この狭い黒の地平の真ん中で   作:地雷犬

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第5話

あなた達は鑑定小屋に来ていた。

 

「おえええええええぇ」

目の前で盛大に吐瀉物を撒き散らしているのは過去に歴戦のバスターであった、今は鑑定士としてバスター達を導いている爺だ。

 

「流石にあんなに強いのなら鑑定してもらったら?報奨金もきっとたくさん入るわよ?」

 

ポアラという青髪の少女に唆された結果、網膜鑑定なる儀式を受けたが鑑定士の彼は吐いた。

 

まだ若いのに可哀想なものだ。

 

 

「どうしたんだよじいちゃん。そんなにいっぱい敵倒してたってことかよ?」

 

 

「げふっ……。違う。こやつ人肉を食っとる!」

 

何か悪かっただろうか。

パルミアでは普通の事だ。

 

少女しか食わないとか偏食している訳でも無いのだから非難される謂れは無い。

 

「えぇ……?」

 

ビィトも困惑している。

 

「別にの、友人を悼む為に骨を齧る。そういった離別の儀式をする地域があるとは聞いている。しかしこやつは人肉を常食しておる。何より網膜から確認出来る自身の姿が人間の姿ではない!化けることの出来るモンスターか?」

 

 

 

デュオラの鑑定士にはその旨説明したが再度あなたが元来モンスターで迷い込んでこの大陸に来た事を説明し直した。

 

「そういう事だったのかぁ。あんた中々強いけどそういうことだったんだな!ゼノン戦士団ってやつには他所で会わなかったか!?」

 

目をキラキラさせて期待した様子でビィト少年は聞いてくる。

 

しかし会ったのはバロンというヴァンデルとキッスという少年くらいだ。

 

「キッスに会ったのか!良かった元気そうで。」

 

「天撃の上手な人って言ってたわね。」

 

「デュオラに居るならキッスに合流して戦士団に入ってもらいたいなぁ。どうするポアラ?」

 

「仲間は増やしたいけどあのロズゴート達を倒さないとトロワナが危ないわね。あなたも手伝ってくれない?」

 

 

依頼という事なら手伝うが。

 

「スレッドみたいなやつだなぁ。やっぱりお金が無いと暗黒の世紀は終わんないのかよぉ!」

 

金はそこまで必要でもないが、プラチナ硬貨か装備を貰えれば嬉しい。それと名誉のみ。

 

「名誉、ねぇ。名誉が会っても死んじゃったら一緒よね」

 

「相当強そうだけど、ゼノン達より強えのかなぁ?」

 

 

「モンスターがバスターやるなんて思わなかったわ。話しは通じるし。あなたあのヴァンデルの星を欲しがってたわね。アレ、全部倒したら持っていっていいわよ?」

 

 

あなたは2つ返事で了承した。二人分の星で装備全部に星をあしらったデザインに更新出来るかもしれない。

 

胸が高鳴る。

 

 

ただ、魔賓館に先にいってから依頼は合流しても良いだろうか。

 

もしかするとそこにロズゴート某もいるかもしれない。あなたが先駆けて偵察してこよう。

 

「魔賓館?」

 

ビィト達も知らなかったようだ。

バロンはかなり情報通のようだ。

 

館のヴァンデルが何か装備や魔法書など持っていれば嬉しい。

 

バロンとの戦いの中で冥撃なる魔法攻撃を使っていた事とキッスの話していた天撃、これらの魔法書を回収したいと思っていた。

 

平均値でいえばヴァンデルの方が強いと感じている。

 

人間とヴァンデルはティリスで言う、イェルスとエレアのような関係性なのかもしれない。

 

2日後には帰ってくる。この鑑定小屋に

2日後合流しようと約束し、あなたは速度を全開にして山越えを始めた。

 

 

「なんだか風みてえに去っていったなぁ。」

 

「悪い人じゃなさそうね。無事に帰ってくるといいけど。」

 

 

 

その頃あなたは山中の大甲虫を狩り尽くし全て食べ尽くして居た。

 

かぶとむしに似ているから筋力がきっと上がる事だろう。

 

 

先程の鑑定によりレベルは48まで上がった。

 

全ては見きれない為、鑑定士が網膜を見れる所までで48まで上がったのを見て

「俺も三年分ブランディングを貯めてたらアンクルスでばーちゃんに怒られたなぁ。」

 

ビィトはそう話していたが気持ちはとてもわかる。あなたもよく納税を忘れて数年にいっぺん納税に行くことがあった。

 

何故か大使館に行くと、ガードに毎回襲われるのは何か恨まれているのだろうか。

 

山を超えた先に開けた場所があったが館らしきものは見当たらない。説明された場所はここの筈だが。

 

 

ヴァンデルにしか入れないと言っていた事を思い出した。

 

 

一か八かあなたは願いの魔法を詠唱した。

 

「「種族変更ヴァンデル」」

 

あなたの肌は黒ずみ、皮膚が硬質化した。

イェルスだった時の顔立ちとは変わり攻撃的な獣のような顔に変化した。

 

左腕には星が生えてきた。

 

 

するとどこからともなく声が聞こえた。

 

「あら、新しいヴァンデルの誕生ですね。おめでとうございます。」

 

次の瞬間目の前に居たウサギのようなヴァンデルが声の主だった。

 

「私はシャギーと申します。魔賓館の館長を任命されております。魔賓館へようこそ」

 

 

ありがとう。元はモンスターでもヴァンデルになれば入れるのだなと感心した。

 

「まぁヴァンデルも地上の魔素から産まれますからね。モンスターと似たようなものです。地上の人間さえ殺してくれればどうだって良いのです。その星が強さと名誉を保証してくれると思ってくだされば……。館の中の設備は自由に使って頂いて構いません。もちろん使わず身一つで人間を叩きのめすのを好む方もいますが、自分の身を守ってくれるモンスターを買う方が無難です。人間を殺したり住む町を破壊することで報奨金として魔札をお支払いしますのでそちらを売買にはご利用ください。」

 

 

自分でモンスターを召喚してはいけないのか?

 

 

「可能であればどんな手段でも構いません。あなたのすべき事は人間を滅ぼして星を増やす事、それのみです。他のヴァンデルを殺しても共謀しても良いです。格上のヴァンデルには喧嘩を売らない方が無難ですよ。グリニデ様やバロン卿等には特に。」

 

バロンの紹介で来たが正解だったようだ。案内は助かった。礼を言わせてほしい。

 

「いえいえ、また星の授与の際にお会いしましょう。お元気で。」

 

 

(モンスターを召喚するヴァンデルとは素晴らしい。虫のモンスターを養殖するグリニデ様や石にモンスターを保存して活用するガロニュート様は上位のヴァンデル。さっきの新人もモンスターからヴァンデルになったとは変わった経歴ですが……モンスターを操る事に長けている分、期待大ですね)

 

 

 

 

あなたは魔賓館の扉を開いて中に入った。

 

中には陰気なメロディーの曲が流れどことなく陰鬱とした雰囲気を感じる。

 

まず誰にモンスターを買えるか聞かなければ。ペットが居ないのはそれなりに困っていた。城もこちらで別に作りたいものだ。

 

 

あなたは近くに居た角の生えたヴァンデルに話しを聞くことにした。

 

 

 

 

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