GOD EATER2 ほのぼのアフターライフ 作:W-cat
随分とよく寝た。おかげで風邪も治ったようだ。
そういえば……返してもらえなかったっけな。ちょっくら隊長ンとこに行くか……
ノックをしたが返事がない。
「隊長」
……………………………………………
「…隊長」
…………………………………………………………………
「……入るぞ」
鍵がかかっていない。部屋の様子を伺う。
「すー……」
テーブルに伏せて爆睡してやがる…… 空の酒瓶が二本転がっているあたり、飲み明かしたようだな。
「ったく……」
中に入ってジャケットを回収する。不法進入だが……
ハンガーで干してあったそれは、すでに乾いていた。ふんわりと柔軟剤が香るあたり、きちんと洗って干したのだろう。
「んん……」
起きないな……とりあえず片付けだけでもしてやろう。
空になっていた瓶を軽くすすいで並べる。ついでにグラスも洗っておいた。
あとは適当にテーブルでも拭いてずらかるか……
空いてる部分だけをさっと拭く。
起こさないほうがよさそうだな…… というか、そのまま起きないでくれ。
「ふぅ……」
ふきんを水洗いして干す。隊長がまだ寝ていることを確認して、そそくさに部屋を出る。
「あっ、ギルさん!」
ピンクの魔物が笑顔で近づいてきた。
「もう大丈夫なんですか?」
「ああ、もうなんともない」
「それならよかったです。あ、もしよければ……これから任務手伝ってくれませんか?」
「構わないが……」
本当は行きたくない……
「ありがとうございます! 早速受注してきますね!」
「お、おう……」
近くの市街地での任務だ。
「あれ? 今日の討伐対象って何でしたっけ?」
「クアドリガだ……」
自分で頼んだんでしょうが……
「いたか」
のんきにお食事中だ。
「いつも通り、リンクバーストを合図に攻撃してくれ」
「は、はい! 頑張ります」
背後から近づき、神機を捕食させる。そしてすぐさま距離をとってカノンに受け渡しを行う。
「ふふふ……来た来た」
「これだけのオラクル弾…かわせるかっ‼︎」
雨のように弾丸が降り注ぐ。無慈悲なまでの攻撃でクアドリガはすぐにボロボロになった。
「クソッ、こんな時に‼︎」
弾切れか?
クアドリガがこちらに向けて突っ込んでくる。俺はすぐさまチャージし、正面から突っ込む。
「止められるなら……止めてみろっ‼︎」
正面から深々と槍が突き刺さった。勝負ありだな。
「俺の……勝ち「ぶち抜いて!」どああぁっ‼︎」
「ギルおかえりー‼︎ すっごくボロボロだねぇ」
「ただいま……」
「す、すみません…… 私のせいで」
「いや、気にしなくていいさ……」
なんでクアドリガごと俺を撃ったんだと聞きたい。
まだ昼間なのに今日は疲れた。もう何もしたくない……
「そういや隊長は?」
「んーとねー、まだ寝てると思うよ?」
「そうか……」
「そろそろシエルちゃんと起こしに行こっかなーって思ってたんだ。ギルも来てよ?」
「ああ」
「たいちょー、起きてー!」
「んーん……」
まだ寝てたのか? オフとはいえ……流石に寝すぎだ。
「昨日はけっこう飲んでたようですね」
シンクを見ながら呟くシエル。朝俺が片付けたものだ。
「そろそろ起きろ」
「むうぅん……」
やっと起き上がった。
「……だるい」
「隊長、流石に飲み過ぎです。いくらゴッドイーターとはいえ、暴飲暴食は避けるべきです」
「あははーー……」
ナナにも向けられてるような気もしなくはない。
「何か食べるか?」
「……今はいいかな、それより、ボロボロだね」
「ん? ああ……」
全身ススまみれだからな…… 本当災難だった。
「ご機嫌よぅ‼︎」
突然扉が開かれ、エミールがずけずけと入ってきた。
「君が二日酔いだと聞いてな」
ナナがニコニコしながら見ている。リークしたのはこいつか……
思わず頭を抱える。
「もしも何かあったら遠慮なく僕に言いたまえ。このエミール、どんな時でもすぐに駆けつけよう‼︎」
「あ、ありがとう……」
「僕はこれから任務がある。暫しの別れだ。失礼する」
「うん、怪我のないようにね?」
「もちろんだ‼︎ ではまた」
そう言って部屋を後にした。エミールめ……
「えへへー、2人の仲が急接近かなー?」
「ちょ、ちょっとナナ……」
「ナナさん、そろそろ任務の時間です。行きましょう」
「あれ、そうだっけ? まあいっか。じゃあねー」
手を振ってナナが出て行く。シエルもお辞儀して出て行った。
「じゃあ、俺もそろそろ……」
「待ってギル!」
呼び止められた。ちょっとだけ嬉しかったような気がする。
「もう少しだけ、ここにいて……いい?」
「……別にいいけど」
にやけそうになるのを必死に堪える。
「あのさ、ギル……」
「ん?」
「片付けてもらって……その、ありがと」
「何のことだ?」
ヤバい……
「酒瓶のこと……」
アウトじゃねえか……
「洗ってくれてたでしょ?」
「……ああ」
見られてたのか? いや、不法進入以外には何もやっていない。大丈夫なはずだ……
「ところで、どうして私の部屋にいたの?」
「いやぁ……それは、その……コイツを返してもらいに行っただけだ」
そうだ。当初の目的はそれだったんだ。問題ない。
「そっか……ごめんね。風邪は大丈夫?」
「まあ、一晩寝たら治った」
「そっか。じゃあ、明日からまた一緒に……任務行こうね」
「りょーかいだ」
「頼りにしてるよ? ギル」
「うっ……」
最後の一言に、きゅんときた。