(クソ、どうやってトリュプスを解除したんだ)
ベンチュラは逃げ出した。
噂のバスター、ビィトと別のバスターが手を組んでは勝算は薄い。
最も操った兵士を無力化されては意味がない。
(奴の才牙で引きちぎったのか?)
ビィトが羽の生えた大剣を生成し構えた。
「エクセリオンブレード!」
高速で振るう剣によってトリュプスを切り刻む。
もう一匹のトリュプスも別のバスターがいつの間にか回収していた。
(ヤバい!ビィト以上にあのバスターは何かヤバい!)
必死に逃げるベンチュラの前にバスターは立ちはだかる。
その星をくれないか。
そいつは言う。
「ヴァンデルの誇りたる星をくれてやるものか!」
残念だ。
そいつは瞬く間に駆け抜けた。
体が軽くなったと思いきや、左腕を切り取られていた。
奴は星を左腕からほじくり返し嬉しそうに見つめていた。
「クソおおおぉ!」
血を吹き出しながら叫ぶ。
「無様だなベンチュラ。今の所は引くぞ」
後ろに同僚のヴァンデルが居る。
「ヴァンデルがもう一人?!」
ビィトが兵士を介抱している間に敵の増援が来たようだ。
「ビィト!大丈夫?!」
騒ぎを聞きつけてポアラも助けに来た。
「我が名はロズゴート。ベンチュラ同様グリニデ様の配下の一人。ここは引かせてもらうぞ。」
「グリニデの配下だと!」
(こいつは実力が違う……。)
ポアラはロズゴートの実力の高さを感じ取っていた。
ビィトはロズゴートの左腕の腕輪を見ていた。
「これはグリニデ様の配下の印、鉄の絆の象徴だ。」
「ヴァンデルがヴァンデルの配下になるのか?!」
「それだけのお方という事だ。」
増援のバスターは取ったばかりの星を見たことの無い道具で加工している。
ロズゴートと名乗ったヴァンデルの手から煙が立ち込め、ヴァンデル達は消えていった。
「毒の粉よ!ビィト!逃げるわよ!」
「慌てずともすぐに会う事になるとも、ビィトくん!」
毒の粉から逃げ切った。
「あのヴァンデル、ビィトの名前知ってたわね。」
「ああ、意外とヴァンデルの間では有名なのかもな俺って。」
「ちっともいいことじゃないわよ!」
毒の煙の中から先程手伝ってくれたバスターが現れる。
「ああ!あんた大丈夫だったのか!」
もちろん大丈夫だ。あの程度の毒は慣れている。
星が取れてご満悦だ。
「さっきは助かったぜ!あのトリュプスってモンスターどうやって引き剥がしたんだ?」
何も不思議なことはしていない。手早くとっただけだ。
あなたは速度を全開にしてトリュプスを首から引き剥がしていた。
トリュプスは速度120程度の動きだった。普通の人間より素早いがあなたから見ればかたつむりだ。
それよりあの兵士たちは家に帰してやらなくていいのか。
「そうだな!トロワナにも行かなきゃ!」
「あなたとんでもなく強いのね。レベルは?」
バスターとしてはまだ1レベルだ。
鑑定小屋にはあれから一度もレベルアップに行っていない。
ここらに出るのは珍しいモンスターばかりで飽きない。トリュプスなるモンスターも自然にはいないし、あのヴァンデルには礼をいわなくては。
モンスター図鑑を埋めるのに夢中で狩り続けていたら、岸辺にでかいクジラを見たのだ。
その近辺でビィト達と出会った。
憔悴した兵士を手当し、連れてトロワナの帰路へ付いた。
「助かったぜロズゴート。星はなくなっちまったけどよ。」
ベンチュラは次の瞬間殴られ吹き飛んだ。
「何が100の国を落としただ。虚栄心だけは人の百倍あるな。そもそもビィト殺しはオマエの仕事ではない。あいつの仕事だ。」
「あ、あいつもう帰ってきたのか!フラウスキーの野郎!」
グリニデの居城に帰ったベンチュラは詰問されていた。
「ぎいいやあああああ」
再度右腕につけられた腕輪を起動され痛めつけられていた。
「海よりも谷よりも深く反省しております!」
ベンチュラは懇願する。
「節度!私の非常に好きな言葉だ。これは知性あるものとそうでないものを分けるものだと私は認識している。分かるかね?」
「もちろんでございます!」
ベンチュラは平身低頭懇願する。
腕輪の痛みが収まった。
(クソッ。星もなくしちまってどうすりゃいいんだ。)
「良かったのですか?あのような小物を置いて。」
ロズゴートは聞く。
「良い。あのような者でも使いみちはある。フラウスキーとはやる仕事が違うものよ。」
「流石に仕事が早いですね。」
「挨拶するなり仕事にいったよ。ビィトを倒すなら大物でないとね。」
「もう一人森で強いバスターを見かけたと言ったが放ったペンバリーも倒されたようだ。有望株のようだよ。ビィトの次はコイツを倒すように考えておいてくれ。」
「かしこまりました。」
ロズゴートは仕込みに入った。