「なるほど、内戦が起きて……」
午後九時。
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「この時に……なるほど」
午後九時半。
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午後十時半時。
「興味深いですね……」
最初はただアリウスに関する事を調べる為だけに借りた本のはずなのにいつの間にかトリニティの歴史自体にのめり込んでしまっている私がいた。
コンコン、とドアを叩く音が鳴る。
「ユウキさーん」
ハナコさんだ、だが今私は忙しい。
「今ちょっと忙しいです」
「ちょっと入りますよ?」
ハナコさんにドアを開けられる。
「あら、古書館で借りた本ですか」
本を読みながらベッドに寝転がっている醜態を見られるが今はそんな事どうでもいい。
「はい、トリニティの歴史書です」
「アリウスに関する本と、トリニティの年表……」
……いや良くないな??
冷静に考えると何も良くない、失礼だ。
ベッドから起き上がり、ハナコさんの顔を見る。
「……失礼致しました、集中すると周りが見えなくなる癖がありまして」
「いえ、それより何故アリウスとトリニティの歴史の本を?」
「少しトリニティの歴史が気になって……うん?」
アリウスの本の表紙を見る。
アリウスの紋章だ、ドクロのマークで少し特徴的……何か引っかかるな。
どこかで見たことある、どこだ?
いや、考え事は後にしよう。
「ハナコさんは何故私の部屋に?」
「先生公認で少しだけ別館を抜け出さないかって話になりまして、ユウキさんもいかがですか?」
「良いですね、行きましょうか」
寮からの抜け出しは青春のよくある一ページだ、悪くはなさそうだ。
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「うふふ……♡」
「あはは……来ちゃいましたね」
午後十一時頃、私達はトリニティのある商店街にやって来ていた。
夜中だと言うのにも関わらず店は活発で人も多く見かける。
「夜なのに随分と賑やかですね、人が多い……」
「どうですか?もう既に楽しくないですか?禁じられた行為をしている背徳感と皆で一緒にいるという安心感が合わさって……!」
「思ったより活気があるな、深夜なのに」
「そうなんですよ、二十四時間営業のお店も多いですし」
「あれはスイーツショップ?喫茶店もある……」
歩く道にはスイーツショップ、喫茶店、スターアップスなどなど様々な飲食店がある。
飲食店以外にもグッズやスポーツ用品などの店もあり賑やかなのも納得出来るくらいの店揃いだ。
「ここからもう少し行くとモモフレンズのグッズショップもあるんですよ、その向かいには限定グッズだけ取り扱う隠れたお店もありまして……」
「ふふっ、流石ヒフミちゃん、詳しいですね」
「あ、あははは……」
楽しそうなハナコさんと少し苦笑いをするヒフミさん。
「うぅ……万が一ハスミ先輩に見られたら……」
コハルさんは少し脅えた様子だ。
「あら、ハスミさんは後輩達に優しい方ど聞いていましたが……」
「も、勿論優しいわよ!それに文武両道、才色兼備で品もある凄い先輩なんだから!」
「で、でも怒る時は本当に怖くて……」
「確かにハスミさんは非の打ち所のない方に見えますが唯一欠点というか……弱点があります」
「は、はぁ?!そんなのあるわけないじゃん!銃の腕前も委員長程じゃないけど凄く上手いし非の打ちどころが一つもないんだから!」
「いえ、彼女には致命的な弱点があります」
「な、何よ!?」
「ダイエットが出来ません」
「あっ」
「彼女は二年生の頃、ダイエットを怠っていました、今はどうかは知りませんが」
「……だ、ダイエットをやるって宣言してたし約束だって守ってるから!」
「いえ、あれはかなり深刻でしたよ、ダイエットを継続してるとはとても……」
「まぁ、いない人の事を話すのはあまり良くないですし」
ハナコさんがそう宥める、確かにそういうのは陰口みたいであまり良くないかもしれない。
「……あ、ここにもスイーツ屋が」
少し歩いているとスイーツ屋が見える。
良い匂いがする、甘い物は嫌いじゃない。
「まぁ小腹も空きましたしここで何か食べていきませんか?」
「あ、ここの限定パフェ凄く美味しいんですよ!二十四時間やってるとは知りませんでしたね」
「パフェか、悪くない、行こう」
ゾロゾロと店内に入る三人。
「……誰も見てないよね?」
「ハスミさんが約束を守ってるならこんな所いませんよ、大丈夫です、行きましょう」
「うぅ……うん……」
嘆くコハルさんと共に店内に入る。
……なんだろう、何故かここにハスミさんがいる予感がする。
彼女がダイエットに失敗してパフェを食べている姿が見える。
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「いらっしゃませ」
店内に入るとロボットが挨拶をする。
「なんだか凄くワクワクしますね……緊張もしますけど……」
「六名様でしょうか?ご注文をどうぞ」
「えっと、限定パフェってまだありますか?」
「申し訳ございません、限定パフェは先程別のお客様が三つ購入されたのが最後でして」
「そうでしたか……」
「三つだなんて、まるでダイエットしてない時のハスミさんみたいですね」
「ハスミ先輩はもういいでしょ!」
「……あら?」
そこにいたのは現在ダイエットをしていて絶対にいないはずの限定パフェ三つを頬張るハスミさんだった。
私の勘はそれなりに当たるようだ。
「先生……?」
「ハスミ……?」
「……はぁ、やはり……」
ため息をする、やっぱりダイエット出来てなかったか。
「は、ハスミ先輩!?!?」
コハルさんが頭の羽根を大きく広げ驚く。
「あら、それが限定パフェですか?何やらたくさん……」
「先生……それに補習授業部の皆さん……」
「あ、ああああああっ……!」
コハルさんからハスミさんに対する名誉が消えていく音がする。
「やっぱりダイエットなんて出来ていませんでしたか」
「こ、これはですね……その……」
「はい、真夜中に襲う悪しき欲望に取り憑かれてここまで来てしまったのですよね?」
ハナコさんが追い討ちをかける。
「え!?いえその……」
「甘い物をこの時間帯に食べると背徳的で最高の感覚になりますよね、分かりますよ」
私も追い討ちをかけてみる。
「そしてそのまま全てが終わった後に後悔が始まって……」
「努力が無に帰す、私も良くありますね」
「夜中ってお腹空くよね」
先生が〆をする、ハスミさんが可哀想になってきた。
「せ、先生……ユウキさん……その、棚上げするようですが補習授業部の方々は外出が禁じられているはずでは……?」
「まあお互い見られてはまずい状況ですし、ね?」
「……まぁ、ここはお互い見なかった事にするとしましょうか……」
「は、ハスミ先輩……」
「コハル、勉強は頑張っていますか?」
「あっ、えっと、それはその……」
少したじろぐコハルさん。
「コハルは最近凄く成績が上がってるよね」
と、先生がフォローする。
「は、はい!そうです、コハルちゃんはこのまま行けば合格出来るくらい学力が上がっていて……!」
「かなり頑張っていると言えますよね、正義実現委員会のエリートと言ってもおかしくは無いでしょう」
「なるほど、そうでしたか」
「それは何よりです、言ったでは無いですか、コハルはやれば出来ると」
「あの時も言った通り」
あの時……というと、あの時の秘密の会話か!
なるほど、アレはコハルさんを励ましていたのか!
「はい、引き続き応援していますよ、コハル」
「はい、頑張ります!」
コハルさんの顔が明るくなる、うん……いい……
やっぱり裏切り者なわけないよね!うん!
ヴヴヴ……
ハスミさんの電話から連絡がかかる。
「こんな時間に連絡……?」
私の携帯からも電話が来る。
「はい、相澤です」
「はい、イチカ?どうかしましたか?」
「キリノさん?えぇ、はい、確かに……え?いやいやいや……」
「問題?詳しく聞かせて貰えますか?」
「分かりました……ですが別にそこまで……はい、分かりましたって」
「……あ、アクアリウム?どうしてそんな所に……」
「では切りますよ、はい、また会いましょう」
「はい、分かりました、ありがとうございます」
ピッ、と二人同時に電話を切る。
「……先生、少し問題が」
「先生、キリノさんが……」
「ちょっと二人共同時に喋られても……」
「ゲヘナのテロリストが……」
「えっ、ゲヘナのテロリスト?」
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