武練亡者録   作:流々毎々

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使いの走狗・上

 

「それでね、太郎(たろう)君てば酷いんだよ。僕はそんな事(悪口)言ってないって伝えたのに信じてくれなくてさ!」

「そうか」

「後、ななちゃんは太郎君に乗っかっちゃうし。他の皆は助けてくれないし!」

「そうか、そうか」

 

 無事こちらに襲いかかって来た妖怪。騙り猿(かたりさる)を撃退したタケルは件の少年と共に山道を歩いていた。

 

「あの毛むくじゃらの気持ち悪い妖怪に攫われた時は本当に死んじゃうと思ったよ!」

「災難であったな」

「うん。だからね、お兄さん。僕を助けてくれてありがとう!」

「・・・(おれ)はお前を真に救おうとして動いた訳でない。礼は不要だ」

 

 当初タケルは騙り猿を追い払った時点で自分の役目は果たしたと考え鍛錬の続きに戻ろうとした。

 だが彼と少年がいた場所は崖や岩肌が目立つ、子供が一人で帰るには少々厳しい山の奥まった所であった。

 

 さらに少年は騙り猿に担がれて攫われたせいで帰り道が分からないときた。

 

 一人じゃ帰れないから助けて。

 その様に(あま)な事を言って泣き付いてきた少年を見捨てようかとも考えたタケルであったが、最終的に諦めてこの子供を親元へ送り届ける事を選んだ。

 

 『他者(ひと)を助けたならば、最後まで尽力すべし。窮鳥入懐(きゅうちょうにゅうかい)。これを道半ばで見捨てる事は罷りならん』

 タケルの数少ない友人であった者の言葉である。

 

 彼は道徳的は選択に迷った際、しばしば知人や友人の言葉を参考にする傾向があった。

 

 こうしてタケルは少年を連れて一時、山を降りる事にしたのだ。

 

 両者共に此処が何処だかは具体的に分からないコンビであったが、とりあえず山を下りて歩けばいずれ知った道に行き当たるだろうと当たりをつけた。

 

 中々に雑な考えであるが、そもそも少年は帰り道が分からずタケルも彼の住んでいる場所を知らない。そんな状態ならまずは山から平地に降りなければ手の打ちようも無い。

 

 タケルは肉体の器の位を上げた武の達人であるが、この手の雑事をぱっと解決する麻姑掻痒(まこそうよう)な技はほとんど習得していない。

 

 只人より優れた能力を持っているからと言って、必ずしも万能な存在ではないのだ。

 

「でもお父さんとお母さんが人から何かして貰ったら、ちゃんとお礼をしなさいって言ってたよ」

「そうか。良い教えだ。お前の両親は立派な方だな」

「うん!」

 

 山を下りる最中、少年はよくタケルに話しかけた。自分を食おうとした妖怪を一蹴した彼の姿は、少年からすればヒーローにでも映ったのであろう。

 

 またタケル自身、並の大人が見上げる程の巨躯だがその佇まいは風に揺られる水面(みなも)の様に静かである。

 

 悪く言えば覇気がなくよく言えば圧力を感じさせず、他者を怖がらせる様な威圧感が無い。

 故に心が幼い者ほどタケルに対して警戒心を解くのが速かった。

 

「そう言えばお兄さん。人里じゃ全然見た事ないけど、何処に住んでるの?」

(困った。変に懐かれたな・・・)

「ねぇねぇ、お兄さん。おーい」

(殴って黙らせる訳にもいかぬし。さて、どうするか)

 

 いい加減少年との会話に相槌を打つ事さえ疲れて来たタケルは、何とかこの(わらべ)を静かにする方法が無いかと悩み出す。

 

 元より他者との人付き合いが上手くない彼にとって、望まぬ会話を続けるのは面倒ごとの一つであった。

 

 と、その時。

 

「あ、ここ!」

「少年。走るな、転ぶぞ」

「大丈夫だよ。それよりお兄さん。来て」

 

 山道から抜け、平地まで辿り着いたタケルたち。だが少年は平地に出るのと同時に何かを見つけたようで、タケルの静止を聞かず走り出す。

 

「ほら、お兄さん見て!」

「む。・・・これは歩道だな」

 

 山道から出てほど近く。タケル達は雑草が禿げた下道を発見した。

 さらにその道にはたびたび荷車が行き来しているのか、車輪の跡も見て取れた。

 

 自然の地べたは基本的に石ころが転がり草木が生い茂っている。しかし、それらの障害物を排除し整えて通路を作るのは人の御技である。

 

 特に歩くのに邪魔になる物が見当たらない道は、人がそこを何度も利用している証だ。

 

「獣道のような乱雑さも無く、一部、木などを切り倒して人が通り易くしてある。間違いなく人の手が入り作られた下道だな」

「やった!じゃあここを辿れば人里(いえ)に帰れるよね?」

「おそらくな。運が向いて来たようだ」

 

 これも天の導きか。そう呟くタケルは子供のおもりが終わりに近い事を知れて胸を撫で下ろした。

 

 偶然にもタケル達が山道から出て来た場所は人が利用する公道の近くであったのだ。

 

 それから暫く。彼等はその道を歩いていると、それなりに離れた正面の距離から人の集団がやって来るのが見えた。

 

 比較的若い者が数名と、それなりに油が乗っていそうな年齢の男が一人。此方に気付いた様子は無さそうだが、彼等は手に警棒を持ち周囲を警戒しながら前進していた。

 

「あ!お父さんだ!」

 

 その集団の中から見知った顔を見つけ出した少年は、またしてもタケルを置いて一目散に駆け出した。

 少年の声に反応したのか、あちらこちらに視線を飛ばしていた一人の男が自分へ駆け寄って来る気配に気付く。

 

「お?おお!?三助(さんすけ)!?おい皆。三助を見つけたぞ!!」

「何?本当か!」

「お父さん!」

「馬鹿野郎。お前どこに行ってたんだ!?子供だけで人里から出るなんて、死んでもおかしくないんだぞ!」

「ごめんなさい!」

 

 再会した親子は涙を流しながらお互いの体を固く抱きしめ合い喜びを分かち合った。

 周囲にいた共に少年(三助)を探していた他の大人たちも、その光景に良かった良かったと胸を撫で下ろす。

 

「本当に無事で良かった。俺は妖怪にお前が攫われたと聞かされた時はもう手遅れかと・・・。母ちゃんも心配してたんだぞ」

「お父さん、本当にごめんない」

「まあまあ源蔵(げんぞう)さん。説教は後にしてそろそろ引き返しましょうや。帰りの時間を考えると()が傾きそうだ」

「ああ、すまない。大介(だいすけ)さんの言う通りだな。三助。此処にいる皆は、危険を承知でお前の探索を手伝ってくれたんだ。お礼をしなさい」

「あ、ありがとうございます」

 

 彼等は勇気を持って子供の捜索に協力しここまで訪れたが、決して戦闘力の高い集団ではない。もしもの備えとして博麗印のお札を懐に入れているとはいえ、本心を語れば早く安全な人里へ帰りたかった。

 

 何故なら彼等がいる場所は人の領域と妖怪が住む境目の近く。彼等は攫われた子供を見つけ出す為、本当にギリギリの所にまで来ていたのだ。

 

「帰ったらお前の事を母ちゃんと一緒にたっぷりと怒ってとっちめるからな三助。覚悟しておけ」

「う、そんなぁ」

「ハハハ。これに懲りたら二度と安易に里を抜け出すなよ。三坊(さんぼう)

「はーい。分かりました・・・、権蔵(ごんぞう)おじさん」

 

 一同の間に弛緩した空気が流れ出す。まだ危険を孕む人里の外と言えど、目標であった三助の無事が確認出来た彼等には無理からぬ事であった。

 

 しかし、だからこそ生まれて来る疑問もある。

 

「しっかし三坊よ。お前さん、よく死なずに済んだよなぁ」

「ちょっと、権蔵さん」

「いやいや、変な意味じゃないぜ?儂だって三坊が無事に見つかってこれ程嬉しい事はねーよ。でもな妖怪に攫われたにしちゃあ三坊の奴、ほとんど無傷だろ。そこが気になってな」

「単純に運良く逃げれたんじゃないか」

「子供の足だぜ?それはちと厳しくないか。大介」

 

 妖怪と人間の肉体面の差は比べるまでも無い。相手が低級の妖怪だったとしても、それから逃げ延びるのは大人でも難しい。

 

 だからこそ、この集団のリーダー格である権蔵はその事に疑問を感じたのだ。

 

「えっとね、お父さん。僕はお兄さんに助けて貰ったんだ」

「お兄さん?」

「うん!僕を攫った妖怪を一発で倒しちゃったすごい強い人なの!」

「あー、三助?」

「それでね、お父さんたちに会える様に僕を此処まで連れて来てくれてーー」

「待て待て、三坊。一旦落ち着け」

 

 大人たちの疑問に、三助はこれ迄の経緯を思い出したかのように興奮した面持ちで言葉を捲し立てた。

 脳裏に浮かぶのは自身に降り掛かった理不尽を片手間で薙ぎ払うタケルの勇姿だ。

 

 だがそれも彼等が思い至った違和感の前に止められる。

 

「何、権蔵おじさん。どうしたの?」

「いや、な。疑う訳じゃ無いがお前の言う助けてくれた(なにがし)ってのは何処に居るんだ?」

「え?」

 

 この時三助は権蔵たちに聞かれ、初めて先程まで自分の側に居たはずのタケルが消え去っている事に気が付いた。

 

 慌てて首を動かして周囲を確認するが、彼の姿は影も形もない。

 

 とうのタケルは三助が迎えの大人たちに気付いた時点で気配を消し、既に元来た道を戻っていた。

 三助の保護者らが来た事で自分の負うべき責務を今度こそ果たしたと判断したからだ。

 

 まあ彼のその本心は、権蔵たちに何があったかの説明をするのを面倒臭がったのが大半であるが。

 

 恐るべき見切りの早さによる電光石火の帰宅である。

 

 しかし此処でタケルと面識があった三平と彼の姿を認識できなかった大人たちとで齟齬が起きてしまう事になる。

 

「あれ、え?お兄さん。何処に行っちゃったの!?」

「だから落ち着けって」

「本当にさっきまで側に居たんだよ・・・」

「三坊が嘘をついている様には見えんがこれではな。もしかして他の妖怪に担がれたか?」

「お兄さんはそんなのじゃないよ!・・・ねぇ、信じて。お父さん」

「ああ、そうだな三助。ではお前を助けてくれた人の名を教えてくれるか?人里に縁がある人物なら、俺たちでも分かるやもしれん」

「え、お兄さんの名前?」

 

 ここで三助はタケルの名前さえ聞いていなかった事を思い出した。命を救われた衝撃をそのままに、あれやこれやと話しかけている内にすっかりとその事が抜け落ちていたのだ。

 

「な、名前だよね。えっと」

「どうした、三坊?」

「我々が接触出来る人物であるなら今回の事を感謝せねばならん。だから教えてくれるか?」

「う、うん。えっと・・・」

 

 三助の父親を含む大人たちに彼を責める気はありはしなかった。

 純粋に可能であらば自分の子供を救って貰った事への恩義に報いたかったのだ。

 

 また善意による助けならそれに越した事はないが、三助が自覚のないままその者と何かしらの対価を約束したおそれもある。

 その場合、口約束と言えどそれを破ればどんな仕返しが待っているか想像も付かない。

 

 仮に三助がその者に化かされ憑かれていた時は、祓い屋に急いで連れて行き彼と妖怪の間に結ばれた悪縁を断ち切らねばならなかった。

 

 なので三平がタケルの名前を知らない事を素直に告白しても、彼等はかえってその事に安堵しただろう。

 

 現金な話になるが、己の存在を明かさない有り様は相手に関心を抱いてない裏付けであるからだ。

 それなら今日会った子供になんぞ拘らず、数日も経てば記憶から薄れいずれは忘れてしまうだろう。

 

 とは言え、三助からすればただでさえ権蔵たちに迷惑を掛けている状態だ。これで命の恩人の事を何一つ知らないと答えるのは罰が悪かった。

 

 だからだろうか。彼は少々、自分に都合の良い答えを言い出した。

 

「せ、仙人様だよ!!」

「・・・はぁ?仙人?」

「そ、そう。僕を助けてくれたお兄さんは、仙人様だったよ!」

 

 仙人。幻想郷に実在する、人から進化した上位種族の一つである。彼等は人並外れた神通力を使い熟す事で妖怪にも立ち向かえる術を持つ、数少ない人間種を元にする超越者である。

 

 また、彼等は徳を集める事により肉体の昇華をなした存在だ。その性質上、仙人とは欲の少ない善人が多い。

 

 なので妖怪に襲われた無力な子供を見掛ければ、親切心で助ける事があっても不思議ではなかった。

 

「そうか。三助は仙人様に助けて貰ったんだな」

「なら三坊に怪我がないのにも頷けるか」

「う、うん」

 

 仙人は隠居然とした者が多いので山の中なら兎も角、俗世で暮らす人の前には中々姿を現さない。良くも悪くも仙人とは浮世離れした超人たちなのだ。

 

 真意はともかく権蔵たちは三助を送り届けた後、我関せずと消え自分たちには姿さえ見せずに居なくなってしまった行動に納得できた。と言うよりは無理矢理した。

 

 元より価値観さえ違う者の事をその場で理解するのは不可能だからだ。

 

 反対に咄嗟に吐いた嘘が思いのほか受け入れられてしまった三助は、その事への罪悪感を感じつつも大人たちの雰囲気に流され、訂正するタイミングを失ってしまった。

 

 この瞬間タケルはそんな事は全く無いのにも関わらず、彼等の中で見知らぬ子供に救いの手を差し伸べる仁徳に溢れた情け深い仙人様となった。

 

 げに恐ろしきは真偽の定かでは無いイメージの先行である。

 

 だが時に言葉とは、本人が望まない不幸を招く事がある。

 

 嘘をつく口は禍の元(・・・・・・・・・)

 三助のその戯言が無ければ、彼等の遥か上空にいる者の興味を引く事は無かったであろう。

 

「ッ、な、何だ!?」

「うわ!」

「風が急に!」

「わわ。飛ばされちゃうっ」

「三助。父ちゃんに掴まれ!」

 

 疑問の晴れた権蔵たちが本格的に帰路に着こうとしたその時。彼等の間を一陣の風が吹き荒れた。

 その風は瞬く間に勢いを増し、大人でも体を持っていかれそうになる烈風と化す。

 

 明らかに意思を持って生まれたその風は、三助らを含む全員を包み込んで逃さない。

 極小の嵐に見舞われた彼等は何の抵抗もできず、それから逃れる様に地面へと体を投げ出した。

 

 そしてその風が止んだ時。見上げる様に地に伏した権蔵たちの前に、一体の妖怪が降り立った。

 

「あ、ああ。そんな」

「嘘だろ」

「何でこんな所に天狗が」

 

 慄く彼等をいっこだにせずその妖怪は、己の操る風で人を揶揄ったのを悪びれる様子も無く声を発した。

 

「どうも皆さんこんにちは!文々。新聞(ぶんぶんまるしんぶん)の記者兼発行者の射命丸文(しゃめいまるあや)と申します。いやー、今日は良い天気ですね。絶好の飛行日和とはまさにこの事!・・・て、あや?どうしたのですか皆さん。犬ころの様に地べたに這いつくばって。服が汚れますよー」

 

 陽の光を返す首元まである黒髪。膝下丈で区切られたスカートから伸びる足には珍しき和の一本下駄。かと思えば上半身は涼しげな半袖の洋服である。

 そして襟元を結ぶ緋色のネクタイは自称記者としてのワンポイントであろうか。

 

 髪と同じ色をした目を持つ端正な顔付きは、少女のような愛らしさをしており一見人間にも思えてしまう容姿である。

 

 しかし腰から伸びる鴉の翼と風を鳴らす扇の存在が、唯の少女ではない人外の要素を静かに主張をしていた。

 

 彼女名は射命丸文。

 

 木端な妖怪や半端者とは比べ物にならない本物の化生。大昔から人々に畏れられてきた、力ある妖怪の中の妖怪。

 ひとたび彼女が力を奮えば、ひ弱な人間など激流に呑まれた枯れ木の如くバラバラになってしまうだろう。

 

 

 幻想郷を代表する勢力の一つ。妖怪の山を根城にする、生まれながらのヒエラルキー上位者(捕食者)

 

 風を纏い操る自然の化身。鴉天狗である。





用語録

翁殿(おきなどの)
 タケルの元いた世界の凄腕の錬丹術師。人体学・自然学・薬学・調合法など様々な道に精通していた知識人あり名医でもあった人物。彼の作る霊薬の効力は凄まじく、時の権力者でさえそれを手に入れる為に彼の顔色を伺うほどであった。
 タケルとの付き合いはそれなりに長く、その出会いのきっかけは分布相応に彼が翁の霊薬を求め体良くあしらう為に、翁が材料を用意すれば作ってやると啖呵を切った事が始まりだ。当時のタケルはまだ武芸者の道を歩き始めたばかりであり、到底翁に何かを願える立場ではなかった。だがそんな翁の思考とは裏腹に、入手困難な霊薬の材料を集め切ったタケルの姿は翁の度肝を抜いた。それ以来、腐れ縁の様な関係が続いていく事になる。
 因みに翁殿とはタケルが勝手に呼んでいる俗称である。彼の本名はまた別にある。

錬金術・錬丹術(れんきんじゅつ・れんたんじゅつ)
 タケルの世界にあった学者や薬師が扱う術理の一つ。彼等の作る配合物には気を多分に含んだ材料が使用されるので、その成果物は普通ではあり得ない上質な品となっている。その分、気を散らさずに混ぜる技術や物体の相性なども見極めるセンスが必要となり、ただの調合と比べると難易度の高さは段違いである。
 錬金術は貴金属の配合に長けており、錬丹術は霊薬の生成に適している。なので術師は食い扶持が被らない様にきちんと自分たちの棲み分けを行なっていた。

雑気(ざっき)
 異なる性質の気が混ざり合い、本来の気の性質から変化してしまった状態。ある程度、気を整える事は武の達人にも可能だが特定の気の抽出や分解といった作業には専用の技術が必要。

妖怪の山(ようかいのやま)
 天狗が根城にする山の名称。縄張り意識の強い彼らにとってこの場所は天狗のみが踏み入れて良い場所と認識しており、その例外は天狗に縁がある幾つかの妖怪や野良神のみである。部外者が許可なく妖怪の山に侵入すれば彼等は容赦なく命を奪いに来る。
 一応、天狗の縄張りに近付き過ぎれば一度は引き返す様に警告してくれるので、妖怪の中では良心的である。

仙人(せんにん)
 幻想郷に存在する人間を根源とする超越者。仙人とは今世で様々な善行を積む事により、来世で活かされる徳を前借りして魂の昇化を行った者たちである。魂に引き上げられた肉体は老化から解放され彼等を不老長寿の聖者に仕立て上げる。
 仙人の全てが戦闘術に長けている訳では無いが、神通力と言う特殊な術を使いこなす事で妖怪にも劣らぬ力を振るう。

博麗印のお札(はくれいしるしのおふだ)
 博麗の巫女が人里に卸している対妖怪用の護身霊具。朝と夜の間に産まれた黄昏時の畜生の体毛で作った筆に黒漆を含んだ墨を浸し、霊力を込めながら力ある文字を書き対魔の効果を得るお札となっている。ただしお札自体はただの和紙なので水に弱い。文字が滲んだり破れたりするとお札の効果が霧散するので、お札の保存状態の良さから人里の人間が博麗の巫女に敬意をちゃんと持っているかの目安にもなる。
 お札の効果は身に付けていれば妖怪の目から自身を隠せる。そして妖怪に向けて投げ付ければ一時的に体の自由を奪う結界を展開する。
 使い切り用のインスタント霊具であるが、博麗の巫女は自身に用意が簡単ではない道具を使い霊具を作る。と言う縛りを設け、簡易的な儀式効果を生み出してお札の効力と持続性を高めている。
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