごめんなさい、つい失念していて……私が皆一緒にと言い出したせいです」

 

「いや、ハナコのせいじゃない、洗濯はもう一度すればいいし服は着替えれば良い」

 

「そうですよ、濡れたままですと風邪を引いてしまいますしまずは早く着替えてしまいましょう」

 

「あの、着替えは確か全て洗濯したのでは?」

 

「……あっ」

 

「そしてその着替えは全てびしょ濡れ、今着ている服もびしょ濡れ……少しまずいのでは?」

 

「確かにもう着る物がありませんね……」

 

「制服も体操着もびしょ濡れでもう着る物が……」

 

「あらあら♡下着姿で勉強というのもスゴくアリだと思いますよ?」

 

「何言ってるの!?バカ!そんなのダメに決まってるじゃない!」

 

 

バチンッ!

 

 

何かの炸裂音と共に突如周りが暗くなる。

 

「えっ、何!?」

 

「停電ですね、恐らく落雷の影響でしょう」

 

「……まずい、洗濯機がとまってる、それに蓋も開かない」

 

「!?」

 

 

━━

 

 

「それで、私まで水着になる必要性はあったのでしょうか?」

 

「良いじゃないですか、似合ってますよ?」

 

着る物が無い、というのは誤りで本当は……水着だけが残っている。

水着は着る物に入るのか、という解釈はそれはこれを読んでいる君達に任せよう、少なくとも私は着ている物だと思わないと言っておこう。

 

「はぁ、まったく、雨が嫌いになりますよ」

 

古書館には行けなかったし停電はするし……

 

「そういえばユウキさんは今朝何処かに行こうとしていましたよね、何処に行こうとしてたんですか?」

 

「少しトリニティの古書館の方へ行こうと思っていたのですがこの豪雨だとそれも……」

 

「確かにこの雨だと古書館に着いてもびしょ濡れですし……」

 

「そういえば私に反してハナコさんは少し楽しそうに見えますね」

 

「ふふっ、実は私こういう事すっごくしてみたかったんですよ、なのでちょっとテンションが上がってて……」

 

「確かにこの非日常感は中々味わえないものですよね、分かります」

 

「うん、私も補習授業部に入って以来ずっとこういう気持ちだ」

 

「あら、そうなんですか?」

 

アズサさんもどうやら同じ気持ちのようだ。

 

「何かを学ぶという事も、皆でご飯を食べる事も、掃除と洗濯も、その一つ一つが楽しい」

 

……アリウスという劣悪な環境で育ってきたアズサさんには学ぶ、という事が楽しくて仕方ないのだろう。

 

「水着は泳ぐ時だけに着る物だと思っていたのにこんな活用方法があるなんて事もここで初めて知った」

 

「水着の件は違うと思いますが……」

 

「ハナコがこれを着て学校を歩いていたというのも納得だ」

 

「貴女そんな事してたんですか!?!?」

 

「ふふっ、そうですよね、だから言ったじゃないですかコハルちゃん」

 

「いやそれで外歩くのは犯罪だから!」

 

「ハナコさん……」

 

正直ドン引きである。

 

「コハルと一緒に勉強するのも楽しい」

 

「っ!?何!?急にそんな恥ずかしい事を!?」

 

「あらあら♡」

 

「ま、まぁ?私みたいなエリートと一緒に勉強してタメになる事は多いと思うけど?」

 

「……勿論、ヒフミもユウキもだ、いつも 本当に世話になっている」

 

「……あ、アズサちゃーーん!うわーん!」

 

 

ヒフミさんはアズサさんに抱きついた。




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