生徒に嫌悪感()と激重感情抱いてクソ重自己嫌悪を起こしているメンタル激弱系先生   作:大住先生

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プロローグ2-2 小鳥遊ホシノ

 やることをやると、やっぱり疲れるね。腰抜けちゃった先生をベッドに引きずり込んで、いっぱいご褒美貰っておじさんは満足だよ。

 

「ほ、ほしの……腰、いたぃ……」

 

「ご、ごめんよぉ……」

 

 おじさんは満足したけど……ちょぉっとやりすぎたかも。

 ガンガン攻めたせいで先生は腰を痛めたっぽい。湿布を貼って、泣き目で布団にくるまってる。

 

 いやぁ……若いって怖いねぇ。1度燃え上がっちゃうと、自分でも歯止めが効かないんだよ。

 

 というか、先生がエッチなのが悪いと思うんだよ。

 普段のカッコイイ先生がおじさんにかかればトロットロにとろけて…甘えた声でよがってきて…そんなもの見せられて燃え上がるなって言う方が無理だよぉ……

 

「ほ、ほら! エンジニア部にメンテナンスお願いする書類作ってくからさぁ! 先生は休んでてよ!」

 

 申し訳なさに駆られて、書類作成の準備に取り掛かった。行為後に使うウェットティッシュで手を拭いてから脱いでいた制服を着直して、用意してくれたパソコンの前に座る。

 

 悪いことがバレた時の下手な誤魔化しみたいだなぁ、なんて今の行動を振り返りながら布団の中で丸まっている先生を見た。

 

 先生は前線に立って指揮を執る。エンジニア部によって改造されて展開機構が組み込まれた私のシールドの裏に隠れて、最前線でスナイパーライフルを取り回しながら。

 

 狙撃銃を使うのになんでそんな前に出るんだろうって、疑問に思う生徒もいっぱい居るんだよね。

 おじさんみたいに先生の内面とか拘り、決意を知っている生徒は他にヒナちゃんしか居ない。

 

「う、うぅ……ありがとホシノぉ…」

 

 首から下をすっぽりと布団に隠して顔だけを出し、疲れきった笑顔を見せてくれる。

 普段の姿とはかけ離れたこんな姿、他の生徒が見ようものならビックリだろうね。

 おじさんも初めて先生と一線を超えた後、あまりに違いすぎてときめいちゃったのを覚えてるよ。

 

 普段の先生はなんというか、仕事に取り憑かれてるんじゃないかって思うくらいの仕事人間だね。

 自分がやる訳でもないのにゲームを買ったり、コレクターっぽくないのに腕時計を買い集めたり……変わったお金の使い方をして、その分のお金は仕事できっちり稼ぐ。

 

 亡くなってしまった娘さんと夫が好きだったものを買い集めてるんだよ、この人。

 それを聞いて、おじさんは不覚にもドキリとしたよね。

 

 嗚呼……おじさん、悪いことしてるなぁって。

 どこの誰とも知らない人が愛した人を好きになって、お子さんと夫を忘れられない未亡人に手を出して、惚れさせて、溺れさせている。

 法的には何も悪くないのにそれでも湧き上がる背徳感を自覚して、味わっちゃったっからにはもう抜け出せない。

 

「いいのいいの。悪いことしちゃったしさぁ……それにこれは先生にとっては嫌いなものかもしれないけど、覚悟や意志の表れみたいなものだからねぇ。しっかり、手入れしなきゃ」

 そして任務となれば、自ら前線に立つ。死んでもおかしくないのに、微塵も躊躇わずに。

 そうやって前線に立つ事で、背中を見せてくれている。

 

 自分たちを教え導こうとする、ありとあらゆる悩みや苦しみを受け止めてくれる、『この人なら何とかしてくれるから大丈夫』と思わせてくれる、頼れる大人の背中を見せてくれている。

 何も心配しなくて良いって、何も怖がらなくて良いって、そう思わせてくれる。

 

 スナイパーライフルを使うのは脅し、そして覚悟と決意の表れ。

 いくら体が頑丈でも至近距離からスナイパーライフルで撃たれれば、当たりどころが悪ければ弾丸が体を貫く。

 そんなものを目の前でチラつかされ、しかも相手が弾丸一発でも死にかねない存在となれば下手に反撃出来ない。攻めも出来ず反撃も出来ず……そんな理不尽を押し付け、降伏を迫る。

 

 この土地で生まれ育った身としては自然と消え去っていた違和感だけど、普通考えたらそうだよねぇ。銃なんて危険な武器撃ち合っといて、人殺すのは嫌だって変な話だよ。

 そこを上手く突いているから、相手がロボットみたいな感情のない存在だったりしない限り効果はてきめん。

 

 どんなに相手との距離が近くても、先生は必ずスコープを覗いて引き金を引く。

 銃等の存在しない土地にキヴォトスを作り替えるという夢の為ならば、手を汚す事も厭わないという覚悟。

 夢の為ならばどんなに辛い光景からも絶対に目を逸らさず、全てを受け止めるという決意。

 

「そう……だよね……手入れ、は…た、いせ……つ…」

 

 鳴き疲れたんだろうね、話してる最中に先生は寝落ちしちゃった。子供みたいで可愛いなぁと思う反面、そりゃそうだよねぇって納得もする。

 

 ふと時計を見れば、もう2時間も経っていたから。その大半を鳴いていれば疲れもするよ。

 おじさんとしてはまだまだシ足りないけど、それは後でおいおい……ね。今は書類作成を進めないと。

 

 武器整備依頼書の作成ももう慣れたものだよ。元々アビドスでも色々と書類作ったりはしてたけど、シャーレのお手伝いをするようになってからはもっとその頻度が増えたからねぇ。

 同じ人を愛したライバルであって最高の協力者、ゲヘナ学園のヒナちゃんに聞いたけど2人は毎日これくらいの量の書類を捌いているとか……うっへぇ〜だよね、信じられないよ。

 

「……ごめんね、先生」

 

 寝たのであれば、ちょっと悪い子タイム。

 大切なものが入っている引き出しを開けて、お目当ての印鑑をゲット。印刷した武器整備依頼書の押印箇所に押印して、依頼理由の欄に『定期メンテナンス』と記入。

 

 本来なら依頼者本人が書かないといけないし、エンジニア部は筆跡鑑定機なるものを作って偽装書類を受け付けないようにしている。

 でも、おじさんには無意味なんだよねぇ。なにせ、先生の筆跡なら完全に模倣できるからね!

 

 先生の働きっぷりはこの目で見てきた。三徹四徹は当たり前、酷い時は1週間ぶっ続けで書類を睨み続けて羽根ペンをガリガリと走らせていた。

 怖いなんてものじゃない。理解の範疇の外にいるような存在に見える時もあったし、先生以外には見えない何かを殺すかのような気迫で書類に向かう姿勢とそれに伴う疲弊具合に忌避感すら覚えたこともある。

 

「よしっ。後は名前だけだよぉっと」

 

 筆跡の模倣を始めたのも、先生の負担を少しでも軽くしてあげる為になにか出来ないかと思ったから。

 

 この人と関わるようになってから習得した技術や知識は、その大半が先生の為に使われているように思う。

 いやぁ、我ながら尽くすおじさんだよホント。

 

「すぅ……くぅ……」

 

 布団の中から聞こえてくる規則的な寝息。

 

 先生は不眠症を患っていて、夜に中々寝付けない。そのせいで『寝れないなら仕事進めるか』ってなって仕事をし始めて、ますます寝れなくなる悪循環を起こしている。

 

 最初の頃はそんな姿を見て嫌な気持ちになることもあったし、倒れた姿を見た時には泣いて辞めるように迫ったこともあったけど……先生は止まらない。

 

 生徒たちを導くんだ、安全な世界に連れて行くんだ、そう言って聞く耳を持ってくれないし止まってくれない。

 悲しいけど……でも、嬉しかった。我が身を苦しめながらも進んで進んで、その先に待っているかもしれない平和を掴んで私たちに与えるんだって、その姿勢がたまらなく好き。

 

 大人に騙されて苦しめられたおじさんが、もう一度信じてみたいって思わせてくれた人。

 自分すら苦しめながらも突き進んで生徒たちを守ろうとしてくれる、導こうとしてくれる、人生の手本を示そうとしてくれるこの人を、助けてあげたい。

 

「……先生、大好きだよ」

 

 書類作成を終え、布団に潜り込む。制服も脱がないで、靴下すらも履いたまま。

 

 丸くなって眠る先生を抱き締めて、そっと目を閉じる。

 

 体温が低いと本人も言っていたけど、眠っているとそう冷たくもない。ほのかに暖かくて、安物のシャンプーの匂いとさっきまでの行為でかいた汗の匂いが混ざった匂いに鼻腔をくすぐられる。

 

「ほし、のぉ……」

 

「大丈夫、おじさんがそばに居るよぉ〜」

 

 綺麗な黒髪を撫でる。

 

 先生に止まる気がないのなら、私はもう止めない。行くところまでついて行って、どんな地獄でも必ず隣に居て、絶対に先生を守る。

 日々の疲れを癒す為に、先生を抱きもする。激務による疲労、焦燥感がもたらす精神的疲労と苦痛、全てを私が癒す。

 もちろん、義務感で抱いてるわけじゃないよ。先生のことが大好きなのは本心だし、抱きたいから抱いてるっていう節も大いにある。

 

 書類整理から任務での護衛、そして夜のお世話……私一人なら無理かもしれないけど、心強い協力者にも恵まれた。

 それもあの、ゲヘナ学園風紀委員長のヒナちゃんだ。私とヒナちゃんがいれば、出来ないことなんて何も無い。

 

「ね〜む〜れ〜。ね〜む〜れ〜。お目目を〜閉〜じ〜て〜」

 

 子守唄を歌ってあげると、先生の寝息はより安定する。

 

 これじゃどっちが大人か分からないよねぇ。まぁ、おじさんは自分が大人だとは思ってないけど。

 

 大人とは、責任を負う者。責任を負えない子の責任すらも背負い込んで、その子の人生を照らす道標となる者。

 先生は大人とは、そういう生き物であるべきと語っていた。

 

 なら、私とヒナちゃんはその道標が立っていられるに支える柱と、柱が食い込んでいられる土台になる。

 

「大丈夫……先生の夢は必ず叶うよ。邪魔するものは……私とヒナでぜぇんぶ片付けてあげるからね♪」

 

 邪魔するのなら、例えあの黒服でも殺してみせる。

 好き勝手に横領して防衛都市を築いたリオでも、先生を撃ったアリウススクワッドの面々でも、暴力の化身とすら言えたあの時のミカですらも、私は殺す。

 

 邪魔をするのなら、どんな手を使ってでも排除する。

 先生を愛すると決めて、先生の過去を知って、先生の見ている未来を共に目指したいと思ったその日から、私の決意は変わらない。

 

「うへ……うへへへへぇ〜。だぁい好きだよ、先生♪」

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