GOD EATER2 ほのぼのアフターライフ 作:W-cat
ラウンジは盛大に飾り付けられ、テーブルには多くの料理が並ぶ。
「いっぱいできたねー!!」
「そうね……」
浮かない表情のシエルとステラ。
「教官先生? どうしました?」
「シエルさんも、顔色悪いですよ?」
「……んーん、なんでもない」
「いえ、大丈夫です……」
ブラットのメンバーで作った鍋を見て、なぜか呆然とする2人。一方のナナは、なんだか気まずそうな様子である。
「"ぱっと見"は、普通だよ?」
「そう、ですけど……」
「味の保証は……」
「でも、せっかく教官先生たちが作ってくれたんですし、出しましょう‼︎」
「そうだよ先輩! きっと大丈夫」
「………」
結局カノンとエリナに押し切られ、鍋を出すことになった。
「おお、よく出来てんじゃんかー‼︎」
「すげー‼︎」
「ありがとうございます」
フランの手料理は洋食メイン、ステーキなどの肉料理を並べることによって男共の心を鷲掴みにした。一方のヒバリは和食メインだ。
「タツミも呼びゃあよかったな」
「ハ、ハルさん! からかわないでください……」
「この煮物うめぇや」
「これは、君たちブラットが作ったものだな?」
「…………」
「まあ……」
「随分と不安そうな顔だな。味が心配なのだろう」
「あの……」
「だが、味は格別に違いない‼︎」
「ちょっと……」
エミールは小皿に鍋の具を入れ、それを一気に食べる。
するとすぐさま、エミールの顔が真っ青になっていく。
「な……なんだ、こ……れは?」
「ごめんなさい! 私、料理が全然ダメで……」
「いえ、これは隊長だけの責任では……」
「あははー……」
真っ青になりながらもなんとか耐えた。
「おい、大丈夫か?」
「ああ、なんとか……」
「……お前ら、こん中に何入れたんだ?」
「えっと……わかんない!」
「とんでもないものを入れたような気がします……」
「そうか……」
呆れ顔のギルバートは鍋を取り上げた。
「この訳のわからない鍋は俺が回収しておく」
「うん」
「はーい」
「みなさーーーん‼︎ ケーキ出来ましたよー!」
「おっ‼︎」
カノン、エリナ、ムツミ特製のケーキが運ばれてきた。イチゴやチョコ、チーズなど様々なものが並んでいる。
「やぁ! 君たちもクリスマスを楽しんでるようだね」
支部長が怪しい箱をもってラウンジに入ってきた。
「サカキ支部長」
「僕からもクリスマスプレゼントだ。是非受け取ってくれ」
全員の遠い目を気にせずに箱からケーキを出した。一見すると、イチゴのショートケーキのようだ。
「意外と普通」
「あの鍋よりはマシだといいな」
「僕特製の、『片想いケーキ』さ」
「うえぇ…… 俺いらないわ」
コウタが露骨に嫌そうな顔を向ける。他の者もいい顔をしていない。
「あ、そろそろプレゼント会でもすっか‼︎」
「そうっすね」
「……僕のも、あるのかな?」
「大丈夫ですよ、ちゃんと支部長のもあります」
「おっ、ありがたいねー」
多くのお菓子を受け取ったサカキはたいそう上機嫌になった。やはり男であるゆえ、年頃の女性から貰うのは喜ばしいのだろう。
「俺たちも取りに行くかー‼︎」
ハルオミはギルバートを連れてラウンジを後にする。
「俺はもう持ってきてるから配るね」
「僕も持ってきているぞ」
コウタが饅頭を、エミールがマカロンを配り始める。
ひ◯この絵柄がついた饅頭に女性陣は嬉々とする。
「かわいい‼︎ 食べるのもったいないねー!」
「これ、美味しいですね。優しい甘さのしっとりとした餡……」
「フランさん、頭から食べちゃうんですね」
「このマカロンも美味しいですね。今度作ってみようかなー?」
「……どっちからでも同じなのでは?」
愛くるしい姿もあって大好評だ。
エミールは自慢の紅茶を周囲に振りまき始めた。自慢の紅茶と茶菓子の組み合わせは格別で、周囲の受けも上々だ。
「君には、これを贈ろう‼︎」
「………」
「わぁ‼︎ きれーい!」
エミールは跪く。手には純白のバラのブーケだ。
「僕は君のことを、心から愛してる。僕は君に幾度となく惨めな姿を見せてきた。だが君はいつも笑顔で励ましてくれた。その慈愛に満ちた心に、いつも助けてもらった」
「ちょっ! エミール⁉︎」
「まあまあ落ち着いて!」
「エリナさん、外野が口を出すべきではありませんよ?」
「くぅ……」
「………」
口を出せずに唸るエリナ、目を見開いて固まってしまったシエル……
それ以外のメンバーはニヤニヤしながら見守る。
「これからは、僕が君を守っていきたい。君からすれば僕は随分と弱いと感じるかもしれない。だが、たとえそうだとしても……僕は君を守ると約束する!」
「んー……」
「僕と、結婚を前提に付き合ってくれないか?」
この直球に外野が静まり返る。エリナとシエル以外は、全員がニヤニヤしている。
「……ごめんなさい」
「⁉︎」
「えー、断っちゃうの隊長……?」
「いやー、実に残念だねぇ……」
2人を除いてがっかりとする。
「いや、いいんだ。僕がまだ未熟だったというだけさ」
フラれたにも関わらず清々しい。
「あの、エミール…… これ、メリークリスマス」
差し出したのは緑茶パック。
「これは……極東伝統の?」
「うん、その……たまには日本茶もいいかなって」
「ああ、実に楽しみだ。ありがとう」
どこまでも真っ直ぐで憎めない、そんなエミールを唯一嫌う人物がプレゼントを渡しにきた。
「はい、これ」
「ん? エリナよ、この赤いソースはなんだ?」
「ちょっと辛いソースよ。料理に使うと美味しいわ」
棒読みだったのだがエミールは嬉しそうだ。
「ありがとうエリナ」
「………」
「いやー遅くなった。すまんすまん」
大量の紙袋を抱えたハルオミと、ゴルフバックのようなものを抱えたギルバートが戻ってきた。
「はいこれ、隊長さんの分」
「ありがとうハルさん」
そう言って中を覗いたが、表情が一瞬で凍りついた。
「ハルさん、これって……」
「夏にきたらいいと思うぜ?」
ギルバートが横から中を覗き込み、すぐに目を逸らした。
「ハルさん! 何やってんすか⁉︎」
「なんだよ…… お前だって見たいだろ?」
「見たい…… じゃなくて、なんでこの時期に水着なんすか⁉︎」
「こんなの着れないよ……」
「大丈夫だって隊長さん、絶対似合うさ!」
ハルオミに大いに呆れたギルバートは、自分のをステラに差し出した。
「隊長、俺からのプレゼントだ」
ラッピングされた長い棒、およそ1mほどある。
端の方を破り、棒状のようなものを取り出した。
「これって……」
「見ての通りだ」
ステラが取り出したのは、刃渡り70cmほどの刀だった。
「かっこいい……」
しかし周囲の評価は微妙であった。
「普通指輪とかだよね?」
「隊長は感動してますけどね……」
「ギルさんって、プレゼント選びのセンスないんですかねー?」
そんなこととはつゆ知らず、ステラは嬉しそうだ。
「ギルありがとう!」
「その刀な、テルとギルが作り上げたんだ」
「ハルさん……」
「手作りなの⁉︎」
これには周囲も驚く。
「あ、ああ……」
「すごーい‼︎」
「ギルさん、あれが作れるなら尚更指輪とか作って欲しかったわ」
「そうだよねー……」