GOD EATER2 ほのぼのアフターライフ 作:W-cat
ちなみに、今年もチョコの数は0(´;ω;`)
明日はバレンタインだ。恋人や親しい人に花やケーキ、カードを送る日だそうだ。グラスゴーにいた頃はハルさんがケイトさんにバラの花束を渡してたっけな。そういえば俺がお菓子作りを覚えるきっかけとなったのも、バレンタインだったな。
せっかくなんだから、今夜中に何か作るとしよう。チョコは無いが、材料は十分すぎるくらいにある。その気になればだいたいのものが作れる。
何を作ろうか考えていたら、ドアをノックする音が聞こえた。確認もせずに開けると、シエルと隊長がいた。
「何か用か?」
予想外の来客に若干戸惑ってしまい、若干声が裏返ってしまったような気がする。
「あの、夜分遅くに失礼します。その……簡単なのでいいからお菓子作りを教えて欲しいなーなんて……」
「私にもお願いします」
隊長は申し訳なさそうに、シエルは堂々とはっきり言った。おそらく明日のためだろう。だが俺は人に教えるというのが苦手だ。
「そういうのは何処ぞの誤射姫の方が向いてんじゃねえのか?」
「最初はそのつもりだったんだけど、もう寝ちゃったみたいで……」
まだ21時だ。随分と早い就寝だな。寝てる以上レクチャーしてもらうのは厳しそうだな。
だからと言ってなんで俺なんだ? ナナはともかく、エリナあたりにでも聞いてみればいいとは思うんだけどな。それかオペレーター勢に頼むのもアリだな。
まあこうして来たわけだから、追い返すのも可哀想だ。幸か不幸かチョコ系列以外の材料は十分揃っている。バレンタインなのにチョコが用意できないのは残念だが仕方ない。この時期の需要は凄まじく、ほぼ売り切れ状態だ。通販も異様にふっかけている値段だ。
「わかった。出来る限りのことはしよう。材料もあるから、好きなだけ使ってくれ」
「ありがとうギルっ‼︎」
「助かります」
そういえば俺もまだ作ってなかったな。ついでに作るか。
オーブン、コンロ、グリルがフル稼働中だ。隊長はドーナツ、シエルはフィナンシェ、俺はアップルタルトを作り上げた。電動泡立て器のおかげもあって下準備にはそこまで時間はかからなかった。せいぜい生地を休ませる時間が長かったくらいだ。
そんでもってその後は整形して加熱といった具合だ。大きな問題も無かったから日が変わるまでにはできそうだ。
今は隊長がドーナツを揚げるのを2人で見守っている。
「ねー、まだかなー?」
「まだだな」
「うー……」
焦がさないようにちょくちょく確認しながらだ。正直言ってめんどくさいとは思う。
「それにしても、グリルでフィナンシェ焼くことになるとは思いませんでした」
「オーブンはタルトで埋まっちまったからなぁ」
時間短縮のためだ。それにグリルの方がいい感じの焼き上がりになる気がしなくもない。
一番最初にドーナツが完成した。続いてフィナンシェが焼き上がり、タルトは一番時間がかかった。時刻を見るともう日が変わる寸前だった。
出来上がりの試食も3人でやった。どれも上出来だ。これならあの誤射姫にも十分に張り合えそうだ。
バレンタイン当日、支部のあちこちでプレゼントを渡す光景が見られた。
今日は任務完了後にオペレーターの娘から貰えていいスタートを切った。その後すぐにナナちゃんからも、よくわからないものを貰った。
次はラウンジで待機。もちろん、女の子からのチョコを貰うためにな‼︎
「ハルさーん!」
最初に声をかけてくれたのはカノンちゃんだ。しばしばお菓子貰ってるからその実力の高さも知っている。今回目玉の一つだ。
「いつもお世話になっています。これは、日頃の感謝の気持ちです‼︎」
そう言って可愛らしい小さな袋を俺に渡す。
「おぅ、嬉しいねぇカノンちゃん。今度ちゃんとお返しするぜ!」
「はい‼︎ 楽しみにしておきます」
ゆるふわ笑顔の悪魔は、別の人にも配っていく。射撃はともかく、お菓子はいつも通り好評のようだ。
「ハルさん! ハッピーバレンタインです」
続いてはエリナだ。
「ありがとう! これ旨そうだな‼︎」
「自信作ですから‼︎」
胸を張ってそう答えるエリナ。渾身の力作のようだ。
「ハルさん、俺からも日頃のお礼です」
ギルか。
「男からのホモチョコなんざお断りだよ」
「あくまで日頃のお礼です。俺はホモじゃないし、そもそもこれチョコじゃないっすよ」
呆れたような感じで言われた。
「ハハッ、冗談だよ」
「ギルさんは何作ったんですか?」
「タルトを作ってみたんだ。エリナも、日頃から世話になってるな」
ギルは袋に入っている切り分けられたタルトをエリナに渡した。
「あっ、ギルさんもどうぞ。ガトーショコラです」
チョコケーキじゃなくてガトーショコラなのね。
エリナはそれをギルに渡し、貰ったタルトをまじまじと眺める。
「凄い、男の人でこんなに上手に作れる人初めて……」
「ギルは手先"だけ"は器用だからな」
「………」
あえて強調して言ってやったが、ギルは照れ臭そうに帽子を深く被った。気づいてないのかもしれない。
「そういやギルは隊長さんから貰えたか?」
「私もそれ気になるー‼︎」
エリナは意地悪そうな笑顔をギルに向ける。かくいう俺も、多分同じような表情だろう。
「隊長からは、ちゃんと貰えました」
袋に入ったドーナツを見せびらかす。
「ほう…… 本命っぽいか?」
「いえ……多分義理です」
「なんだよぉ……」
「ギルさん残念……」
エリナも俺と同じような気持ちだろう。
「あっ、先輩!」
噂をすればなんとやら…… 隊長さんがシエルちゃんと共に参上だ。
「2人ともどうぞっ」
「私からも」
隊長さんはドーナツを、シエルちゃんはマドレーヌを渡してきた。
「先輩! シエルさん! 私手作りのガトーショコラです‼︎」
エリナもすぐにガトーショコラを渡す。
「ドーナツにマドレーヌかぁ。どっちも期待できそうだな」
「ハル、それはフィナンシェです」
「あらら、こいつは失礼。ともかく、2人ともお返しちゃんとするからな」
「お待ちしています」
「私は結構です」
隊長さんにはきっぱり言われちゃった。