GOD EATER2 ほのぼのアフターライフ 作:W-cat
「なぁ、隊長」
「ん?」
返り血で所々赤くなったステラが振り向く。
「あ、明後日時間あるか?」
ぎこちない感じのギルバート……
「んー、大丈夫だけど」
「そ、そうか!」
思わずガッツポーズ。
「なーに? まさか変なこと押しつけるつもりじゃ……」
「そんなんじゃねぇ! あ、あの、ちょっと行ってみたい場所があったからな……」
「そう? なら、いいんだけど……」
動揺して明らかに不自然な様子だったが、ステラは気にすることもなくこれを承諾した。
「明後日ですか?」
「ああ」
「段取りのほうは決めているのですか?」
「まあ、大雑把だがある程度は」
いつものメンバーによる作戦会議……なのだろうか?
「まあ、あれだ。難しいかもしれんが、あまり深く考えない方がいいぞ?」
「どういうことっすか?」
「……そうだな、恋なんて勢いと勘違いって言うだろ? だからギルもさぁ、肩の力抜いとかないとな」
「……経験者は語るってやつですね」
「ははっ、まぁそういうこった……」
そんなこんなで談笑していると、邪魔者が入ってきた。
「ごきげんよう‼︎ 今夜も綺麗な月、星が空に輝いている…… ああ、極東の空は実に美しい」
「エミールうるさいっ‼︎」
エミールに食ってかかるエリナ。2人はいつもこんな感じだ。
「……で、何しにきたんだ?」
ハルさんが鬱陶しそうに聞く。これが隊長なら……
「何をしに来たか、それは! ラウンジで夜空を眺めつつ紅茶を嗜みに来たのだ‼︎」
そう言ってあらかじめ作ってきた紅茶を見せびらかす。
「ところで、君たちはなにをしていたのだ?」
「エミールには関係ないでしょ‼︎」
「エリナさん、落ち着いて」
不機嫌なエリナをシエルがなだめる。俺も、このややこしい状況をなんとかしてほしい……
「まあそうカリカリするな。エミール、俺たちはちょっとだべってたんだよ」
「なるほど……」
妙に納得したエミールはカップに注ぐ。
そして紅茶を味わう。
「……うん、極東の水は実に素晴らしい。紅茶の味がよく際立っている」
自画自賛のエミールだが、紅茶の味は正直美味い。並の喫茶店では敵わないだろう。
尤も、うちの隊長は紅茶があまり好きではないらしいが……
「……俺は明日に備えてさっさと寝ます」
「そうですか。おやすみなさい」
今の俺の立場的に、エミールとはちょっとやりにくいからな。
「なぁシエル、お兄さんとゆっくりしていかないか?」
下心満載のハルさんがシエルに肩を回す。シエルは満更でもないように見えるのがなんとも……
「ちょっとハルさん! 絶対いやらしいことする気でしょ‼︎」
「うーん、空に輝く数多の星たち、そしてその中で大きく満月が……」
「だからエミールうるさいっ‼︎」
俺はそそくさにラウンジを後にした。
ーーーそして約束の日ーーー
報告書を出した後ギルとステラが向かった先は……
「猫カフェ……」
「さすがギル」
「猫好きにはたまらないですね」
2人をこっそりストーキング中である。
「てかシエル、なんで拳銃構えてんだ?」
「ギルの邪魔者を排除するためです」
「だからと言ってなー……」
思わず頭を抱える。
使用拳銃はシグのザウアーだっけ? まあデザートイーグルとかじゃなくて良かったよ……
「あっ、見た⁉︎ 黒猫がギルさんの前を横切ったよ‼︎」
「ギルー……」
「猫って、可愛いですね」
黒猫が俺の目の前を横切って隊長に飛びつく。縁起が悪い……
隊長は楽しそうだ。黒猫を抱えて甘い声をかける。
「いい子いい子っ!」
撫で回されて気持ち良さそうだ。
隊長を眺めていると、一匹の虎猫がすり寄ってきた。
とりあえず背中を撫でる。
「ここの猫たち、随分人慣れしてるのね」
「……そうみたいだな」
本来なら初対面の人間にはあまり懐かないらしいが、ここの猫たちはそうでもなさそうだ。
「もう、幸せ‼︎ この子お持ち帰りしよっかなー?」
隊長に抱かれたままの黒猫。
「いや、それはさすがに……」
「えー? でもカルビいるから大丈夫じゃない?」
「いや、そういう問題じゃねえよ」
「出てきたな」
「ええ」
困り顔のギルバートと満面の笑みを浮かべるステラ。
「行きましょう」
再度ストーキングが始まる。
「ねぇギル、さっきから誰かにつけられてる気がするんだけど……」
「俺もだ。なんとなくだが、そんな気がするよ」
猫カフェの時から視線を感じる。何かの勘違いかもしれないが……
「……懲らしめる?」
「いや、無視していこう。無駄な争いは避けたいからな」
「そう?」
「うん」
実のところ、この尾行者が何者かは知らない方がいい気がする。
「今日のところは何もなかったな」
買い物も終えた様子である。心配だから3人で尾行したわけなんだが、これといって何もなかった。
「先輩の守りが硬いのか、ギルさんが残念なのかわかりませんね……」
「……多分、後者の方だと思う」
「ですが、一つだけ大きな進展がありましたね」
「そうだな」
それは帰り道での些細な出来事…… 俺たちは見逃さなかった。
2人は、手を繋いでいた。
普通に考えればちっぽけな進歩かもしれない。だが、生真面目なギルにとっては、物凄く大きな一歩だ。
土曜に間に合いませんでした(´・ω・`)