「強盗事件?」
「はい、今朝の深夜四時、D.U.シラトリ区で大規模な強盗事件が発生したようです」
午前十時半、今日の分の業務をこなしていた時アロナから強盗事件の話を聞く。
「被害者はおよそ九人~十五人位らしく怪我人もいるようです、強盗の犯人は未だに見つかっていません」
「それはまずいね、今すぐ調査を……と言いたいところだけど仕事が……」
「早いところ仕事を終わらせて調査をしましょう!」
……
「ヨシ!仕事終わりっ!」
午後三時、急ピッチで仕事を終わらせる。
「お疲れ様です先生!朝に言った強盗事件の件なのですが……」
「……犯人が逮捕?」
……
ポチッとボタンを押すとチャイムが鳴る。
「はーい」
「……どうも」
ドアか開けられると、そこには大人の……男性だろうか?女性だろうか?とにかく大人の人がいた。
武器は持っていなさそうだ、奥に伏兵もいない。
髭は無いし、顔立ちは整っているけど隈がある、不眠症を患っているのだろうか?
それに少しタバコの臭いがする、あと酒も。
髪の毛は整ってるとは言いづらい、ぼさぼさとしている。
「初めまして、シャーレの先生」
「君があの強盗事件を解決してくれた子かな?」
「はい、まぁ成り行きって奴ですが……」
「とりあえず上がってってよ、お茶も用意するし」
「ではお邪魔します」
━━
「はい、どうぞ」
「頂きます」
客間室のような場所に誘導され、椅子に座る。
そして渡されたお茶を飲む━━━前に。
「それじゃあ私はちょっと書類を持ってくるから、少し待っててね」
チャンス。
「分かりました」
そのまま先生は扉を開けて別室に向かった。
よし、行ったな。
監視カメラがない事を確認、時計やカーテンまでは見れないが机の裏やペンは見れる。
次にこのお茶の香りを嗅ぐ。
……無味無臭。
では先生の方のお茶は?
……これも無味無臭。
毒は無いと断定出来ない、三酸化二ヒ素が混入していたら私は死んでしまうだろう。
茶には絶対に手をつけないでおこう。
「お待たせ!」
と、観察していると先生が帰ってくる。
書類の束を持っている。
「えっと、まず君の名前はなんて言うのかな?」
椅子に座り、私の名前を問う。
偽名を使おうかと考えたが本名がバレた時のデメリットがとてつもない為本名で言う事にした。
そんな事してもあまり意味は無いし。
「私の名前は相澤ユウキ、ヴァルキューレに所属していた二年生です」
「ユウキだね、よろしく」
「先生の方は?」
「私は……まぁ無難に先生でいいよ」
「そうですか」
怪しい、だがこれを掘り下げると嫌な予感がするのでこれ以上掘り下げないでおこう。
「それよりユウキ一人で強盗事件を解決したんだって?凄いね!」
「はい、まぁ相手が油断しきった不良生徒だったので楽勝でした」
「でも助かったよ、アクセサリーとかの金品も取り返したんでしょ?」
「まぁ、そうですね」
「おかげで仕事が減ったよ、ありがとう」
「……先生が聞きたいのはそういう事じゃないでしょう?」
「えっ?」
━━
強盗事件を解決してくれたのは……なんというか、中性的で男性か女性か分かりづらい生徒。
探偵服を着ているけど、よく漫画や小説などで見かける探偵帽は着けていない。
なんというか、物凄く頼り甲斐のある生徒という印象が強くなってしまった。
だがどうやらこの子は私に敵対心を向けているようだ。
「それってどういう意味かな?」
「言葉通りの意味です、そんな事の為に私を呼んだんじゃないのでしょう?」
「えっと……」
「私をヴァルキューレから退学させたのは他でもない不知火カヤ防衛室長と貴方」
「そうでしょう?」
「えっなにそれは」
「え?」
「いや知らないんだけど……私は生徒を理由なしに退学させないよ?」
全く身に覚えに無い、いや本当に無い!
そもそも彼とは初めて出会ったし私は理由なしに退学には絶対しない。
いや理由があっても退学にはしない、絶対に。
「……では、これは不知火カヤの……え?うーーーん……」
そう呟き、彼は頭を抱えた。
「あの……」
「静かにしてください、今考えてます」
「あっはい」
━━
どういう事だ?
まず先生の反応的に嘘ではないことが分かる、では不知火カヤの独断?
考えづらいがそれが最有力だ、しかし防衛室長レベルの人間がこのような横暴を単独で……?
有り得ない、いや有り得てはならない。
「とりあえず詳しく話を聞いてもいいかな?」
「……一週間前まで、私はヴァルキューレの公安局刑事課で活躍していました」
「ですが突如私はヴァルキューレ公安局長である尾刃カンナに退学を言い渡されました、そしてこの決定は連邦生徒会防衛室長である不知火カヤが決定した物」
「私はこの決定を不知火カヤの独断の決定では無いと思い、シャーレが関与していると考察しました」
「いやそんな話知らないんだけど……」
否定。
本当に知らなさそうだ、いやいや……
「……はぁ、では私の……うーーーん」
「思い詰めてもしょうがないと思うし……とりあえずその不知火カヤって子に連絡してみる?」
と、提案される。
が
「いや、恐らく今連絡しても適当にあしらわれるのがオチでしょう、ですがいつか必ずチャンスがあるはずです」
却下、私のような一刑事が退学処置された所で世間はそう騒ぎにならないだろう。
「そのチャンスを如何に生かすかが肝ですね、恐らく今年中に不知火カヤは何かアクションを起こすでしょう」
私の事を退学にした理由があるはず、ではそのアクションを待ち、来るべき時に備えるべきだ。
「なるほどね、そういえばユウキはヴァルキューレに退学したらしいけど今は何処の学校に所属してるの?」
「一応名目上はヴァルセルヌ警備学校に所属しています、授業を受けることになるのは暫く先になりそうですけどね」
「それはダメだよ、ちゃんと授業を受けなきゃ」
「……お金が無いんです」
「あっ……」
「お金が無いから貯めないと授業も受けられなくなっちまうんです……」
「あー、うん……ごめんね」
と、私の身の回りを話していた時。
ピンポーン。
チャイムが鳴る。
「せんせー、来たよー」
「あっホシノ!ちょっと待っててね〜」
……ホシノ?
ん?え?あ?
いやいや待て、人違いだ。
間違いだ、小鳥遊ホシノがシャーレに
いいいいいるはずがががががが。
「やっほー、あれ?お客さんいるの?」
「うん、今朝の強盗事件を解決した子がいるんだ」
「へー、結構ニュースになってたよねアレ、凄いねー」
玄関からやるせない声が聞こえる、そうだ、違う!
違うはず、うん、違うよ!
「お、初めまして〜」
「は、初めまして」
姿が見える、うん、やはり人違いだ!
茶でも飲んで落ち着k
「私は小鳥遊ホシノ、宜しくね〜」
「ぶほっ!げほっ!」
ふああああああああ、たたたたたた小鳥遊ホシノだああああああっっ
あああ暁のホルスっ!!!ころされりゅっ
「ちょ!?だ、大丈夫?」
「だだだだだだっ、だだいじょうじょぶです」
「ユウキ!?すごい震えてるよ!?」
「ぜ、全然大丈夫ですよ、ええ暁のホルスがいるからと言って動揺しているわけじゃありませんよ決して」
「あれ、もしかしておじさんの事知ってる?」
「……も、もしかしなくても貴方はアビドスの小鳥遊ホシノですか?」
「うん、そうだよー」
「一年生の頃に貴方の噂を聞きました、とても強い方だと」
「うへー、ただの噂だよー」
「……そうですか」
嘘だ、少し冷や汗が出ている。
何故?
いや冷や汗が出てるのは私も同じだが……
「あっ、そういえばユウキ、この後予定とかあるあるかな?」
先生が時計を見ると慌てて予定を聞く。
「?……いえ、特に無いと思いますが……」
「それじゃあ少しアビドスで手伝って欲しいことがあるんだけど少しお願いしてもいいかな?人手不足で……」
アビドス……この機会に治安の事について謝罪しておこう。
「ええ、構いませんが……その、少しお金を貰ってもよろしいでしょうか?今ちょっと金欠で……」
「いくらかな?」
「えっと、牛乳を切らしてて……それで……大体二千円位ですかね、がめつくて申し訳ないです」
「いやいや、強盗事件の件もあるしこれくらいなら払うよ」
「それじゃ先生、行こっか」
「先生、少しタバコとお酒の臭いがするよ?」
「えっ、本当!?ごめんね!今消臭スプレーかけるよ!」
先生の名前を明かす予定はありませんのでご安心を
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