GOD EATER2 ほのぼのアフターライフ 作:W-cat
真昼間から第一部隊のメンバーがラウンジで作業をしている。
「よーしよし、いい感じ!」
「隊長、まだですか? 私疲れたんですけど……」
「もうちょっとの辛抱だから、な?」
「はーい……」
エミールのほうは木のハンマーで、振りかざしては臼の中に叩きつけている。
「エミールなかなか上手いじゃん!」
「これでもハンマー使いなのでな」
何をやっているかは知らんが、水を差すかもしれないような気がしたからさっさと出た。
「あっ、ギルっ‼︎ どんな感じだった?」
ラウンジを出た直後にナナに呼び止められた。なにやら楽しそうな感じだ。
「どんなって……何が?」
「餅だよ餅ーっ」
「もち?」
「コウタさんたち、餅つきやってたんでしょ? 出来てた?」
「いや、まだだと思うが……」
そもそも、もちって何だ?
「そっかぁ……」
ナナはそのまま戻っていった。もちのことは後でノルンで検索してみるか。
今日は俺の神機は整備中だ。昨日の任務で装甲を貫通したからなぁ…… 幸い1日あれば修復できるからいいんだけどな。
「あっ、ギル君!」
「ん? おう」
隊長とシエルの神機がないあたり、まだ戻ってきてないようだ。暇だからナナのでも見ておこう。
「ただいま戻りましたー」
戻ってきたのはハルさんとピンクの悪魔だ。ハルさんは、今日は誤射を受けていないようだ。
「じゃあカノン、報告書の方は頼むぜ」
「了解です!」
手早く神機を収めると、そのままエレベーターに向かっていった。悪魔を見送ったハルさんは、ズカズカと俺の方に近づいてきた。
「ようギル、ここで想いの女性でも待ってるのか?」
「ハルさん…… そういうわけじゃないっすよ」
誤射を受けなかったからか今日は上機嫌だ。待ってるのは、あながち間違いとは言い切れない。
「なんなら、俺も一緒に待ってやろうか?」
「結構です。それとも、シエル狙いっすか?」
「ふっ……どうかな?」
本気なのか遊びなのか俺には分からない。グラスゴーの頃からこんな感じだった。
「……うちの隊員をそういう目で見るのはやめてくださいよ?」
「隊長さんにも同じこと言われたよ」
「隊長はハルさんのことをそう見てるんすよ。多分……」
「そういうギルは、俺のことどう見てるんだ?」
「セクハラ上司……」
「ひっでぇ!」
「事実じゃないっすか?」
「そこはほら、頼りになる先輩とかあるでしょ?」
俺の答えは順当じゃないか? 100人の神機使いに聞いたら、大抵はセクハラか変態って答えると思うぞ? そして一部の同類が、師匠だのなんだのって言うだろうな。
そんなことをだべっているとゲートが開き、隊長とシエルが戻ってきた。
「お疲れさん、そっちはどうだった?」
「いつも通り、かな?」
2人とも神機は大切に扱ってくれるから整備側としては助かる。
「突然だが質問だ。2人とも俺のことをどう見てる?」
「どう、って?」
「どう思ってるかって聞いた方がいいかな?」
「ああ……」
一つ間をおいて隊長は答えた。
「変態です」
「だはっ」
やはり予想通りのお答えだ。訳の分からんムーブメントとやらに付き合わされてたし……
「だけど……」
「ん?」
「いい人」
「ほらぁ‼︎」
「いや、それは……」
ない、とは言い切れないが……あれだけセクハラされていい人って言えるのか⁉︎
「シエルちゃんはどう思う?」
「んー……」
こっちは悩んでる。
「あー…… 答えづらいなら、無理に答えなくていいからな?」
「いえっ、そんなわけではありません」
「シエル、正直に言っていいのよ?」
隊長が優しく頭をなでる。ちょっとうらやましい……
「あの、えっと…… ハルはみんなに優しいですし、漢気もあって決断力もありますし……」
若干俯きながらボソッと言った。
「誰とでも仲良くなれるのは、ちょっと羨ましいなぁって思います」
「ハハッ、さすがに買いかぶりすぎだよ。でも、そう言ってくれるのはうれしいぜ」
俯いたシエルを抱き寄せる。心なしか、顔がニヤついているようにも見えた。
「ギル、行きましょう。私たち邪魔みたいだし……」
「だな……」
若干不貞腐れてるようだ。目の前であんなカップルのような光景をまざまざと見せつけられたのだから無理はないかもしれない。
「ハルさんってロリコンなのかしら?」
そういえば、ハルさんとシエルの年の差は……
「かもな」
ご機嫌斜めな隊長を連れてラウンジに入ると、何やらわいわい騒いでいた。
「あっ、隊長おかえりー‼︎」
「先輩っ! お餅食べます? つきたてですよ⁉︎」
「もち?」
そういえばもちがどうとか言ってたな。今思い出したぜ……
返事を聞かぬまま、俺と隊長にエリナが'割り箸ともち'とやらが入ったトレーを差し出した。
「僕らがついた餅だ。是非とも食べてくれないか⁉︎」
「ええ……」
黄色い粉がまぶしてあるものを口に入れると、ほんのりとした甘さが広がった。その食感は柔らかく、今までに食べたことのないものだ。
「美味いな……」
「美味しい……」
「だろ⁉︎ ナナがだいぶ持ってったけどさ、まだまだあるぜ!」
テーブルには大量のもち入りトレーが並べられている。その向こうでは汗だくのエミールが満足げな表情で座っている。
「ギル、馬鹿ップル2人に渡してきましょっ」
「箸はあえて1膳だけにするか?」
「それいいわね‼︎ 存分にからかってみよ‼︎」