GOD EATER2 ほのぼのアフターライフ   作:W-cat

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今回はハルオミが若干キャラ崩壊します


Report5 秋の大運動会‼︎

現在極東は台風の影響で天候が大荒れになっている。幸い、支部周辺にアラガミが確認されていないため、支部全員の神機使いが事実上の有給休暇である。

しかし、その有給休暇を見事に潰してくれる人物がいた。

 

「やぁ! みんな、よく来てくれたね‼︎」

 

訓練場に集められたのは第一部隊、第四部隊、ブラッド隊だ。ソーマ博士も呼ばれていたらしいが、研究に忙しくて来れないらしい。なぜかキグルミは朝から見当たらなかった。

 

「はかせー……一体何やるんすかー?」

 

コウタ隊長が尋ねる。他の全員も、これから何をやるのか全くだ、といった表情だ。

 

「うん、それはね……第一回! 大乱闘バトルロイヤルin極東を開催しようと思うんだ‼︎ 優勝者には一つだけお願いを聞いてあげよう。ここにいるメンバーに出来ることに限るけどね」

 

その言葉を聞いて全員が固まる。目を見開いている者もいる。バトルロイヤル……それは最後の一人になるまで戦い続けるというものだ。

 

「ルールは簡単! 相手を戦闘不能にさせればいい。道具は何を使ってもOK、ただし殺傷能力の高い刃物と実弾、神機の使用は禁止だよ? それ以外なら何を使ってもいいからね‼︎」

 

戦闘不能……つまり動けなくすればいいってことになる。

 

「僕からはここに『竹刀』という極東伝統の打撃武器を用意しているよ。長さは90cmと60cm、大量にあるからいくら使っても構わない。あと頭を保護するために、全員ヘルメットを被ってもらうよ? 開始時刻は30分後の10時だ、それまでしっかり準備をしておいてくれ」

 

 

 

「うーん……どうしよう」

 

シエル以外は対人戦など行ったことがない。今のご時世は剣術等の武道は殆ど廃れてしまった。それに対アラガミと対人では、戦い方など全く異なる。もう一つ、『殺傷能力が低ければ何を使ってもいい』という言葉がどうも引っかかる。嫌な予感しかしない。

 

「どうした? 我が愛する女性(ひと)よ?」

 

「エミール……」

 

不安気な顔をエミールに向ける。するとエミールは何を思ったのか、急に私の手を取った。

 

「心配するな……君のことは、僕が護る‼︎ 君に傷つけさせはしない‼︎」

 

「あ……ありがとう」

 

この時ばかりは、エミールがとても力強く見えた。

しかし、その様子を見ていたギルバートの鋭い眼光が、エミールを捉えているのも見てしまった。

 

 

 

『おはようございます! 第一回バトルロイヤルin極東のオペレーターを務めさせて頂く竹田ヒバリです! みなさん、今日は張り切って行きましょう‼︎』

『同じくオペレーターを努めます、フラン=フランソワ=フランチェスカ・ド・ブルゴーニュです。確員、御武運を……』

 

『ペイラー・榊だよ。皆、今日は存分に頑張ってくれたまえ』

 

アナウンスがかかった。いよいよ開戦だ。

 

『それではカウントダウン、3・ 2・ 1……スタートぉ‼︎』

 

ヒバリの掛け声とともにバトルロイヤルが開戦した。

しかし、誰もすぐには動かない。迂闊に仕掛けるのはあまりにも危険だ。

ざっと見回すとシエルとエリナが60cmの竹刀を、残りのナナ以外は90cmの竹刀を手にしている。ナナはと言うと……中身がぎっしり詰まった、大きな袋を手にしている。おでんパンだろうか……?

各メンバーの配置は、時計回りにステラ、エリナ、エミール、コウタ隊長、ハルオミ、カノン、ナナ、ギルバート、シエルといった具合だ。それぞれ3mほど離れている。

 

「はあああぁっ‼︎」

 

「のわっと!」

 

最初に仕掛けたのはエリナだ。一番近くにいたエミールに突進して行った。

それと同時にハルオミが一気に近づいていた。

 

「おらぁ‼︎」

 

「きゃあぁ」

 

よそ見をしていたステラは、ハルオミのタックルを受け床に転がる。

 

「くっ……あのバカ」

 

「っ‼︎ 護ると誓ったは……ぐわぁ‼︎」

 

ギルバートとエミールはすぐさまステラの元に走った。しかし、その隙をエリナに突かれたエミールは、滅多打ちにされてしまう。

 

 

『ああっと‼︎ エミールさんがピンチです!』

 

『いや、彼はそう簡単には倒れないよ?』

 

『あれぇ? カルビちゃんも見たいのぉー?』

 

実況と解説が何やら言っているが、あまり耳には入らない。

 

 

「うおおぉぉらあぁ‼︎」

 

走ってきた勢いそのままに、ギルバートは竹刀を正面に突き出す。ハルオミはそれを横に飛んで躱す。

 

「おいおい、ギルー、横槍入れんなよ」

 

軽口を叩くハルオミであったが、その目は獲物を狩る野獣のようだった。

 

「…………………………………………」

 

ギルバートは鋭い目付きでハルオミを睨み返す。

 

「お前も……マジみてぇだな。来いよ」

 

ハルオミがギルバートを挑発する。ギルバートは竹刀を構え直し、猪のようにハルオミに突っ込んで行く。

 

 

『ギルバートさんとハルオミ隊長がこうせ……あっ、カルビちゃん、くすぐったーぃ☆』

 

『……ええーっと、ギルさんとハルさんが交戦をはじめました‼︎』

 

『グラスゴー出身者の激突、実に興味深い』

 

 

「………………………………」

 

シエルはだんまりとしている。コウタ隊長、ナナはまだ行動を起こしていない。カノンは相変わらずおどおどしている。

今交戦中なのはギルバートとハルオミ、エリナとエミールだ。エミールとギルバートは明らかに劣勢だ。

 

「どおおわああぁっ‼︎」

 

エミールはエリナに突き飛ばされる。もう万事休す、と言った所だろうか。

 

「はぁ…はぁ… エミール、しつこい‼︎」

 

「くっ……まだだ、僕は! 騎士は‼︎ ここで倒れるわけにはいかないんだーっ‼︎‼︎」

 

何度倒れてもゾンビのように立ち上がるエミールに、さすがのエリナも堪えられない。

 

「うおおぉ‼︎」

 

エミールはまた正面から突っ込んでくる。エミールの竹刀を屈んで躱し、全体重を利用して鳩尾に突きを入れる。

 

「……がはっ」

 

エミールはそのままうつ伏せに倒れ、動かなくなった。

 

 

『キュルルー?』

 

『エミールさん、戦闘不能です』

 

『おおっと! 僕はエミール君が勝つと思ったんだけど、これは予想外だねぇ」

 

「……ふぅ」

 

「狙い撃つ」

 

「あ……急に眠く………………………………」

 

エリナはそのまま眠りについた。

 

 

『おや? エリナ君は寝ちゃったねぇ……誰か麻酔銃でも撃ったのかな?』

 

『ちょっと映像を確認しますね……あっ、シエルさんが何か撃っています』

 

『ならエリナ君も戦闘不能だね』

 

 

 

「ギルー? だいぶ辛そうだなー……」

 

「ぐぅ………………………………」

 

「ギルっ、大丈夫⁉︎」

 

跪くギルバートにステラが駆け寄る。

 

「お前ら、美しいなぁ。満身創痍の彼氏と何もできない彼女って感じがするぜ……」

 

ステラがハルオミを睨みつける。対して、ハルオミは狂気の笑みを向ける。

 

「いいねぇ、その反抗的な目……そそるねぇ」

 

「やあぁっ‼︎」

 

竹刀を構え、ハルオミに斬りかかる。ハルオミも応戦する。

何合も斬り合いを結ぶが、対格差もあってステラがたちまち劣勢になる。

 

「あぅっ」

 

ギルバートの横に倒される。すぐに起き上がろうとするが、喉元に竹刀の切っ先を突き立てられる。

 

「くっ」

 

「勝負あったな、これで……があぁっ‼︎」

 

背後からシエルがハルオミを投げ飛ばした。偏食因子によって強化されているとはいえ、少女が大男を投げ飛ばすのは難しいはずだが……

 

「くっ……くそ……左腕が……」

 

「関節を外しておきましたから……」

 

「なっ……投げ飛ばした時にか……」

 

ハルオミは驚愕の表情だ。倒れたハルオミをさらに締めあげる。

 

「ぐああぁぁ‼︎」

 

ハルオミの悲鳴が訓練場に響き渡った。

 

 

『ハルさん、戦闘不能です』

 

『さすがシエル君、軍隊格闘術を学んだだけあるね』

 

『そうですね……』

 

『キュル?』

 

 

 

「隊長、ギル、大丈夫ですか?」

 

シエルが心配そうに覗き込む。止めを刺さないのだろうか?

 

「ええ、大丈夫よ」

 

「うぅ……」

 

ギルは満身創痍だったが、ステラはまだ動ける。勝機はありそうだ。

 

「ん?」

 

「あっ⁉︎」

 

そこに何かが転がってきた。そして周囲に光を放ち……

 

 

「えへへっ」

 

「動けない……」

 

「ナナ、ホールドグレネード使ったの?」

 

「あったりー! そうしてこのまま……」

 

ナナは袋から缶を取り出した。そうして缶のプルタブを開け、動けなくなったシエルに無理やり飲ませる。シエルの白い顔が更に青白くなる。そうしてシエルは動かなくなった。

 

「隊長? ごめんねー?」

 

そう言いながらナナは、袋から新しい缶を取り出し、それを片手に座り込む。

 

「やだ……やめ」

 

ステラの想いも虚しく、ナナにジュースを流しこまれた。

 

 

『シエルさんとステラ隊長、戦闘不能のようですね。それより、ナナさんは一体何を飲ませたんですか?』

 

『ああ……あれは……』

 

『僕の作ったジュースさ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁ……まだ気分が悪い」

 

何故かステラの部屋にコウタ隊長とシエルが来ている。

 

「私もです……ナナさんは一体、何を飲ませたんでしょうか?」

 

「あれは……殺人ジュースよ」

 

 

 

 

 

 

 

結局あのバトルロイヤルはナナが優勝したそうだ。コウタも奮戦したが敗れたとか。カノンにはシエルの麻酔銃を使ったらしい。

俺は左腕が脱臼している。任務も数日は休みだ。そんな訳でギルバートと飲んでいる。

 

「しっかし、ギルがあんなに本気だしてくるとはなー……」

 

「ハルさんこそ……いつもとは違う感じがしましたよ? あれは野獣っすよ」

 

「ハハッ! まあ、俺も結構本気だったな。そういやステラは?」

 

「隊長ならシエルと部屋でぐったりしてます。コウタ隊長もそんな感じです」

 

「そうか……それより、あの嬢ちゃん……ほら、シエルって娘、あいつ何者なんだ?」

 

脱臼した腕をさすりながらギルバートに尋ねる。

 

「あいつは対人戦のプロです。『マグノリア=コンパス』でそういうことを学んだと言っていました」

 

「ふぅん……」

 

『マグノリア=コンパス』ねぇ……今度シエルって娘に、いろいろ聞いてみるか。

 

「そういや、ナナの願いはなんだ?」

 

「ナナっすか? 今度に保留するらしいっすよ?」

 

「保留か……まあ、動けない奴も多いしな……」

 

 

 

 

 

 

 




こんな運動会は嫌ですね
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