「へぇ、中々強えじゃねえの」
花を咥えた赤髪のヴァンデル、鮮烈のフラウスキーが遠くからあなたの戦う様を見ていた。
(あの身のこなしも只者じゃねえな。槍だけじゃなく、剣やら鎚やら何でも使えるなんてよっぽどのもんだ。カスリすらせずに大甲虫も捌いてやがる。40LV以上はあるな。)
「こりゃ旦那に報告だな。」
小さな羽を持つ虫型モンスター、ペンバリーをあなたに放ち、闇に消えていった。
あなたは見たことの無いモンスターの羽虫をチタン製拳銃で撃ち抜きバラバラにした。
この一匹しか見つけられなかったがレアなモンスターか変異種だったのだろうか。
新しく見つけた獣達をモンスター図鑑に書き込みホクホク顔でトロワナへ向かっていた。
新天地を探すあなたに話しかける者がいる。
「うぅ……そこの人少しばかり水を分けて貰えないだろうか。」
三人の兵士らしき人物がトロワナの森の中でボロボロの状態で野営していた。
水は貴重品だ。喉を潤したいのならこれでも飲んでくれればいい。
肉体復活のポーションと精神復活のポーションを適当に分けてやった。
「おお!これはなんという素晴らしいポーション。ありがとうございます。謝礼は如何ほど……」
謝礼など要らない。ここらにあるというトロワナという街を知らないだろうか。
「我々はトロワナから派遣された黒の地平の調査隊です。トロワナへ向かうというならば道案内させてください。」
「あなたのように清貧なバスターもいるのだな。ありがとう。」
あなたも最近バスターになったばかりだ。
子犬の洞窟で嫌というほど拾ったポーションで喜んでくれて何よりだ。
トロワナの門はデュオラのものより更に重厚で要塞のようだ。
階段を登り門を潜る。
中は外の世界の不気味さとはうって変わり、それなりに繁栄しているようだった。
「良かった。ぜひウチの家内の料理を食べて行ってくださいよ!」
兵士の一人アルフォードという者からお礼をされた。
家内の手料理はかなりの腕前だった。
散々に食べた。
ここらは黒の地平と言うらしいが魔賓館という場所に聞き覚えはないかアルフォード一家に聞いてみた。
「私は聞いたことはありませんね……。なんの建物でしょうか?」
通りすがりのヴァンデルに他のヴァンデルの集まる場所を聞いた所教えてくれたのだ。
きっとヴァンデルの山ほどいる拠点なのだろう。
「すごい人ですね。腕に自信ありとは思っていましたが、高名な戦士団にでも所属されていたのですか?その胆力も素晴らしいですね。トロワナの兵士にでもなってくれたらいいのに」
心配しなくとも魔賓館探しがてら、ここらの魔物は一通り絶滅するまで叩くつもりである。
明日はここの鑑定小屋に行き、情報を集める。
アルフォード夫人にも礼をいい、その日は眠りに落ちた。
きっと珍しい依頼もあるのを期待して。
その頃、アンクルスから出発したビィト戦士団はレドウの大河を渡る為小舟に揺られてトロワナの沿岸に上陸していた。
道中河クジラに襲われたが飲み込まれる寸前で、間一髪サイクロンガンナーで脳天を撃ち抜き危機を脱した。
そんな騒動で濡れた服を焚き火で乾かしていた。
「やっぱりサイクロンガンナーを連射出来ないなら、次の仲間は天撃の達人!いいわね!」
「そうだなぁ。アルサイドはガンガン撃ってたのに、なにかが俺には足りないんだ。きっと……。そう都合よく仲間になってくれるやつが居るといいけどな。」
「人さえいればお金で雇うって手も有りよ!」
「えっ!そんな金あんの?あんなに舟の金もケチったくせに!」
「バカねぇ、節約するのとはまた別よぉ!」
(だんだんポアラも肝座ってきたな。いいことだけど)
「とっておきがあるのよ!10000MG(マギー)よ!」
そういって彼女は財布に手を伸ばす。
「アンクルス出るまで見たこともなかったわ……。」
「あれ?」
財布の中は空だ。
「もしかしてあれのことか?」
ビィトは後ろを指差す。
しっぽの生えた哺乳類モンスター。金貨を好んで食べるカネックが10000マギー硬貨を食べていた。
「おのれらぁ〜!」
ポアラはカネックを追いかけた。
「ある意味河クジラより手強いな……」
ビィトは乾かした地図を眺めた。
(南の山を迂回するのがいいな。とにかく一番早く仲間を見つけねえと。いつか遠距離攻撃で困る時がくる。ポアラの援護にも限界がある。)
「信じられねえな、このきれいな山の向うに日の差さない黒の地平が広がってるなんてよ。」
「気引き締めていくか!」
「お、おい、助けてくれ……」
顔色の悪い兵士が木にもたれかかっている。
「うう……」
「お、おい大丈夫か?」
ビィトは兵士に駆け寄る。
「ヴァンデルにやられた……助けてくれ」
不審な兵士だ。
兵士がビィトに助けてもらおうと手を伸ばす。
ビィトはその手を取り起こそうとする。
その瞬間他の兵士が木の上から斬りかかる。
木の上から怪しい人影が降りてくる。
「ウケケケ!やってやったぜ!このベンチュラ様が噂の小僧を倒した!他愛ない奴だ。用心して掛かるまでもなかったな。」
「いや、用心不足だろ。」
操られた兵士たちが崩れ落ちる。
「貴様、気づいてたのか!」
「唇が動いてねえんだもん。操るならもっとうまくやれよ。」
当身で制圧したビィトが呆れた様子で言う。
「生意気なぁっ!」
兵士たちを操りビィトにけしかける。
「気絶させたはずなのに……」
「俺様のモンスター、トリュプスに操られた生物は最初から気絶してるんだよ。当身なんか無駄だ!」
三人の兵士がビィトに斬りかかる。
「コイツか!」
ビィトが兵士の首筋に這うモンスター、脳から足の生えた蜘蛛のようなトリュプスを取り外そうとする。
(なんかヤバい!!)
ビィトは兵士から距離を取る。
「ヒヒ……いい勘だな。迂闊に取ろうとすれば針が延髄に貫通して死ぬ!同じ人間同士見殺しにするわけには行くまい!」
「卑怯な手でここらの兵士を苦しめてんだな。」
「トリュプスだけを殺すなど神業をもってせねば不可能……」
「そうよ!もう既に黒の地平の100の国を滅ぼしてやったとも!」
兵士の斬撃を躱しながらビィトは言う。
「でも自分で弱点はバラしちゃだめだぜ!」
「要は神業みてえな力で、一瞬で殺せばいいんだろ!」
ビィトは胸の内から武器を生成する。
突然一人の兵士が倒れる。
「何?!」
何処にいたのか分からない別のバスターが兵士の後ろに立っている。
トリュプスを手に持ち、子供が玩具を与えられたように目を輝かせてウネウネと足を動かす様を見ている。
針をその口に貯めたままのトリュプスをだ。
「助けてくれ!ヴァンデルに襲われてるんだ!」
ビィトはそのバスターに救援を要請する。
そのバスターは目の色を変えた。
彼は言った。ヴァンデルの星はくれと。