GOD EATER2 ほのぼのアフターライフ 作:W-cat
「よーし、準備おっけーだよ‼︎」
ナナがいくつものグレネードを地面に設置する。
「ナナ、録画の準備はいいか?」
「おっけー‼︎」
ギルバートが録画用のカメラを空に向ける。
ここは公園跡、螺旋の樹がよく見える場所だ。時刻は19:30、辺りは真っ暗だ。
「じゃあ、いっくよー?」
そういってナナはグレネードを炸裂させた。
「た〜まや〜‼︎」
炸裂させたグレネードから空に向かって何発もの炎の玉が打ち上がる。打ち上がった玉は空中で爆発し、鮮やかな花を描く。
「ほぅ……」
「きれい……」
「……………」
初めて見た光景に、ギルバートとシエルは思わず見入る。ステラも、美しい空を見つめる。
「まだまだいくよー‼︎」
ナナはその後、一定の感覚をおいてグレネードを炸裂させていった。
「わぁ‼︎ きれーい」
「おおっ‼︎ なんと美しい輝き‼︎」
「………………」
「すごいすごい‼︎ 何あれ⁉︎」
「花火か…… 随分と久しいな」
「わぁ…… きれい」
第一部隊、第四部隊、キグルミ、ムツミがラウンジの窓を眺める。コウタは感動のあまり、言葉に出来ないようだ。キグルミは手をぱたぱたとしている。
「みんな〜‼︎ たっだいまー‼︎」
ナナがとびっきりの笑顔でラウンジに入る。他のブラッドの面々も、ナナに続く。
「ブラッドのみなさん、おかえりー! 外見たよー? すごいきれいだったねー‼︎」
ムツミが笑顔で迎え入れる。
「えへへ〜、『ときめきグレネード』、大成功だねっ‼︎ みんなありがとう‼︎」
ナナは嬉しそうだ。ナナの願い、それは休暇でも大量の食事でもなく、『ときめきグレネード』をみんなに見せるというものだった。
他の人の願い事は、ハルオミが何かしらのセクハラをする事、エミールがステラとデートらしからぬ事をする、という以外はわからない。ただ、ナナが優勝したのはある意味良かった。本当に、いろんな意味で……
「……ぷっはぁっ‼︎ やっぱ風呂上がりのビール最高っ‼︎」
脱臼も完治したハルさんは、ラウンジで俺と共に晩酌をしている。
「それにしてもギル……花火、綺麗だったな」
「そうっすね、まさか、ナナの願いがあれだったとは、俺も予想してませんでした」
「だろうな、俺もディナーパーティーと思ってたよ」
ハルさんはまた新しいビールを開ける。
「あの?」
真後ろから急に声をかけられた俺達は、バッと振り返る。真後ろにはシエルが立っていた。
「なんだよ……脅かすなよな?」
「えっと……すみません」
ハルさんは安堵の表情を浮かべる。音も立てずに近づき、背後に忍び寄るあたりは流石だ。心臓には悪いが……
「それで……今日はどうしたんだ?」
「……眠れなくて」
時刻はまだ10時前だ。寝るには早いと思うが……
「何か飲みます? ミルクティーとか如何ですか?」
カウンターにいたヒバリが、シエルに尋ねた。
「はい、お願いします」
ヒバリは紅茶を温める。
「そういや、お前らの願いはなんだったんだ?」
ハルさんが問う。
「俺は……考えてなかったっす。優勝したら考えるつもりでした」
「私は……カルビの新しいゲージが欲しかったです」
あぁ、なるほど。今のゲージではパンパンだ。
「お待たせしました、ミルクティーです」
「ありがとうございます」
シエルは、ヒバリからミルクティーを受け取る。
「ハルは、何をお願いしたかったんですか?」
『ハル』と呼んだシエル。いつの間に?
「そうだなぁ……俺は、普通に休みが欲しかったな」
……意外だ。何かしらのセクハラをすると思っていたが、出た答えは予想外だ。
「隊長職ってなぁ、全然休めないんだよなぁ。まあ、しゃあないんだけどな」
「ハル、だからと言って……ステラ隊長のように無茶をしてはいけませんよ?」
「わーってるよ、シエル。そういや、ギルはステラのこと好きなのか?」
「……………………」
…なるべく顔に出さないようにはしているが、うまい言い訳が思いつかねぇ。
ステラ隊長のことを好きかどうかと言われれば……好きだ。
「どうやら図星だったようだな」
「ギル……隊長のこと、好きなのですか?」
「……ああ」
今更隠す必要もないか。まあ、あの時ハルさんに向かっていったわけだし……
「そうか。だが、エミールの奴があいつのこと好きだって事は、当然お前も知ってるよな?」
「……はい、隊長に直接……『好き』って言ってましたし」
「ああ、そうだ……誰しも『好き』って言われたら、少なからず相手のことを意識するもんだ。今回もステラは、エミールのことを意識している。だが、心が動くかどうかは別だ。お前にも勝機はある」
「私も、ギルに勝機があると思います。実戦経験、容姿、器用さの面においては、ギルが上回っています」
「わかってるねぇ、シエル。まあそういうこった。俺はギルを応援する。エミールにステラを持ってかれるのは、なんか癪だからな」
「私も、ギルを応援します」
俺は幸せだな。こうなったら、エミールに負けるわけにはいかない。
さあ、ギルの願いは届くのでしょうか?